歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪囲碁の手筋(守り)~藤沢秀行『基本手筋事典』より≫

2025-03-30 18:00:04 | 囲碁の話
≪囲碁の手筋(守り)~藤沢秀行『基本手筋事典』より≫
(2025年3月30日投稿)

【はじめに】


  今回のブログでは、囲碁の守りについて、次の文献を参考に考えてみたい。
〇藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]
 以前に、「囲碁の攻め~藤沢秀行『基本手筋事典』より」(2024年9月29日投稿)と題して、上記の基本手筋事典の「第1部 攻めの手筋」を紹介したことがある。
 今回は、その続編で「第2部 守りの手筋」の内容を概略してみた。
 例によって、各章の序文の部分で、守りの手筋の基本的な考え方が述べてあり、その後具体的な手筋の内容について解説している。

<お断り>
・図のイロハ…は、入力の都合上、abc…に変更させてもらった。

【藤沢秀行氏のプロフィール】
・1925年横浜市に生まれる。
・1934年日本棋院院生になる。1940年入段。
・1948年、青年選手権大会で優勝。その後、首相杯、日本棋院第一位、最高位、名人、プロ十傑戦、囲碁選手権戦、王座、天元などのタイトルを獲得。
・1977年から囲碁界最高のタイトル「棋聖」を六連覇、名誉棋聖の称号を受ける。
・執筆当時、日本棋院棋士・九段、名誉棋聖

<著書>
・「芸の詩」(日本棋院)
・「碁を始めたい人の本」(ごま書房)
・「秀行飛天の譜」(上・下、日本棋院)
・「囲碁発陽論」(解説、平凡社)
・「聶衛平 私の囲碁の道」(監修、岩波書店)



【藤沢秀行『基本手筋事典 上』(日本棋院)はこちらから】



〇藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]
【目次】
<第1部> 攻めの手筋
切断の手筋 アテ
圧迫の手筋 ハサミツケ
封鎖の手筋 カド
形を崩す手筋 コスミ
ようすを見る手筋 ツケ
重くする手筋 アテマクリ
弱点を作る手筋 コスミ
両にらみの手筋 グズミ
根拠を奪う手筋 オキ
石を取る手筋 アテコミ
コウで脅かす手筋 (しゃくる)

<第2部> 守りの手筋
ツギの手筋 アテコミ
進出の手筋 トビダシ
脱出の手筋 カド
形を整える手筋 アテまくり
先手を取る手筋 オリキリ
軽くサバく手筋 ツケ
切り返しの手筋 ハネコミ
両シノギの手筋 アテコミ
根拠を固める手筋 ツキアタリ
ワタリの手筋 オキ
コウでねばる手筋 (コウかキカシか)




さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・はしがき
・第2部 守りの手筋の序文
・【ツギの手筋】アテコミ
・【ツギの手筋】カケツギ~【参考譜1】藤沢秀行vs高川秀格
・【進出の手筋】ハサミツケ
・【脱出の手筋】複合作戦~【参考譜10】加藤正夫vs大竹英雄
・【形を整える手筋】の例題
・【形を整える手筋】アテ
・【形を整える手筋】アテまくり
・【形を整える手筋】口
・【切り返しの手筋】アテ
・【眼形を固める手筋】コスミ
・【眼形を固める手筋】ツケ~【参考譜26】木谷実vs藤沢朋斎
・【ワタリの手筋】ケイマ~【参考譜29】藤沢秀行vs坂田栄男
・【ワタリの手筋】ツケ
・【ワタリの手筋】ツケワタリ
・【ワタリの手筋】トビ~【参考譜30】坂田栄男vs高川秀格
・【ワタリの手筋】両ヅケ
・【コウでねばる手筋】(コウ材作成)
・【コウでねばる手筋】(コウ材保留)
・【コウでねばる手筋】コウのサバキ~【参考譜32】坂田栄男vs藤沢秀行




はしがき


・手筋とは、最も効率よく石を働かせた着手をいう。
 これを大前提として目的別に分類し、布石からヨセまで、碁の打ちかたの基本を集成したのが本書である。
・従来、単に「手筋」といえば、接触戦の戦闘技術を指し、攻めの急所の「筋」と守りの急所の「形」を総称したものとして、理解されていた。
 しかし、他に「死活の手筋」「ヨセの手筋」等、さまざまな用法があるなかで、「手筋」の定義がややあいまいになっていたことも事実だ。また、あまりに雑多な領域にわたるため、系統的な分類はわずかに形による二、三の例が数えられるだけであった。
・ここでは、手筋の領域をさらに広げるとともに、着手の目的による分類を試みている。
 いわば、悪手以外はすべて手筋であるとする観点に立ち、そして、悪手かどうかはつねに全局的目的から判定されなければならないからである。
(もちろん、本書の分類には数々の疑点があり、重複もあるのだが、なんのために手筋を打つか、という根本的な問題には、答えを出したつもりである)

・手筋は全碁人の財産であり、囲碁の美学の根源をなすものであろう。
 とはいえ、手筋は両刃の剣であり、誤れば我が身を傷付ける恐れなしとしない。
(手筋に幻想を抱くことは禁物としても、これを無視し、未発掘の状態に置いては、囲碁の真に目をそむけ、囲碁の善に背を向け、囲碁の美を汚すことになる)

・本書は上巻に従来の「戦いの手筋」を置き、下巻には「布石、セメアイ、死活、ヨセ」の手筋をまとめた。
(上巻はさらに「攻めの手筋」と「守りの手筋」に二大別し、それぞれ着意別11項目に分類してある)
・「手筋読本」にも「実力養成問題集」にも用いられるように編集したつもりである。
 著者の真意は、これらを通じて、碁の深奥に通じる道を発見していただきたいということである。
(構成にあたっては、古来からの手筋書の多くを参考にしたし、読者に見やすい形を選ぶため定石変化からの抜粋も少なくないという)
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、3頁~4頁)

第2部 守りの手筋の序文


第2部 守りの手筋 序文
【ツギの手筋】
・分離している石を連絡するのがツギである。
・ほとんどのばあいは、連絡によって石の働きが倍増され、周辺に威力を発揮することができるだろう。
・現行の用法はややあいまいだが、切断を防ぐ手をツギ、分断を防ぐ手をツナギと呼ぶケースもないではない。
 ただし、ここではその両者を同じに扱う。
・また、辺の連絡は古来ワタリと呼ばれ、複雑な手筋と手順を要求されることが多い。
 ワタリの手筋に関してはべつに一項を設ける。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、268頁)

【進出の手筋】
・中央に進出する手じたいには利はないが、相手からの攻めを未然に防ぐとともに、挟撃あるいは圧迫、封鎖の基礎となる。
・見過ごされやすいが、重要な目的を帯びており、適切な進出の形は、以後の戦いに大きく寄与するだろう。
・ただし、進出するか根拠を求めるか、あるいは封鎖を許しても他方面に向かうか、部分だけでの判断は不可能である。
・進出しても、ダメを打った手となるケースに、最も注意しなければならない。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、285頁)

【脱出の手筋】
・脱出の手筋は進出の手筋とよく似ているが、包囲されかけた石がより危険な状態にあり、より高度の技術をもってしなければ、中央進出が不可能だ、というあたりに選別の基準を置いた。
・いくつか脱出の筋があるばあいは、最も相手に打撃を与える形でなければならないし、周囲の状況によっては、脱出しても大きく攻められるばあいもあろう。
 脱出するか否かは全局的判断を待つよりない。
・例によって、基礎的脱出の形を紹介してみよう。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、308頁)

【形を整える手筋】
・一着守って相手からの攻めがきかない形にしたうえで、あとを強く戦おうとするのが整形の手筋。
・形を崩す手筋の逆で、この守りの手筋は一般に「形」と呼ばれることが多い。
・ここでは、純然たる守りの「形」ばかりでなく、相手の弱点を衝いて自分の守りにつなげる手筋までを広く扱う。

〇整形の手筋は、石の働きや弾力性、のちのキキなどを総合した急所を発見するかどうかにかかる。
☆基礎的な手筋の例によって、急所の構造を知ってほしい。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、328頁)

【先手を取る手筋】
・部分的には多少の損を忍んでも、全局的好点に手をまわしたい、という場面はしばしば出現する。
・一手かけて守る手は本手であっても、本手は状況を誤れば緩手となってしまうのだ。
・もちろん、なにも打たなければ先手。
 しかし、手を抜いては大打撃を受けるというばあいには、痛打を緩和するなんらかの臨時措置が必要となる。
 それが先手を取る手筋であり、先手を取るために損をし過ぎては先手の価値が低減することに留意しなければならない。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、356頁)

【軽くサバく手筋】
・相手を重くする手筋の反対。
・攻めのきびしさ避けるために、焦点を散らして形作りに結び付ける。
・具体的にいえば、一つ一つの石にこだわらず、いつでもフリカワリの可能性を表面に押し出すことによって、相手の攻めの力をそらす手筋である。
 もちろん相手の勢力圏内でのみ効果を発揮する。
・ただし、軽いサバキを願うあまり相手の弱点を調子よく守らせるようなことがあってはならない。
 進退のタイミングに要注意だ。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、377頁)

【切り返しの手筋】
・相手の仕掛けてきた技が緩手なら、手抜きや先手を取る筋で反発するし、相手の技が打ち過ぎや悪手なら直接逆襲する。
 いわば、守りから攻めへと転換する手筋が、この切り返しなのである。
・手筋の出現する場所や形には共通性がなく、攻めの手筋の各項に含まれるべき形も少なくないが、機を逸せぬ反撃という時間的な手筋としてまとめることもできるようだ。
 まず、二、三の例を挙げてみたい。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、399頁)

【両シノギの手筋】
・両にらみの手筋に対抗するのが両シノギの手筋。
 二つのねらいをいっぺんに解消する。
・方法としては、二つねらいの接点に打つ両にらみの手筋の、さらにそのさきの接点に打つばあいもあるし、ねらいの比重を見極めて大きい方を守るばあいもあり、また、未熟に両にらみの手筋を封じる筋もあるだろう。
・手筋の原理としては両にらみと同じだが、攻防の立場によって微妙な差異が生じてくる。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、419頁)

【根拠を固める手筋】
・序盤から中盤の境い目には、根拠を奪うか、根拠を固めるかが重大な争点となる。
 その多くはごく基礎的な手法であって手筋らしい手筋はめったに現れぬが、追い出す攻めを未然に防ぐ守りの形として心得ておく必要があるだろう。
・根拠を固めるばあいにはまずできるだけ大きく、味よく、そして相手に弱点を作るような形なら理想的である。
 一部は整形の手筋、先手を取る手筋とも重複するばあいもあろう。
 基本形を列挙する。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、436頁)

【ワタリの手筋】
・同じ連絡でも、辺の特性を生かすワタリには多種多様の手筋がある。
 むかし、ワタリは「盤」と書かれたが、まさにぴったりの表現といえるだろう。
・ワタリの手筋は中盤より終盤、死活に絡んだケースで出現することが多く、その筋を発見する詰碁も古来少なくない。
・ここでは軽業的な手筋は省き、基本的な実戦的な中盤の手筋を集めて、死活に直接つながる手筋は下巻に譲った。
・例によってごく基礎的なワタリの手筋を列記する。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、456頁)

【コウでねばる手筋】
・コウで脅かす手筋と逆の立場だが、コウ材や周囲の状況によっては攻めのコウか守りのコウか判然としないケースも間々あろう。
 ここでは部分的な攻守から便宜的に分類しておく。
・コウは、本来ツガなければならないところを、一手省略する働いた手段だ。
 しかも、コウに受けた空点はコウに勝てば眼形となるので、シノギやサバキの手段としては大いに弾力的なのである。
 軽いサバキというよりは、ねばりのあるサバキとなる。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、483頁)

【ツギの手筋】アテコミ


【ツギの手筋】アテコミ
・自力では連絡不能なら、相手の弱点を利用することを考える。
 このばあい、白の弱点といえばダメヅマリである。
【原図】(黒番)

【1図】(最悪)
※ワリコミはいっぱいの切断だから、さまざまに技を施す余地のあるのがふつうである。
・ただし、黒1、3などは最悪で、こう打つくらいなら手を抜き、コウ材として残しておく方がよほどまさる。
 成算のない手段は相手を安心させるだけだ。

【2図】(シメツケ)
・黒1、3とトラれた石を大きくして、5から9とシメツけるねらいもあるところだ。
・黒は7と一つ出ることによってaのキキを確保し、白は手入れのまえに10のアテをキカすのが手順。
※この形でも黒は不満でないが、2子を助け出す手があればよりきびしい。

【3図】(黒3、5、手筋)
・黒1から3のキリコミが気の付きにくい手筋。
・白4なら黒5とアテコミんで連絡する。
※黒3、白4とキメずに黒5では、白aがアタリである。
※白4ではb、黒4、白aと3子を捨てて連絡する筋もあるが、黒は1とトッたあとcのキリも生じて十分。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、272頁)

【ツギの手筋】カケツギ~【参考譜1】藤沢秀行vs高川秀格


【ツギの手筋】カケツギ
・周辺の状況で、ツギかたもさまざまに変わる。
 部分的には悪いとされる形でも全局的には最善とされるばあいが少なくない。

【参考譜1】
 第2期プロ十傑戦第1局
 黒 藤沢秀行
 白 高川秀格
・白1のカケツギは、ふつうaのハネを残して悪手。
・しかしこの形では、bのカカエと3のツケを見合いにした最善手である。
・逆に白9と攻勢に転じた。

【参考図1】(ゲタ)
・黒2と下辺を守れば、白3のアテから追って17と、ぴったりゲタで仕留めることができる。
※白1をaのツギではこの筋がない。

【参考図2】(薄い)
・白1なら、次にaのシチョウがはっきりしている。
・しかし黒2と守られたあと白3の踏み込みくらいでは薄く、全体を大きく攻められそうだ。
※また、白1でbの方のカケツギは、次のcのねらいに迫力がなくて緩手。
※白3でdのツギは黒aでとうてい戦えない形である。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、273頁)

【進出の手筋】ハサミツケ


・二点を見合いにして、急所に先行する手筋の応用。
・黒のダメヅマリを拡大するねらいを秘めている。

【原図】(白番)

【1図】(無気力)
・白1、3と下をハエば無事だし先手だが、これではまったく黒の思い通りの進行である。
・白aのトビダシが残るていどのことでは進出形といえないし、白bとオサえて、ダメヅマリをねらう手も枝葉末節だろう。
※といって、白1でcのキリは乱暴。黒2で苦しい。

【2図】(白1、手筋)
・白1のハサミツケ、3のワタリと2のキリを見合いにする。
・黒2、白3とワタれば、黒▲、白3の交換がダメヅマリの悪手となり、将来、黒aとツメて、3のオキをねらうような手を消しているのである。
※前図とは比較にならぬ白の好形だ。

