たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

雪のない富士山を、承知で眺めに槇寄山。

2023年10月16日 | 富士山見物
◎2023年10月14日(土)

仲の平バス停手前駐車地(8:10)……山道へ(8:22)……西原峠(9:28)……槇寄山(9:31~9:45)……田和峠(10:02~10:06)……数馬峠(10:22~10:37)……948m分岐(10:58)……数馬自治会館(11:27)……駐車地(11:29)

 槇寄山(まきよせやま)の存在を知ったのはごく最近のこと。富士山の初冠雪を知り、東京都の山で富士山がきれいに見える山を探したら、この山があった。場所は山梨の上野原と東京檜原村の都県境。三頭山から南東の高尾山まで延びる笹尾根なる尾根上に位置している。敢えて少ない知識を披露してみた。
 実は八ヶ岳の白駒池の紅葉が盛りらしく、登ったことのないニュウと合わせて行きたかったが、NHKで流したからなのか、平日でも7時には駐車場が満車になるとのことで、これはあきらめた。那須方面の紅葉情報しかチェックしていないから、他の山の紅葉状況はまだ早いだろうなと思い、毎日のように見ている富士山ライブカメラでは初冠雪後の降雪はなく、むしろ山頂の雪は薄くなっているのを承知のうえで槇寄山に行くことにした。結果として、ラッキーにも富士山を拝むことはできたが、自分には、雪のない富士山はやはり画竜点睛を欠いた、姿の良い山でしかないなぁで終わった。

 東京とはいっても檜原村は最西部だ。あきる野インターで下りてからが長く、3月に行った浅間嶺よりもさらに奥で、自宅から2時間半近くかかった。その間、入間から富士山が見えてほっとはしたものの、いつ隠れてしまってもおかしくない程の薄さで、檜原村に着いても陽は出ていず、かなり投げやりな気分になっていた。
 困ったのは駐車地探し。大羽根山を経由して槇寄山に行き、帰路は数馬の湯に下る周回予定でいたが、当てにしていた大羽根山登山口近くの中央区民の森の駐車場は閉鎖され、登山口前の狭い路肩に車を置いたが、目の前に土、日、休日駐停車禁止の標識を見てしまったので、ここには置けない(帰りにここを通ったら、同じところに堂々ととめている車があったが)。手頃なところはないかと西に数馬の湯方面に向かうと、車が置けるようなところは位置的に半端で、それも、近くの旅館の専用駐車場のような気配。仕方なく、一旦、数馬の湯に駐車した。この時点で、大羽根山はあきらめた。移動した距離は意外に長く、登り坂になっていたからだ。予定コースを逆に歩いたら、最後の車道歩きがきつい。だが、ここの数馬の湯の駐車場も安心はできない。駐車可能台数は少ないうえに、下山してから温泉に浸かるつもりもなかった。つまりは温泉利用者ではない無断駐車になる。こちらはそれほどに心臓は強くない。車を出してさらに西に向かうと、いくらか広い路肩があり、駐停車禁止の標識もない。ただ、この辺に住む方にとがめられでもしたらアウト。そうなったら、都民の森まで行って三頭山に登るしかなくなる。そこまでの体力は回復していない。地元の人に会わないように、さっと準備して出発した。朝ドラタイムが幸いしたか、誰にも会うことはなかった。予定ルートは槇寄山先行の大羽根山なしの周回になってしまった。

(ここから出発。左のコンクリ上に置いてもよかったが、まずいような気がして手前の路肩に車を置いた)


(槇寄山の標識を発見してほっとする)


(地図には卍マークが記されている。民家風)


(この標識の先には)


(ここ行っていいのだろうか。どう見ても現役の家だ)


