歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪愚形に関する囲碁の格言~『新・早わかり格言小事典』より≫

2021-08-31 17:19:59 | 囲碁の話
≪愚形に関する囲碁の格言~『新・早わかり格言小事典』より≫
(2021年8月31日)

【はじめに】



今回のブログでは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])に見える、愚形に関する囲碁の格言について紹介してみたい。愚形とは、例えば、アキ三角、裂かれ形、集三・集四の悪形のことである。



【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】

新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則

さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・はじめに
・アキ三角をつくるな
・裂かれ形(石)をつくるな
・集三、集四の悪形



 


アキ三角をつくるな


「ダンゴ」「陣笠」などなど、盤上に愚かな形は様々あるが、「アキ三角」こそはその代表とされるものである。つくることは極力避けねばならない。

「アキ三角」とはどのような形を指すのか?
(意外に勘違いしている人も多いようだ)

【アキ三角の形】
≪棋譜≫(8頁の1図)

棋譜再生

・これがアキ三角である。
・A(6, 六)の所が「空い」ているからそう呼ぶ。
<注意>
・もしAの点が、相手の石によって占められ、「空い」ていないなら、アキ三角とは呼ばない。
⇒その場合の黒の形なら白のダメをツメ、むしろ好形とされる場合が多い。

具体的にアキ三角の例と、それを避ける打ち方を示しておこう。
【アキ三角の具体例】
≪棋譜≫(9頁の5図)

棋譜再生

・白1の肩ツキに黒2、4。ここまでは良い。
・しかし、白5に「ゴメンナサイ」の黒6が見事な(?)アキ三角。いわれなき屈伏である。

【アキ三角を避ける打ち方】
≪棋譜≫(9頁の6図)

棋譜再生

・前図の黒6は、当然、正しくは黒1のハネ。
・力自慢のご仁なら、黒2と切るかも知れない。
・かりに白2なら黒3で、前図との差がわかるだろう。

ただし、愚形も、相手との姿との相対判断で好手となる場合もありえる。格言必ずしも絶対ならず、の例も紹介しておこう。

【置碁で見かける幻惑戦法】
≪棋譜≫(11頁の10図)

棋譜再生

・上図の白(10, 十四)は、置碁で見かける白の幻惑戦法である。
・黒1と中央進出を目指したのは悪くない。
・しかし、黒3から5は、愚形の見本のアキ三角である。

【同じアキ三角でも好形となる場合】
≪棋譜≫(11頁の12図)

棋譜再生

・黒1から5も、たしかにアキ三角にちがいない。
 しかし、このアキ三角は、A(10, 十三)の断点を強調して、断然、前図にまさる。
※愚形も、相手との姿との相対判断で好手となる場合もありえる。格言必ずしも絶対ならず、である。

「アキ三角」の愚形たるゆえんを理解して、実戦ではアキ三角を作らぬよう、注意したい。
しかし、相手との形との相対判断が必要で、アキ三角ができたら一方的に不利になる、というものでもない。

相手にアキ三角をつくらせただけで、碁に勝ったような気になっていると、とんでもないことになるという。
また逆に、自分にアキ三角ができただけで、負け碁の気分に浸ることもない。柔軟に判断してほしいと、アドバイスしている。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、8頁~12頁)

裂かれ形(石)をつくるな


読んだ通り、裂かれ形をつくることの不利をいったものである。

具体的にみてみよう。
【裂かれ形の実例】
≪棋譜≫(80頁の5図)

棋譜再生

・黒1ボウシはいい攻めである。
・しかし、黒3から5は、白4、6と出られて、「裂かれ形」になっている。
※せっかくボウシした黒1が廃石同然である。

【裂かれ形を避ける対策:コスミ】
≪棋譜≫(81頁の6図)

棋譜再生

・前図黒3では、たとえば1とコスむべきで、これなら裂かれ形を避けることができた。
・黒3は4のノビでもよい。
※前図と本図の差を、十分噛みしめよ。

【裂かれ形を避ける対策:ケイマ】
≪棋譜≫(81頁の7図)

