歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪テーマ別のやさしい英文解釈~『英語の構文150』より≫

2021-12-30 17:52:33 | ある高校生の君へ~勉強法のアドバイス
≪テーマ別のやさしい英文解釈~『英語の構文150』より≫
(2021年12月30日投稿)

【はじめに】


今回のブログでは、岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』(美誠社、2001年[2000年第1刷])から、テーマ別に英文を抜き出して、英文解釈力を高めてみよう。
そのテーマとは、〇言語、〇国の特徴と国民性、〇人生(・幸福・友情など)、〇歴史、〇文学、
〇自然と科学を扱った英文を選択した。



【岡田伸夫『英語の構文150』(美誠社)はこちらから】

英語の構文150―リスニング用CD付



さて、今回の執筆項目は次のようになる。


〇言語
英語は国際語/日本語の背広/サラリー=給料の語源/外国語の勉強/外国語の勉強と辞書/文字は言語を構成する音声を表す/
〇教育
教育の目標/健全な教育/
〇国の特徴と国民性
アメリカと日本での教師に対する評価の違い
〇人生~・幸福・友情
幸福とは物の見方/真の友情/
〇歴史
歴史の目的~ランケの言葉/アメリカの歴史/エジプト文明とナイル川/リンカーン/日本の鎖国/ヘンリー4世/西洋の歴史と日本の歴史/コロンブス/
〇文学
ウィリアム・テル/クレオパトラとカエサル/
〇自然と科学
植物の光合成/自然と天然資源/科学の進歩/気候





〇言語


英語は国際語


・Today, English is used on every continent and has a
wider geographical range than any other tongue. It is the
international language of commerce, scholarship, diplomacy, and
science. Its users include persons of every color, race, and
religion.

<語句>
・continent(名)大陸
・geographical(形)地理的
・range(名)範囲
・tongue(名)言語(=language)
・scholarship(名)学問
・diplomacy(名)外交
<考え方>
・has a wider geographical range than any other tongueは、「ほかのどんな言語よりも地理的に広い範囲で使われている」と訳せばよい。
・また、A include Bは「A がBを含む」と訳すより「A にBが含まれる」と訳せばよい場合が多い。
<訳例>
今日、英語はどこの大陸でも使用され、他のどんな言語よりも地理的に広い範囲で使われている。英語は商業、学問、外交、科学の国際語である。英語の使用者にはあらゆる皮ふの色や、人種や、宗教の人が含まれる。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、229頁、練習問題No.303.)

日本語の背広


・They say that the Japanese sebiro is named after a street
in London. The best shops for men are on the street Savile Row.
<語句>
・They say that~ ~だそうだ、~と言う
・be named after… …の名をとって名づけられる
・shops for men 男物店、紳士用品店
・Savile Row サビル=ロー(一流紳士服の仕立屋が並んだLondonのファッション街)、row
は両側[片側]に家の並んだ通りをいう。
<考え方>
・a street in LondonはSavile Rowのことである。
<訳例>
・日本語の背広はロンドンの通りの名をとったと言う。男物最高級店がロンドンのサビル=ロー通りにあるのだ。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、69頁、練習問題No.85.)

サラリー=給料の語源


・Roman workers were paid with salt. That is why we have
the word “salary,” which means “salt money.”
<語句>
・salt(名)塩
・salary(名)給料、サラリー(語源はラテン語で「塩を買うための金」の意味。)
<考え方>
・第2文のwhichの先行詞はthe word “salary”であることに注意(⇒構文44)
<訳例>
・ローマ(時代)の労働者は、塩で給料の支払いを受けた。そういうわけで、「塩のお金」という意味の「サラリー」ということばがある。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、107頁、練習問題No.139.)

外国語の勉強


・To be sure, the ability to speak a foreign language
fluently facilitates communication, but it is not essential.
<語句>
・fluently 流ちょうに
・facilitate(動)容易にする、楽にする
・essential(形)不可欠の
<訳例>
・なるほど外国語を流ちょうに話す能力はコミュニケーションを容易にするが、どうしても必要なものではない。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、293頁、練習問題No.385.)

