青い花

読書感想とか日々思う事、飼っている柴犬と猫について。

たまご猫

2015-09-08 07:03:11 | 日記
皆川博子著『たまご猫』は、表題作『たまご猫』のほか、『をぐり』『厨子王』『春の滅び』『朱の檻』『おもいで・ララバイ』『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』『雪物語』『水の館』『骨董屋』の九篇が収められた短編集。

《『たまご猫』
遺書も遺さずに自殺した姉の部屋を片付ける妹の〈わたし〉。文具デザイナーだった姉の散らかり放題の部屋は、姉の心の鏡のようだ。出社する時は人一倍身綺麗だったという余所行きの姿と、よれよれのパジャマ一枚で髪を振り乱して部屋に閉じこもっていたという内向きの姿――。夫との仲もとうに冷え切っており、自殺の直接の原因も思い当たらないと言われる。〈わたし〉は、姉が手首を切ったマットレスの下から卵型の透明な球体を見つけた。硝子だろうか、水晶だろうか…継ぎ目が見当たらないのに、内部に猫の全身が掘り込まれている。仔細に見ると、猫の部分は虚ろになっているのだった。猫は光を翳す角度によって、様々な色の光彩を放った。
卵を砕けば、中の猫も消滅してしまう、謂わば非在の存在――。姉がそうであったように、〈わたし〉も虚ろの猫に魅了されていく…。

『春の滅び』
平凡な主婦だった叔母が一年前の春、失踪した。毎年三月四日に、婚家の人々にはクラス会に出席すると言って、東京を離れて向かった真の訪問先を知っているのは〈わたし〉だけだ。
…七人、殺したのよ。毎年、一人ずつ、七年かかって。今年、八人目。最後の一人を殺すの…叔母が〈わたし〉にだけ告げた言葉だった。
今年の三月四日、叔母に代わって〈わたし〉が尋ねたのは、とある漁村の網元の屋敷だ。床の間には、古びた雛人形が飾られていた。五段の段飾りである。しかし、三人官女も左大臣右大臣も仕丁もいない。最上段の男雛と女雛。それから、七人の男の楽人。残酷な目元の女雛と、世にも優しい顔立ちの年下の男雛。七人の楽人は、六人が二十代後半から三十代前半の貴人で、最も身分の低い篳篥だけが四十手前の人の良さそうな中年男だ。雑誌で取り上げられたその雛人形に魅了され、叔母が思いつめた表情で「片づけを手伝わせて欲しい」と屋敷に押しかけて来たのが、九年前。以来、毎年三月四日に屋敷を訪れ、去年失踪した。叔母は、この家で雛人形の片づけ以外に何かを毎年行っていた。それは、この家の男達だけが知っている。男の一人が、〈わたし〉に誘いをかけてきた…。

『朱の檻』
東北の旧家・久野家が道楽でやっている旅館に取材に訪れた作家の〈私〉。目的は、離れの座敷牢だ。部屋の前面に立ちふさがる牢格子は三寸角はあり、腕が一本くらい通るほどの間隔で並んでいる。薄闇の中に浮かぶ朱塗の牢。この座敷牢に〈私〉は、一晩泊まることにした。二十代で脱疽のために四肢を失い、三十四歳で座敷牢の中で狂死したという三世沢村田之助の心情に少しでも近づきたかったのだ。
鍵をかけられた牢の向こう側から語りかける久野夫人。かつて、この座敷牢に閉じ込められた人は二人。いずれも女だった。二人とも死ぬまで外に出ることはなかった。一人目は、幕末に近い頃、不義をしたという当主の妻。二人目は、久野夫人の大叔母で、久野夫人は子供時分に牢に閉じ込められた白髪の狂女を見た記憶があるという。久野夫人の口から語られる大叔母の犯した事件の顛末とは…。》

「あのね、死人には、未来とか、過去とか、現在とかって、ないの。時間の制約から自由なの」……『雪物語』より

複雑に交錯する時間軸と、曖昧になる彼岸と此岸の境界。「閉所愛好症」とでもいうべき狭い空間で展開される怪奇幻想文学は、反時代的、反社会的な際どい趣向が施されており、作家と読者の間に一種の共犯意識を芽生えさせる。善と悪、幸と不幸、一見相反するように見える現象が、見る者の立ち位置でどうとでも変わる玉虫色の現象にすぎないという、無視されがちな事実を恐れ気も無く表明している。何に幸せを感じるのかは個人の自由であるということが高らかに謳われており、彼我の線引きが出来る者が読めば心地の良い作品集なのだった。
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娘、ムダ毛処理を始める

2015-09-07 06:12:44 | 日記

桜「今日はどちらと寝ようかしら?」

桜「ダックスにしておこう」

娘八歳、今年の夏に入ってから、手足のムダ毛を気にするようになりました。先週、「私も剃って良い?」と訊いて来たので、剃刀の使い方を教えたら、「ツルツルになった!」と大喜びで、土日など朝も入浴して剃刀を使っていましたよ。主人は嫌な顔をしていますが、身だしなみに気を使うのは良いことだと思うので、好きにさせています。それにしても、小3からムダ毛処理とは、早いですねぇ。私自身は中学生からでしたよ。
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八の字・二の字・0の字?