棋譜再生

☆別法もある。黒1のケイマ、または黒A(9, 十四)と、上部から圧迫する打ち方である。
<注意>
・黒1でB(9, 十五)は白2と出られ、向きはちがうが、裂かれ形になる。

以上、ハザマをコスンで出られたら、コスミかケイマと覚えられたし。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、79頁~81頁)

集三、集四の悪形


工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])には、珍しい格言が載せられている。「集三、集四の悪形」もその一つだろう。
・あまり一般的ではないが、「集」とは、味方の石が凝り固まることを指すそうだ。
⇒「集五」「集六」……、石数が多くなればなるほど、悪形の度合いが進む。
一手が十分な働きをしないからである。

・【集三、集四、集五の悪形】
≪棋譜≫(103頁の1図、2図)

棋譜再生

・上図の方で、左から集三(アキ三角)、集四、集五の悪形。
・上図は、下図と比較して、どちらの効率がまさるか、いうまでもないだろう。

・【集七の悪形の例】
≪棋譜≫(103頁の3図)

棋譜再生

・黒1とカケられ、二子惜しさに白2と出たのがいけない。
・黒3からシボられ、白6ツグ(白4の左)と、「集七」が出来上ってしまった。

・【白の利かしを残す打ち方】
≪棋譜≫(103頁の4図)

棋譜再生

・何も打たず、たとえば白1など打って、次に白からノゾキ、つまり白A(4, 十三)や白B(6, 十五)を打って、利かしを残す方がよほどマシである。


(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、102頁~103頁)

【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】

新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則



≪一合桝の死活問題~『新・早わかり格言小事典』より≫

2021-08-30 17:31:48 | 囲碁の話
≪一合桝の死活問題~『新・早わかり格言小事典』より≫
(2021年8月30日)


【はじめに】


今回のブログでは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])に見える「一合桝の死活問題」について解説してみたい。



【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】

新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則

さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・はじめに
・一合桝わかれば五段格



 



一合桝わかれば五段格


・以前は「一合桝わかれば初段格」といったそうだ。
「初段」が希少なりし時代であったからだようだ。現在は「五段」に格上げされている。
要は、一合桝(の生死)がわかれば、あなたは相当にお強い、それほど一合桝はやっかいなシロモノだといっている。たしかに難ブツである。

ここでは、その変化の百分の一、千分の一も言いつくせないのを承知で、一合桝の上っ面だけを、そろっと通り過ぎてみようという。

「一合桝」について
次の4つのパターンを考えている。
☆【1図 一合桝の代表型】~この形にダメが空いたり、ハネが加わったり、マゲが加わったりする。
≪棋譜≫

棋譜再生


☆【2図 一合桝でダメがひとつ空いた場合】
≪棋譜≫

棋譜再生


☆【3図 一合桝でハネがひとつ加わった場合】
≪棋譜≫

棋譜再生


☆【4図 一合桝でカドが欠けた場合】
≪棋譜≫

棋譜再生





〇【1図の正解のひとつ】
≪棋譜≫

棋譜再生

・「2の二」の黒1以下7までのコウである。
・白2のツケが大切な手。

〇【1図の別解】
≪棋譜≫

棋譜再生

・黒1に白2のブツカリではご覧の死。
・白4で7も黒6、白4、黒5で四目ナカデ。

〇【2図の正解】
≪棋譜≫

棋譜再生

・2図は前々図でもコウ。
・この白2以下でもコウになる。
※ダメ空きの形では、前図の黒の攻めが成立しない。

〇【3図の正解】
≪棋譜≫

棋譜再生

・ハネのある3図も、白2以下なら同様のコウ。
・白2ではこのほか、4でも6でもコウになる。
※「一合桝はコウと知れ」というように、絶対ではないがコウになるケースが多い。

〇【4図の正解】
≪棋譜≫

棋譜再生


・カドの欠けた4図は黒1以下で死。
・白に生きる手段も、コウの粘りもない。
(ただし、下辺への白のハネ(5, 十九)があればコウ)