【3図】(無理な抵抗)
・黒が抵抗するなら、2のサガリだが、白3のキリから5のツギがキキ、今度こそ白9のオサエがダメヅマリを衝いて、きびしい。
※白1で単に3のキリは黒1とヒカれて、5、7というキキが生じないため、白9のオサエに威力がなく、無理な戦いになってしまうのだ。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、306頁)

【脱出の手筋】複合作戦~【参考譜10】加藤正夫vs大竹英雄


【複合作戦】
・石を助けるためには、脱出にこだわることもない。
※実戦では、生き、セメアイ等さまざまなシノギの一つとして脱出がある。

【参考譜10】
 第1期碁聖戦第1局
 黒 加藤正夫
 白 大竹英雄

・白1から迫り、黒2子を取れば生きは楽だ。
・黒4、6と2子を助ければ、5の点に白石が来たことを利用して、9、11の脱出路が開けるのだ。

【参考図】(セメアイ)
・白1にすぐ黒2のコスミなら、白3、5をキカして7のコスミツケが巧妙。
・攻めを継続するなら黒8、10と2子を助けるよりないのだが、白11とツキアタられて窮するのだ。
・黒aには白bをにらんで、右辺白cのコスミツケなどが先手。
※生きとセメアイを見合いにして、やはり簡単にシノいでいる。

※黒2で8のコスミツケなら、白3、黒4、白6と7とアテ、黒5、白2で中央の2子をトッてしまう。
※いずれにしても、白1と急所に一撃して、シノギが確定した。
 実戦では、一発の手筋で決まることは少ない。手筋の複合に損得が絡むのである。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、326頁)

<第2部> 守りの手筋【形を整える手筋】の例題


・一着守って相手からの攻めがきかない形にしたうえで、あとを強く戦おうとするのが整形の手筋。
・形を崩す手筋の逆で、この守りの手筋は一般に「形」と呼ばれることが多い。
・ここでは、純然たる守りの「形」ばかりでなく、相手の弱点を衝いて自分の守りにつなげる手筋までを広く扱う。

〇整形の手筋は、石の働きや弾力性、のちのキキなどを総合した急所を発見するかどうかにかかる。
☆基礎的な手筋の例によって、急所の構造を知ってほしい。

【1図】(口)
・白から逆に1の点にノゾかれては、黒の形が崩れ、攻めの対象となる。(先述)
・さきんじて一着黒1と守っておけば、もう二、三手周辺に白が接近してきても、心配のない石になるのである。
※名称はないが、かりに「口の急所」と藤沢秀行氏は呼んでいる。

【2図】(三目の真中)
・ダメヅマリの三子から一間の距離の中央は、守れば眼形の急所、打たれればウッテガエシを含んだ奪弾力の急所となる。
・黒1と守っておけば、aのダメが詰まっても平気な形だから、次にbのハネから、白c、黒dとしてeのキリもねらえるだろう。

【3図】(未然のヌキ)
・相手の攻められないうちに守る、という点では、シチョウアタリのこないまえに、黒1とヌクなども、りっぱな整形手段。
・いつどのような形でシチョウアタリを打たれるかわからないのでは不安だし、黒1とヌイておけば、白a、黒1、白bのワタリを防ぎ、厚い形である。

【4図】(カケツギ)
・キレないところをツグ黒1も、がっちり守ってあとを強く戦う「本手」に属する。
※この守りがなければ、白aのハサミツケがうるさいし、白bのハネも大きい。
※いったん守っておけば、上辺へのヒラキのほか、cのカケ、dのツメなどを自由にねらえるだろう。

【5図】(ハネ)
・三角印の黒にまだ活力があるのだが、ともあれ1とハネて、三角印の白を悪手化しておく。⇒小さいようだが大事な一着。
・上辺に厚みを向け、右辺は白2と守られても、まだ黒aのキキがある。
※黒1のように、相手の石の働きを完全に殺す手はおおむね好手となる。

【6図】(ノゾキ)
・黒1と踏み込んで白2と換わり、3とツッパれば、黒aを防いで白4の守りはやむをえない。
※黒1で単に3は、白1と備えられて、bの進出をにらまれるのである。
※白2でcとコスミダしてくれば黒の注文通り。
 黒d、白e、黒bのオサエが先手で、上辺がさらに厚みを増す。

【7図】(キカシ)
・黒3、5のツケフクレも整形の手筋だが、そのまえに黒1、白2と換わるのが、黒の反撃を封じるための巧妙な手筋になっている。
※白6で7のアテなら、黒6とアテ返し、白a、黒b、白ツギ、黒cの変化を想定すれば、黒1、白2の交換がいかに働いたか、説明を要しないだろう。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、328頁~329頁)

【形を整える手筋】アテ


<第2部> 守りの手筋【形を整える手筋】
【アテ】
・形ができるかできないかは、ほんのちょっとした手順で決まることもある。
 大技も必要だが、小技も重要である。

【原図】(白番)

【1図】(シボリ)
・白1、3とシボッて5とスベり、左右を打ってしゃれた形。
※とはいえ、中央の黒があまりにも厚く、総合すればやはり黒に分があるだろう。
※白5でaのトビは、黒b、白c、黒dとキリコまれ、eからのシボリをにらまれて、白5とツゲない。

【2図】(大戦争)
・ポンヌキを打たせまいと白3のノビは、黒4とヘソを出られて守りかたがむずかしい。
・白7なら黒8、10のオサエをキカされたあとで、黒12、14と戦われてわけのわからぬ形。
※善悪は周囲の状況しだいだろう。
※白7で14は、黒aのキリが残っていけない。

【3図】(白1、手順)
・シボリのまえに白1のアテを一つキカしておくだけでいい。
・以下、白7までの形は、1図とちがって白も相当である。
※黒は白7のまえにaをキカすチャンスはない。
 黒2でaなら白4とツイで、黒3、白2とポンヌけば、あとどう変化しても打てよう。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、330頁)

【形を整える手筋】アテまくり


【形を整える手筋】アテまくり
・ヘコむだけヘコんでから反撃する筋。
・なまじながんばりは相手に調子を与えるだけだ。
【原図】(白番)

【1図】(黒厚い)
・白1のツギは鈍重。
・黒2とツイで白3の守りを強制し、黒4と1子をゲタにトレば十分な厚みである。
※これでは白1のツギがほとんど無価値だから、単に3とオサえ、黒2なら先手を取るようなくふうが欲しい。
※白1でaとキッてのコウは無謀きわまる。

【2図】(白3、手筋)
・白1のキリで黒2のヌキを誘い、さらに白3と裏からアテてぐるぐるまわす。
・黒4とヌカれても、白5で止まることを見越した手筋である。
※黒2でaのツギなら白3、黒5、白bでよく、黒4で5のノビも白bとオサえて黒cの出はない。

【3図】(一手の差)
・前図に続いて黒6とツガせ、さらに白7とアテて黒をダンゴにシボる。
・白9のツギは省けないが、黒10、12とヌカせて先手。
※すぐ打つのは無理としても、白△の逃げ出しが残っているのが1図との大きな差なのである。
 黒の厚みは右辺上辺ともスソアキだ。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、333頁)

【形を整える手筋】口


【形を整える手筋】口
・白が上辺を放置しては、黒からきりきり固められる筋があることは説明した。
・しからば、白からはどう整形するのが筋か。
【原図】(白番)

【1図】(俗筋)
・白1のツキアタリは、自分から頭をぶつけていく手でよくない。
・白3には黒4の二段バネで応じられ、多少は白地を増やした効果はあるものの、黒を固めたマイナスも小さくない。
※白5で6のサガリは黒aとオサえられ、bのオキをにらまられて守りが入用だ。

【2図】(白1、手筋)
・相手からの攻めにさきんじて、白1と口の急所に守っておく。
※次にaのハネダシやbの躍り出しがねらいとなり、黒cと守ってもまだ白dのトビが好点として残る。
※白1に黒dのトビなら、そのまま手を抜いて補強の実は挙り、aもねらえる。

【3図】(打ち過ぎ)
・白1のスベリも手筋ではあるが、黒2の逆襲を食って存外つまらない。
※白3で5なら黒aとツケて完封されるのである。
※黒は2で4、白2となっても、不急の白1を打たせただけ前図よりまさる。
※ただし、黒2で5は白2、黒3、白4でハマリ形である。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、340頁)

【切り返しの手筋】アテ


【切り返しの手筋】アテ
・黒が▲の二段にハネたところ。
・ふつうなら推奨されるはずの手筋だが、このばあいは打ち過ぎとなって白の強烈な反撃を受ける。手筋も所によりけりだ。

【原図】(白番)

【1図】(ヘコミ)
・白1とヘコんでくれるなら、打ち過ぎ変じてキカシとなる。
・もともと黒▲では2の点にカケツぐのが正形であって、白が黒▲にノビ、黒はaあたりから大きくハサむ進行ならふつうだ。
※1手の差はあるが、白石が黒▲の点にあればbも先手で、白△にねばりが生ずる。

【2図】(モトキリ)
※二段バネはモトキリに注意しなければならない。
・白1、3と反撃して、黒4、6にも白7が先手で9、11のデギリにつなげる。
・とはいえ黒12でaをにらまれ、中央の黒が安泰となれば黒b、白c、黒dの死が生ずるなど、白の前途は思いもかけず困難だ。

【3図】(白1、3、手筋)
・白1のキリから、3のフクレが両にらみの手筋にも相当する。
・黒石のダメが詰まっているので白7、9がよりきびしく、白23となっては3子を捨てても十分。
※シチョウがよければ白23でaもあろう。
※黒は8で14とトビ、白8、黒20で戦うよりない。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、402頁)

【眼形を固める手筋】コスミ


【眼形を固める手筋】コスミ
・ダメヅマリ、左右同形、隅、さまざまの条件が次の一手を暗示している。
・しかし、絶対と見える手に飛び付くまえに、他の手法はどうなるかを確かめておきたいものだ。

【原図】(黒番)

【1図】(俗筋)
・黒1、3のアテアテは俗筋だが、単に3のキリはとたんにシチョウだからしかたがない。
・次に黒5、7とオサエコむよりなく、さてここまで形をキメても、9のキリが無理だというのではあまりにもつらい。
※黒9でa、あるいはbなら生きだが、やはり悪い。

【2図】(ダメヅマリ)
・黒1とオサえ、あちこちのキリをにらんでも白2と食い付いてくる強手が成立する。
・黒3でどこをキッても白3からシボられていけないし、黒3、5とシボリを防いでいるのでは白6あるいはaで前途多難だ。
※黒1では、ダメヅマリを解消した手にはならない。

【3図】(黒1、手筋)
・黒1は左右同形の中央でもあり、三々の急所でもある。
・白2のツギなら黒3の方をキッて、以下9まであっさり根拠を確かめる。
※実利も相当なものだ。
※白2でaも左右同形中央の筋だが、キリの方向を黒に選択されてつまらないだろう。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、445頁)

【眼形を固める手筋】ツケ~【参考譜26】木谷実vs藤沢朋斎


【眼形を固める手筋】ツケ
・攻めは離れてシノギはツケて、と格言にあるが、そのツケが左右へのねらいを等分に持っているなら一発で決まる手筋となる。

【参考譜26】
 第3期名人戦リーグ戦
 黒 木谷実
 白 藤沢朋斎

・黒1のツケでほとんどシノギ形。
・白2、4は最強の抵抗だが、かまわず黒5以下11と左辺にフリカワり、白の大モヨウをやすやすと荒した。

【参考図1】(生き)
・参考譜白2で1のフクレなら、黒2以下6までをキカして、8、10をキメ、12と補えば、あっさり生きだ。
・白9、11と厚くしても、中央の薄みに絡んでいけば左辺の白モヨウはまとまりにくいと見ているのである。
※白3で6なら黒5、白4、黒3まで。

【参考図2】(脱出)
・白1のヒキなら黒2、4が先手。
※白5でaは黒b、cがキキとなるのでヒイてがんばったが、黒d、白e、黒fのの先手キリをにらんで6とツケれば、脱出か生きかいずれにしても、この黒に不安はない。
※白1でgは黒4のノビでいい。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、450頁)

【ワタリの手筋】ケイマ~【参考譜29】藤沢秀行vs坂田栄男


【ワタリの手筋】ケイマ
・ワタリは実利ばかりでなく、自軍の安定、相手の根拠を奪うなど、全局的な影響が期待できる手厚い手段である。

【参考譜29】
 第2期名人戦第6局
 黒 藤沢秀行
 白 坂田栄男

・黒▲が緩手で、とたんに白1、3とワタッた。
※実利の大もさることながら、なにより左辺の白が強化されて、下辺へのねらいが表面化した。

【参考図1】(攻め味)
・黒は1とワタリを止め、逆にaの眼形を見ておく方が厚かった。
・白2、4で形は作られるが、まだまだ攻め味が残り、下辺へのウチコミはとうてい無理な形だろう。

【参考図2】(白有望)
・参考譜に続き、黒1と守ってもなおかつ白2とウチコまれた。
・黒7、9のフリカワリでは攻めの利が不足で、白は参考譜のaにツメて有望の形勢。
※ワタリの威力である。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、465頁)

【ワタリの手筋】ツケ


【ワタリの手筋】ツケ
・ウチコミにしばしば見られる手筋。
・生きとワタリを見合いにする。
※原図は『官子譜』所載。

【原図】白番

【1図】(生きただけ)
・白1、3とツケヒけば生きることはたやすい。
・しかし白9までの結果はと見れば、かろうじて二眼の生きのうえ、黒の外勢はいかにも厚い。
※黒6で8、白6、黒aなら隅に眼はないが、白b、黒c、白dとなり、黒味がわるい。
 白9でb以下dなら、今度は黒eだ。

【2図】(大きく生きる)
・白1とサガッて左右を見合いにする。
・黒2とワタリを止めれば白3、5で6からデギリをねらい、黒6と守ったときには白7と外側で隅の補強をする筋が自慢だ。
※黒4で5なら、白a、黒b、白cとキッて白△の存在がものをいう。

【3図】(白5、手筋)
・黒2と地を守れば、白3から5とツケてワタリの筋に入る。
・黒6のハネダシは白7以下11とキラれ、黒aとツイでコウ材有利のときでなければ、白を強化するだけとなる。
※白1で3がさきでは、黒4,白1のとき黒9、白b、黒2でいけない。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、472頁)