 自分のいる場所がしかと分からずのままに西に向かうと、すぐに仲の平バス停があり、槇寄山に誘う標識を見つけた。駐車地探しで神経をすり減らしていただけにほっとした。
 しばらく苦痛な歩きだった。舗装道で、かなり上まで民家が続いている。しかも急坂が続く、このまま歩いていいのだろうかと思ったところで正解の標識を見たものの、その先には民家の軒下があって、まずいんじゃないかと、地図を広げて確認しているところに、ネエちゃんが登って来た。「ここを行けばいいんでしょうか」と聞かれたから、「標識がそうあるからいいと思うけど、人の家の庭先を横切っていいのかなと気になって」と答えると、ネエちゃんはさっさと登って行った。庭先を通る心配はなさそうだ。再び、このネエちゃんに会うことはなかった。小柄でスリムな体型で軽装。ザックの中は水だけかと思える程の小さなもの。こちらは、ここまでの間にすでにストックを出している。ここから山道になる。つい3日前のことだ。桐生の吾妻山に登った際、第二男坂の岩場をフツーに登っている時、後ろに人の気配もまったくなかったのに、脇をスルスルと登って行ったネエちゃんがいた。その時のネエちゃんの身軽さ、格好、荷物の大きさは、今のネエちゃんとまったく共通している。よくもまああんなましらの如くの歩きができるものだ。こちらは年相応に歩ければいい。経歴だけはあるから、長年の無趣味で、定年退職を機に山歩きを始めたばかりのGBハイカーよりは軽快な歩きができればいいと思っている。これも怪しくなってきたが。

(階段があったのはここだけだが、こんな溝状のところを登って行く)


(ちょっと気が滅入る)


(「国定忠治が遠見した所」とあるが、ここは展望がない)


(せいぜい、ここから遠見したのだろうが、赤城山が見えるわけではない)


 山道に入ったはいいが、嫌な歩きが続く。てっきり尾根歩きと思っていたが、巻き道がずっと続く。面白くも何ともないので、目の前の急な尾根に取り付いた。ゼーゼーした分、損をした。あっさりと巻き道に合流した。尾根は一辺倒ではなく、登っては下って巻き道に合流する仕組みだ。尾根とて、針葉樹から混交になり広葉樹になっても、展望が良いわけでもない。もう巻き道歩きに徹した。その巻き道もまた、溝歩きに近い状態だ。残念ながら、巻き道歩きを続けると、山歩きの楽しみも半減する。

(西原峠。ボケた)


(ここは三頭山と笛吹峠のほぼ中間点か)


 陽が射してきて、何となくといった感じで西原峠に到着。ここを右に行けば槇寄山、三頭山。左は数馬峠、生藤山。つまり、やがては高尾山。直進は上野原の郷原。峠に展望はない。槇寄山はすぐ上のようだ。

(何はともあれ富士山)


(好みレベルのアップで。雪がかすかに残っている)


(肝心の槇寄山山頂)


(薄い雲に覆われているのが残念)


(どアップで。これ以上のアップも撮ったが、敢えて出さない)


(下りましょうか)


 山頂に人の気配。さっきのネエちゃんかと思ったが、二人連れの老夫婦といったところ。お食事中。そんなことよりも富士山が気になった。見えた。「あっ、富士山が見える。ラッキー」とぶつくさ言っていたら、ジイちゃんが「今日はきれいに見えますよ」と反応が返ってきた。東京の低山からでもこんなによく見えるんだと感心していたが、後で、三頭山から見た時に撮った富士山写真を確認すると、そちらの方が裾野近くまで覗いている。標高が350mも高いのだからこれは当然の理。残念なのは、青空ではなく、薄い雲に覆われ、富士山そのものが黒く見えること。頭の雪が片隅に少しだけ残っている。やはり、春霞が出る前の真っ青な雪富士にはかなわない。この時期にそれは贅沢というものだ。富士山が見えただけでも、あきらめかけていただけに幸運だった。浅間嶺からの富士山は、アップにしてようやく写真に撮れたレベルだった。余談だが、この日に三頭山に登った方々のヤマップ記事を拝見すると、12時では雲海の上に上部だけが浮かび、1時過ぎの方は頭しか写っていなかった。ハイ、残念デシタ。
 休憩はしなかった。水を飲んだだけ。富士山を眺めては写真を撮っていた。この先、田和峠と数馬峠でも富士山は拝めるらしい。失礼しますとご老婦に挨拶して西原峠に戻る。実は、この先は名の通りの笹の尾根だろうとばかりに期待した。