(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、31頁~32頁)

【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】

新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則


≪板六の死活問題~『新・早わかり格言小事典』より≫

2021-08-29 17:30:12 | 囲碁の話
≪板六の死活問題~『新・早わかり格言小事典』より≫
(2021年8月29日)
 

【はじめに】


今回のブログでは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])に見える「板六の死活問題」について解説してみたい。




【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】

新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則

さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・はじめに
・「板六は生き」
・「隅の板六は死に、辺の板六は生き」
・「クシ六(クシ形)は生き」



 



「板六は生き」


「板六は生き」
・ただ単に「板六」と言った場合は、辺の6目形をさす。
(ほかに、「クシ六」「隅の板六」と似かよった形がある。それぞれの項を参照のこと)

【板六の形】
≪棋譜≫
棋譜再生
☆この黒の形が「板六」である。
・ダメは空いていても構わない。黒の内側がこのような6目になっていれば、そう呼ぶ。
・「板六は生き」というのだから、黒はこのままで生きている。

≪棋譜≫
棋譜再生
・白が攻めるとすれば、1あるいは2だが、1には黒2で、白2には黒1で生きている。つまり、この二点が見合いである。

【板六の形でない場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・「板六」ではない。
・右上の角の黒石が欠けているからである。手抜きは白1、3の死。
(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、30頁)

「隅の板六は死に、辺の板六は生き」


※通常「板六」といえば、辺のものを指す。それは生きである。
「隅の板六」は一概に言えないようだ。
ここでは「隅の板六は死に」と断定しているが、この言い方は誤解を招きやすく、問題であるという。つまり、「死」はあるケースに限って言っているからである。

〇ゴロの悪さを無視して、正しくいうと、「辺の板六は生きだが、隅の板六は、生きたり、死んだり、コウになったり」であるとする。

なんだか、何でも有りみたいであるが、実際にそうなのだから仕方がない。
☆その運命を分けるのは、外ダメの空き具合である。

【外ダメが二つの場合(三つ以上も同じ)】
≪棋譜≫
棋譜再生

【外ダメがひとつの場合】
≪棋譜≫
棋譜再生

【ダメなしの場合】
≪棋譜≫
棋譜再生

⇒端的に言ってしまえば、外ダメが二つ以上の場合は生き、外ダメがひとつの場合はコウ、ダメなしの場合は死となる。

☆では、どういう手順でそうなるか?
(外ダメに注意して、読み切ると次のようになる)

【ダメが二つ以上の場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・ダメが二つあるからこそのオシツブシである。生き。
(黒2なら白1で、黒2の両側が見合い)

【ダメがひとつの場合】
≪棋譜≫
・黒1のオキが正しい攻めで、5までコウ。
棋譜再生

【外ダメがすべてつまった場合】
≪棋譜≫
棋譜再生
・ダメアキの形では失敗になっていた黒1ツケが、こんどは正しい。
ダメヅマリのため、白は黒1の右に打つことができない。
(このケースで黒2のオキは失敗でコウ)

(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、115頁~116頁)

「クシ六(クシ形)は生き」


【クシ六(クシ形)の場合】
≪棋譜≫

棋譜再生

・クシ(櫛)形である。
 この形は手を抜いても、このままで生きている。
・黒A(5, 十八)には白B(5, 十九)、黒B(5, 十九)には白A(5, 十八)。つまり、AとBが見合いである。

(工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、65頁)



≪『格言小事典』の目次≫

2021-08-29 17:13:42 | 囲碁の話
≪『格言小事典』の目次≫
(2021年8月29日)