【ワタリの手筋】ツケワタリ


【ワタリの手筋】ツケワタリ
・中盤のワタリの基本中の基本。
 このワタリ筋をあてにしてウチコミが成立するといっていいほどだ。
 白の抵抗を破る好手がある。

【原図】黒番

【1図】(続かず)
・黒1のツケは万人の指すところだが、白2とハネダされたとき黒3のキリでは白4であとが続かない。
・黒5、7と突っ込んでも白8で止まり、セメアイは勝てないし、aのアテはキクし、黒はなにを打ったかわからない結果である。
※黒3が俗筋だ。

【2図】(黒3、手筋)
・黒3のワリコミが好手。
・白4なら黒5と出て、白6には7、9とツグ調子がある。
・白10以下は一本道で、このセメアイは黒有利だ。
※白2で7のハネダシなら黒4と平易にキッていいのだが、白2のときは黒3が必要だ。
 白4で5なら黒8、白9、黒7とワタる。

【3図】(トリ番のコウ)
・前図に続いて白16とダメを詰め、本格的なセメアイである。
・ここで黒17のホウリコミがよく、白18なら黒19でトリ番のコウとなるから、白優勢の場所での戦いとしては黒十分だ。
※白18で21のツギなら、黒aとサガッてセメアイ1手勝ちである。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、474頁)

【ワタリの手筋】トビ~【参考譜30】坂田栄男vs高川秀格


【ワタリの手筋】トビ
・大石死せずとはよくいったもので、眼形がなくともコウになれば、大石だけにコウ材はいくらでもある。
・きわどいワタリのコウだ。
【参考譜30】
 第16期本因坊戦第4局
 黒 高川秀格
 白 坂田栄男

・黒aがキカないので単独の生きはなく、黒1、3は必死の脱出行。
※これで黒bがキキとなり、白4で6なら黒4できれいにワタる。
※白6でcなら黒6でコウ。

【参考図1】(以後の進行)
・参考譜に続いて黒7と下からアテるのが唯一のシノギ。
・白8のヌキには黒9の方からアテ、白aのきびしさを緩和するためにダメヅマリを強調して11。これでともあれコウだ。

【参考図2】(続、進行)白16コウトル
・黒は右辺にいくらでもコウ材があり、ワタリこそ実現できなかったが、2子をトッて生きた。
・隅はのちに、白a、黒b、白cのオキで本コウになっている。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、475頁)

【ワタリの手筋】両ヅケ


【ワタリの手筋】両ヅケ
・中盤のワタリ筋としては著名なもの。
・準備手筋がおもしろく、この形では「ヘボの両ヅケ」が唯一の筋。

【1図】(単ツケ)
・白1の単ツケは黒2の方にハネダされて目的を達成できない。
・白3、5とアテても、それきりの息切れである。
※白1で3のツキアタリは黒6のグズミが巧妙な両シノギ。
 白は隅だけの生きがなく、ぜひともワタらなければならない。

【2図】(白1、手筋)
・白1のアテコミで黒の動きを止める。
・黒2とカカえさせ、3とツケればきれいなワタリ形だ。
※黒がハネダした方をキッて、そのときアタリとなるのが白1の働きなのである。
※黒2でaでも、白3とあっさりワタッておくのがいいだろう。

【3図】(無益な抵抗)
・黒2とツグ抵抗があり、右方の石のダメ数が少ないときには用心しなければならない。
・このばあいは白3と出てセメアイ勝ちだ。
※黒2でa、あるいはbなど、いずれもセメアイ含みの抵抗で、それぞれに対して十分なヨミの裏付けを必要とする。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、481頁)

【コウでねばる手筋】(コウ材作成)


【コウでねばる手筋】(コウ材作成)
・コウを仕掛けてもコウ材がないというなら、コウ形をいちおう作ってからコウ材作成に向かうというねばりの手法が有力だ。

【原図】(黒番)

【1図】(白トリ番)
・黒1から3とハネコんでも、6とツゲないのでは黒5でコウにするよりない。
・しかし白6とコウのトリ番を相手に与え、しかもコウ材がないというのでは話にならない。
※白にはaとツグコウ材もあり、1手で解消できるコウなので余裕のある形だ。

【2図】(黒1、手筋)
・コウにするなら黒1のワリコミから打つところ。
・白2には黒3とアテ、白4、6と生かしても黒5とヌケば満足以上だ。
※白2で6と下からアテれば、黒5、白3、黒2の調子が生じ、白a、黒bで黒の手勝ちとなる。

【3図】(黒7、巧妙)
・白は4とツギ、黒5には白6と下からアテてコウに持ち込むだろう。
・ここで黒aとすぐコウを仕掛けるのは、白にコウをトラれてあとがない。
・そこで黒7とオシ、中央の勢力を増大しながらbのコウ材を作る。
※隅は白から1手で解消できない形だ。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、486頁)

【コウでねばる手筋】(コウ材保留)


【コウでねばる手筋】(コウ材保留)
・ノドから手の出るほそのキカシでも、コウ争必至と見たときにはコウ材として保留しなければならない。
・一コウが勝負となるケースは多い。

【原図】(白番)

【1図】(キメ急ぎ)黒6ツグ
・白1以下は見ずに打ちたいシボリだが、いまキメてしまっては上辺のサバキに窮する。
・白7、9とコウでシノぐよりないところだから、黒12のコウトリに抵抗不可能となってしまうのだ。
※シボッた以上は白7でaとハネ、黒12、白bと厚みで打つくらいのもの。

【2図】(シチョウ用心)
・白は1とさきにハネ、コウのシノギを作ってaのシボリはコウダテで打つべきだ。
・黒も、コウを急いで2のアテは、白3、5としゃくられてツゲばbのシチョウがある。
※黒2でcのとき白2のツギは黒bで生きがない。
 結局、前図のコウは必然だ。

【3図】(白1、7、手順)黒12ツグ、白13コウ
・白1以下黒6とコウをトッたとき、白7からのシボリを打つ。
・11までキメてしまうのは、この場面では黒のコウダテがなく、キメなければ黒11が大きくなっているからだ。
・コウに勝てない黒は14、16とあやまり、白17とヌイて十分の形となった。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、487頁)

【コウでねばる手筋】コウのサバキ~【参考譜32】坂田栄男vs藤沢秀行


【コウでねばる手筋】コウのサバキ
・軽いサバキのためにはコウが有力な武器。
・ツギの一手を節約して石を働かせ、弾力のある形を確保するのである。

【参考譜32】
 第5期プロ十傑戦決勝第1局
 黒 坂田栄男
 白 藤沢秀行

・白1、3と左右にツケを打ち、頭を出しながらオサマる構想である。
・黒6のアテにaとツイでは重く、白7とコウで踏んばるのが、このサバキの眼目。

【参考図1】(働きに乏しい)
・白1、3と頭を出すことにこだわれば、黒4で根拠を奪って攻められ、中央の一団とのカラミぐあいが生ずる。
※また、白1でa、黒b、白c、黒d、白eとオサマるのも、出口が失われるので中央への攻めのきびしさが倍増する。
 単能的手法はこの場合不可である。

【参考図2】(白9、手筋)白11コウトル
・参考譜に続いて黒はいったん8とコウをトルが、白9に黒15とキル勇気は持てない。
・黒10は同点のカケを防いだものだ。
・白13までをキカし、15と守って十分のサバキ。
※白15を省略すれば、やはりコウトリがきびしい。
 コウのサバキがきまった。
(藤沢秀行『基本手筋事典 上(中盤の部)』日本棋院、1978年[1980年版]、490頁)



≪囲碁の手筋~溝上知親氏の場合≫

2025-03-23 18:00:03 | 囲碁の話
≪囲碁の手筋~溝上知親氏の場合≫
(2025年3月23日投稿)

【はじめに】


 今回も引き続き、囲碁の手筋について、次の著作を参考にして考えてみたい。
〇溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年
 著者の溝上知親氏は、プロフィールにもあるように、平成元年、全国少年少女囲碁大会で優勝した華やかな経歴がある。菊池康郎氏(緑星囲碁学園)に師事し、平成5年入段し、平成26年、200勝達成により九段に昇段された。
 さて、「はじめに」にも述べてあるように、「利き筋」ほど、プロがアマチュアの人に説明するのが難しいジャンルはないようだ。そして、利き筋とは、簡単にいえば弱点のことをさすそうだ。ただ、「利き筋」という言葉を理解できても、「実戦で利き筋を活用できる」わけではない。
(「利き筋」を完璧に理解できたらアマ6段以上と著者はいう。)
初段前後の人でも、かなりハードルが高いジャンルらしい。ただ、触れて感じていくうちにだんだん分かってくるそうだ。利き筋をもっとも生かすための手順を発見するには、やはり慣れが必要という。本書では、問題形式でかなりの数の利き筋の活用を体験できるように構成されている。

 ところで、著者の溝上氏は、小学校6年時に、全国大会優勝を果たし、菊池康郎氏(緑星囲碁学園)に師事した。緑星囲碁学園といえば、七大タイトルを10回以上獲得している山下敬吾九段(平成四天王の一人)もその出身者である。その山下九段は、『基本手筋事典』において、「シノギは相手の弱点を見極めるところから始まる」と明言している(394頁)。

 私のようなアマチュアが利き筋を利用することは至難のわざであるが、私なりに次の点に気を付けていきたいと思っている。
・碁盤全体をよく見渡すこと。
・形の急所、弱点を探すこと。
・すぐに利き筋を打たず、いったん保留しておくこと。
(利き筋は、決めないもの、効果的になるまで、打つのはがまんすること)

【溝上知親氏のプロフィール】
・昭和52年生まれ。長崎県佐世保市出身。日本棋院東京本院所属。
・平成元年全国少年少女囲碁大会優勝。菊池康郎氏(緑星囲碁学園)に師事。
・平成5年入段。平成17年八段。平成26年、200勝達成により九段に昇段。

・平成10年大手合第1部優勝。
・平成13年第16期NEC俊英トーナメント優勝で初タイトル獲得。第26期棋聖戦リーグ入り。
・平成14年第32回新鋭トーナメント優勝。第28期名人リーグ入り。
・平成16年第29期新人王戦で優勝。
・平成19年第63期本因坊戦リーグ入り。
※平成13年棋道賞新人賞。平成20年通算500勝達成。
 加藤啓子女流最強位は夫人。


【溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズはこちらから】



〇溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年

本書の目次は次のようになっている。
【目次】
まえがき
序章 利き筋とは
 例題1~4
 コラム「子どものころ①」「子どものころ②」
1章 定石は手筋、利き筋の宝庫
 テーマ1~7

2章 実戦によく現れる利き筋
 テーマ1~34

3章 実戦から利き筋を考える
 テーマ1 利きを多くする
 テーマ2 利きを使うタイミング
 テーマ3 利きで危機を脱出
 テーマ4 利きで攻める
 テーマ5 利きでサバく
 テーマ6 利きを手にする
 テーマ7 利かしで眼形を奪う
 テーマ8 突破する利き筋
 テーマ9 利きでヨセる
 テーマ10 利きでサバく
 テーマ11 利きで荒らす
 テーマ12 痛快手筋の利き




さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・氏のプロフィール
・はじめに
・序章 利き筋とは
・第1章テーマ2~両ガカリ定石からの変化
・第2章テーマ10
・第2章テーマ27
・第3章テーマ3 利きで危機を脱出
・第3章テーマ5 利きでサバく 張栩vs溝上知親
・第3章テーマ6 利きで手にする 溝上知親vs武宮正樹
・第3章テーマ10 利きでサバく 高尾紳路vs溝上知親




はじめに


・「利き筋」とはいったい何でしょう。
 手筋の仲間という認識は、何となくあると思う。
 先手で打てる場所、相手の応手が決まっている手、という説明も当たっている。
 「利き筋」という言葉を理解できても、「実戦で利き筋を活用できる」わけではない。
 なぜなら、この「利き筋」ほど、プロがアマチュアの人に説明するのが難しいジャンルはないから。正解と不正解の差がわずかな場合が、非常に多い。
・囲碁は、盤上で最も良いもの(最善手)を探し出さなければならない。
 「利き筋の活用」は、100%のパフォーマンスを求めて誕生したジャンルともいえる。
・「利き筋」は、大多数の初段前後の人には、馴染みがなく未開の分野だと思う。
 または正解図と失敗図の手順の違いを見ても、何をいわんとしているか難しく感じられるかもしれない。
・この本では、実際の棋力アップと共に、囲碁に対するセンスを磨いてもらいたい。
 センスのない力自慢の6段よりも、センスの良い洗練された3段になって欲しいという。
(あらかじめ言っておくが、「利き筋」を完璧に理解できたらアマ6段以上。初段前後の人にはかなりハードルが高いジャンルに見えると思うが、触れて感じていくうちにだんだん分かってくるそうだ)
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、3頁~4頁)
 

序章 利き筋とは


・利き筋とは、簡単にいえば弱点のこと。
 相手の弱点を利用して、得をはかるのは当然の碁の戦法。
 その弱点である利き筋をうまく使うことができれば、勝負所で優位に立て、勝ちに直接結びつけることができる。
 利き筋を利用するには、いくつかコツがある。

①「利き」は必要になったら打つ
・とりあえずアテておこう、と思うことは多くないだろうか。
 この「とりあえず」をやめよう。
・利き筋は受けないと相手が困るところ。
 決めてしまうと、選択肢が減るので、手段の幅が狭まり、それは条件の悪化を意味する。   
 とくに2つ以上の可能性があるとき、例えばアテる方向が2カ所ある場合などは、むやみに打たないように気をつけてほしい。
・利き筋は、決めないもの、だいたい先に打たなければいいと思っていていいだろう。
 最も効果的になるまで、打つのはがまん。

②「利き」を生かすも殺すも手順しだい
・利きが複数あるとき、どこから決めていくかは、かなり重要な問題。
 手順ひとつで、うまくいくものも、いかなくなる。
・利き筋をもっとも生かすための手順を発見するには、やはり慣れが必要。
 本書では、問題形式でかなりの数の利き筋の活用を体験できる。

③理想を実現へ
・「ここに石があったら取れるのに」「ここに石があれば生きるのに」
 そんな思いになることは、実戦でもよくあるはず。 
 そんな理想をかなえてくれるのが、利き筋。
※利き筋は、「ここに石があればなあ」という思いから考えるのが、見つけるコツでもある。

・この願いを「利き筋」を使って実現するのである。
 利き筋を最大限に活用すれば、相手に「理想の場所に受けさせる」ことができる。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、8頁~9頁)

【1図】本因坊秀栄 対 田村保寿四段(先)
・白△5子がピンチの場面。
 白はまず1とハネ出して、黒2と切らせた。
 さて?

