DV加害者更生プログラム(既婚、未婚、問わず)

DVをしているのではないか、悩んでいる方に心理テスト、グループエンカウンター等を用いて更生の道をお手伝いします

DV加害者にカウンセリングは必要か?

2016-08-10 10:42:13 | 【DV加害者更生教育プログラム】
 人によってはカウンセリングが必要です。DV行動をしてしまうには訳があります。その訳は認知の歪みだったり、不安な思い、記憶があることだったりします。

DV行動をしてしまう男性(女性)の多くは親子関係に下記のような不安な記憶が存在します。


・家族みんなが父さんの一挙手一投足に気を遣ってビクビクしていた。
・お父さんが何か気に入らないことがあると怒鳴る、物を投げた、壊した。
・お母さんがお父さんに言えない分を子どもに感情をぶつけていた。
・夫婦仲が悪く、いつもお母さんにお父さんの悪口を聞かされていた。
・兄弟で比較をされたと感じた。
・子育てを嫌がっていて、子どもを邪魔に思っているようだった。
・親の感情のはけ口だった。
・結果を出しても完全じゃないと認めてもらえなかった。
・頑張っても認めてもらえず、馬鹿にされた。
・成績ばかりに固執して子どもの努力を見てくれなかった。
・やりたいことを禁止され、親の望む事しか許されなかった。
・子どもらしさを許されず、小さな大人(大人としての対応)を要求された。
・感情を出すことを許されなかった。
・親が代わりに考えてしまい、自分で決めることを許されなかった。
など枚挙に暇がありませんが、いくつか当てはまるのではないでしょうか。

こんなことどの家でも当たり前でしょ、と感じる残念な家だったか、そんなこと本当に起きるの?と感じる幸運な家だったかは、分かりません。
ただ、こんなこと本当に起きるの?と感じるのでしたら、あなたの育った家庭は理性的な親に恵まれたということです。多くの親は理性的ではありません。
その残念な家庭だった事が子どもにどんな状態を起こすかも想像もしないでいます。

安全基地という言葉を知っていますか?
DVをしてしまう人には安全基地が存在しなかったのです。

大体はお母さんがその役割をします。1歳から3歳の子どもたちは湧き上がってくる好奇心を携えて冒険に出ます。この時期の子はよちよち歩きながら小さな虫を追いかけたり、捕まえたり、口に入れようとしたり、興味のあることにまっしぐらです。この時期に子どもらしさと、安心感を備えて、母子分離をして自立の一歩を踏み出しています。人見知りも母子分離のひとつです。

冒険ができるには条件があります。それは安全基地があることです。
冒険に出ては振り返り、お母さんがいて安心して、また冒険に出て、振り返り安心して、冒険に出る、この作業が子どもを自然に母親から距離のとれる子にするのです。自立の一歩を踏み出しているのです。

でも多くのDVをする男性のお母さんは安心な状態ではありませんでした。夫婦の状態は悪く険悪です。お母さんは心を痛めて悲しんでいます。それを子どもは感じてしまうので抑圧となり心に不安を押し込めて行きます
お母さんが家庭の中で不安定だと子どもは心配でお母さんから離れることができません。つまり冒険ができない子どもになります。人見知りもない子どもだったりします。
好奇心も、子どもらしさも、母子分離もすべて未解消のまま、不安を押し込めたまま、大きくなっていくのです。
この不安の存在がDV行動と形を変えていきます。

この不安の体験の貯金はその後も続くことでしょう。お母さんが不安定なことは簡単に変わるとは思えないからです。その貯金は膨大な量となることでしょう。

カウンセリングではこの押し込めた不安を引き出し消化させていきます。

だからDV行動をしてしまう、止められない人にはカウンセリングが必要なのです。

それではどのようなカウンセリングが必要なのでしょうか。

私たちは生まれてからずっと親の顔色を見て期待に応えようとします。
生き延びるためですが、子どもたちは大変健気で素直です。
でも親は感情に任せて子育てをしてしまいます。

0歳~3歳 非言語によるメッセージが子どもに伝わります。(禁止令といいます)
近づかないで、うるさいなぁ、産まなきゃよかった、などです。
これらの思いはじんわりと子どもに伝わります。
そして子どもは無意識下で決断します。
「ぼくはいないほうがいいんだ。」「ぼくの存在は大切じゃないんだ。」
というメッセージです。

3歳~12歳 言語によるメッセージが子どもに伝わります。(ドライバーといいます)
早くしなさい、結果を出しなさい、真面目にやりなさい、親のためになりなさい、弱音を吐いてはいけない、などです。
この言葉に子どもは駆り立てられていきます。
「早くしなきゃダメ。」「結果を出さなきゃダメ。」「楽しくやったらダメ。」「人さま優先。」「辛くても弱音を言ってはダメ」
こうして言葉に駆り立てられて行くのです。

非言語によるメッセージと言語によるメッセージのダブルで子どもに縛りが掛かります。

この縛りは感情の抑圧ですから、ため込んだ感情がいずれ時と場所と相手を選んで飛び出してきます。これがDV行動になる人、子どもへの虐待になる人、老人虐待になる人、鬱などの病気となる人、癌のように体にでる人、過食、摂食障害、自傷行動、希死念慮(死にたい衝動)、無力感、引きこもり、など様々な形となって噴出するのです。本人は無意識下で始まりますから止められません。

以上の理由から縛りや抑圧を解いていくカウンセリングが必要となります。このカウンセリングは再決断療法といいます。傾聴カウンセリングでは縛りが解けないのです。

これが加害者プログラムにカウンセリング(感情消化型)が必要な理由となります。
認知の歪み(男尊女卑など)を解消するだけで良くなる人も勿論います。カウンセリングが必要のない人もいます。でも、一瞬にして手が出てしまう、暴言が止まらなくなる、自分が自分でなくなる等、こうなってしまう人には、そこを見つめていかない限り暴言は止みません。DV行動をしてしまう人にはカウンセリング、再決断が必要なのです。

次回の記事にはカウンセリングを必要な人をどう見分けるかを書くことにしましょう。
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