【はじめに】


 以前のブログでは、マイケル・レドモンド九段の著作をもとにして、囲碁の格言を考えてきた。
 さて、最近、プロ棋士の木部夏生二段が、You Tubeで「囲碁棋士と学ぶ! 今日の格言」と題して、囲碁の格言を解説しておられる。
 たとえば、「2目の頭見ずハネよ」「2目にして捨てよ」「一間トビに悪手なし」「追うはケイマ、逃げるは一間」「ハネにはノビよ」などである。
 具体的な棋譜をもとに、格言を解説しておられるので、簡潔でわかりやすい。それぞれの棋譜の場面が実戦的であるので、流石にプロ棋士の解説だと感心しながら、視聴している。

ところで、囲碁の格言には、一般的に、どのようなものがあるだろうか。
それを知るのに、格好の小事典がある。
それは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]である。

今回のブログでは、この小事典で取り上げている囲碁の格言の項目を紹介してみたい。
この小事典の目次には、五十音順別にページ数が列挙されている。
たとえば、「【あ】の部――8頁」といった具合である。
ただし、【あ】の部には、具体的な項目(囲碁の格言)は目次には列挙されていない。
今回のブログでは、その内容項目を列挙してみたい。囲碁の格言を調べるときの索引として利用していただきたい。

なお、次回のブログ以降で、この小事典の中から、「板六」、「一合桝」などを具体的に説明してみたい。




【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】

新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則

さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・はじめに
・『新・早わかり格言小事典』の目次内容(五十音順)



 




工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]

本書の目次は次のようになっている。
【目次】

≪見出し語≫

【あ】の部(8頁~)


アキ三角は愚形の見本
アキ三角をつくるな
アキ三々に打ち込みあり
(→三々に打ち込みあり)
浅く消すには肩ツキ、ボウシ
味の悪い取り方は取らぬがまし
味を残せ
アタリアタリはヘボ碁の見本
厚みに近寄るな
厚みを囲うな
厚みを地にするな
争い碁に名局なし

【い】の部(23頁~)


石取って碁に勝てず
石取って碁に負ける
石飛んでその碁に勝てず
石の下に注意
いたちの腹ヅケ
板のシメツケ避けるべし
板六は生き
一合桝はコウと知れ
一合桝わかれば五段格
一にアキ隅、二にシマリ、三にヒラキ
「1の二」に手あり(妙手あり)
(→「2の一」に手あり)
一間トビに悪手なし
一線トンで綱わたり
一線に妙手あり
一線にワタリあり
一石碁に負けなし
一方石に死になし
(→「三方ガラミにシノギなし」と対照)
一方石は取られない
(→一方石に死になし)
一方碁は危険なり
(→一方地に勝ちなし)
一方高ければ一方低く
一方地をつくるな
(→一方地に勝ちなし)
一方地に勝ちなし
いまもすたらぬ一、三、五
一路となりが本筋なり
岩を地にするな
岩より硬い梅鉢型

【う】の部(42頁~)


打ち込みは三線が厳しく四線はおだやか
打ち出しはザルといえども小目なり
うっかりするなシッポ抜け
梅鉢に負けなし
(→岩より硬い梅鉢型)

【え】の部(43頁~)


枝石は捨てよ
枝石を攻めるな
枝葉を攻めて攻め合い負け
枝葉を攻めるな

【お】の部(45頁~)


追うはケイマ、逃げるは一間
大石死せず
(→一方石に死になし)
岡(傍)目八目
大きく捨ててシメツける
大ザル8目
大中小中
大場より急場
大模様消すはボウシと肩ツキ
(→浅く消すには肩ツキ、ボウシ)
大模様は浅く消せ
大模様にはキリンの首
鬼より怖いダメヅマリ
(→ダメのつまりが身のつまり)
重くして攻めよ

【か】の部(53頁~)


カカリは広い方から
(→広いほうからカカれ)
鶴翼の陣
カス石逃げるべからず
カス石は捨てよ
(→カス石逃げるべからず)
カス石を惜しまない
(→カス石逃げるべからず)
堅い(強い)方にツケよ
(→強い方にツケよ)
カタツギ、カケツギ、ケイマツギ
勝ち碁を勝ちきるむずかしさ
角地を大切にせよ
かなめ石は捨てるべからず
亀の甲の尻尾つき
亀の甲60目
軽逃げは大ゲイマ
観音ビラキの悪形