外国語の勉強と辞書


・To those who study a foreign language, dictionaries are
indispensable. In order to learn a language well, we have to make
the best use of dictionaries, which give us lots of information
about the language.
<語句>
・indispensable(形)欠くことのできない
・make the best use of……を最大限に活用する
・information(名)知識
<考え方>
・非制限用法のwhichに注意
<訳例>
・外国語を学ぶ人にとって辞書は欠くことができない。言葉をよく学ぶためには、辞書を最大限に活用しなければならない。というのは辞書は言葉について多くの知識を与えてくれるからだ。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、299頁、練習問題No.393.)

文字は言語を構成する音声を表す


・Letters in themselves are not language, but merely symbols
which are used for the sounds of which language is composed.
<語句>
・letter(名)文字
・in themselves それ自体では、本来(⇒構文36)
・symbol(名)記号
・for… …を表すものとして
・be composed of… …から作られている
<考え方>
・the sounds of which language is composedの関係詞節を能動態に変えて、the sounds which compose language と考えると、日本語らしく訳すことができる。
<訳例>
・文字は本来、言語ではなくて、言語を構成する音声を表すものとして用いられる記号にすぎない。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、112頁、構文49 not A but B、研究問題)

〇教育


教育の目標


・It should be a universal educational goal to empower
pupils to use as wide a range of language varieties as com-
petently as possible.
<語句>
・empower +人+to~ 人に~する能力を与える
・range(名)幅、範囲
・language varieties 場面にふさわしいいろいろな言語の変種
 「広い範囲の言語の変種」というときには、a wide range of language varietiesとなるが、練習問題288.のように、同等比較のas…as ~の中に組み込むと、wideのようにan as wide range of language varieties as~ではなく、as wideを冠詞aの前に取り出してas wide a range of language varieties as~とする。
・competently(副)有能に、立派に
<考え方>
・as possibleはas wide a range of language varietiesと as competentlyの両方に呼応している。
<訳例>
・生徒に場面にふさわしいいろいろなことばをできるだけ幅広く、できるだけ上手に使いこなす能力を身につけさせることを普遍的な教育の目標とすべきである。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、219頁、練習問題No.288.)

健全な教育


・A sound education does not mean that someone leaves
school with his head filled with facts and theories. Education does
mean development, not only of the brain, but of the whole body.
<語句>
・sound(形)健全な
・leave school 卒業する
・with one’s head filled with… …で頭をいっぱいにして(⇒構文87)
・development(名)発達
<考え方>
・of the brain, of the whole bodyがともにdevelopmentを修飾する。
・なお、第2文のdoesは肯定の内容を強調している。
<訳例>
・健全な教育とは、事実や理論で頭をいっぱいにして学校を卒業していくことを意味しているのではない。教育とは頭脳だけでなく全身の発達ということを実は意味しているのだ。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、337頁、練習問題No.442.)

〇国の特徴と国民性


アメリカと日本での教師に対する評価の違い


・Japanese respect for education extends to teachers, and
having been a teacher myself, I am pleased by this. But we
Americans have little respect for teachers, judging by what we
pay them. I still have in my files a newspaper showing two
employment ads : one for a college teacher and, just below it,
one for a street-cleaner. The salary offered the former was
lower than what was offered the latter. This reflects
American attitudes toward teachers.
<語句>
・respect(名)尊敬
・extend to……にまで及ぶ
・file (名)(新聞などの)綴じ込み
・employment ad 求人広告
・offer(動)提供する
・reflect(動)反映する、表す
<考え方>
・第1文のhaving been a teacher myself=as I have been a teacher myselfの意味である。
・また、第2文のjudging by what we pay themは「私たちが彼らに支払っているものから判断すれば」の意味でjudging byは慣用的な独立分詞構文である。
・第3文の2つのoneは共にemployment adの代名詞である。
・さらに、第4文には、 “the former ―the latter”「前者-後者」の構文があるが、それぞれ何を指しているのかしっかりつかむこと。
<訳例>
・日本人の教育に対する尊敬の念は教師にまで及んでいる。そして私自身教師をしているので、このことはうれしい。だが、私たちアメリカ人が教師に支払っているものから判断すれば、教師にほとんど尊敬の念を持っていない。私の新聞の綴じ込みにいまでも次のような2つの求人広告の出ている新聞がある。1つは大学教師の口、そしてそのすぐ下に道路清掃人の口。前者(大学教師)に提供される給料は後者(道路清掃人)に提供されるよりも低かった。これはアメリカ人の教師に対する態度を反映している。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、174頁、長文でためしてみよう(11))