2015-09-04 06:47:07 | 日記

八の字

二の字

0の字…はキビシイか(笑)
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始業式

2015-09-02 06:16:49 | 日記
昨日、娘の通う小学校が始業式をむかえました。生憎の土砂降りでしたので、右手に傘、左手に色々詰め込んだ大きな手提げ鞄と防災頭巾、それに給食の白衣などをぶら下げて、歩きにくそうに登校して行きました。付き添いたい気分でしたが、娘に恥をかかせてしまうので、やめておきました。
11時頃にずぶ濡れになって帰って来たので、お風呂を沸かして、温まってもらいましたよ。せっかくですので、お昼ご飯を食べた後、私も入りました。先週末に凜と桜を入れられなかったので、2匹と1人で入浴しました。2匹ともお風呂は嫌いです。それでも、凜は聞き分けが良いので楽なのですが、桜は凜を防波堤にしたり、爪を立ててきたりと抵抗するので、いつも先に洗って脱衣所に移動してもらっています。濡れそぼった桜は、顔の大きさは普段とあまり変わらないのに、体だけホッソホソになるのが滑稽です。足なんか折れそうな細さですよ。
2匹を拭いてから、ゆっくりお湯につかりました。日の高いうちからの入浴は、お手軽に贅沢している気持ちになれるのでとても好きです。
夏休み中は、毎日娘から「ド~ン!!」とか「ピョ~ン!!」とかの肉弾戦を食らって参りましたが、学校が始まると途端に寂しくなりますね。家の中が急にがらんどうになった感じで戸惑ってしまいます。明日も2校時、明後日は3校時、明々後日からはもう給食が始まります。来週からは通常授業ですので、帰りは遅くなりますね。そして、帰ってきたら、すぐに友達と遊びに行くのでしょう。
娘は学校大好きっ子ですので、新学期が始まったのが楽しくて仕方が無い様子ですよ。私のただ今の心境は、八木重吉の『心よ』です。NHK・Eテレの『にほんごであそぼ』で曲をつけて歌われていたので、ご存じの方も多いことでしょう。

こころよ
では いつておいで

しかし
また もどつておいでね

やつぱり
ここが いいのだに

こころよ
では 行つておいで
              八木重吉『心よ』
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久々の産婦人科と凜の激太り

2015-09-01 06:02:51 | 日記
ここ半年くらい、生理と生理の中間くらいの期間の不調(腹部の膨満感と吐き気)が重くなってきていたので、昨日、主人に促されて産婦人科に行ってみました。この産婦人科は、娘を出産した病院で、訪れるのはその時以来です。娘が生後七か月の時にこの地を離れ、六年前に戻ってきてからも、乳がん検診などは保健センターで受けていましたので、久々の産婦人科には感慨もひとしおでしたよ。何が変わっていたかって、無痛分娩を積極的に推奨するようになっていたことですね。院内の至る所に、無痛分娩関連の記事のコピーや、夫婦で参加できる無痛分娩学級のお知らせが貼られていました。私の頃は、無痛分娩に対する偏見が大きかったので、私自身も周りの妊婦さんも痛くてしんどい自然分娩でした。
日本社会は、まだまだ気合と根性のヤンキースピリットが根深いので、お産に限らず、サービス残業や家族内での老人介護など、しなくて良い苦労を強いられている人は多いと思います。科学的根拠のない根性論は百害あって一利なし、立場が弱い者への皺寄せが大きいので、ゆっくりとで良いから社会全体に変わって行って欲しいです。
全然変わってないなぁと思ったのは、待合室の混雑ぶりですね。ここだけ見ていると少子化なんて嘘みたいですが、実情はお産が出来る産科の病院が不足していて(婦人科のみの病院が多いです)、分娩に対応している病院に妊婦さんが集中しているだけなのですよね。私がお産した時も、もう赤ちゃんが生まれそうになっている妊婦さんが、ウンウン唸りながら分娩室が空くのを待っていましたねぇ。
それで、診察の結果ですが、子宮や卵巣に異常は見つかりませんでした。排卵に伴う不調だそうです。あまり症状が酷くなるようならピルを飲むという選択もあるとは言われましたが、そこまででもないかと。とりあえず、癌とか早めの更年期障害とかではなかったので安心しました。生理に伴う不調とは、閉経の時までうまく付き合っていくしかないですね。

話が変わりますが、先週末に9月分のフィラリア予防薬を貰いに、凜を連れて動物病院に行ったのですよ。その時に体重を計ってもらったのですが、凜、まさかの8・6キロ!1カ月で約1キロの激太りです…。凜は成犬になってから、ずっと7キロ台をキープしていましたので、太りにくい体質なのかと思っていましたよ。獣医さんもびっくりで、2回測り直してくれましたが、8キロ台は変わらず…。「夏休みだから、お子さんがたくさんおやつをかげちゃったかな~?肝臓を壊しますので、ジャーキー系のおやつは上げないで下さい。犬用ビスケットを少量だけね」と指導されました。凜よ、申し訳ない…。確かに、夏休みに入ってからは、娘が凜を散歩に連れて行くことが多くなって、帰ってからのおやつのお世話も任せてしまっていたのですよね。ずいぶん大盤振る舞いをしていたようで…。柴犬雌の適正体重は、7~9キロなので、今でもデブではないのですが、急激な肥え方なので、ダイエットを敢行することにしました。凜だけではかわいそうなので、私もダイエットに参加します。一緒に目指そう、スリム体型!
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