【2図】(1図までの手順)(1—91)黒19(9)、黒21(14)
・白8と大斜にカケた。
・白22までは今では黒が不利と考えられ、打たれない。
・黒55と白56の交換が妙手を引き出してしまう。

【3図】
・すぐ白1とノビるのは、準備不足。
・黒2、4が好手で、6、8と白2子を取られてしまい、助からない。
 工夫が必要。

【4図】(眼目の一手)
・取られている白2子を、白1と3子にしたのが、利き筋をつくる妙手。
※黒の受け方によって、白にはa、b、c等の利きが生じる。

【5図】
・黒2のツギなら、白3のノゾキを利かす。
・3に石が来たおかげで、白5にハネて、黒3子を取り込む手段が生じた。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、9頁~11頁)

第1章テーマ2


【第1章テーマ2】白番
・両ガカリ定石からの変化。
・黒が1とトンで逃げたところ。当然のように見えて、失着なのである。
・黒▲2子を狙ってほしい。

【1図】
〇テーマ図までの手順
・白1の両ガカリに、黒が2、4とツケ引いた形。
・黒8のハネ出しから10とサガるのは、11の切りを見ている。

【5図】(利き筋活用の一手)
・白2のサガリから4の一線サガリまでが、利き筋。

【6図】
・黒は1とオサえるわけにはいかない。
・白2とアテられて取られてしまう。
※1の地点のダメがツマらないことが、ミソなのである。

【7図】
※黒は隅を放っておくわけにはいかない。
・黒1などと手を抜くと、白2のホウリコミから4で取られてしまう。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、37頁~40頁)

第2章テーマ10


【テーマ図】白番 難易度★★★
・左上の白が危険。
・左上隅に対する利き筋をうまく使って、ワタってほしい。

【1図】(失敗1)
・白1のオサエもひとつの利き。
・しかしこれでは白3にサガっても黒6まで、手にならず黒は死にとなる。

【2図】(参考)
・白1のへこみは、隅に利いている。
・黒が2とワタリを遮れば、白は3にサガリ。
※黒2子を取り込みながら生きることができる。

【3図】(失敗2)
・そこで白1には黒2と抜いて利きをなくす。
・白3、5でコウになるが、コウでは失敗。

【4図】(正解)
・白1のハネが好手になる。
・黒2の出なら、白3のオサエがワタリを見て、先手になる。
・白5が成立して、白は生きとなった。

【5図】(正解変化)
・白1のハネに黒が2とオサエたら、白は3と切って5とアテ。
・白5に石がきたことで……

【6図】(正解変化続き)
・やはり白7のサガリが成立。
・黒10の切りには、白11とサガる手段が生じている。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、89頁~91頁)

第2章テーマ27


【テーマ図】黒番 難易度★★★
・白が1、3と黒の1子を切り離したところ。
・白の形には不備があるので、白をとがめてほしい。

【1図】(失敗1)
・黒1、3と闇雲にアテていくのは、白4に切られ、6で黒2子が取られる。
・黒7までの黒3子は、黒9とハネても、連絡できない。
・白10までいたずらに白を固めただけ。

【2図】(失敗2)
・黒1に押せば、白は2とサガってがんばってくる。
・黒3にアテれば白は4とノビるぐらいで、5まで白2子を取ることはできる。
・けれども、白6まで右辺を白の勢力圏にされては、黒はやや不満。

【3図】(正解)
・黒1とまずアテるのが、正解への第一歩。

【4図】(正解続き)
・白が1と単に抜けば、黒2が確実に利く。
・それから黒4にアテれば、6まで白2子を取ることができた。

【5図】(正解変化1)
・白1にオサエるのは無理。
・黒2の切りから4でウッテガエシになっては、ひどい。

【6図】(正解変化2)
・白1のノビなら、黒2と白2子を抜いておく。
・これは黒▲にまだ活力が残っており、黒がやれる。
※白2子を取った黒の姿が、非常に厚い形。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、136頁~138頁)

第3章テーマ3 利きで危機を脱出


【テーマ図】黒番
・アマの実戦。
・右下方面で競り合いとなっている。
・白にモタれてサバいてほしい。
 モタレ方にも、ひとひねり工夫が必要。

【1図】(テーマ図までの手順)
・白5は打ち過ぎだった。
※黒10では11なら、白ハマリの形。
・白15までがテーマ図までの手順。

【2図】
・単に黒1から3と出ていくのは、無策。
・白4と打たれ、眼のない黒石がふたつになり、苦しいばかり。

【3図】
・黒1とモタれる工夫はどうだろう。
・白2の引きなら黒3、5を利かして、9のツケでぴったり白3子を取れる。

【4図】
・しかし白1と引かれると、次の手がない。
・黒2から4と止めても、白5と生きられては、黒6と後手をひいて、成果は今ひとつ。

【5図】
・前図黒2で1とツケても、白2にハネられて6まで頭を出されては、とても白を取ることはできない。

【6図】(利き筋活用の一手)
・黒1のツケが、利き筋を作る好手。
・白2のハネなら黒3から9まで。
※3図の形に戻り、白3子を取ることができる。
 黒大成功。

【7図】
・前図の白4で1とツゲば、黒2に白3とトンで3子は助かる。
・しかし黒6から10と根拠を得た上、12と白を分断できては、黒好調。

【8図】
・黒1のツケに白2なら、黒3、5で隅を制する。
※黒地が大きく、これも黒が十分の分かれ。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、177頁~181頁)

第3章テーマ5 張栩vs溝上知親


 張栩(黒)vs溝上知親(白)
【テーマ図】白番
〇ここからは、プロの実戦をみていく。
・白が1とトンだとき、黒が2とツケてきた。
※実戦は右辺の白△3子を利用してサバいたが、どう打っただろうか。

【テーマ図までの手順1(1-23)】
・黒は3、5、7とミニ中国流の構え。
・白10のヒラキに黒11とすぐに打ち込み、白22までは、よくある形。

【テーマ図までの手順2(24-53)】
・白は24から右下に入っていった。
・白34まで生きて一段落。
・白40のツケに、黒が41とノゾキ、白42と反発して、戦いが始まった。

【1図】
・白1から単純にアテていくのでは、黒8となって、白の苦しい戦い。

【2図】
・シチョウをねらって白1とカケても、黒2にノビられて、何事も起こらない。

【3図】(利き筋活用の一手)
・白1にアテて3にツケるのが、利きをフルに活用した手順。
※すでに、白の思惑から逃れられない状況に黒は陥っている。

【4図】
・続いて、白1に出られると黒3子が動けないので、黒1は絶対。
・白2から8まで誘導し、10にマガって、部分的には白満足の分かれ。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、186頁~189頁)

第3章テーマ6 利きで手にする 溝上知親vs武宮正樹


 溝上知親(黒)vs武宮正樹(白)
【テーマ図】黒番
・中央に武宮九段らしい白地ができている。
 しかしよく見ると相当味が悪い。
 利きを使って、手にしてほしい。
 実戦で見つかれば、気持ちがいい。

【テーマ図までの手順1(1-100)】
・黒53と真ん中に臨んだ。
・白は54とモタれて、中央をにらむ。
・白64のツケには黒65からかわした。

【テーマ図までの手順2(101-194)】
・中央に白の大模様ができた。
・白2(102、10,十六)あたりから、もう大ヨセに入っている。

【1図】
〇実戦の手順。
・黒1の切りから白6まではいいとして、黒7のハサミツケが失敗だった。
・白8にツガれて手にできなかった。

【2図】(利き筋活用の一手)
・前図の黒7では、1と出てから3に出ればよかった。
※これで手になっているのが、お分かりだろうか。

【3図】
・続いて白が4とアテれば、黒5のアテから7とマクる。
・白が8に抜くと黒9で、オイオトシになる。

【4図】
・だからといって、白が8、10と逃げるのは黒11で、両アタリになってしまう。

【5図】
・3図白4で、4のアテなら、黒5の切りからアタリアタリで9まで。
※白の大石は逃げられない。

【6図】
・3図白4で4のツギでも、黒5のアテから7にマクれば、いい。
・黒13まで大石が取れた。
※利き筋の活用は、手順が大切。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、190頁~194頁)

第3章テーマ10 利きでサバく 高尾紳路vs溝上知親


 高尾紳路(黒)vs溝上知親(白)
【テーマ図】白番
・黒が▲と切り違いをノビたところ。
 白のサバキ方を考えよ。

【テーマ図までの手順】(1-39)
・黒7に対して、白8と一間にトンでから10と三々に入った。
・右下から広がる黒模様に、白は30と臨んだ。

【1図】
・白1からまともに動くのは、重い発想。
・黒10のコスミツケまで、全体をまとめて攻められてしまう。

【2図】
・白1にツケてモタれるのは有力だが、黒2にノビられてしまう。
※この局面は下辺が大きいので、白はやや不満。

【3図】(利き筋活用の一手)
・切り違いの利き筋を横目に、白1とツケるのがうまい。
※中央を助けるのが目的ではなく、大きい下辺方面を荒らすことが大切。

【4図】
・黒1にオサえるのは最強であるが、白には2からサバキ筋がある。
・白6まで利いて、8から12と出て行くことができた。

【5図】
・続いて黒2と切ってくれば、白3から上下の利きが連動して、どちらかの黒を取る
ことができる。

【6図】
・黒が3とノビてがんばるのはもっと危険で、白6のアタリが利くと14まで、シチョウで取られてしまう。

【7図】
〇実戦の進行。
・黒2が利きのない打ち方であるが、黒18まで先手で大きく荒らせては白満足。
・白21に打ち込んで、aも狙える。

【8図】
・7図の黒8は緩んでいるようだが、黒1のオサエには白2から反撃がある。
・白8で、黒はどこかの石が取られてしまう。

【9図】
・7図の黒14で1にノビられたら、白2からサバキ。
※2図に比べて、右下隅で先にかせいでいるのが大きな違い。
(溝上知親『アマの知らない実戦手筋 利き筋の考え方』毎日コミュニケーションズ、2009年、212頁~217頁)


≪囲碁の手筋~船越哲治氏の場合≫

2025-03-16 18:00:08 | 囲碁の話
≪囲碁の手筋~船越哲治氏の場合≫
(2025年3月16日投稿)

【はじめに】


 今回のブログも、引き続き囲碁の手筋について、次の著作を参考にして考えてみたい。
〇船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年
 著者の船越哲治氏は、プロフィールにあるように、大学時代、関東学生囲碁大会などにおいて活躍し、卒業後は、出版社に入社し、囲碁雑誌の編集に携わり、その後、フリーになり、入門者にもわかりやすい解説ができる囲碁ライターとして活躍中である。
 ※今回紹介した『囲碁・実戦の好手筋130』(山海堂)以外にも、次のものがある。
・『囲碁・星の定石10パターン50型』(山海堂)
・『囲碁・実戦の死活130』(山海堂)
・『囲碁・実戦のヨセ120』(山海堂)
 アマチュアの編集した囲碁の本だけに、コラムとして「◆手筋として使われる手段と用語」などに、わかりやすく解説する工夫が見られる。

 なお、【補足】として、実戦に現れる手筋について、プロ棋士の次の著作を参考にして述べておこう。
〇坂田栄男『坂田の碁2 石のシノギ方』平凡社、1963年[1977年版]
 坂田栄男氏は、「カミソリ坂田」とか「シノギの坂田」という綽名で呼ばれたほど、シノギには定評のあったプロ棋士である。
 岩本薫八段との対局を題材にシノギ、手筋について解説されているので、紹介してみたい。
〇【補足】実戦の手筋~坂田栄男『坂田の碁2 石のシノギ方』より

【船越哲治氏のプロフィール】
・1944年、東京に生まれる。
・子供の頃から囲碁に親しみ、大学時代、関東学生囲碁大会などにおいて活躍。
・卒業後は、出版社に入社。長年、囲碁雑誌の編集に携わり、また、囲碁に関する多くの書籍を手がけた。
・その後、フリーになり、入門者にもわかりやすい解説ができる囲碁ライターとして活躍中。
※著書に次のものがある。
・『囲碁・星の定石10パターン50型』(山海堂)
・『囲碁・実戦の死活130』(山海堂)
・『囲碁・実戦のヨセ120』(山海堂)
・『囲碁・実戦の好手筋130』(山海堂)



【船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』はこちらから】



〇船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年

【目次】
第1章 小手調べ・基本の手筋20
第2章 実戦の手筋パートⅠ 30
第3章 実戦の手筋パートⅡ 40
第4章 コンビネーションの手筋 40



第1章 小手調べ・基本の手筋20
 第1題 トントンをねらう
 第2題 急所を探せ
 第3題 白をいじめる
 第4題 大きなヨセ
 第5題 形を整える
 第6題 一石二鳥
 第7題 この形の定型
 第8題 冷静にあわてない
 第9題 力をためる
 第10題 平凡に
 第11題 白のハメ手?
 第12題 薄みをつく
 第13題 白一子を切り離す
 第14題 星の定石後
 第15題 常用の手段
 第16題 白地は大きくない
 第17題 侵入を食い止める
 第18題 力まない
 第19題 コウではない
 第20題 左右を握手するには

第2章 実戦の手筋パートⅠ 30
 第1題 全部取れる
 第2題 一発で決まり
 第3題 弾力を与えない
 第4題 連絡できる?
 第5題 よく見る形
 第6題 ダンゴにする
 第7題 おまじないをする
 第8題 分断する
 第9題 ワタれる?
 第10題 攻め合い
 第11題 左を利かして右方を侵略
 第12題 欠陥を補う
 第13題 手数を伸ばす
 第14題 巧妙な筋
 第15題 軽快にサバく
 第16題 眼形を奪う
 第17題 断点を先手で補う
 第18題 いいなりにならない
 第19題 わかればな~んだという手
 第20題 一手で三つを兼ねる
 第21題 形を整える
 第22題 形を崩す
 第23題 居直る
 第24題 地中の石を生還させる
 第25題 連絡するには
 第26題 軽やかな筋
 第27題 中で治まる
 第28題 ダメヅマリ恐い
 第29題 左右対称
 第30題 二つの断点

第3章 実戦の手筋パートⅡ 40
 第1題 無理をとがめる
 第2題 外勢を張る
 第3題 進出阻止の巧拙
 第4題 二の矢がとどめ
 第5題 手抜きをとがめる
 第6題 絶対の急所
 第7題 手順が大切
 第8題 アシダにカケる
 第9題 キリ戻し
 第10題 隅を破る
 第11題 これも手順が大切
 第12題 巧妙な筋
 第13題 これも巧妙
 第14題 もぎ取る
 第15題 一歩控えて
 第16題 手数を伸ばす
 第17題 筋悪のような手
 第18題 召し取る
 第19題 隅の特性
 第20題 両天びん
 第21題 攻め合いに勝つには
 第22題 まともに戦わない
 第23題 起死回生の筋
 第24題 白地を食い破る
 第25題 安易に考えない
 第26題 封鎖の手筋
 第27題 白地がガラになる
 第28題 封鎖を突破
 第29題 隅に脈あり
 第30題 どこまでも追求
 第31題 断点のない形にする
 第32題 悪手をとがめる
 第33題 力をためる
 第34題 外勢と実利
 第35題 軽快なサバキ
 第36題 サバキの筋
 第37題 味よく整形
 第38題 絶妙の筋
 第39題 綱渡り
 第40題 包囲網を突破

