第13回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第9戦で山下敬吾名人本因坊が金志錫七段と対戦し中押し負けしてしまった。
農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦は
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韓国の食品メーカー農心(ノンシン)がスポンサーの国際棋戦。国家対抗戦・真露杯・連勝囲碁戦の後継棋戦。日、中、韓それぞれ5人の棋士が団体勝ち抜き戦で争う日中スーパー碁の三国版。コミは6目半。持ち時間は60分、残り1分から秒読み。
http://igo.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/title/world/noshin.htm
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今回の出場棋士は
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■出場棋士
○日本:山下敬吾九段、結城聡九段、羽根直樹九段、高尾紳路九段、坂井秀至八段
○韓国:李昌鎬九段、元晟ジン九段、金志錫七段、姜儒澤四段、安国鉉三段
○中国:古力九段、朴文尭九段、謝赫七段、周睿羊五段、檀嘯五段
http://www.nihonkiin.or.jp/match/2011/12/_139122.html
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そして、今回の結果は
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日本・中国・韓国による3カ国の勝ち抜き戦、第13回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の第2ラウンド(韓国・釜山)は2日の第9戦に日本選手の5番手として山下敬吾九段が登場し、韓国の金志錫七段と対戦した。結果は186手まで白番の金七段の中押し勝ちとなった。
これで日本チームは勝ち星なしの5連敗。日本チームが勝ち星なしで敗退するのは農心杯が創設されて以来初めてのこと。
http://www.nihonkiin.or.jp/match/2011/12/_139122.html
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今年2月から「週刊碁」を年間購読して各熱戦棋譜を並べていただけに、今回の結果は驚きました。直近では山下敬吾本因坊と井山裕太名人の激しい戦いを見た後、あっさり山下名人本因坊が負けてしまったのに残念を通り越して、「いったいどうなってるんだ!」と叫びたくなります。このメンバーで一勝もできないとは。
名人戦挑戦手合いは持ち時間各8時間、農心杯は持ち時間各1時間なので、全く違った対局条件であることは確かです。ただ、趙治勲全盛期、長い碁も短い碁も強かったことを考えてみても、韓国棋士、中国棋士と持ち時間8時間で戦ったところで、やはり勝てないのではないかと思います。
私が囲碁を始めた昭和60年~平成初期は中国が強くなって来ているとはいえ、まだ木谷門下打盛りの時期で武宮正樹九段が李昌鎬(韓国)をアジア囲碁選手権(1990年決勝、現テレビ囲碁アジア選手権戦)で子供扱いにしたり、石田芳夫九段が聶衛平といい勝負だったりしていた。それ以前を言えば中国の陳祖徳は日本の九段とやっと互先で勝負できるような状態だった。その後、韓国は李昌鎬が世界棋戦で優勝し爆発的な囲碁ブームがおき、現在のような世界No.1になり、中国は組織的な才能発掘もあり、韓国と並び立つ強国になったのだが。
しかし、日本がダントツだった時期に外国人棋士が弱かったかというとそんなことはない。昭和最強棋士と言えば、呉清源と言ってほぼ異論はないところだし、そうじゃないと言ってみたろころで、代わりに名前が挙がってくる中に趙治勲、林海峰はどうしても入ってくる。結局、才能を発掘する環境があれば強い棋士が育ってくるわけで、日本が弱くなってしまったのは、やはり、囲碁人口ピラミッドの底辺の大きさが韓国、中国に及ばないのが原因ということなのだと思う。
因みに各国の囲碁人口を比較してみると
中国 2500万人
韓国 766万人
日本 240万人(2年前に統計方法が変わり600万人台という数字もある)