〇人生~・幸福・友情・読書


幸福とは物の見方


・Happiness depends not so much on circumstances as on
one’s way of looking at things.
<語句>
・circumstances(名)環境(通例複数形)
・way(名)方法
<訳例>
・幸福は、環境で決まるというよりむしろ本人の物の見方で決まる。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、225頁、練習問題No.295.)

真の友情


・True friendships are based upon two things. One of these
things is liking, and the other is respect. People like one
another when each finds the other pleasant company. They
have such similarity in tastes and interests that they like to be
together. For real friendship, however, this is not enough.
For this, respect must be added to liking. You may think it
strange to speak of boys and girls respecting one another.
You may think that respect is to be felt towards older people
only. But boys and girls may be as worthy of respect as men
and women.
<語句>
・friendship(名)友情
・be based upon……に基づく
・liking(名)好み
・respect(名)尊敬
・one another お互い
・such +名詞+that~ 非常に~なので(⇒構文135)
・similarity(名)類似
・A is added to B  AがBに加えられる
・as+原級+as A Aと同じくらい…(⇒構文95)
・be worthy of……に値する
<考え方>
・ “One …the other”は「一方は…、他方は~」という意味である(⇒構文33)
・ finds the other pleasant company「相手が楽しい仲間だとわかる」はSVOCの文型である。
・また “think it”のitはto speakを受ける形式目的語。it(=to speak…)とstrangeとの間にはisもwasもないが、itは主語、strangeはその述語の働きをしている。つまりit strangeは小節である。(⇒構文77)
・ なお、 “boys and girls respecting”のrespectingは動名詞でboys and girls はその意味上の主語である。
<訳例>
・真の友情は2つの事柄に基づいている。その1つは人の好みであり、もう1つは尊敬である。人々は相手が愉快な仲間であることがわかると、お互いに好きになる。彼らは趣味と関心がすこぶる似ているところから、好んで集まるのである。しかしながら、真の友情にはこれだけでは十分ではない。真の友情には好みに加えて尊敬がなくてはならない。男の子や女の子が互いに尊敬し合うと言えば奇妙に思えるかもしれない。尊敬は目上の人に対してのみ感じるもののように思うかもしれない。しかし、男の子や女の子も、おとなの男女と同じように尊敬に値することもあるだろう。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、198頁、長文でためしてみよう(12))

〇歴史


歴史の目的~ランケの言葉


・The aim of history, said Ranke the German historian, is
simply to state “what has actually happened” ; but this is far from
being a simple business.
<語句>
・aim (名)目的
・Ranke(名)ランケ
・state(動)(明確に)…を述べる 
・business(名)仕事
<考え方>
・Ranke とthe German historianは同格になっている。
・to stateは不定詞の名詞的用法でisの補語である。
<訳例>
・歴史の目的は単に「実際に起こった事実」を述べることである、とはドイツの歴史家ランケのことばである。だがこれは決して簡単な仕事ではない。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、211頁、練習問題No.278.)

アメリカの歴史


・Had the British not insisted on collecting such heavy
taxes, the Colonies might not have rebelled, and the United States
might never have become an independent nation.
<語句>
・the British  イギリス国民
 “the+国名形容詞=国民全体を表す名詞”となることに注意
  ⇒the Japanese(日本国民)、the Americans(アメリカ国民)、the Greeks(ギリシア国民)
 ※これはつねに複数名詞として扱われる。なお、語尾が-an, -kの場合は-sをつけなければならない。
・insist on –ing ~すると主張する
・tax(名)税
・the Colonies アメリカ合衆国の起源となった東部の13の英国植民地
・rebel(動)(政府に)反抗する
・independent(形)独立した
<考え方>
・Had the British not insisted on ~はIf the British had not insisted on ~であることに注意。
<訳例>
・イギリス国民がそんな重税を徴収することに固執していなかったら、[アメリカ東部の13の]植民地は反乱を起こさなかったかもしれないし、合衆国は独立国家になることはなかったかもしれない。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、265頁、練習問題No.351.)