第4章 コンビネーションの手筋 40
 第1題 連絡する
 第2題 隅をうまく生きる
 第3題 素直な手
 第4題 タヌキの腹づつみ
 第5題 ツケノビ定石の常識
 第6題 石を取って生きる
 第7題 シチョウが悪くても
 第8題 コウ形の利用
 第9題 廃石の利用
 第10題 隅の地を消す
 第11題 うかつに打てない
 第12題 ただ出るだけでない
 第13題 要石をヌク
 第14題 ゴツイ手
 第15題 断点をつくる
 第16題 三手目が肝要
 第17題 無条件
 第18題 隅は守らない
 第19題 白の泣き所
 第20題 白、抵抗できない
 第21題 握手する手
 第22題 ゴリゴリ打たない
 第23題 常用の筋
 第24題 鶴の巣ごもり
 第25題 外勢を築く
 第26題 ノータイムの筋
 第27題 基本の手筋
 第28題 弾力のある手
 第29題 白二子を捕獲する
 第30題 一線の妙
 第31題 隅の魔性
 第32題 自慢の手筋
 第33題 黒六子を救出
 第34題 二対三に勝つ
 第35題 ツグ手なし
 第36題 ゆるまず追及
 第37題 外へ進出
 第38題 不完全をつく
 第39題 鶴の巣ごもり
 第40題 速断は禁物



さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・氏のプロフィール
・手筋として使われる手段と用語(コラムより)
・はじめに~手筋を知ることはレベルアップへの近道
・第1章 第2題 急所を探せ
・第1章 第12題 薄みをつく
・第1章 第15題 常用の手段(高目定石)
・第1章 第20題 左右を握手するには
・第2章 第10題 攻め合い
・第2章 第11題 左を利かして右方を侵略
・第2章 第15題 軽快にサバく
・第2章 第19題 わかればな~んだという手
・第2章 第28題 ダメヅマリ恐い
・第3章 第17題 筋悪のような手
・第3章 第21題 攻め合いに勝つには
・第3章 第40題 包囲網を突破
・第4章 第5題 ツケノビ定石の常識
・第4章 第15題 断点をつくる
・第4章 第23題 常用の筋
・第4章 第28題 弾力のある手
・第4章 第30題 一線の妙

・【補足】実戦の手筋~坂田栄男『坂田の碁2 石のシノギ方』より





手筋として使われる手段と用語



〇船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年

コラム
◆手筋として使われる手段と用語

用語  意味                     漢字
1 アテ 黒1と打つ手のこと。この形では、白は、Aとツグ 当て
2 アテコミ 次に白に打たれるとアタリになるところに打つ手 当て込み
3 ウチカキ 相手の眼を奪う手。詰碁でよく使う手段。 打ち欠き
4 ウッテガエシ 白がヌイても、すぐに取れる。 打って返し
5 オイオトシ 白がツグと、黒が取れる形 追い落とし
6 オキ 相手の勢力圏内に打つ手。詰碁やヨセに多用。 置き
7 オサエ 相手の進出を止めようとする手。欠陥があると反発される 抑え
8 オシ 相手の石に追随して打つ手。外勢を張る時に多用。 押し
9 カカエ 相手の一子を封じようとする手。 抱え
10 カケ 相手の石を封じようとする手。また「ゲタ」 掛け
11 カケツギ ツギの形 掛け継ぎ
12 キリコミ 相手のフトコロに入り込んで、「キリ」を入れる手段。 切り込み
13 キリチガイ 相手のハネた形にキッていく手段。実戦でよく使われる 切り違い
14 グズミ 「アキ三角」の愚形を作る形。 相当する漢字なし
15 コスミ 斜めに打つ手。一般に足が遅いが、堅実な手。 尖み
16 コスミツケ コスミとツケが複合した手段。先手を取りたい時によく使う。 尖み付け
17 サガリ 盤面の下(外側)に向かう手。 下がり
18 サシコミ 文字通り相手の穴に差し込んでいく手。 差し込み
19 サルスベリ スベる手のことで、「小ザル」と「大ザル」がある。 猿滑り
20 ソイ 相手の連なっている石にくっついて打つ手。 添い
21 タチ 一子の石から、盤面の中へ向かってノビる手。 立ち
22 デ 逃げ出す手。 出
23 ツキアタリ 文字通り相手の石にぶつかっていく手。ブツカリともいう。 突き当たり
24 ツケコシ ケイマの形に、ツケて打つ手。実戦ではいろいろなところで生じる 付け越し
25 トビツケ トビとツケが複合した形。 飛び付け
26 ナラビ 二子が単独で並んだ形。この形で盤面の下に向かえば「ブラサガリ」という。並び
27 ノゾキ 相手の切断をねらった手。「ノゾキにツガぬ馬鹿はなし」というが… 覗き
28 ノビ 相手の石より先行する手。相手に追随すれば「オシ」 伸び
29 ハイ 二線および一線の、低位を「ソウ」形をさす。 這い
30 ハサミツケ 文字通りハサんでツケた複合形の打ち方。 挟み付け
31 ハネ 斜めに相手に進出しようとする手。ヨセでは「ハネツギ」がおなじみ。 綽ね
32 ハネコミ ハネた形とワリコんだ形がミックスしたものをさす。 綽ね込み
33 ハネダシ 相手の勢力圏にハネて出ていく手段。 綽ね出し
34 鼻ヅケ 相手の二子から数子立っている石の先端(鼻)に単独でツケる手。 鼻付け
35 ハラヅケ 盤面の二線あたりの低位に、単独でツケる手段。 腹付け
36 ホウリコミ 相手のダメを詰める手段。オイオトシと関連することが多い。 放り込み
37 マガリ 出る形をさす。愚形になることがある。 曲がり
38 マゲ ノビた石から打つ手。「マガリ」、「マガリツケ」ともいう。 曲げ
39 ワタリ 盤面の一線、二線、三線の低位を連絡する手。 渡り
40 ワリコミ 相手の「一間」の間に単独で打つ手段。切断をねらう手。 割り込み
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、6頁、28頁、60頁、102頁、143頁。)

はじめに


【手筋を知ることはレベルアップへの近道】
〇「手筋」を知ると対局に有利
・囲碁の力をつけるには、定石、布石、中盤の攻防、手筋、詰碁、ヨセなど、個々の分野を勉強することが大切であるが、なかでも、序盤、中盤、終盤のすべての局面に使われる「手筋」を知ることが上達への近道。
・手筋を知ることによって、どんな場面でも、最善の手と思われる「筋」から読む習慣が身につき、また、勘で「手」の匂いを感じるようになる。そして常用の「筋」などもノータイムで打てるようになる。
 というのは、本筋以外の手を読む、無駄な考えを省略することができるようになるから。

〇「筋がいい」のが「手筋」
・囲碁の「手筋」とは、「その局面での最善の手段」のこと。
 定石なら「最善の着手を打ち合ってできた形」、詰碁、ヨセなら「最善の手」を打ったのが手筋。
・だから、好手、巧手、妙手と呼ばれる「筋のいい着手」が手筋であって、「筋の悪い着手」である凡手、俗手、愚手、悪手を手筋とはいわない。

〇「手筋」の場面は「筋」の連続
・本書は、実戦によく現れる定石、攻め合い、詰碁、ヨセの局面を問題形式で紹介した。
 やさしいものから、ややむずかしいものもあるが、手筋の基本という観点からのもの。
・手筋の問題は、一発で決まるものもあるが、ほとんどは手筋の連続になる。
 問題図には、ヒントがたくさんあるが、なるべく読まないで解いてほしいという。
(なお、本書と、手筋の分野である既刊の『実戦の死活』『実戦のヨセ』と合わせて読むことをお薦めする)
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、2頁)

第1章 小手調べ・基本の手筋20


〇一手で決まるような、やさしい形、基本の手筋を中心に、ウォーミングアップの問題。

第1章 第2題 急所を探せ


第1章 第2題 急所を探せ(黒先)
・白はダメヅマリの形。
黒は急所の一撃で、先手で利を得ることができる。
【ヒントのヒント】三目の真ん中

【正解】
・黒1の「三目の真ん中」が急所。
・白2とカケツげば、続いて……

【正解続き】
・黒3のオサエ、白4と隅を生きにくれば、黒5のウッテガエシで先手で三子をもぎ取る。

【失敗1】
・黒1のハネは、白2、4とハネサガられて、面白くない。
・黒5なら、白6と備える。

【失敗2】
・黒1のハネは筋違い。
・白2と守られ、黒A、白B、黒C、白D、黒E、白Fで白の生き。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、7頁~8頁)

第1章 第12題 薄みをつく


第1章 第12題 薄みをつく(黒先)
・隅の白は見るからに薄い形をしている。
 黒からうまい手筋がある。
【ヒントのヒント】白の三子が取れる

ツケコシ
【正解】
・黒1のツケコシが、白の弱点をついた手筋。
・続いて……

【正解続き】
・白2と下から受けるぐらいだろうから、黒3から7と白三子を制することができた。

【変化】
・黒1に、白2なら、黒3とキリ。
・白4から黒7までとなり、白(7,十七)の切り離しに成功。

【変化の変化】白7ツギ(5の上)
・前図白4で、本図白1とサガるのは、黒2以下8までとなって、白はダンゴにされる。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、17頁~18頁)

第1章 第15題 常用の手段


第1章 第15題 常用の手段(黒先)
・高目定石で、三角印の白とアテたところ。
 定石を完成させよ。
【ヒントのヒント】囲碁格言「〇〇にして捨てよ」

【正解】ノビて二子にして捨てる
・黒1と「二子にして捨てる」のが形。
・白2に、黒3を利かして、白4、続いて……

【正解続き】
・黒5から7と、捨て石を活用して、黒9の好形の守りにつく。

【失敗】
・黒1とすぐにアテるのは、白2とヌカれて、下辺が止まらない。

【参考】
・高目定石の手順を示す。
 問題図は、黒5、白6となった場面。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、21頁~22頁)

第1章第20題 左右を握手するには


第1章第20題 左右を握手するには(黒先)
・左辺の黒は、右方の黒と連絡すれば、Aと手を入れる必要がない。
【ヒントのヒント】白のダメヅマリをつく

ワリコミ
【正解】
・黒1のワリコミが、白のダメヅマリをついた急所。
・続いて……

【正解続き】
・白2とオサエれば、黒3と打って、白Aとツゲない形に。

【失敗】
・黒1と出るのは俗手。
・白2とツガれて、手にならない。
・黒3には、白4。

【参考】
・この形、白番ならば、黒の打ちたいところ、白1に備えるのが正解。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、25頁~26頁)

第2章第10題 攻め合い


〇第2章は、置碁や互先の実戦によく現れる形を問題に取り上げている。
 定石、布石、ヨセ、詰碁のスタイルが登場する。

第2章第10題 攻め合い(黒先)
・攻め合いは白に負けそうな形をしているが、黒は巧妙な筋で逆転勝ち。
【ヒントのヒント】じかにダメを詰めない

コスミ
【正解】
・白三子のダメを直接詰めないで、Aのサガリを見て、黒1とコスむのが好手。
・続いて……

【正解続き】
・白2のカカエなら、今度は黒3とダメを詰める。
・以下黒7まで、攻め合い勝ち。

【失敗1】黒7ツギ(3の右)
・黒1のカカエは、白2、4と下からまくられて、黒5、7と打っても手数が延びない。

【失敗2】
・黒1と直接ダメを詰めていくのは、白にAもしくはBと打たれて、簡単に手負け。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、37頁~38頁)

第2章第11題 左を利かして右方を侵略


第2章第11題 左を利かして右方を侵略(黒先)
・隅は白が三々に入った形であるが、黒としては隅を利かせて、右方を荒らしたいところ。

【ヒントのヒント】定石と違う利かせ方

サガリからハネツギ
【正解】
・黒1のサガリが好手。
・白の隅は手を抜けないから、白2のオサエ。
・続いて……

【正解続き】
・黒3、5のハネツギを先手で決めて、黒7と躍り込む。
※白はAと守るぐらいだろう。

【失敗】
・黒1のハネツギは、右方の白地を大きく減らすことができない。
・続いて……

【失敗続き】
・黒5の大ザルでスベルところだが、以下白12までの結果は、正解に劣る。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、39頁~40頁)

第2章第15題 軽快にサバく


第2章第15題 軽快にサバく(黒先)
・実戦によく現れる形。
 軽快にサバくと、白は大いに困る。
【ヒントのヒント】デギリは俗手

ケイマにツケコシ
【正解】
・黒が、囲碁格言「ケイマにツケコシ」の典型的なスタイル。
・続いて……

【正解続き】
・白2と出てくれば、黒3とキリ、白4には、黒5とオシて、黒はA、Bを見合いにする。

【失敗】
・黒1のデギリは俗手。
・白2に、黒3とキッても、白4、6から8とサバかれてしまう。

【変化】
・正解図の結果では、白はよくないので、黒1に、白2とトンで、はずすところだろう。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、43頁~44頁)

第2章 第19題 わかればな~んだという手


第2章 第19題 わかればな~んだという手(黒先)
・左辺の黒は白のダメヅマリをついて、右方の黒とつながることができる。

【ヒントのヒント】手順が大切

【正解】デからウッテガエシ
・黒1と出る。
 この一手で白は困っている。念のために、続いて……

【正解続】
・白2のツギなら黒3と出る。
・白4のツギには、黒5とホウリコんで、ウッテガエシ。

【変化】
・黒1に、白2のツギは、黒3と出る。
・白4のツギには、黒5で、やはりウッテガエシ。

【失敗】
・黒1とこちらを出るのは、白2とツガれ、黒3には、白4と元をツガれて失敗。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、47頁~48頁)

第2章第28題 ダメヅマリ恐い


第2章第28題 ダメヅマリ恐い(黒先)
・白のダメヅマリをついて、黒五子を生還させることができるか?
【ヒントのヒント】三目の真ん中

ワリコミ
【正解】
・黒1のワリコミが「三目の真ん中」の急所。
※ダメヅマリで白は困った。
・続いて……

【正解続き1】
・白2のオサエなら、黒3とノビ。
※なお、白2で3でも、黒2で似た形。
・続いて……

【正解続き2】
・白4とツイでも、黒5とツガれて、オイオトシで、白はAにツグことができない。

【失敗】
・黒1のノゾキは方向違い。
・白2にツガれ、黒5まで辺で得しても、黒五子が取られる。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、55頁~56頁)