【き】の部(60頁~)


利かした石は惜しむな
利かしと悪手は紙一重
貴重なるかなハネ一本
(→ハネ一本が生死のカギ)
亀甲型のポン抜きは必勝
(→亀の甲60目)
切った方を取れ
橘中の楽(きっちゅうのらく)
九子局にシチョウなし
兄弟ゲンカで身の破滅
切りあらば切れ
切り一本が勝負のカギ
切りちがい一方ノビよ
切りちがいはハネ込んで(アテて)引く
切りのあるところはノゾくな

【く】の部(65頁~)


愚形の妙手
クシ六(クシ形)は生き
車の後押しへボ碁の見本

【け】の部(67頁~)


形勢不利なら勝負手探せ
ケイマにコスミ
ケイマにツケコシ(あり)
ケイマのツキ出し悪手の見本
ケイマのツキ出し俗手なり
(→ケイマのツキ出し悪手の見本)
ケイマのツケコシ切るべからず
(→ツケコシ切るべからず)
ケイマの腹は出るべからず
(→ケイマのツキ出し悪手の見本)
消しは肩ツキ
(→浅く消すには肩ツキ、ボウシ)

【こ】の部(72頁~)


攻撃は最大の防御なり
好手と悪手はとなり合わせ
(→一路となりが本筋なり)
コウ立ては小さい順に
碁打ちは親の死にめに遭えない
コウつき攻め合いは最後に取れ
コウはおどして打て
コスミツケには立つ
コスミに悪手なし
五線押すは損
(→五線、六線みだりに押すな)
五線は必勝線なり
(→五線、六線みだりに押すな)
後手の先手
碁に勝って勝負に負ける
碁に負けてもコウに負けるな
碁は運の芸なり
五百ナカデは手数が長い
五百ナカデは8手なり

【さ】の部(79頁~)


最後に取る攻め合いのコウ
(→コウつき攻め合い最後に取れ)
裂かれ形(石)をつくるな
裂かれ形は悪形なり
(裂かれ形をつくるな)
先のないヒラキは打つな
酒は別腸、碁は別智
サバキを与えぬブラサガリ
(→サバキ許さぬブラサガリ)
サバキの大敵ブラサガリ
(→サバキ許さぬブラサガリ)
サバキは三々のツケから
サバキはツケから
サバキはツケ切りにあり
サバキ許さぬブラサガリ
左右同型中央に手あり
三間に打ち込みあり
三々に味あり
三々に打ち込みあり
三々打って憂いなし
三3、四5、五8、六12
三子の真ん中(は急所)
三線ハウは定石
三線は普通線(実利線)
三手ヨセコウはコウに非ず
三方ガラミにシノギなし
三立四析

【し】の部(96頁~)


シチョウ知らずに碁を打つな
シチョウのノビ出し7目の損
シチョウの幅は六間
シチョウは六本
シチョウは早目に解消せよ
尻尾は捨てよ
(→枝石は捨てよ)
地は攻めながら囲え
死はハネにあり
シマリは敵にひびく方が先
弱石つくるべからず
弱石は二つつくるな
集三、集四の悪形
じょうずコスまず、へたノビず
じょうずまっすぐ、へたコスむ
定石覚えて弱くなり
定石を知らぬヤツにはかなわない
初コウ取るべし
初コウは取り番必勝
初碁にコウなし
序盤のコスミは良着
小を捨てて大に就け(捨小就大)
白の1目勝ちは全く勝ちなり
白の地は大きく見ゆるものなり
陣笠つくって馬脚出す
死んだら動くな
死んだら化けよう

【す】の部(110頁~)