(巻き道が続く。右の尾根は低い。巻き道は必要ないような気がするけど)


(たまに尾根道歩きもあるが)


 やはり、ここもまた尾根上歩きではなかった。左手の低いところを巻き道が続いていた。尾根歩きにすれば富士山眺めの歩きを楽しめるかと思い、薄い踏み跡のある尾根をしばらく歩いてみたが、灌木が生い茂り、展望はまったく望めない。そんなことを繰り返していたら田和峠に着いてしまった。

(田和峠)


(田和峠から)


(同じく。ここはポーズを選びようがない)


 人工的に切り開いたような狭い峠だが、富士山はしっかりと見えた。ここの峠、南に下ると、上野原の田和地区に下る分岐になっている。富士山の姿は槇寄山からのそれとさして変わりないが、視界そのものは狭い。だが、まだ見えるだけでも満足。

(道が荒れているなと思っていたが、耐久レースのコースか)


(やはり尾根歩きが気持ち良いに決まっている)


(ほんのり紅葉)


 今回のコースでは三か所に富士見スポットがある。槇寄山、田和峠、数馬峠。しかも短時間で歩けるのが魅力だ。この先の数馬峠はラストになる。好みの冨士山見物の時期だったら、名ばかりの尾根歩きでもそれぞれに満足したろう。右手に本当の小高い笹尾根が見え、敢えて尾根を歩かずに巻き道を歩く。尾根を歩いてもすぐに尾根は下って巻き道に合流する。そんな尾根でも、こだわる方はいるらしく、尾根上に踏み跡は続いている。ここでも尾根上を歩いてみたが、展望はからきしなかった。

(数馬峠)


(数馬峠から)


(同じく)


 数馬峠着。富士山はまだ残っていた。ここの峠は数馬への分岐と、直進の笛吹峠になるわけだが、上野原方面に下るらしい南西方面への明瞭な道がある。地図を広げてもそんなコースは記されていない。菓子パンを食べながら休んでいると、槇寄山にいたジイちゃん、バアちゃんがそちらに下って行った。おそらくはどこかでメインコースと合流するのだろうが、この辺をよく歩かれているのだろう。
 今日の三番目の冨士見スポットだったが、順位としては、つまりは切り開きの具合からしてというのが正確かもしれないが、槇寄山の次だろう。田和峠の視界は狭かった。そんなことを思っていると、後ろに人の気配を感じた。単独のニイちゃんが突っ立って富士山をため息つきながら眺めていた。コンニチワ以外の会話はしなかった。

(数馬の湯方面に下る)


(最初は薄いが、すぐに明瞭になる)


(快適な歩き)


(948m地点。「仲の平」の標識があった)


 数馬方面に下る。この先、しばらくは、典型的な山の快適な歩きができた。踏み跡は細かったが、間もなく明瞭になった。巻きをするわけでもなく、広葉樹の広い尾根だ。最初からこうだったら、もし富士山を見られなくとも、もっと楽しめただろうにと思うと残念な気がしてしまう。ただ、この快適な下りも948m標高点分岐で終わってしまう。直進は大楢沢、左寄りが左岸尾根とあり、仲の平バス停となっている。ここは左を選ぶが、標識には矢印もない「仲の平」という古い板も置かれていたから、ここが仲の平というスポットかもしれない。

(北側の展望)


(左端は三頭山だろうか)


(「数馬の湯近道」とあったが、風呂屋には用事がないので直進する)


(中央左寄りのピークが槇寄山らしい。目の前の尾根は標高点966mを経由して、数馬峠手前の西側に上がるようだ)