http://igo.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/census.htm
http://igo.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/patio/patio.cgi?mode=view&no=95
中国の2500万人は国自体の人口(10億人)が多いのでまあ納得できるとしても、人口が日本(1.2億人)の3分の一の韓国(4000万人)(http://www.iti.or.jp/stat/4-005.pdf)の766万人(日本の3倍)は非常に多い。日本では人口の2%の人しか囲碁をしていないのに対して韓国では19%の人が囲碁を打っていることになる。これじゃ勝負にならないのも無理はないだろう。
また、囲碁人口とは別に驚いたのは囲碁に使う金額で、
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「急増した?囲碁人口 ネット調査への変更が原因」
さらに面白いのが、使った金額の推移だ。囲碁人口は一気に増えたのに、使うお金は逆に減少。1年間に使った平均費用は、08年の1万100円に対して、09年は4100円、10年は3500円となっている。ネット上には多数の無料囲碁サイトがあり、お金をかけることなく、囲碁を楽しむことができるのが原因と考えられる。街中の囲碁クラブなどがはやらないわけだ。そうした傾向は囲碁以外のレジャーにも表れており、レジャー市場自体が縮小傾向にある。今回の調査結果は、世知辛い世の中を反映したものといえそうだ。
http://igo.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/dailyigo/news.cgi?mode=view&no=5873
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最初、ザラッと読んだ時、3,500円という金額が頭に残っていて、これは月額かと思っていた、改めて読み返してみると年額だった。記事の話の流れでは碁会所に通う人が少なくなり、碁会所に落ちるお金が少なくなっているということが主旨なのだが、ネット対局をするにしても、日本棋院「幽玄の間」の会費は2,100円/月(12,600円/年)、私が購読している「週刊碁」の年間購読料は13,500円/年(1,125円/月)かかる。3,500円/年という金額は292円/月なので、ほぼ「週刊碁」270円、一冊分にしかならない。囲碁人口が少なくて、一人当たりの囲碁に使う金額も少ない、これじゃ日本棋院が赤字になってしまうのも無理はない。
昔の映画(小津安二郎「晩春」だったか?)を見ていると、ご主人が友人の家に碁を打ちに行くシーンがある。サザエさんでも波平がマスオさんと碁を打っているシーンを見る。こんな家庭なら、子供が囲碁を覚える機会も多いだろう。私の家にも碁盤はあるが、その碁盤で他の人と碁を打ったことがない。もっぱら棋譜を並べるためだけに使用していた(最近はiPadで並べているので使わなくなってしまったが)。なので、私の家では子供が囲碁に興味を持つこともなく成人してしまった。
町内会で碁の会があったり、公民館で碁の講習会をしているところもあるが、もっぱら定年退職した60歳以上の人ばかりなので、若い人には敷居が高いだろう。実際、私も20年前一度、町内会の囲碁の会に参加したことがあるが、その後、参加することもなく50歳になってしまった。また、名古屋に住んでいる時は碁の講習会に参加していたが、引っ越して廿日市に住むようになり、広島市内で開かれている講習会に参加していたこともあるが、やはり名古屋の時の違い、参加者が少ないこともあり、面白くなくてやめてしまった。
核家族化してしまった家庭の中には碁を打つ年寄りがいないので、子供は碁に接することなく成人してしまう。また、大人になっても近所付き合いも少ないので、同年代の人と碁を打つこともない。
私個人の場合は碁会所に行くほどの実力もなく、残された道はネット碁。しかし、あまりのマナーの悪さに嫌気がさして、囲碁ゲームでしか碁を打たなくなってしまった。タダでもできるネット碁もあるし、ゲームは一度購入してしまえば、しばらく次を買うこともないので、支払金額もほんのわずか。(実際、最近の囲碁ソフトは強くなっているので結構面白い。以前は、種石がうまく認識できかったりして興ざめだったが。酒を飲んだら囲碁が打ちたくなり、相手が人間でなくiPadならヘボな手を打っても失礼ということもない。全部ヘボとも言えるが......)