筋違いに打つべからず
スソアキ囲うべからず
スソアキに近寄るな
(→スソアキ囲うべからず)
捨て石ができれば一歩前進
捨て石を打つに手あり
捨てると死ぬとは大違い
隅に生かして先手を取れ
隅の板六は死に、辺の板六は生き
隅の急所は「2の一」「2の二」
(→2の一に手あり、2の二の急所)
隅の第二線は六本で生き
隅の特殊性(魔性)
「隅のマガリ四目」は死に
隅の桝型コウと知れ
(→一合桝わかれば五段格)
隅は「2の一」に妙手あり
(→「2の一」に手あり)
隅は三々に打ち込みあり
(→三々に打ち込みあり)

【せ】の部(121頁~)


勢力囲うべからず
(→厚みを囲うな)
勢力に近づくな
(→厚みに近寄るな)
セキは生きなり
接近戦で手を抜くな
攻むるは守るなり
(→攻撃は最大の防御なり)
攻め合いには手数を注意せよ
攻め合いの九九
(→三3、四5、五8、六12)
攻め合いのコウは最後に取れ
(→コウつき攻め合い最後に取れ)
攻め合いは外からつめよ
(→外ダメからツメよ)
攻めながら地を取れ
(→地は攻めながら囲え)
攻めの基本はカラミとモタレ
(→モタれて攻めよ)
攻めは最大の防御
(→攻撃は最大の防御なり)
攻めは分断にあり
攻めは守りに通じる
(→攻撃は最大の防御なり)
攻めは難く、シノギは易し
攻める石にツケるな
攻めを含んだ守り
攻めを狙った守り
競りて打つに緩むは悪し
先手先手が後手のもと
先手を心掛けよ

【そ】の部(129頁~)


外からつめよ
(→外ダメからつめよ)
外ダメからツメよ
ソバコウあって大成張り
ソバコウは立たず
損コウ打って碁に負ける
損コウ打つべからず

【た】の部(134頁~)


第一着は右上隅から
第三線は四死六活
大斜百変
大石死せず
(→一方石に死になし)
タケフに切れたためしなし
タケフにシノギの悪形
(→タケフの両ノゾキ)
タケフの心配ダメヅマリ
タケフの両ノゾキ
タケフをノゾくな
狸の腹づつみ
種石は大切にすべし
(→かなめ石は捨てるべからず)
ダメヅマリ恐るべし
(→ダメのつまりが身のつまり)
ダメのツマリが身のつまり
(→ダメのツマリが身の破滅)
ダメの妙手
ダメ場を打つな
ダメを打つな
足りぬ碁は勝負手を探せ
(→形勢不利なら勝負手探せ)
ダンゴ石をつくるな

【ち】の部(147頁~)


力自慢の出切りかな
地取り碁の勝敗はヨセにあり
中央囲うは損
(→中地を囲うな)
中座はおのれの石を下したる後に為すべし

【つ】の部(149頁~)


直四は生きなり角四は死になり
追撃戦はケイマが有利
(→追うはケイマ、逃げるは一間)
ツキアタリは悪手
ツケ一本で様子見
ツケ切り一方ノビよ
(→切りちがい一方ノビよ)
ツケコシ切るべからず
(→ケイマにツケコシあり)
ツケにはハネよ
ツッパリが有力な武器
強い石に近づくな
(→厚みに近寄るな)
強いときには三羽ガラス
強い方にツケよ

【て】の部(158頁~)


手数をつめるホウリ込み
敵石にツキアタるな
(→ツキアタリは悪手)
敵陣のコウは大歓迎
敵の打ちたいところへ打て
敵のキズを利用せよ
敵の心になりて考えよ
敵の注文に応ずるのは拙なり
敵の打ちたるところはまず手を抜くことを考えよ
(→先手をこころがけよ)
敵の急所は味方の急所
(→敵の打ちたいところへ打て)
敵を攻める前に己れを顧みよ
手順の妙
手順に気をつけよ
手筋と俗筋は一路の差
(→一路となりが本筋なり)
出てはならないケイマの腹
(→ケイマのツキ出し悪手の見本)
手に緩急あるべし
手にはならない三手ヨセコウ
(→三手ヨセコウはコウに非ず)
手は紛れなしを善しとする
手拍子に打つことなかれ
手割りを考えよ
天王山を逃すな

