その1【ケジメ】
「俺は……病んでいる」
「勝手に言ってろ」
――誰も私を認めない。
「お前も見ただろ、心理テストの結果」
「あんなもんアテになるか」
――誰も私を信じない。
「採用試験で使われるものだぞ」
「それでも自分の意志でヤバイ答え選べるじゃないか」
――誰もが私の心を偽りとする。
「そんなことしてないさ」
「信じられない」
――誰もが本物の私を見ようとしない。
「ま、そう思うならそれでいいさ」
「………………」
――何を言っても無駄だ。
世の中はいつだってそうだ。
無個性の偽善者を肯定し、個性的な異常者を否定する。
誰も私のような病んだ人間を受け入れようとしない。認めようとしない。信じようとしない。
だから、私は一般社会の中では生きていけない。
つまはじきにする世界の中で、生きていくことはできない。
私は私を受け入れてくれる、認めてくれる、信じてくれる、およそ一般的でない世界で生きていくしかない。
人はなぜ普通でないものを拒むのか。
人はなぜ自分たちと違うものを排除するのか。
人はなぜ無個性の集団の中に埋没したがるのか。
人はなぜ普通でいたいと思うのか。他人に合わせようとするのか。
私には分からない。なにも分からない。理解できない。
そして――分かりたいとは思わない。
差別をするな、と言いたいわけじゃない。
つまはじきにするな、と言いたいわけじゃない。
あんたたちが避けるのなら、私は喜んで去ってやる。
あんたたちが不快に思うのなら、目の前から消えてやる。
自棄(やけ)ではない。
馴染めない社会にいたって疲れるだけだ。つまらないゲームをやっているのと同じ。まるで意味がない。
だから、出ていく。離れる。去る。
それだけだ。
未練なんてなかった。これっぽっちもなかった。
ただ、なんとなく義務があったのだ。
普通であることを良しとする社会の中で、ごく一般的な家庭に生まれ、育った。だから自分も普通でなくてはならない、と昔は思っていた。
しかしそれは自己欺瞞でしかなくて。自分に嘘をついているだけで。ただ面倒なだけで。
だから、私は自分に正直に生きることにした。
たとえ普通じゃないと罵られようと、我を貫くことに決めた。
そして私は世界につまはじきにされるようになった。
自分で決めたことだから、構わない。どうだっていい。諦めではなく、それは達観だった。
そうして今日、私はこの世界と決別する。
明日から私は――自由だ。
「俺は……病んでいる」
「勝手に言ってろ」
――誰も私を認めない。
「お前も見ただろ、心理テストの結果」
「あんなもんアテになるか」
――誰も私を信じない。
「採用試験で使われるものだぞ」
「それでも自分の意志でヤバイ答え選べるじゃないか」
――誰もが私の心を偽りとする。
「そんなことしてないさ」
「信じられない」
――誰もが本物の私を見ようとしない。
「ま、そう思うならそれでいいさ」
「………………」
――何を言っても無駄だ。
世の中はいつだってそうだ。
無個性の偽善者を肯定し、個性的な異常者を否定する。
誰も私のような病んだ人間を受け入れようとしない。認めようとしない。信じようとしない。
だから、私は一般社会の中では生きていけない。
つまはじきにする世界の中で、生きていくことはできない。
私は私を受け入れてくれる、認めてくれる、信じてくれる、およそ一般的でない世界で生きていくしかない。
人はなぜ普通でないものを拒むのか。
人はなぜ自分たちと違うものを排除するのか。
人はなぜ無個性の集団の中に埋没したがるのか。
人はなぜ普通でいたいと思うのか。他人に合わせようとするのか。
私には分からない。なにも分からない。理解できない。
そして――分かりたいとは思わない。
差別をするな、と言いたいわけじゃない。
つまはじきにするな、と言いたいわけじゃない。
あんたたちが避けるのなら、私は喜んで去ってやる。
あんたたちが不快に思うのなら、目の前から消えてやる。
自棄(やけ)ではない。
馴染めない社会にいたって疲れるだけだ。つまらないゲームをやっているのと同じ。まるで意味がない。
だから、出ていく。離れる。去る。
それだけだ。
未練なんてなかった。これっぽっちもなかった。
ただ、なんとなく義務があったのだ。
普通であることを良しとする社会の中で、ごく一般的な家庭に生まれ、育った。だから自分も普通でなくてはならない、と昔は思っていた。
しかしそれは自己欺瞞でしかなくて。自分に嘘をついているだけで。ただ面倒なだけで。
だから、私は自分に正直に生きることにした。
たとえ普通じゃないと罵られようと、我を貫くことに決めた。
そして私は世界につまはじきにされるようになった。
自分で決めたことだから、構わない。どうだっていい。諦めではなく、それは達観だった。
そうして今日、私はこの世界と決別する。
明日から私は――自由だ。
また、18歳最後に書いた作品でもある。
次回からは19歳の私がお送りする。