今後、日本でも韓国の李昌鎬のようなスーパースターが登場して囲碁ブームが起きるようなことがあるかもしれない。しかし、徴兵制度がある韓国では世界大会で優秀な成績を修めた場合、徴兵免除になる特例があった(現在もあるのかどうかは知らない)。当時の韓国では徴兵免除は魅力があったのではないかと思う。また、李昌鎬が登場した頃の円とウオンの換金レートから日本が主催する囲碁大会の賞金額は、ウオンに換算すると大変な金額だったことも、韓国の囲碁ブームに大きく影響している。そんな背景もあり、韓国では子供に一度、碁を打たせてみて才能の有無を調べてみるということが子育ての過程で存在している!?(そういう話を聞いたことがある。子供が生まれたら、サッカー、英語、囲碁をとりあえずやらせてみる、という話だった。)
日本で囲碁ブームが起こったとしても、韓国の場合のような強い動機付けになりそうもない。「ヒカルの碁」による囲碁ブームが当にそれで、一過性のブームだった。囲碁普及には子供に囲碁を覚えてもらうのが一番なのだが、昔と違い楽しい室内ゲームはたくさんある。その中で覚えるのに時間がかかる囲碁を子供が選ぶ可能性は非常に低し、囲碁を打つお父さん、おじいさんが居なければ、興味さえ示さないだろう。
世界棋戦には全く勝てない日本囲碁だが、相変わらず偉大な面もある。現在の日本棋院第一位は張栩棋聖、女流第一は謝依旻女流本因坊です。共に台湾出身です。日本棋院、関西棋院では才能さえあれば、世界中のどこからでもプロ棋士になることができます。元々、日本では芸至上主義といった伝統があり、「国籍なんか全く関係ないよ!」といった雰囲気があります。(だから囲碁が好きなんですが。戦前、中国からわざわざ、呉清源を連れてきて最高の評価をしたんですから。)
今後、ヨーロッパ出身の棋士が増えそうですが、ヨーロッパの人が、日本棋院、関西棋院でなく、中国棋院、韓国棋院を選ぶということになれば、それは悲しい。
最近、日本棋院?は「碁的」という小冊子を作り、女性に囲碁を普及させようとしています。
http://www.asahi.com/shopping/column/buyer/TKY201112010115.html
「女性が一人囲碁を覚えれば、男三人が囲碁を覚える」という「ことわざ」?があり、普及に力を入れ始めているなと感じています。
日本で囲碁普及のために何をしたら良いかというと、取りあえずもっとタイトルホルダーなり高名な棋士が一般の人に知られなければならないと思います。たしか高川格名誉本因坊はクイズ番組に出たことがあると、打碁集に書いてあったような。NHKの「囲碁・将棋フォーカス」に張栩棋聖が出演したことがあります。張栩棋聖は対局前は相手に笑顔を見せないことにしているとのことで、強持ての人かと思っていましたが、囲碁ジャーナルでは全く印象が違いました。よく笑う、笑う。これが張栩棋聖かと思いました。
「世界不思議発見」に井山裕太天元、「徹子の部屋」には謝依旻女流本因坊、「しゅべくり007」には張栩棋聖、是非出演してもらいたい。ただテレビ局が積極的に出演させてくれるとも思えず、日本棋院からテレビ局へ働きかけてもらいたい。将棋の「大山、升田」は将棋を指す人も指さない人もかなりの人が知っていました。囲碁の「趙治勲、小林光一」をどれだけの人が知っているでしょうか。あれだけの名勝負を繰り広げた二人を極一部、せいぜい全国の2%の人しか知らないなんて、非常に残念です。
今、子供に囲碁を覚えさせるのは非常に難しいと思います。もちろん、それは必要なことですが、それより、棋士をもっと一般の人に知ってもらうことが当面、必要なのではないかと思います。日本棋院理事に民法テレビ局関係の人を迎えることはできないものでしょうか。
べらべらくだらないことを書きましたが、農心杯の結果はそれだけ不安にさせるものでした。
がんばれ、日本棋院、関西棋院!!