エジプト文明とナイル川


・Egypt is aptly called the “Gift of the Nile,” for this
remarkable river gives it life. There is so little rain in Egypt
that the whole land would be desert if it were not for the Nile.
<語句>
・aptly(副)適切に、うまく(文全体を修飾) 
・remarkable(形)注目すべき、すばらしい
<訳例>
・エジプトが「ナイル川の贈り物」と呼ばれるのはぴったりの表現である。というのはこのすばらしい川はエジプトに生命を与えているからである。エジプトには大変雨が少ないので、もしナイル川がなかったら国全体は砂漠となるだろう。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、267頁、練習問題No.352.)

リンカーン


・Lincoln worked hard on the farm with his parents. He
was such a strong boy that he could do almost everything a man
could do.
<訳例>
・リンカーンは両親といっしょに農場でいっしょうけんめい働いた。彼はたいそう丈夫な少年だったので、大人の男にできることはほとんどすべてすることができた。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、309頁、練習問題No.403.)

・Abraham Lincoln was the President during the American
Civil War when the political system broke down over slavery. He
believed that slavery was wrong and that he must keep the Union
together.
<語句>
・the American Civil War 南北戦争(1861-1865)
・political system 政治体制
・break down こわれる、乱れる
・slavery(名)奴れい制度
・the Union (南北戦争時代の)アメリカ
<考え方>
・that …and that…の2つのthatに導かれる名詞節がともにbelievedの目的語である。
<訳例>
・エイブラハム・リンカーンは、政治体制が奴隷制度をめぐって崩壊したアメリカの南北戦争の間、大統領をつとめた。彼は、奴隷制度は間違っているし、アメリカ合衆国を分裂させないようにしなければならないと信じていた。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、337頁、練習問題No.443.)

日本の鎖国


・It was forbidden to build ocean-going ships. No Japanese
could go abroad, and no European enter the country.
<語句>
・forbid(動)禁止する
・ocean-going (形)外洋航行の
<考え方>
・第2文ではno European [could]enter の省略に注意。
<訳例>
・外洋航行の船を建造することは禁じられていた。日本人は誰も外国へ行けなかったし、ヨーロッパ人も誰1人として日本の国へは入れなかった。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、339頁、練習問題No.445.)

ヘンリー4世


・Henry the Fourth had robbed his cousin Richard the Second
of his throne - some said of his life as well.
<語句>
・Henry the Fourth ヘンリー4世(ふつうHenry Ⅳと書かれる)
・throne(名)王位
・some Some [people]が主語の場合は、「~する人もある」と訳そう。
 この場合はpeopleが省略されることがある。「~する人もある」と訳す方が、「ある人たちは~する」と訳すよりも日本語らしい。
 <例文> Some object to his opinion.(彼の意見に反対する人もいる。)
・as well =also
<考え方>
・his cousin とRichard the Secondとは同格である。
・また後半では、“some [people] said [that Henry the Fourth had robbed his cousin Richard the Second ]of his life as well.”と補って考えよう。(⇒構文149)
<訳例>
・ヘンリー4世はいとこのリチャード2世から王位を奪った。その命までも奪ったという人もあった。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、48頁、研究問題)

