カトリック高円寺教会ANNEX

2004年に晴佐久昌英神父様により成人洗礼をうけた『おやじ』の[信仰告白]風コラム

『歩きなさいな』

2010-05-18 05:05:05 | Weblog
 新しい自転車を買おうかなと


 漠然と考えていた。


 明確な理由も無かったので


 偶然を装って、きっかけや優先順位を上げる何かを探していたのかもしれない。


 後輪のスポークが2本外れてしまっていた。


 変速機も十分に機能しなくなってもいた。


 それでも移動手段の一つとしては何ら問題も無く、かれこれ5年以上の付き合いだから、たまには洗車などをしてそれなりには大切に扱ってきた。


 後輪の3本目のスポークが外れていることに気がついた。


 こうなると後輪は明らかに蛇行しはじめて、すぐに修理をしないと危険な状態なのである。

 「壊れたらしょうがないな。」


 それこそ「きっかけ」を演出する確信犯のような状況がしばらく続いた。


 その頃には、新しい自転車のリサーチがどんどん進んで、空いた時間には、自転車屋さんを何軒か見て回ったりして、気持ちは既に別のところに飛んで行っていた。


 ある日、何がきっかけだったのか記憶に無いのだが


 「やっぱり最低限の修理だけでもしておこうかな。」と思いついたので、近所の自転車屋さんで修理をお願いした。

 
 安心して乗れるという状況となったが、新しいモノへの興味は日に日に強まっていった。


 修理をした翌日、冷たい雨の降る日のこと


 青梅街道沿いのお店で買い物をしていた少しの時間に店先に置いておいた自転車が無くなった。


 青梅街道沿いは、駐輪禁止区域なので放置自転車として撤去されることはわかっていた。以前に持っていかれてしまったこともあるから。


 今回もそれを回避するために街道沿いではなく、お店側に止めていたのだ。カギもしてあったと思う。四桁のダイヤル錠ってヤツ。


 いちいち面倒なので、端の数字を前後にひとつしかずらさなかったりするので、ラッキーで開いてしまうリスクを承知で。


 まぁそれでもきっと放置自転車として回収されてしまったのだろうと、費用は発生するし、何だか納得もいかない状況だけれども


 「自転車があれば良し」というところに気持ちを着地させて、翌朝、自転車回収場所の対応開始時間を待ってそそくさと電話をした。


 「該当する自転車は預かっていません。」


 予想外の返事に一瞬理解不能に陥りそうになった。


 東高円寺の駅の周辺をぐるぐるまわって自転車を探したが、見つからなかった。


 警察に盗難届けを提出して


 その帰り道、ひとりとぼとぼ歩きながら、今回の一連のプロセスがなんだかおかしくて笑った。

 
 そして


 ハッとひらめいて、おもしろいところに着地したのだ。





 「歩きなさい」と


 言われているのだなと。


 直せば使えるものを自分のエゴや欲求を満たしたいがために、いまあるものを放棄しようとした。気まぐれで修理した翌日に「それ」が存在しなくなる。誰かに持っていかれてしまったという憤りと、それより何よりも、歩かなければならないという面倒くささにいらだっていた自分を客観的に見たら滑稽だなと。


 不思議に、いよいよ新しいモノが、などという感覚が全く湧いてこなかった。


 目をふさいでいた両手が取り去られた瞬間だった。


 運動不足じゃん。


 太ってみっともないじゃん。


 いきなりいろいろな現実が目の当たりとなった。


 同時にナルシストのストイックというスイッチが


 パチンとオンになった。


 購買行動のスイッチではなくて


 健康のために


 歩こう


 というスイッチが。


 これだから


 人生は


 おもしろい。


 すべてのことには意味がある。





 神に感謝。
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『3Dの映画』

2010-05-10 23:23:23 | Weblog
 いわゆるゴールデンウィークに


 3Dの映画というのをはじめて体験することとなった。


 いままでもアミューズメントパークなどで何度か体験してきたけれど


 映画館で約1時間30分ものあいだ


 1つの作品を観たのは今回がはじめてとなります。


 娘のリクエストで


 「アリス・イン・ワンダーランド」という作品のチョイスだけはされていたので


 いつもの通り、計画性も無く、連休中という意識も無く


 とりあえず、新宿の映画館と上映時間だけをチェックして


 吉祥寺という選択肢もありかなぁ、などと思いながらも


 9時半ごろ出発することとしました。


 靖国通り沿いにある映画館に到着すると1階のエントランスに本日上映分は完売の貼り紙。


 「ありゃりゃ、1時間前でもだめだったのね。やっぱり連休だからかな。」


 などと想定内でありながら目を伏せてきたことが現実となってチョッとだけヒヤヒヤしたりしながらも歩いて5分圏内のもうひとつの映画館を目指します。


 「そういえば、みんなネットで予約とかするよな。」って


 わかりきっていることをあらためて口にしたりしながら、程なく歩いて到着です。


 入り口にある上映予定と空席情報を見る「空席27」どうやら可能性が高そうです。


 さっそくエレベーターでチケットカウンターへ。


 「本日は、大変混雑していますので、この回で並び二席でご用意できるのはこちらのお席になります。」


 空席状況が確認できる便利なモニターで確認すると


 最前列


 2秒くらい迷いましたが


 「それでお願いします。」


 開始時間まで一時間以上あったので、少し遅めで、少し早めのブランチです。


 「マックあたりにする?」


 「朝マックのメニューあまり好きじゃないんだ。」


 「じゃあ、何がイイ?」


 いつも通り「何でもイイよ。」という娘を引き連れて


 いつかの海鮮丼のお店にリピーターとなりました。


 おなかを満たして映画館に戻ると先ほどとは雲泥の差の人の波です。


 映画鑑賞には定番の大きなポップコーンを抱えながら開場時間を待ちます。


 最前列で映画を観るのはたぶん生まれて初めてです。


 イスがリクライニングしてくれないと首がキツくなりそうです。


 その上、いつものメガネの上に重量感のある3D専用メガネをかけなければなりません。


 ずり下がってくる3Dメガネを何度も調整しながらも初体験を完走。


 ストーリー性とかサプライズ度とかを評論することは専門家におまかせして


 出演者の遊んでいる度や監督さんの世界観などもどこかに放り投げて


 単純に3D映画というものを満喫しました。


 さすがに、何かが突然飛んできて思わずよけてしまったりということはなかったけれど


 いままでとあきらかに違うエンターテインメントツールとしては


 今後の可能性も含めて大変満足度が高かったです。


 最近は、情報が氾濫していて、実体験をしなくても訳知り顔で話ができたりしてしまうけれど


 行ってみたり


 やってみたり


 汗かいたり


 味わったり


 そんなことをちゃんとやって


 実感することを


 景気とか何かのせいにして


 手抜きしちゃったら


 ロールプレイングゲームのような


 人生になってしまう。


 もちろんできることとできないことがあるから 


 何かを選択しなければならない場合に情報は必要だけれど


 それだけでは


 自分の「ものさし」は


 派手だけど


 長さも


 柔軟性も無いものになっていく。


 そして


 無味乾燥な


 人のあたたかさの伝わらない


 人の痛みのわからない


 ヴァーチャルな


 人間関係が普通のこととなってマスコミがネーミングなどをして市民権を得ていく。


 3Dというヴァーチャルを体験して


 こんなところに着地した。


 まぁなんだかんだ言いながらもいちばんのうれしいリアルは


 娘とふたりで映画を観に行ったっていう


 ただそこだったりするのだけれど。





 神に感謝。
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