第3章第17題 筋悪のような手


〇第3章は、第2章と同様に、題材は実戦によく現れる形を取り上げているが、ちょっと骨のある問題をちりばめている。

第3章第17題 筋悪のような手(黒先)
・実戦によくできる形。
・黒の一手目は、意外に盲点かもしれない。
【ヒントのヒント】白に断点をつくる

サシコミからキリ
【正解】
・黒1のサシコミが白の断点をつくる。
・白2とツゲば、黒3とキリ。
・続いて……

【正解続き】
・白4のソイには、黒5とハネ。
・白6、8と突き抜かれても、続いて……

【正解続き】
・黒9とキル手があり、白10には、黒11から13とカケる手があって、白を封じ込める。

【失敗】
・一例として、黒1から3と打つのは、白4以下11となったとき、外の姿が正解より劣る。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、77頁~78頁)

第3章第21題 攻め合いに勝つには


第3章第21題 攻め合いに勝つには(黒先)
・下辺は攻め合いの形であるが、黒が普通にダメを詰めていって、白に勝てるとは思えない。
【ヒントのヒント】シボリの形に導く

鼻ヅケ
【正解】
・黒1の鼻ヅケが急所。
・白2には、黒3から5が肝心。
・白6、8と取らせ、続いて……

【正解続き】
・黒9のホウリコミ、白10のツギには、黒11とオサエて、攻め合いに勝つ。

【変化】
・黒1に、白2、4は、黒5のオサエでいい。
・白6には、黒7以下黒9まで、攻め合い勝ち。

【失敗】
・黒1とグズむのは、白2とサガられる。
・黒3とダメを詰めても、白4で攻め合い負け。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、81頁~82頁)

第3章第40題 包囲網を突破


第3章第40題 包囲網を突破(黒先)
・黒は白に包囲されている。
・これを突破するには、一手目と五手目が急所になる。
【ヒントのヒント】左辺の白の欠陥は四線と二線

ワリコミ
【正解】
・黒1のワリコミが手筋。
・白2には、黒3とキッて、白4とヌカせる。
・続いて……

【正解続き】
・黒5とアテコむのが、また手筋になる。
・白6のキリには、黒7とサガって、ワタリ。

【失敗1】
・黒1のツキアタリは手にならない。
・白2とグズまれて、後が続かない。

【失敗2】
・先に黒1とアテコむのは、手順前後。
・白2とツガれ、A、Bが見合いになる。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、99頁~100頁)

第4章第5題 ツケノビ定石の常識


〇手筋は、連続技で決まることがほとんど。第4章では、代表的なコンビネーションで決まる形を取り上げている。

第4章第5題 ツケノビ定石の常識(黒先)
・実戦によくでる、星のツケノビ定石の定型。
 連続技で、白を裂いて進出。
【ヒントのヒント】三手目が大切

カカエからツケてシボリ
【正解】
・黒1とカカエてから、白2に、黒3とツケてカケるのが、この形の手筋。
・続いて……

【正解続き1】
・白4から6のデには、黒7とオサエ、白8とヌカせて、黒9とツギ。
・続いて……

【正解続き2】
・白10に、黒11、13とこちらを決め、黒15、17と、中の白の攻めに向かう。

【参考】
・黒1には、白2とアテ、黒3とヌカせて、白4と二間にヒラくのが定形になる。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、107頁~108頁)

第4章第15題 断点をつくる


第4章第15題 断点をつくる(黒先)
・黒は三々にオサエては落第。
・白の断点をつくることが肝心。
【ヒントのヒント】白の断点をたくさんつくる

サシコミからキリ
【正解】
・黒1のサシコミで白の断点をつくる。
・白2とツグのが正しい手であるが、続いて……

【正解続き】
・黒3とキリ、白4、6には、黒7とカカエて、隅を大きく確保。

【失敗1】
・黒1、3は俗筋。
・黒5から9まで正解と同じであるが、右方の黒▲が動きにくくなっている。

【失敗2】
・黒1と隅をオサエるのは、ぬるい手。
・白2と攻防の要点に回られる。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、117頁~118頁)

第4章第23題 常用の筋


第4章第23題 常用の筋(黒先)
・実戦によく現れる形。
・黒が隅を制するにはどうしたらいいだろう?
【ヒントのヒント】二目にして捨てる

デギリからサガリ
【正解】
・黒1のデから、白2のオサエに、黒3とキルのがポイント。
・続いて……

【正解続き1】
・白4のアテに、黒5とサガるのが肝心で、白6、8と黒二子を取らせる。
・続いて……

【正解続き2】
・黒9のホウリコミが決勝点。
・白10には、黒11から13と詰めて、黒の勝ちになる。

【失敗】
・黒1のツケは、白2とさえぎられて、黒は単なる持ち込みになる。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、125頁~126頁)

第4章第28題 弾力のある手


第4章第28題 弾力のある手(黒先)
・黒は弾力のある手を打つことによって、黒▲と連絡することができる。
【ヒントのヒント】隅を先手で決める

ハネからカケツギ
【正解】
・黒1のハネから、白2に、黒3とカケツぐのが、しゃれた手。
・続いて……

【正解続き】
・白4、黒5を利かされるが、白6の生きを催促し、黒7の連絡に回る。

【変化】
・前図白6で、本図白1とさえぎると、黒2、4とハネツがれて、隅の白が死に。

【失敗】
・黒1とハネるのは、白2とオサエられ、黒3とハサミツケても、白4とコウに粘られる。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、129頁~130頁)

第4章第30題 一線の妙


第4章第30題 一線の妙(黒先)
・平凡にカミトるのでは、黒は連絡することができない。
・白のダメヅマリをとがめる。
【ヒントのヒント】最後はウッテガエシ

ハネからハイコミ
【正解】
・黒1のハネから、黒3とハイコむのが妙手。
・白4とオサエれば黒5とツギ、続いて……

【正解続き】
・白6とツゲば、黒7のホウリコミが用意していた筋。
・白8と取れば、黒9でオイオトシ。

【失敗1】
・黒1のキリは、白2のデから、白4のサガリで、遮断されてしまう。

【失敗2】
・黒1のオキは、筋違い。
・白2に、黒3、5のオイオトシねらいも、白6と取られて不発。
(船越哲治『囲碁・実戦の好手筋130』山海堂、2003年、131頁~132頁)

第1章 石の逃げ方  第6型(23頁~)2025年3月11日
【補足】実戦の手筋~坂田栄男『坂田の碁2 石のシノギ方』より

【補足】実戦の手筋~坂田栄男『坂田の碁2 石のシノギ方』より


 ここで、実戦に現れる手筋について、次の著作を参考にして述べておこう。
〇坂田栄男『坂田の碁2 石のシノギ方』平凡社、1963年[1977年版]
 坂田栄男氏は、「カミソリ坂田」とか「シノギの坂田」という綽名で呼ばれたほど、シノギには定評のあったプロ棋士である。
 岩本薫八段との対局を題材にシノギ、手筋について解説されているので、紹介してみたい。

第1章 石の逃げ方  第6型


第1章 石の逃げ方  第6型(白の手番)
【テーマ図】
・第5期早碁名人戦、岩本薫八段との対局、わたしの白番(わたし:著者の坂田栄男氏)
・黒▲とオサえて左右の白をへだててきた。
・白はとりあえず右方の三子を助けなければならないが、直接外へ逃げだす手があるかどうか。
・一工夫して無事にシノいでほしい。

【第6型解説】
・まず予備知識として、左方の白の欠陥にも目をとめていただきたい。
【参考図1】
・黒1とオサエ込むねらいがあるところ。
・ただし、いますぐ決行するのは、白2のツギから4とキラれて、黒も成算がもてない。
※したがって、黒のこのねらいは上辺中央の変化によって実現してくるかもしれず、それだけに白の上辺での応戦は苦心を要する。
 上辺の白のサバキをいろいろやってみることにする。

【参考図2】
・白1のコスミであるが、これに対しては黒2と手強く反発してくる。
・白3には黒4のグズミがまた強手。
※こうなっては白最悪の状態。
 右方の数子を丸のみにされたうえ、参考図1に示した黒のねらいもはっきりしてしまう。
 白のシノギは、上辺カナメの黒二子を逆にトッてしまう以外に考えられないものかどうか。いずれにしても、黒二子をトル手はないようで、白はほかの考え方をしなくてはいけない。

【参考図3】
・白1のカケは大いに考えられる手。
・黒は直接二子を動きださず、2とハザマをついてフリカワリを図ってくるだろう。
・以下、白5、黒6までのワカレであるが、これは右上一帯の黒地がぼう大で、黒としても不満のない形。
※白1はいわば応手に苦しんだ妥協策ということろであるが、まだ工夫が足りない。

【第1図】
・白1のトビが唯一のシノギ筋。
・黒2のとき、もう一手白3とダメをツメるのが肝要な手順。
・これに対しては黒4と引きあげるしかなく、白は5とワタッて上辺全体、事なきを得た。
・黒4とここで引きあげる理由については次図を示す。

【参考図4】
・白1のオサエに、なお黒2とさえぎるのは無理。
・こんどは白3のカケが成立して逆に黒がトラれてしまう。
・次図へ――

【参考図5】
・黒1から3とハザマをつく手も、すでに黒はダメヅマリになっていて、助かる見込みはない。
・黒1を打たずにたんに3としても、結果はおなじ。
・白△の一手が絶妙に働いていることがわかる。

〇第1図にもどって、白3のオサエ込みがなぜ肝要な手順になるかをしらべてみよう。
【参考図6】
・すぐに白1とカケるのは黒2と一本出て、白3のオサエなら、黒4とまがられる。
・これによって手数がふえてきたから、こんどは黒6が成立する。
※黒6に続いて攻め合いが予想されるが、これがまた相当複雑な形をしている。 
 次図を見るまえに結果を確かめていただきたい。

【参考図7】
・白1から3とキル攻め合い。
・黒6とキル手順にむだはない。
・黒8、白9となってほぼ攻め合いの様相がはっきりしてきた。

【参考図8】
・黒1、3とシボリをきかして5のハネ。
・いうまでもなく白はaとウケてコウでがんばるよりない。
※外がさんざんの形になったうえ、こんな大きなコウにされてはそれまで。
 コウは黒のトリ番で、白はこれに代わるコウダテがない。

【参考図9】
・黒5で黒1とオサえても黒の有利なコウになる。
・白2の目もちには黒3、白4のあと黒5とホウリ込むのが手筋。
・白6、黒7までのコウ。
※これも黒のトリ番になるから、問題なく黒有利。

【参考図10】
・黒1とまがったとき、白2とオサえるのはダメヅマリの形になっていけない。
・黒3から5とキル手が生じ、白はどちらか一方がシノげなくなってしまう。

【参考図11】
・前図に続いて白1とダメをツメて攻め合いにもちこむが、黒2のホウリ込みから、4、6ときめて白一手負け。

【参考図12】
・したがって、白は前図の白1では、本図のように、ワタるしかない。
・するとこんどは黒2とトバれて、白はこれ以上反発する手段がなくなる。
※黒2はaのアテから先にすればなおわかりやすいだろう。
※本題、感覚の問題というよりは手筋とヨミに重点があるが、シノギの場面におけるヨミは勝敗に決定的な影響をおよぼすから、念には念を入れて確かめる訓練をしていただきたいという。
(坂田栄男『坂田の碁2 石のシノギ方』平凡社、1963年[1977年版]、23頁~28頁)


≪囲碁の手筋~趙治勲氏の場合≫

2025-03-09 18:00:03 | 囲碁の話
≪囲碁の手筋~趙治勲氏の場合≫
(2025年3月9日投稿)

【はじめに】


 今回も引き続き、囲碁の手筋について、次の問題集を参考にして考えてみたい。
〇趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]

【趙治勲氏のプロフィール】
・1956年生まれ。韓国釜山市出身。
・1962年来日、故木谷実九段に入門。
・1968年、11歳で入段。1971年、五段。1981年、九段。
・1975年、第12期プロ十傑戦で初のビッグタイトルを獲得、その後、各種棋戦で活躍し、1980年名人位に就く。以後1984年まで5連覇。名誉名人の資格を得る。
・1981年、本因坊と併せ持ち、タイトル戦史上4人目の名人・本因坊となる。
・1982年、名人、本因坊、十段、鶴聖の4冠制す。
・1983年、棋聖位を獲得、3大タイトルを独占。棋聖戦3連覇。
・1987年、天元位を獲得し、史上初のグランド・スラム(7大タイトル制覇)達成。
・1989年、本因坊奪取、以降10連覇で二十五世本因坊の称号を受ける。
・1996年、11年ぶりに名人奪取、2度目の大3冠を達成。
・1998年、3巡目の大3冠。
・2002年、タイトル獲得65となり、二十三世本因坊坂田栄男の記録を抜く。
・2014年、第4回マスターズカップ優勝。
※2014年9月現在、タイトル獲得数73。平成24年、通算1400勝達成。



【趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビはこちらから】



〇趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]

【目次】
まえがき
第1章 形で覚える手筋 基本問題
第2章 形で覚える手筋 練習問題
第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題
第4章 2つ一組で覚える手筋 練習問題
第5章 総合演習問題



第1章 形で覚える手筋 基本問題
 アテ アテ返し アテコミ オサエ カケ 切り ケイマ コスミ
コスミツケ サガリ サシコミ シメツケ タケフ ツケ ツケコシ 出切り
二段バネ ノゾキ ノビ ハネ ハサミツケ マガリ ワリコミ  

第2章 形で覚える手筋 練習問題 
 問題1~問題148
第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題
 ウッテガエシ狙い ホウリコミ ホウリコミとウッテガエシ狙い
 カケツギ カタツギ カケツギかカタツギか 急所を求める 急所を守る
 コウを仕掛ける コウを狙う コウを避ける フクラミ フクラミを防ぐ

第4章 2つ一組で覚える手筋 練習問題
 問題1~問題92
第5章 総合演習問題
 問題1~問題124




さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・氏のプロフィール
・まえがき
・第1章 形で覚える手筋 ツケ
・第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 ウッテガエシ狙い
・第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 急所を攻める
・第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 コウを仕掛ける
・第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 コウを狙う
・第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 コウを避ける
・第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 フクラミを防ぐ
・第5章 総合演習問題

【補足】手筋としての攪乱のツケ~趙治勲『ツケの技法』より
【補足】趙治勲氏の実戦譜~『現代囲碁名勝負シリーズ3 趙治勲』より



まえがき


〇本書は全600問を盛り込んだボリューム満点の基本手筋問題集。
・鮮やかな手筋だけでなく、実戦によく出てきそうな地味な問題を中心に集めたという。
(本書を読んだ後に碁会所に行けば、すぐに使えるような手筋ばかり)
・何度も何度も繰り返し読み、問題を見た瞬間に答えが思い浮かべるようになるまで、がんばってほしい。

