音楽の喜び フルートとともに

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ソノリテについて

2015-12-15 22:14:26 | フルートレッスン

マルセル・モイーズ著 ソノリテについて 方法と技術  は、世界中のフルートを勉強する人が持っている教本だと思います。

「ソノリテ」は、フランス語で、音色、音響、共鳴という意味だそうです。

いろいろな人がフルートのソノリテについて書いていますが、最も有名なものがこの本です。
というのは、フルートの神様と言われるモイーズ(1889~1984年)が書き、実際に彼が多くの素晴らしいフルーティストを世界中で教え育てたということからも効果は実証済だと考えられているからです。

あとがきも入れてたった28ページのこの本は、日本のフルーティストの草分け吉田雅夫先生もずっと携帯しておられたと書いておられます。

スケールや、アルペジオが大切なことはそうなのですが、いい音を出すには、それにふさわしい筋肉や唇、身体の動かし方を鍛えることが必要なのですが、これは曲だけをやっていてもなかなか身に付かないものなのです。

この「ソノリテについて」では、その筋肉の動かし方、ふさわしい唇の位置、息の吹き込み方、流れなどを学ぶのです。が、
この本の一番初めにモイーズが書いていることは

「この著書から美しい音を得る確実な方法をみつけようと期待すべきではない。」

???そのための本ではないの?とつっこみたくなります。

さらに「この問題は理論的に取り扱うことはできない。」

「自然のままの肉体の状態だけでは作り出すことができなという確信を得たのである。」

この本を使って「練習によって学習者各自の能力を発展させ、修正し、つくり変える方法を与えること」が目的だと書いています。

つまり、理屈でなく、演奏して自分の音を聴いて、自分で気付いて身体をフルートにふさわしい音響を得られるように作り替えましょう。と言っているのです。

こう書いてあると、まるで本に書いてあるように吹けば、誰でも自学自習できる。というように思えてきます。
しかし、それは実際にはいつでも周りで誰かが音楽をやっていて、フルートを生で吹いたりしていて、いい音ってこういうものとか、これが大体いい音っていうものだというものがはっきりわかっている場合です。

録音されたホールでの録音は、間近で自分が吹くときに聞いている音ではなくて、ホールに響いて跳ね返った音なので、なかなかその音がどう自分のてもとで鳴れば、ホールでそのような音になるかはわかりません。

音程も、ある程度耳ができてからでないと、自分の出している音が高いのか?低いのか?それすらもわかりません。

守破離ということばがありますが、いろいろな先生がいて、いろいろな音や考え方がありますが、まず、型を学び、守りできるようになってからでないと、自分なりのいい音はつかめません。
しっかり、耳を育て、型どおりできるようになったら、それにプラスして自分の音をつくることができるようになります。つまり「破る」ことができます。それから、先生の元を「離れる」ことにしても、全然遅くはありません。

ソノリテを学ぶのも、先生について、音を聴かせてもらい、真似をしたり、自分で吹いたものを聴いてもらって、どうなっているか?を聴いたりして違いを味わったりしながら、使うことをおすすめします。