青い花

読書感想とか日々思う事、飼っている柴犬と猫について。

櫻井敦司的幻想世界

2015-02-08 10:42:52 | 日記
櫻井敦司とはBUCK-TICKのボーカル・通称あっちゃんのことである。「櫻井敦司ってどんな人なの?」という方には、「ROMANCE」のPVを観ていただきたい。13枚目のオリジナルアルバム『十三階は月光』の先行シングルであるこの曲、世界観が「ザ・櫻井敦司」なのである。

ああ いつしか腐りゆく 跡形も無く消えてゆく Romance

月の光と、花の香りに混じる腐臭。櫻井敦司的世界では、恋愛は成就した瞬間から破綻がはじまり、恋人は永遠に失われる。それを成すすべもなくというか、仄かな歓びをもって見つめているのが彼なのである。このあたりの感覚は20代のころから変わっていない。声は千切れる。手紙は届かない。すべては失われることを前提としてしか存在し得ない。底なしの虚無である。
友情とか絆とか希望とか…そういったポジティブな言葉とは無縁のまま、浮き沈みの激しいメジャーシーンの中で多くの後続バンドが解散していくのを尻目にBUCK-TICKは独自のスタイルで走り続けている。BUCK-TICKをオッサンと切り捨てる若い人たちには、あなたが今愛しているバンドがオッサンになってもメジャーシーンに存在し続けていられるのかを考えて欲しい。約30年のキャリアは伊達じゃないのだ。
櫻井敦司の詞は詩である。若い人たちにもベテランミュージシャンによる安定した暗黒メルヘンを楽しんでいただきたいと思う。
コメント