農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦は
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韓国の食品メーカー農心(ノンシン)がスポンサーの国際棋戦。国家対抗戦・真露杯・連勝囲碁戦の後継棋戦。日、中、韓それぞれ5人の棋士が団体勝ち抜き戦で争う日中スーパー碁の三国版。コミは6目半。持ち時間は60分、残り1分から秒読み。
http://igo.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/title/world/noshin.htm
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今回の出場棋士は
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■出場棋士
○日本:山下敬吾九段、結城聡九段、羽根直樹九段、高尾紳路九段、坂井秀至八段
○韓国:李昌鎬九段、元晟ジン九段、金志錫七段、姜儒澤四段、安国鉉三段
○中国:古力九段、朴文尭九段、謝赫七段、周睿羊五段、檀嘯五段
http://www.nihonkiin.or.jp/match/2011/12/_139122.html
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そして、今回の結果は
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日本・中国・韓国による3カ国の勝ち抜き戦、第13回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の第2ラウンド(韓国・釜山)は2日の第9戦に日本選手の5番手として山下敬吾九段が登場し、韓国の金志錫七段と対戦した。結果は186手まで白番の金七段の中押し勝ちとなった。
これで日本チームは勝ち星なしの5連敗。日本チームが勝ち星なしで敗退するのは農心杯が創設されて以来初めてのこと。
http://www.nihonkiin.or.jp/match/2011/12/_139122.html
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今年2月から「週刊碁」を年間購読して各熱戦棋譜を並べていただけに、今回の結果は驚きました。直近では山下敬吾本因坊と井山裕太名人の激しい戦いを見た後、あっさり山下名人本因坊が負けてしまったのに残念を通り越して、「いったいどうなってるんだ!」と叫びたくなります。このメンバーで一勝もできないとは。
名人戦挑戦手合いは持ち時間各8時間、農心杯は持ち時間各1時間なので、全く違った対局条件であることは確かです。ただ、趙治勲全盛期、長い碁も短い碁も強かったことを考えてみても、韓国棋士、中国棋士と持ち時間8時間で戦ったところで、やはり勝てないのではないかと思います。
私が囲碁を始めた昭和60年~平成初期は中国が強くなって来ているとはいえ、まだ木谷門下打盛りの時期で武宮正樹九段が李昌鎬(韓国)をアジア囲碁選手権(1990年決勝、現テレビ囲碁アジア選手権戦)で子供扱いにしたり、石田芳夫九段が聶衛平といい勝負だったりしていた。それ以前を言えば中国の陳祖徳は日本の九段とやっと互先で勝負できるような状態だった。その後、韓国は李昌鎬が世界棋戦で優勝し爆発的な囲碁ブームがおき、現在のような世界No.1になり、中国は組織的な才能発掘もあり、韓国と並び立つ強国になったのだが。
しかし、日本がダントツだった時期に外国人棋士が弱かったかというとそんなことはない。昭和最強棋士と言えば、呉清源と言ってほぼ異論はないところだし、そうじゃないと言ってみたろころで、代わりに名前が挙がってくる中に趙治勲、林海峰はどうしても入ってくる。結局、才能を発掘する環境があれば強い棋士が育ってくるわけで、日本が弱くなってしまったのは、やはり、囲碁人口ピラミッドの底辺の大きさが韓国、中国に及ばないのが原因ということなのだと思う。
因みに各国の囲碁人口を比較してみると
中国 2500万人
韓国 766万人
日本 240万人(2年前に統計方法が変わり600万人台という数字もある)
http://igo.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/census.htm