西洋の歴史と日本の歴史


・A knowledge of Western history is no less important to an
understanding of Japan today than a knowledge of Japanese
history.
<語句>
・Western(形)西洋の
<考え方>
・「構文106  no less +原級+than…」は「…と同様に~」という意味である。語が連続して「no less than…」となる場合には、「…も」(=as much(/many) as …)という強めを表す意味になる。
・a knowledge of…は「…を知ること」、an understanding of…は「…を理解すること」と訳せばよい。このように「抽象名詞+of…」の抽象名詞を動詞的に訳すとよい場合がある。
⇒【抽象的な意味の名詞は動詞的に訳そう】
〇「抽象名詞+of A」という形は「Aを~すること」と訳す場合(Aは目的語)と、「Aが~すること」と訳す場合(Aは主語)とがある。
 特に「A’s+抽象名詞+of B」という形は「AがBを~すること」と訳せば日本語らしくなる。
 これらの場合の抽象名詞は、いずれも動詞から作られた名詞であることに注意。
 <例文>
 The boy’s invention of the machine surprised us.
(その少年がその機械を発明したことに我々は驚いた。)

<訳例>
・西洋の歴史を知ることは、日本の歴史を知ることと同様に、今日の日本を理解するのに大切だ。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、19頁、238頁、研究問題)

コロンブス


・No sooner had Columbus proved that there really was a
new world beyond the sea than several other navigators made
voyages there.
<語句>
・prove(動)証明する
・navigator(名)航海家
<考え方>
・「構文111  S+had no sooner+過去分詞~than…」は「Sが~するやいなや…」、「Sが~するかしないうちに…」という意味の構文である。
 なお、これらの構文ではno sooner, hardly, scarcelyを強意のために文頭に出すことが多く、その後の語順は主語と助動詞が倒置(疑問文と同じ語順)するので注意しなければならない。この形の文は文語調である。

<訳例>
・コロンブスが海の向こうには本当に新しい世界があるということを証明したとたんに、そこへ向かって航海した他の航海家が何人かいた。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、250頁、研究問題)

〇文学


ウィリアム・テル


・The angry ruler thought of a cruel plan. He made Tell’s son
stand with an apple on his head.
<語句>
・ruler(名)支配者
・think of… …を思いつく
<考え方>
・「構文83  make+O+原形」は「Oに~させる」と訳すが、人が主語の場合には強制的に無理やりさせる意味をもつ。
・第2文のwith an apple on his headは付帯状況を表す。(⇒構文87)
 「with+名詞(A)+前置詞+名詞(B)」という形で、「AをBに~して」と訳すが、AとBの関係から判断して「~」の部分に適当な日本語を補う必要がある。この場合は、「リンゴを頭にのせて」と訳せばよい。

<訳例>
・怒った支配者は残酷な計画を思いついた。彼はテルの息子にリンゴを頭にのせて立たせた。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、188頁、研究問題)

クレオパトラとカエサル


クレオパトラについては、野村恵造『Vision Quest 総合英語 2nd Edition』(新興出版社啓林館)の「第12章 仮定法」において、ブレーズ・パスカルの名言を載せていた。

□If Cleopatra's nose had been shorter, the whole face of the world would have been changed.
― Blaise Pascal
クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう。(ブレーズ・パスカル)
(野村恵造『Vision Quest 総合英語 2nd Edition』新興出版社啓林館、2017年、270頁~
271頁)

【野村恵造『Vision Quest 総合英語 2nd Edition』はこちらから】

Vision Quest 総合英語 2nd Edition



紀元前48年9月、ポンペイウス追討ためにエジプト入りしたカエサルは、和解を図ろうとして、両共同統治者をアレクサンドリアに招集した。当時、クレオパトラ7世はペルシウムでプトレマイオス13世派と戦闘しており、アレクサンドリアへ出頭するのは容易でなかった。

プルタルコスによると、女王クレオパトラ7世は自らを寝具袋にくるませ、カエサルのもとへ贈り物として届けさせ、王宮へ入ることに成功したといわれる。
寝具ではなく絨毯に包んで届けさせたと説明されることが多い。
(古代エジプトでは、贈り物や賄賂として宝物を絨毯に包んで渡す習慣があり、クレオパトラは宝物ではなく自らの身体を贈ったのだとする)
→ただし史料では確認できないとされる。
この時、クレオパトラ7世はカエサルを魅了した。