【と】の部(172頁~)


同形は先着に利
遠攻めを為すに善き手あり
(→攻めの基本はカラミとモタレ)
どちらにもヒラけるワリ打ち
トックリ形はコリ形(悪形)なり
トビ込み、ハネ込みに妙手あり
トビよりヒラキがまさる
取られた石は攻め取りに
取りたい石の逆を切れ
取るぞ取るぞが殺しのもと
取ろう取ろうは取られのもと
(→敵を攻める前に己れを顧みよ)

【な】の部(176頁~)


中地は地にならない
(→中地を囲うな)
中地は小なりと知れ
中地を囲うな
ナカデ九九
(→三3、四5、五8、六12)
中の板六は生きなり隅の板六は死になり
ナラビに佳着多し

【に】の部(179頁~)


逃げは一間、追うはケイマ
(→追うはケイマ、逃げは一間)
二間トビはおおかた切りあり
二間の肩ツキ
二間ビラキは一家をなす
二筋は敗線、四筋は勝線
(→二線、三線余計にハウな)
二線、三線余計にハウな
二線にヘコんで両バネを見る
二線ハウは負けのもと
二線ハウべからず
二線は必敗線
二立ち三ヒラキ
(→二立三析)
二段バネ元切りに注意
「2の一」に手あり
「2の一」に妙手あり
「2の一」は隅の急所
「2の一」は眼の急所
(いずれも『2の一』に手あり)
「2の二」の急所
「2の二」に打って無条件
二子にして捨てよ
二子の頭は見ずハネよ
二子の腹ヅケ
二立三析
二立三析、三立四析
二立三析、ヒラキの原則
(→二立三析)

【ぬ】の部(191頁)


抜いた一子、じつはカス石
(→カス石逃げるべからず)

【ね】の部(191頁~)


根元をツイで石の下
(→石の下に注意)
狙いすぎは大勢を失う

【の】の部(192頁~)


ノゾキに悪手あり
(→利かしと悪手は紙一重、切りのあるところをノゾくな)
ノゾキにツガぬこともある
ノゾキにツガぬ馬鹿はなし
ノゾキにツグ馬鹿ツガぬバカ

【は】の部(194頁~)


ハウ地は損なり
(→二線、三線余計にハウな)
ハザマを衝いてサバかれる
ハサミには、一間、二間、三間の三つあり
ハスカイノゾキの二重利き
ハスカイにノゾくは急所なり
働きのある切り一本
花六の死形
ハネ一本が生死のカギ
ハネツギ2目
ハネツギ6目
ハネもフトコロのうち
ハネを忘るな三手抜き

【ひ】の部(200頁~)


必要なきダメをつめるな
(→ダメのつまりが身のつまり)
広い方からカカれ
広い方をオサえる
広げて生きよ

【ふ】の部(201頁~)


フクラミは好手
フクレの筋を狙え
フトコロを広く生きよ
(→広げて生きよ)
フリカワリを恐れるな

【へ】の部(202頁~)


ヘコミに手あり
(→二線にヘコんで両バネを見る)
ヘタがハネてもハネ2目
(→ハネツギ2目)
ヘボ碁にダメなし
ヘボ(ヘタ)の考え休むに似たり
ヘボの長追い
ヘボ(ヘタ)の両ヅケ
ヘボのアキ三角
(→アキ三角は愚形の見本)
辺の攻めは両端より狭めてあとに中を打て

【ほ】の部(205頁~)


ボウシにケイマ
ボウシにツキアタリ
ボウシにツケる
(→浅く消すには肩ツキ、ボウシ)
星の三々次の手急がず
星に石なき一合桝は死にと知れ
(→一合桝わかれば五段格)
本因坊の一間トビ
ポン抜き30目

【ま】の部(207頁~)