http://igo.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/patio/patio.cgi?mode=view&no=95
中国の2500万人は国自体の人口(10億人)が多いのでまあ納得できるとしても、人口が日本(1.2億人)の3分の一の韓国(4000万人)(http://www.iti.or.jp/stat/4-005.pdf)の766万人(日本の3倍)は非常に多い。日本では人口の2%の人しか囲碁をしていないのに対して韓国では19%の人が囲碁を打っていることになる。これじゃ勝負にならないのも無理はないだろう。
また、囲碁人口とは別に驚いたのは囲碁に使う金額で、
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「急増した?囲碁人口 ネット調査への変更が原因」
さらに面白いのが、使った金額の推移だ。囲碁人口は一気に増えたのに、使うお金は逆に減少。1年間に使った平均費用は、08年の1万100円に対して、09年は4100円、10年は3500円となっている。ネット上には多数の無料囲碁サイトがあり、お金をかけることなく、囲碁を楽しむことができるのが原因と考えられる。街中の囲碁クラブなどがはやらないわけだ。そうした傾向は囲碁以外のレジャーにも表れており、レジャー市場自体が縮小傾向にある。今回の調査結果は、世知辛い世の中を反映したものといえそうだ。
http://igo.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/dailyigo/news.cgi?mode=view&no=5873
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最初、ザラッと読んだ時、3,500円という金額が頭に残っていて、これは月額かと思っていた、改めて読み返してみると年額だった。記事の話の流れでは碁会所に通う人が少なくなり、碁会所に落ちるお金が少なくなっているということが主旨なのだが、ネット対局をするにしても、日本棋院「幽玄の間」の会費は2,100円/月(12,600円/年)、私が購読している「週刊碁」の年間購読料は13,500円/年(1,125円/月)かかる。3,500円/年という金額は292円/月なので、ほぼ「週刊碁」270円、一冊分にしかならない。囲碁人口が少なくて、一人当たりの囲碁に使う金額も少ない、これじゃ日本棋院が赤字になってしまうのも無理はない。
昔の映画(小津安二郎「晩春」だったか?)を見ていると、ご主人が友人の家に碁を打ちに行くシーンがある。サザエさんでも波平がマスオさんと碁を打っているシーンを見る。こんな家庭なら、子供が囲碁を覚える機会も多いだろう。私の家にも碁盤はあるが、その碁盤で他の人と碁を打ったことがない。もっぱら棋譜を並べるためだけに使用していた(最近はiPadで並べているので使わなくなってしまったが)。なので、私の家では子供が囲碁に興味を持つこともなく成人してしまった。
町内会で碁の会があったり、公民館で碁の講習会をしているところもあるが、もっぱら定年退職した60歳以上の人ばかりなので、若い人には敷居が高いだろう。実際、私も20年前一度、町内会の囲碁の会に参加したことがあるが、その後、参加することもなく50歳になってしまった。また、名古屋に住んでいる時は碁の講習会に参加していたが、引っ越して廿日市に住むようになり、広島市内で開かれている講習会に参加していたこともあるが、やはり名古屋の時の違い、参加者が少ないこともあり、面白くなくてやめてしまった。
核家族化してしまった家庭の中には碁を打つ年寄りがいないので、子供は碁に接することなく成人してしまう。また、大人になっても近所付き合いも少ないので、同年代の人と碁を打つこともない。
私個人の場合は碁会所に行くほどの実力もなく、残された道はネット碁。しかし、あまりのマナーの悪さに嫌気がさして、囲碁ゲームでしか碁を打たなくなってしまった。タダでもできるネット碁もあるし、ゲームは一度購入してしまえば、しばらく次を買うこともないので、支払金額もほんのわずか。(実際、最近の囲碁ソフトは強くなっているので結構面白い。以前は、種石がうまく認識できかったりして興ざめだったが。酒を飲んだら囲碁が打ちたくなり、相手が人間でなくiPadならヘボな手を打っても失礼ということもない。全部ヘボとも言えるが......)