なお、絨毯の中からカエサルの前へ現れるクレオパトラを描いたジャン=レオン・ジェロームの“Cléopâtre et César”(1886年)という歴史画もある。



岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』(美誠社)にも、このクレオパトラのことを述べている英文がある。
・She slipped into the city in a small fishing boat and had her
servant tie her up in a roll of carpet, and unroll it before the
eyes of the king.
<語句>
・slip into… …にそっと入る
・fishing boat 漁船
・tie up すっかり包む
・a roll of… ひと巻きの…
・unroll(動)開く
<考え方>
・「構文84  have+O+原形」は「Oに~させる」「Oに~してもらう」という意味である。

<訳例>
・彼女は小さな漁船に乗ってその町にそっと入った。そして召使いに、自分をじゅうたんで巻かせ、王の目の前でそれを開かせた。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、190頁、研究問題)

〇自然と科学


植物の光合成


・A blade of grass looks very small. Most green leaves look
small, too. Grass and leaves are really factories. Green plants
use the energy of sunlight to manufacture carbohydrates.
<語句>
・blade(名)(草の)葉
・really(副)実は
・manufacture(動)作る
・carbohydrate(名)炭水化物
<考え方>
・the のないmostは「たいていの」と訳そう。
 theがついているかいないかで、mostの意味は大きく違う。The があれば最上級で「最も…」の意味。なお、a mostは「非常に…」(=very)という意味になる。
<訳例>
・1枚の草の葉は大変小さく見える。たいていの緑の木の葉もまた小さく見える。草や木の葉は実は工場である。緑の植物は、太陽光線のエネルギーを使い、炭水化物を作る。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、32頁~33頁、研究問題)

自然と天然資源


・Nature has provided us with everything we need ― air and
water, food, and natural resources like oil.
<語句>
・nature(名)自然
・resource(名)資源
・like(前)…のような
<考え方>
・everythingの後に関係代名詞を補って考える。
・なお、everythingと―(ダッシュ)以下は同格である。
<訳例>
・自然は我々が必要とするすべてのもの、つまり空気、水、食物、それに石油のような天然資源を与えてくれる。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、46頁、研究問題)

科学の進歩


・Science can create nothing out of nothing; but its advance
makes it possible for us to discover and invent what we have
never dreamed of.
<語句>
・create(動)創造する
・out of nothing 無から
・advance(名)進歩
・never dream of… …を夢にも思わない
<考え方>
・最初のnothingは「何も…ない」という意味の否定語である。
・また、for usはto discover以下の意味上の主語であることに注意。
 つまり、“make it … for A to~”という構文になっているわけだが、「Aが~することを…にする」と訳せばよい。
 ただし、この場合は主語がits advanceという無生物の主語だから、“S makes it … for A to~”という型は、「SのためにAが~することは…である」というように訳すと日本語らしくなる。
(⇒構文8)
・なお、whatは関係代名詞で things which (/that)と考えるとよい。
・また、have… dreamedは現在までの経験を表す。
<訳例>
・科学は無からは何も創造することはできないが、科学の進歩のおかげでこれまで夢にも思わなかったものを発見したり発明したりすることができる。

(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、176頁、研究問題)

気候


・The climate is so good here that vegetables and fruit will
grow better than in any other part of the land.
<語句>
・climate(名)気候
 【climateとweatherの違い】
  climate:一定の土地の平均的気候をいうときに使う。
  weather:特定の日などの天候を話題にするときに使う。
・grow(動)育つ(ここでは自動詞で「育つ」であるが、他動詞で「…を育てる、…を栽培する」という意味がある。このように、1つの動詞、1つの名詞にもいろいろな意味があるから必ず文の構造を的確に把握してその意味をとらえること。)
<考え方>
・so… that~(非常に…なので~)という構文があることに注意。(⇒構文135)
・またpartは「地方」の意味である。
<訳例>
・ここの気候は大変よいので、野菜や果物はその国の他のどんな地方よりもよく育つだろう。
(岡田伸夫『英語の構文150 New Edition』美誠社、2001年[2000年第1刷]、228頁~229頁、研究問題)


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