和の家並みの一角に佇む瀟洒な洋館が、好奇心を掻きたてた。
葉を落とした蔦のツルが、外壁に複雑なモザイク模様を描き、渋いムードを漂わせる。
丸みをおびた滑らかな手すりと階段は、光を鈍く反射し、艶かしく上階へとみちびく。
それは、ほんのプロローグ。
アンティック風の家具でまとめられた二階の上質空間に声をのんだ。
壁の一面を埋めつくすLPレコードのコレクション。
ふっくらとやわらかな音色がながれ、暖炉の赤々と揺らめく炎に、冷えた身体がため息をもらす。
ここGOSPELは、真冬のオアシスだった。
スコーンをハーブティーのハニーブレンドとともにいただいた。
10cmはあろう大ぶりのスコーンが二つ。
外はカリッと、中はふんわりの手ごたえで悪くはない。
まずは、何もつけずそのままで口に運ぶと、パサパサして水分を要し風味にも欠ける。
ならば、ジャムをつければどうかと試みたが、これもまた良しとは言いがたい。
好みにもよるのだろうが。
スコーン開拓の目論見は、あっけなく崩れ去った。
やはり nori's のスコーンがいまだ最高。
雰囲気のみで選んだハニーブレンドは、レモングラス、ペパーミント、カモミール、ラベンダーをブレンドしたやさしいあじわいのお茶らしい。
レモンバームが、ガラスポットに沿ってリング状に沈んでいる。
実物の葉を初めて見た。
ハーブに関しては、多少の名前や香りは知るものの、詳細な知識はまるで持ち合わせていない。
また、ハーブティーを美味しく飲めたためしもなかった。
ところが、最初のひと口で、ただ単に最上級と無縁なだけだったと思い知る。
レモンの香りがサッと広がり、ペパーミントが鼻に抜けて爽やかなこと。
ハーブの生絞りみたいな新鮮風味と、ハニーの名の通り、ほのかな甘味をもつ。
深みと気品をまとった液体は、ハーブティーのイメージを瞬時に塗りかえてしまった。
緑の蔦がからまるころ。
また、ハーブティーをすすりながら、極上の時に身をゆだねてみたい。
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