今後、日本でも韓国の李昌鎬のようなスーパースターが登場して囲碁ブームが起きるようなことがあるかもしれない。しかし、徴兵制度がある韓国では世界大会で優秀な成績を修めた場合、徴兵免除になる特例があった(現在もあるのかどうかは知らない)。当時の韓国では徴兵免除は魅力があったのではないかと思う。また、李昌鎬が登場した頃の円とウオンの換金レートから日本が主催する囲碁大会の賞金額は、ウオンに換算すると大変な金額だったことも、韓国の囲碁ブームに大きく影響している。そんな背景もあり、韓国では子供に一度、碁を打たせてみて才能の有無を調べてみるということが子育ての過程で存在している!?(そういう話を聞いたことがある。子供が生まれたら、サッカー、英語、囲碁をとりあえずやらせてみる、という話だった。)
日本で囲碁ブームが起こったとしても、韓国の場合のような強い動機付けになりそうもない。「ヒカルの碁」による囲碁ブームが当にそれで、一過性のブームだった。囲碁普及には子供に囲碁を覚えてもらうのが一番なのだが、昔と違い楽しい室内ゲームはたくさんある。その中で覚えるのに時間がかかる囲碁を子供が選ぶ可能性は非常に低し、囲碁を打つお父さん、おじいさんが居なければ、興味さえ示さないだろう。
世界棋戦には全く勝てない日本囲碁だが、相変わらず偉大な面もある。現在の日本棋院第一位は張栩棋聖、女流第一は謝依旻女流本因坊です。共に台湾出身です。日本棋院、関西棋院では才能さえあれば、世界中のどこからでもプロ棋士になることができます。元々、日本では芸至上主義といった伝統があり、「国籍なんか全く関係ないよ!」といった雰囲気があります。(だから囲碁が好きなんですが。戦前、中国からわざわざ、呉清源を連れてきて最高の評価をしたんですから。)
今後、ヨーロッパ出身の棋士が増えそうですが、ヨーロッパの人が、日本棋院、関西棋院でなく、中国棋院、韓国棋院を選ぶということになれば、それは悲しい。
最近、日本棋院?は「碁的」という小冊子を作り、女性に囲碁を普及させようとしています。
http://www.asahi.com/shopping/column/buyer/TKY201112010115.html
「女性が一人囲碁を覚えれば、男三人が囲碁を覚える」という「ことわざ」?があり、普及に力を入れ始めているなと感じています。
日本で囲碁普及のために何をしたら良いかというと、取りあえずもっとタイトルホルダーなり高名な棋士が一般の人に知られなければならないと思います。たしか高川格名誉本因坊はクイズ番組に出たことがあると、打碁集に書いてあったような。NHKの「囲碁・将棋フォーカス」に張栩棋聖が出演したことがあります。張栩棋聖は対局前は相手に笑顔を見せないことにしているとのことで、強持ての人かと思っていましたが、囲碁ジャーナルでは全く印象が違いました。よく笑う、笑う。これが張栩棋聖かと思いました。
「世界不思議発見」に井山裕太天元、「徹子の部屋」には謝依旻女流本因坊、「しゅべくり007」には張栩棋聖、是非出演してもらいたい。ただテレビ局が積極的に出演させてくれるとも思えず、日本棋院からテレビ局へ働きかけてもらいたい。将棋の「大山、升田」は将棋を指す人も指さない人もかなりの人が知っていました。囲碁の「趙治勲、小林光一」をどれだけの人が知っているでしょうか。あれだけの名勝負を繰り広げた二人を極一部、せいぜい全国の2%の人しか知らないなんて、非常に残念です。
今、子供に囲碁を覚えさせるのは非常に難しいと思います。もちろん、それは必要なことですが、それより、棋士をもっと一般の人に知ってもらうことが当面、必要なのではないかと思います。日本棋院理事に民法テレビ局関係の人を迎えることはできないものでしょうか。
べらべらくだらないことを書きましたが、農心杯の結果はそれだけ不安にさせるものでした。
がんばれ、日本棋院、関西棋院!!
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