子供の頃から、ピアノが弾けたらどんなにいいだろう・・・と思っていました。
でも、半世紀以上も前の私の子供時代は、ピアノはとても貴重・高価なもので、現在のように、一般の家庭に普通にあるものではありませんでした。
学校のピアノでさえも、蓋にはいつも鍵がかけられていて、音楽の先生の許しがなければ鍵盤に触ることも許されなかったほどですから。
そんな状況であればあるほど、ピアノへの憧れは募りました。
私は、自分が出来なかったことを子供に託しました。
長男が三歳になる頃、念願のマイホームと同時にピアノを購入しました。
まだ若くて、経済力も伴っていない私達は、家を買うことだけで精一杯で家具を揃えるゆとりも有りません。
それでも、私は家具は諦められても、ピアノは諦められなかったのです。
無理を承知で、しかも、少々上等のピアノを購入しました。
そして、二人の息子をピアノ教室に通わせました。
息子達は、練習はサボり気味でしたが、ピアノ教室に通うこと自体は嫌がりもせず、小学校を卒業するまで続きました。
それも、中学生になると部活動や受験で忙しくなり、自然とピアノから遠ざかっていったのはやむを得ないことでしょう。
私は、自分の夢を息子達に託したと言っても、彼らを音楽の道に進ませたかったわけではありません。
むしろ逆で、彼らには堅実な人生を選んで欲しかったし、その中でピアノは趣味程度に弾けたらそれでいい・・・と思っていました。
だから、息子達がピアノから遠ざかっても特にガッカリすることもなく、いつか、自分の時間ができたら今度こそ自分が弾けるように練習をしよう・・と。
でも、その「いつか・・・」は、いまだ来ないままです。
現在は自分の時間はたっぷりとありますが、反比例をして気力と知力と体力の減退には著しいものがあり・・・。(>_<)
誰も弾く人のいないピアノ。。。。
そろそろ処分をしようかしら・・と思っていた矢先、次男が、「もう一度ピアノをやりたい」と言いだしたのです。
次男は仕事があるので先生の元には通えないからと、自分でテキストを買ってきて、毎日ポロンポロンと鍵盤を叩いています。
30年もブランクがあるものの、少しずつ感も戻って来たようです。
ピアノに向かっているときの息子はとても穏やか表情をしています。
きっと、無心で鍵盤を叩くことで、いろいろなストレスからも解放されているのでしょう。
息子は意識しているかどうかわ分かりませんが、ピアノが彼と実家(親=私)を深く結びつけているような気もします。
それが、私には何よりも嬉しい事です。(*^_^*)