毎局三思せよ
毎局三思して打つべし
毎手次の手を考えて打て
前を打つときは後を見よ
マガリ四目は死に
(→隅のマガリ四目は死に)
マガリ四目は眼でござる
(→直四は生きなり、角四は死になり)
マガリ四目も隅では死に
(→隅のマガリ四目は死に)
マガリと三角は同じからず
(→アキ三角は愚形の見本)
マグサ場で力むな
マグサ場に手を出すな
マゲ千両
マゲツケは千金の値
まず生きて変化を見るべき場合あり
まずコウ立てを数えよ
まずコウ取るべし
待ったハガシはヘボ碁のクセ
惑わされるなハザマ(チキリ)トビ
(→ハザマをついてサバかれる)
マネ碁破りのシチョウ作戦

【み】の部(212頁~)


見合いは急ぐな
右を打つときは左を見よ
右を打てば左に注意(手あり)
三隅取られて碁を打つな
(→四隅取られて碁を打つな)
みだりに穴を開けておくは危うし
みだりにお供をなすべからず
妙手と悪手は紙一重
(→一路となりが本筋なり)
妙手と奇手とだまし手とは別なり

【む】の部(214頁~)


貪りては勝ちを得ず
貪りは碁に勝てず
無駄手を打つことなかれ
むやみにアテるな
(→アタリアタリはヘボ碁の見本)
むやみに攻めず味を見よ

【め】の部(215頁~)


名人に定石なし
眼あり眼なしは唐の攻め合い
眼あり眼なしも時によりけり
(→眼あり眼なしは唐の攻め合い)
眼欠きの筋を狙え(「欠け眼の筋」ともいう)
面積を狭めてから急所へ打つ
(→辺の攻めは両端より狭めて中を打て)

【も】の部(221頁~)


モタれて攻めよ
(→三方ガラミにシノギなし)
もったいないが負けのもと
模様の消しは肩ツキから
(→浅く消すには肩ツキ、ボウシ)
模様の中心はボウシから
(→浅く消すには肩ツキ、ボウシ)
盛り上げの地は意外に大きくなるものと知れ

【や】の部(222頁)


やたらに打ち欠くな

【ゆ】の部(222頁)


ゆずってならない模様の争点
(→天王山を逃すな)

【よ】の部(223頁~)


良い手がなければ手抜きがよい
様子きくは高等手段
(→ツケ一本で様子見)
要石捨てるべからず
(→かなめ石は捨てるべからず)
要石と廃石を区別せよ
(→カス石逃げるべからず、かなめ石は捨てるべからず)
四筋から三筋へのヒラキは中三間
四隅取られて碁を打つな
ヨセコウはコウにあらず
(→三手ヨセコウはコウにあらず)
ヨセの先手が勝負の機微
(→両後手より片先手)
余得のあるヨセを打て
弱い石にツケるな
四子にして石の下
(→石の下に注意)
四線囲うは勝ち
四線ノビるは勝ちのもと
四線は勝線
四線は勢力線
四線は優勢線
四線は喜んでハエ
四線はあくまでノビよ
四本鼻タタかすとも三本鼻タタかすな
四目ナカデは5手
(→三3、四5、五8、六12)
四目の形に石の下
(→石の下に注意)

【ら】の部(230頁~)


ラッパツギはほどほどに
ラッパのツギも時による

【り】の部(231頁~)


両ガカリは強い方にツケよ
(→強い方にツケよ)
両ガケ食っては碁に負ける
両ガラミは負けのもと
(→三方ガラミにシノギなし)
両切り切るべからず
両切りの前に利かせ
両コウ三年柿八年
両コウ三年の患い
両コウ立てれば身が立たず
両コウできたら無尽コウ
両コウの打ち方を心得よ
両後手より片先手
両先手逃がすべからず
(→両後手より片先手)
両バネ利いて一手のび

【ろ】の部(236頁)


六死八生
六死八生、死活の基本

【わ】の部(237頁~238頁)


わからぬときは手を抜け
ワタリ8目大ザル9目
(→大ザル8目)
ワタる世間に悪手なし
我強きときに戦うべし
(日本棋院『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、8頁~238頁)