〇本書は5章構成
・第1、3章では、基本的な手筋をテーマ図でおさらいし、直後の基本問題で練習する。
・第2、4章では、第1、3章の問題を向きや場所を変えて並べた。
(腕に覚えのある人は、第2、4章から先に解いても構わない。もし間違えたら、必ず各テーマのページに戻って復習してほしい)
・そして第5章の総合演習問題がさらさらと解けるようになれば、対局中、手筋があなたの心強い味方になってくれるでしょう。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、2頁)

第1章 形で覚える手筋 ツケ


【テーマ図 ツケ】黒番
・黒四子はもう取られている。
 どのように捨てるかが大切。

【正解】(シメツケる)
・黒1のツケでシメツケ。
・白4までと、先手でキズ一つない厚みを作ることができる。

【失敗】(キズ残り)
・黒1では踏み込みが足りない。
・白2のハイを決められると、キズが残ってしまう。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、67頁~68頁)

第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 ウッテガエシ狙い


【テーマ図 ウッテガエシ狙い】黒番
・白の形をよく見て、弱点を探してほしい。
・急所をついて、白の形を崩そう。

【正解】(形を崩す)
・黒1のコスミツケで、ウッテガエシを狙おう。
・白2と守れば、黒3のハネで攻める。

【正解変化】(ウッテガエシ)
・黒1に対し、白2とノビれば、黒3とウッテガエシで白二子を取ろう。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、195頁~196頁)

第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 急所を攻める


【テーマ図 急所を攻める】黒番
・白をどのように攻めるか。
・根拠を奪う急所を探してほしい。

【正解】(急所へ一撃)
・黒1と、急所へ迫ろう。
※黒aの切りを狙いながら、根拠を奪う厳しい攻め。

【失敗】(チャンスを逃す)
・黒1とケイマすると、白2と守られてしまう。
※眼形が豊富なので、攻めが途切れてしまう。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、223頁~224頁)

第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 コウを仕掛ける


【テーマ図 コウを仕掛ける】黒番
・白は眼を二つ持っているように見えるが、まだ隙が残っている。

【正解】(眼を奪う)
・黒1のホウリコミが正解。
・白は2と取り、コウが始まる。

【失敗】(チャンスを逃す)
・白に1と守られると、チャンスを逃してしまう。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、233頁~234頁)

第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 コウを狙う


【テーマ図 コウを狙う】黒番
・Aのキズを守ってほしい。
・一工夫すれば、先手で切り上げられる。

【正解】(黒aを狙う)
・黒1のカケツギが正解。
※もし白が手抜きすれば、黒aのホウリコミを狙える。

【失敗】(白の反発)
・黒1のサガリには、白2の切りで反発してくるだろう。
・黒3が必要なので、黒は後手を引く。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、239頁~240頁)

第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 コウを避ける


【テーマ図 コウを避ける】黒番
・白1とハネてきた。
・あわてて受けると、思わぬ反発が待っている。

【正解】(コウを避ける)
・黒1とノビるのが、冷静な受け方。
※白にコウを仕掛ける余地を与えない。

【失敗】(コウになる)
・黒1のオサエは危険。
・白2と切られ、コウになってしまう。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、243頁~244頁)

第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 フクラミ


【テーマ図 フクラミ】黒番
・定石の真っ最中で、白が手を抜いてきた。
・次の一手でとがめてほしい。

【正解】(脱出)
・黒1のフクラミが絶好点。
※白二子を攻めることができる。

【失敗】(チャンスを逃す)
・白に1とノビられると、チャンスを逃してしまう。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、247頁~248頁)

第3章 2つ一組で覚える手筋 基本問題 フクラミを防ぐ


【テーマ図 フクラミを防ぐ】黒番
・激しく競り合っている局面。
・戦いを有利にする一手を探そう。

【正解】(無駄のない利かし)
・黒1と、白のフクラミを防ごう。
・白は2と受けるくらいなので、無駄のない利かし。

【失敗】(あわてすぎ)
・黒1と、いきなりヒラくのはあせりすぎ。
・白2とフクラまれると、一気に窮屈になってしまう。
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、251頁~252頁)

第5章 総合演習問題


・本章では、第1章から4章の問題を集めたという。
 ここまで学んだことをしっかり活用して、どんどん解いていこう。

 例えば、問題29~32では次のようにある。
(問題は4題一組で、解答は手筋と参照ページ数のみである)
【問題29】黒番
【解答】アテコミ、P15

【問題30】黒番
【解答】ノビ、P95

【問題31】黒番
【解答】ハサミツケ、P105

【問題32】黒番
【解答】ウッテガエシ狙い、P195
(趙治勲『ひと目の手筋 問題集600』マイナビ、2008年[2014年版]、319頁~320頁)

【補足】手筋としての攪乱のツケ~趙治勲『ツケの技法』より


第4章 【第1題】攪乱のツケ


<第1題>攪乱のツケ
〇1譜 中盤の常用手
・つぎの一手は、黒1の内ヅケだった。
※スベって二間にヒラいた形でよく用いられ、その意図は攪乱。
 白の構えを破って、一定の利益をあげるのを目的としている。
 基本型なので、おおまかな変化をマスターしておけば、すぐにも実戦に役立つ。

【1図】
・白1にブツカリ、黒2にまた白3のブツカリでシノいでいる、と教えられた人も多いだろう。
※しかしこの受けはおすすめできない。
 げんにプロはほとんど白1、3とは打たない。

【2図】
・なぜかといえば、部分的にシノいではいても、黒2から6まで利かされるのがいかにも低位でつらいから。
・黒6はaで利かされるかもしれない。

【3図】
・おすすめは、白1の下ハネ。
・黒2の手筋に白3と取ってしまう。
・黒6まで1子切り離されはしたけれど、白手厚く、先手。
※これが基本と心得てほしい。

【4図】
・白3のほうを取れば、黒4、6で破られる。
(こう打つのがいい場合もある)

【5図】
・黒2のハネから、2子犠牲にして塗りつける戦法。
※これはよほど厚みをつくりたいときの、特殊な打ち方といえる。
(趙治勲『ツケの技法』河出書房新社、2001年、182頁~183頁)

【補足】趙治勲氏の実戦譜~『現代囲碁名勝負シリーズ3 趙治勲』より


第四局 趙治勲vs呉清源


清峯会公開早碁
昭和44年11月14日
先着3目半コミもらい 持時間各25分・1手45秒

第四局(白中押勝) 九段 呉清源
         先番 三段 趙治勲
・趙は、入段前の10歳頃から現在にいたるまで、呉の打碁は並べ続けている。
 呉のすばらしさをこう語る。
「呉先生の碁はたえず自由で、形にはまったところがありません。未来を見る視野が広いというのでしょうか。そして自由でありながら、固有のものを作り上げています」
 呉の自由の精神は不滅である。
≪棋譜≫(1-54)

【第1譜】(1-22)1旧定石
・白8の手が最初に試みられたのは、昭和27年3月。
 呉清源と藤沢庫之助(朋斎)の第二次十番碁第5局。
【第2譜】(23-54)2反発の精神
・黒25は、31とハネ、33とぶつかったとき、白が2図、1と立てば、黒2、4と出切って、以下12まで絞る筋を狙っていた。これは、黒の注文。
・昭和40年代は白24の二間高バサミ定石が流行。
・対応としての黒25の大々ゲイマは木谷道場でも研究の対象になっていた。
※木谷道場には、師範格の梶原武雄がいた。序盤の構想は独創的であり、梶原定石も多く開発した。木谷門は、大いに梶原に啓発された時期でもあった。
・白は34と下がり、黒37に、38と地に走る。まずは、五分の分かれ。
・白46、48は自由の精神。
・黒49は、のぞきで利かされとみての反発の精神。
【2図】

(趙治勲『現代囲碁名勝負シリーズ3 趙治勲』講談社、1986年、34頁~36頁)

第六局 羽根泰正vs趙治勲


第5回新鋭トーナメント戦 決勝
昭和48年6月25日
先番5目半コミ出し 持時間各15分 1手30秒
第六局(白中押勝) 先番 八段 羽根泰正
           五段 趙治勲
       
・趙が脚光を浴びはじめたのは、第5回新鋭トーナメントで優勝したときである。
 決勝戦は、趙・羽根戦になった。
 羽根泰正は島村俊廣九段門、昭和19年生まれ。“中京のダイヤモンド”といわれた逸材。
(攻めの強い棋風で、特に高中国流の布石からの「戦いの碁」を得意とする。なお羽根直樹九段の父)
≪棋譜≫(1-75)

【第1譜】(1-16)1空中殺法
・黒13は大模様の必争点。
・白は両三々で隅の地がからい、模様が荒らし荒らしになれば、それなりに打てると判断。
・白16から偵察機を飛ばした。
※黒1、3、5の三連星、中国流布陣の消しの研究が用いられる。

【第2譜】(17-33)2さばきの調子
※羽根はなかなかの力戦家。
 三連星は、模様を張り、そこへ侵入するものあれば、ただちにこれを攻めるというパターンだから、力に自信があり、攻めを得意とする棋風に合っているかもしれない。
 消しは、相手の攻めを緩和するときの作戦。
 白の偵察に、黒の対応も難しい所だが、
・黒17、19のツケ切りは、疑問だった。白にさばきの調子を与えた。
・白20から24と、あっさり打たれて、黒は攻めきれない。
【第3譜】(34-51)3白、満足
※プロの卵は、あまり考えないで早く打つ練習をさせられる。
 感覚を養う修練を積むためのものだ。
 だから、新聞棋戦で持ち時間をフルに使うタイプの趙とはいえ、早碁がそれほど苦手ということでもない。ふだんからの心構えであろう。
・白36から38は一連の手筋。
・白50はぬるかった。
【第4譜】(52-75)4手筋の応酬
※テレビ碁の醍醐味は、石が競って、目まぐるしく展開することだろう。
 すると、さらさらという石の流れよりは、力戦、むしろ乱戦がファンに喜ばれることになる。趙も羽根もテレビ向きといえよう。
・白52で白(12, 四)と囲っておけば、白がはっきり優勢。
 それを黒模様へ踏み込み、あわよくば中央を白模様にしようとするから、黒55から混戦になる。おもしろくもなる。
・白60は、単に62のコスミがよかった。
・黒61と換わったため、63、65とさばき筋が見えた。
・が、白も72と割込んで、74のツギ。さばきの筋で応酬する。
 黒は苦戦をしいられる。
(趙治勲『現代囲碁名勝負シリーズ3 趙治勲』講談社、1986年、48頁~52頁)

第二十八局 大竹英雄vs趙治勲


第30期NHK杯争奪トーナメント戦 決勝戦
昭和58年2月21日
先番コミ5目半出し 持時間各5分 秒読み1手30秒

第二十八局(白半目勝) 九段 趙治勲
         先番 九段 大竹英雄
321手完 白半目勝

<NHK杯初優勝>
・NHK杯戦。趙は両目のあいた1勝で準決勝で、決勝戦は早碁にめっぽう強い大竹と顔があった。
 昨年、趙との名人戦の最中、大竹は腰痛に見舞われ思うにまかせなかった無念がある。
 また、趙、関係者、囲碁ファンにもめいわくをかけたことを気にしている。秋に向けて体力作りをし、趙の碁を見きわめるべく努力をし、もう一度名人戦で趙と雌雄を決したいところであろう。
・さて、決勝戦。趙は棋聖戦ではいつくばりながらも1勝を返したあとだけに、やや気らくになったか、好きなように自分の碁を打った。実利をかせぎ、あとはしのぎにまかせる。
 最後の最後でも逆転のチャンスが大竹にあったが、大竹は形勢を楽観していたようだ。テレビ碁の醍醐味である終始はらはらした、両対局者の持ち味がよくでた一戦は、321手で、白番の趙が半目勝ち。

≪棋譜≫(1-132)

【第1譜】(1-50)1白、大忙し
※大竹が攻め、趙がしのぐという両者の棋風がよくでた一戦。
・白18で19と左辺を受ければおだやかだった。
・黒19に、白20と地にからくいったため、黒23、25の突き出しを許し、白がつらい。
・黒47、49とあおって、黒好調。
【第2譜】(51-100)2急所をはずす
・黒61が失着。白の急所をはずした。
・白68と飛び出して、白はひと息ついた。
・しかし、白84がそっぽ。
・黒85、87と突き抜かれて、白はまた苦戦に陥った。
・これで、大竹が波に乗れるかと観ていたが、黒97の出が問題。
・黒97、白98の交換は、黒bとのぞいたとき、白cのツギなら、黒dに出る手段を含みにしているが、黒98とツイでおくのが厚かった。
【第3譜】(101-132)3みんなしのぐ
※白は右辺と中央の大石両方をしのがなくては、勝てない。
 が、黒からトドメの一発がなかなかでない。
 そうこうしているうちに、白が無事収まり、気がついてみたら、地合でリードしている。
※坂田と趙は棋風が似ている。
 かせぎまくって、あとはしのぎ勝負という勝ちのパターンは、もともと、坂田のお家芸。
 その坂田も、最近の趙にはすっかりお株を奪われたかっこうである。
 この碁の解説に当たった坂田は、白の大石は大丈夫かと危ぶみ、おもしろがっているふうでもあった。
(趙治勲『現代囲碁名勝負シリーズ3 趙治勲』講談社、1986年、242頁~246頁)

村瀬利行「趙治勲 運命を切り開く」


〇趙治勲氏の碁について、村瀬利行氏は、「趙治勲 運命を切り開く」(278頁~289頁)において、次のようなことを述べている。
・趙の人生観は、たえず「現在」において、最善のものを求めるべく努力することにある。
 それが盤上であっても同じであり、独特の地のからさ、足早な戦法につながっていく。
 趙の碁は、呉清源、坂田栄男と線上を同じくするといわれる。
 趙が、現在もよく、次もよく、その次もよく、と考えるのは、たえず自己と現実を厳しく対比する作業の中で自己の論理を磨くことでもある。

・坂田栄男、加藤正夫、武宮正樹三人が、「囲碁クラブ」(昭和58年7月号)の座談会で、趙治勲の強さについてこう語る。
加藤「手どころをよく読んでますね。奥深くまで」
武宮「よく読んでいますね。でも治勲さんの強さというのは結局人間的なものじゃないですか。非常に自分に厳しくて人に優しいというか、心の広さというか、そういうのがでるんじゃないですか」
坂田「精神力がものすごく強いね。彼の読みはいちばんいい手を、厳しい手を模索しているところがあるんですよね。実際に打つ手は妥協することがあってもその思考過程において妥協しないわけよ。考え方が非常に真理に近づこうという姿勢が正しいんじゃないの」

