以前書いた、周期を書きなおしました。
1.主要諸原理
<周期の定義>
ある複素数が周期であるとは、その実数と虚数が、有理数係数多項式の不等式で与えられる Rn 内の領域上での、有理数係数有利関数の絶対収束積分の値になっていることである。
<例>
π = ∫∫dxdy ( x2 + y2 ≦ 1 )
ζ(3) = ∫∫∫(1-x)-1y-1z-1dxdydz ( 0 < x < y < z < 1 )
<原理1>
新しい数と出会い、そしてそれが超越的であったなら、それが周期かどうかを計算してみようと試みよ。
<予想1>
ある周期が二つの積分表示を持つならば、関数や積分領域が¬Q係数で代数的である場合の法則のみで一方から他方へ変形できる。
<原理2>
二つの実数が一致すると予想し、それを証明したいなら、まず、それらを周期として表そうと試みよ(原理1)。
そして、法則によって一方を他方に変形しようと試みよ。
2.周期と微分方程式
<事実1>
f(z) を重さ k > 0 の(正則または有理型)保型形式とし、t(z) を保型関数とする。
そのとき、F(t(z)) = f(z) により定義された多価関数 F(t) は代数的係数を持つ k + 1 階線型微分方程式をみたす。
<事実2>
f(z) を重さ k > 0 の保型形式、t(z) を保型関数とし、共に¬Q 上定義されているとする。
そのとき、t(z0) が代数的になる任意の z0 ∈ G に対し、f(z0) は ^P に属する。
3.周期とL-関数
L-関数
(i) L-関数は ΠpPp(p-s)-1 の形のオイラー積を持つ。
ここで、積はすべての素数 p をわたる。
また、Pp(T) は(代数的)整数係数を持つ固定された次数 n (次数が下がっている有限個の p は除く)の多項式であり、それは標数 p の有限体上の数論的対象のふるまいをある方法で述べている。
(ii) L-関数は(s の整数値において、有限個の極のみを持ち)有理型関数に解析接続できること、そして、ある正整数 k に対して L*(s) = ±L*(k - s) の形の関数等式を持つことが(知られているか)予想されている。
ここで、AsΠj = 1nΓ(1/2・(s + αj)) (A > 0, αj ∈ Z) という形の”ガンマ因子" γ(s) に対して、L*(s) = γ(s)L(s) である。
より一般的に、関数等式は、L1*(s) = ωL2*(k - s) の形をしていると思われる。
ここで、L1 と L2 はガロア表現とその反傾のような双対的な数論的対象の L-関数であり、ω は絶対値 1 の代数的数である。
しかしこれから挙げる例では L1 と L2 は常に一致する。
(iii) L-関数は局所的リーマン予想、すなわち、Pp(p-s) の零点は直線 R(s) = (k - 1) / 2 上にある、を(みたすか)みたすと予想される
(iv) L-関数は体域的リーマン予想、すなわち、L(s) の零点は整数か直線 R(s) = k / 2 上にある、をみたすであろうと予想される。
(v) L-関数は s の整数値において、周期と関連がある興味深い特殊値を持つ。
<予想>
L(s) をモチーフ的 L-関数、m を任意の整数、そして、r を s = m における L(s) の零点の位数とする。
そのとき L(r)(m) ∈ ^P。
<定理>
f を ¬Q 上定義された重さ k ≧ 2 の保型形式とする。
そのとき、すべての m ≧ k に対し(0 ≦ m ≦ k の臨界値に対しても同様に) L(f, m) ∈ ^P となる。
<系>
Q(x1, ... , xn) を Q 係数の偶数個の変数を持つ正定値二次形式とする。
ζQ(s) = ∑' 1 / Q(x1, ... , xn)s (x1, ... , xn ∈ Z)
のすべての整数 s > n / 2 での値は ^P に属す。
<定理>
f を偶数の重さ k のヘッケ固有形式とし、L*(f, s) = -L*(f, k - s) とする。
そのとき、L'(f, k / 2 ) ∈ ^P。
<予想>
ρ: Gal(¬Q / Q) → GL(n, ¬Q)
を絶対ガロア群の表現で
ρ(複素共役) = -1→n × n
なるものとする。
周期から、いろいろな数の性質が発見されるのですね!