 この先は、また溝状の歩道が続き、やがて下に集落が見えてきた。『山と高原地図』には、峠からのルート上に「西側の展望良い」と記されてはいるが、西側の展望はなく、かろうじて、948m分岐の先から正面の北側の山並みが見え、集落真上に達して、ようやく西側の尾根が見える程度のもので、地図に合わせる限り、いくつかの尾根が集約されたピークが槇寄山だろうかと想像される。明瞭なピーク状の山ではないようだ。この辺まで来ると、もう里山歩きになった分、林からも抜けて陽を遮るものもなく、暑くて汗が流れるようになった。夏バテから完全に立ち直っていないからには、爽快でもない不快な汗はまだ天敵に似たようなものでしかない。

(仲の平バス停方面へ)


(ここの渡しは崩れている。上の方は完全に浮いていた。頼らないことだ)


(沢を見て)


(右手が数馬自治会館)


(車道に復帰。こちら側には車を置けるところがいくつかあった)


(仲の平バス停)


(帰着)


 沢が流れていた。歩いたコースは粘土質が続いていた。ストック先を洗い流した。上には車道が見えている。急坂を登ると、右に平屋の数馬自治会館があって、車道に出た。自治会館の上には車が3台は置けそうだが、ここに群馬ナンバーの車を置いたら目立つだろう。ここは八王子ナンバーのエリアだ。その先にも数台は置けそうな空地。駐車禁止の看板も何もない。冷静になれば、意外に車を置けそうなところはある。自分の車は、その先の空地の隅に置いていたが、さも窮屈そうにしている。張り紙はないかと気になったが、そんなものはなかった。

(九頭龍の滝。ワイヤーが垂れていた)


 この近くに九頭龍の滝がある。看板も何もなく、九頭龍神社の社務所まで行って場所を聞いた。案内されたままに行ってみたが、ぐるぐると回っただけでどこにあるのかわからない。ようやく小さな看板を見つけて行ってみたが、滝は名前負けしたような滝だった。二段になっていて、上の段に行けないこともなかったが、滝そのものが立入禁止エリアになっていて、足元が不安定。こんな滝でケガでもしたらとやめた。

 今日はたいした歩きでもなかった。3時間少々とはいっても、まともに歩いたのはせいぜい2時間半くらいのもの。東京の奥まで来て消化不良気味ではあったが、富士山も見られたし、これで良しということにしておこう。本調子でもない今の体調からしても、これで十分といったところかもしれない。

 朝の冷え込みが続いている。紅葉も本格的になりつつあるようだ。だが、敢えてネットで情報を集める気にはなれなくなった。那須もしかり。そんなこの時期に家人が入院することになった。看病しなければならない状態ではないが、一人、うつつを抜かして紅葉見物でもあるまい。今季は近場の低山の紅葉で我慢するしかないようだ。仕方がない。

(今回の軌跡)

この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)

 この翌々日のこと。富士山のライブカメラを見てびっくりした。頭頂部どころか頭全体が白くなっていた。おそらく、昨日降ったのだろう。行く日を間違えてしまった。大失敗だった。

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2 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2023-10-19 20:21:18
今晩は。
当初の予定は大羽根山経由だったんですね。槇寄山は知っていましたが、大羽根山は全く知りませんでした。「山と高原地図」では、黒点線のルートですね。たそがれさんらしい目のつけかたですね!
なにはともあれ、富士山が見えていてよかったですね。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2023-10-20 07:24:01
ぶなじろうさん、おはようございます。
私は、奥多摩方面はあまり詳しくないので、槇寄山自体お初でしたよ。三頭山ほどではないにせよ、高尾山あたりよりも富士山が近く大きく見えるのが、まずはうれしかったですね。
その大羽根山経由の件ですが、もし、予定どおりに大羽根山経由で槇寄山に行っていたとしたら、果たして、時間的に槇寄山から富士山が見えたかどうか微妙なところでした。大羽根山からの展望も大したこともないようで、今回の歩きは正解だったと思います。
しかし、直後に富士山が改めて冠雪し、これは何とも残念です。
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