・碁は実利派と厚味派に分けてよく比較される。
 趙は実利派であり、厚味派は藤沢秀行、大竹英雄の系列といわれる。
 実利派は「走る碁」で、地をかせぎ走りまわる。地をかせげばふつうは薄い碁になり、現実的で勝負にからく、味けないと観られがちである。
 厚味派は「力をためる碁」で、含みとか余韻があり味わい深いとされる。
 それゆえに、日本人の情緒にうったえるものがあるのか、「走る碁」よりも評価される傾向にある。
・しかし、「ほんとうの意味で厚く打つことが地にからいということであり、ほんとうの意味で地を取れば、碁は厚くなる」「碁は決して単純な思考で割り切れるものではない」
 趙は、つねに最善を求めれば、単なる実利とか厚味という観念を超えた真理があるのではと村瀬氏は考える。

・藤沢秀行との棋聖戦をふりかえって、趙はこう語る。
「私は執念とかねばりとかいわれ、よほど勝ち負けに貪欲なように見られていますが、ほんとうは勝つことにそれほど関心はありません。まったくないわけではありませんが、最近は勝ち負けと、もう少し別のことを考えています」
※「もう少し別のこと」とは何であろうか。
 村瀬氏は、趙が尊敬し目標とする呉清源の評から推測できるとする。
「呉先生の真髄は自由の精神」
「呉先生の碁は形にはまったところがありません。未来を見る視野が広いというのでしょうか。自由でありながら、固有のものを作り上げています」
(趙治勲『現代囲碁名勝負シリーズ3 趙治勲』講談社、1986年、278頁~289頁)



≪囲碁の手筋~原幸子氏の場合≫

2025-03-02 18:00:02 | 囲碁の話
≪囲碁の手筋~原幸子氏の場合≫
(2025年3月2日投稿)

【はじめに】


 今回のブログでも引き続き、囲碁の手筋について、次の小事典を参考にして考えてみたい。
〇原幸子編『新・早わかり 手筋小事典 目で覚える戦いのコツ』日本棋院、1993年[2019年版]
 「目で覚える戦いのコツ」という副題にもあるように、攻めや戦いをテーマにした手筋を中心にまとめた小事典である。
 編集にも工夫が凝らしてある。
 たとえば、第1章「目で覚える手筋いろいろ」で、これだけは是非とも心得ておいてほしい実戦型、基本型をまとめて特色をうち出したそうだ。ねらいは、手筋、急所の発見には直感力が重要視されるので、その感覚養成にあるとする。そして、第1章では、わざと細かい説明を省いている。じっと図をながめながら、「ナルホド」とか「アレ?どうしてかな」と何か感じてもらえば十分だという。
 また、アマチュアには、理解しにくい「利き筋」についても、問題を通して理解しやすいように工夫されているように感じた。

【原幸子氏のプロフィール】
・1970年生まれ、東京都出身。日本棋院東京本院所属。
・1988年入段、1999年、四段。2008年、200勝達成。
・2016年~2019年、日本棋院常務理事。
・NHK杯などの囲碁番組で司会・定期出演していた。
・夫は依田紀基九段。次男の依田大空氏も囲碁棋士。
・依田九段が主催する『依田塾』(現:日本棋院こども囲碁サロン支部)の塾長代行を務めている。
※依田紀基九段は、原幸子さんの力を高く評価しており、学業に専念すれば一流大学に行けただろうし、囲碁においてもアマチュアへの指導やイベント等を控え、囲碁に集中していればいくつもの女流タイトルを取っていたのではないかと語っている。
〇You Tube「戦いの極意」(囲碁学校:石倉昇八段[当時]のアシスタントを原幸子氏が務めている)
 第1巻 攻め     (2018年5月21日付)
 第2巻 ツケ     (2018年5月29日付)
 第3巻 打込みと消し (2018年6月3日付)
 第4巻 中央の打ち方 (2018年6月25日付)
 第5巻 捨て石とコウ (2018年7月9日付)
 第6巻 味を残す打ち方(2018年7月23日付)


【『手筋小事典』(日本棋院)はこちらから】





本書の目次は次のようになっている。
【目次】
はしがき
本書の構成について
第1章 目で覚える手筋いろいろ
 ●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
●よい形と悪い形(第17型~第40型)
●筋のいろいろ(第41型~第106型)

第2章 目で解く筋と形 その1~15
第3章 手筋と俗筋   その1~14
第4章 実戦の手筋   その1~19



  ≪日本棋院『手筋小事典』≫目で覚える手筋いろいろ
  第1章 目で覚える手筋いろいろ
型番 手筋いろいろ
  ●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
1 攻めの急所
2 守りの急所
3 攻めの急所
4 守りの急所
5 攻めの急所
6 守りの急所
7 攻めの急所
8 守りの急所
9 攻めの急所
10 守りの急所
11 攻めの急所
12 守りの急所
13 攻めの急所
14 守りの急所
15 攻めの急所
16 守りの急所
   
  ●よい形と悪い形(第17型~第40型)
17 黒よい形
18 黒悪い形
19 黒よい形
20 黒悪い形
21 黒よい形
22 黒悪い形
23 黒よい形
24 黒悪い形
25 黒よい形
26 黒悪い形
27 黒よい形
28 黒悪い形
29 黒よい形
30 黒悪い形
31 黒よい形
32 黒悪い形
33 黒よい形
34 黒悪い形
35 黒よい形
36 黒悪い形
37 黒よい形
38 黒悪い形
39 黒よい形
40 黒悪い形
   
  ●筋のいろいろ(第41型~第106型)
41 ノビの筋
42 トビの筋
43 ハネの筋
44 二段バネの筋
45 オサエの筋
46 二段オサエの筋
47 ツギの筋
48 ツギの筋
49 ツギの筋
50 ツギの筋
51 コスミの筋
52 コスミの筋
53 ゲタの筋
54 ゲタの筋
55 攻め合いに勝つ筋
56 シチョウの筋
57 a、b両ニラミの筋
58 二子にして捨てる筋
59 サバキの筋
60 カケてシボる筋
61 カケてシボる筋
62 ツケの筋
63 ツケの筋
64 急所にノゾく筋
65 急所にノゾく筋
66 急所にノゾく筋
67 急所にせまる筋
68 眼を取る筋
69 トビツける筋
70 ハナヅケの筋
71 キリチガエの筋
72 キリコミの筋
73 ツケコシの筋
74 ツケコシの筋
75 ツケコシの筋
76 ツケて取る筋
77 ツケて取る筋
78 ツケヒキの筋
79 ハサミツケの筋
80 切りの筋
81 切りの筋
82 オキの筋
83 オキの筋
84 オキの筋
85 サガリの筋
86 コスミツケの筋
87 ワタリの筋
88 ワタリの筋
89 ハネの筋
90 ワリコミの筋
91 ワリコミの筋
92 ワリコミの筋
93 アテ込みの筋
94 アテ込みの筋
95 追い落としの筋
96 オシツブシの筋
97 石の下の筋
98 コウにする筋
99 ナラビの筋
100 トビの筋
101 ホウリ込みの筋
102 左右同形の筋
103 アテてツグ筋
104 モタレの筋
105 封鎖の筋
106 ツケバネの筋

第2章 目で解く筋と形
その1 石のツギ方(1)
その2 石のツギ方(2)
その3 石のワタリ方
その4 石の取り方
その5 攻め合いの急所
その6 コウねらいの急所
その7 眼の取り方
その8 眼の作り方
その9 石の攻め方
その10 石のシノギ方
その11 定石問答(1)
その12 定石問答(2)
その13 石の形
その14 しのぎの手筋
その15 しぼりの効果

第3章 手筋と俗筋
その1 捨て石活用
その2 切断の妙
その3 切りへの対策
その4 注文をはずす
その5 攻めとサバキ
その6 守り方のコツ
その7 好形の感覚
その8 形の整え方
その9 ハネの巧拙
その10 両にらみ戦法
その11 好形と愚形
その12 厚い打ち方
その13 死活の心得
その14 進出止めの筋

第4章 実戦の手筋
その1 方向とリズム
その2 連打できめる
その3 受けの手筋とは
その4 サバキと攻めの原則
その5 死石の活用
その6 タイミングの術
その7 決め方とがめ方
その8 緩急自在な判断力
その9 第一感の筋
その10 ダメ空きの筋
その11 発想の飛躍
その12 粋な手順
その13 攻めのテクニック
その14 欠陥透視術
その15 分断のテクニック
その16 構想力
その17 侵略のテクニック
その18 名サバキ
その19 利き筋のあやつり方




さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・氏のプロフィール
・はしがき
・手筋とは何か?
・本書の構成について
〇第1章 目で覚える手筋いろいろ
〇第2章 目で解く筋と形~同様の形が千変万化
・第2章 目で解く筋と形その1 ▼石のツギ方(1) 問題1
・第2章 目で解く筋と形その3 ▼石のワタリ方 問題9
・第2章 目で解く筋と形 その10▼石のしのぎ方 問題29
・第2章 目で解く筋と形 その11▼定石問答(1)問題31
〇第3章 手筋と俗筋
・第3章 手筋と俗筋 その1▼捨て石活用 問題1
・第3章 手筋と俗筋 その5▼攻めとサバキ 問題9
・第3章 手筋と俗筋 その7▼好形の感覚 問題1
・第3章 手筋と俗筋 その12▼厚い打ち方 問題24
〇第4章 実戦の手筋
・第4章 実戦の手筋 その4▼サバキと攻めの原則 問題7
・第4章 実戦の手筋 その18▼名サバキ 問題36
・第4章 実戦の手筋 その19▼利き筋のあやつり方 問題37
・【補足】隅の死活~『死活小事典』より
・【補足】手筋としてのツケ(ケイマと二間ビラキのスキをつく)~You Tube「戦いの極意」より







はしがき


・手筋と形は、敵味方いずれにとっても、それが双方の活力を生かすか、殺すかの要点に当たる。
 プロは碁を打つ上で、最も大切な手筋と形には特に注意を払う。
 たとえば、盤面に並んだ石の形、石の流れを見ただけで、その勝敗を直観し、石のはこびが筋に適うか否かによって、その碁の運命を正しく予言し得るほどである。
よく“打てば響く”というように、相手の言動にたちどころに反応するのがカンであり、碁ならば“第一感の急所”がいわゆる手筋である。

・本書では、第1章「目で覚える手筋いろいろ」で、これだけは是非とも心得ておいてほしい実戦型、基本型をまとめて特色をうち出した。
 ねらいは、手筋、急所の発見には直感力が重要視されるので、その感覚養成にある。
・つづく第2章「目で解く筋と形」は、まずその基本応用問題である。
・第3章「手筋と俗筋」では、よくいう“一路となりが俗筋なり”の問題をよくできる実戦問題で比較し、上達の指針とした。
・第4章「実戦の手筋」は第一感がはじめにきて、それからヨミで裏づけるという順序にしたがって古今のプロ大家の実戦手筋も収録、手筋の粋を楽しめる講座にしたという。
※本書は、1982年日本棋院刊『早わかり手筋小事典』を底本とし、増補したものであるようだ。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、3頁)

手筋とは何か?


手筋とは何か?
・“第一感の急所”がいわゆる手筋(3頁)
・手筋とは、急所を衝き、相手がいかに変化しても戦果をあげ得る最も能率のよい手のことである。(7頁)
・手筋とは、その部分における最善の手。すなわち勝つ手である。(27頁)
・手筋とは、石と石の関係が重大であるが、俗筋が隣にあることの多い不思議な存在である。一路かわれば筋もかわる。筋とはきわめて流動的であり、浮気者でもある。(91頁)
・手筋とは、プロなら盤面にならんだ石の姿、石の流れを一瞥しただけで、その勝敗を直感し、その碁の運命を予言し得るほどのもの。(149頁)

本書の構成について


・第1章では、わざと細かい説明を省いている。
 じっと図をながめながら、「ナルホド」とか「アレ?どうしてかな」と何か感じてもらえば十分だという。
 神経が筋に対して敏感に働いた証拠だから、そこが本章のねらいでもあるようだ。
・第2章以後は問題形式になっている。
 あらかじめわかっている筋をさがしていく形の分類式ではなく、各問題にテーマをもうけ、どの筋でいくかを読者に考えてもらう方法をとったという。(興味も増し、本当の力がつくと思われる)

・第3章と第4章の難易度記号について
 ★ひとつは、感覚で知っておきたい基本手筋の応用問題。
 ★★ふたつは、筋の発見、手順、ヨミが要求される問題。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、6頁)

第1章 目で覚える手筋いろいろ


【手筋でいきいき】
・敵と味方の石が接触するといろんな形ができるが、よい形というのは、打った石が全部活躍して、それぞれ能率的に役割りを演じている。
・いままでフラフラして安定感のなかった石が、手筋の一手、急所の一手によって、見違えるように姿が整う。

・悪い形というのは、打った石が非能率的に、黒白密集の中に入ってしまった形である。
多くの石を用いても、その働きが不十分なとき、愚形とかコリ形といって、悪い形の見本となる。
・攻めの急所、守りの急所は形とはすこぶる密接な関係にあって、その一点が双方の必争点に当たる。
 急所の一手が、双方の好形、悪形を左右するだけではなく、時としてはそれが致命傷に
つながる。
・なお、守る場合の急所を形、攻めるときの急所を筋、または手筋と呼ぶこともあるが、判然たる区別はなく、同一物の表裏と考えてよいとする。
※この章は、目で覚え、体得して欲しいというのが主眼のため、解説は省略したという。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、8頁)

第1章 目で覚える手筋いろいろ
●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
●よい形と悪い形(第17型~第40型)
●筋のいろいろ(第41型~第106型)


≪日本棋院『手筋小事典』≫目で覚える手筋いろいろ
第1章 目で覚える手筋いろいろ
型番 手筋いろいろ 備考
●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
1 攻めの急所
2 守りの急所
3 攻めの急所
4 守りの急所
5 攻めの急所
6 守りの急所 黒1は緩手
7 攻めの急所 白1は不用意。白3愚形
8 守りの急所
9 攻めの急所 白ツギ方に困る
10 守りの急所
11 攻めの急所 三子の真ん中
12 守りの急所
13 攻めの急所 白の形をくずす
14 守りの急所
15 攻めの急所
16 守りの急所 黒1は緩手

●よい形と悪い形(第17型~第40型)
17 黒よい形
18 黒悪い形 アキ三角
19 黒よい形
20 黒悪い形 ダンゴ
21 黒よい形 白石が動けばシボる
22 黒悪い形 車のあと押しで重い
23 黒よい形 働きのあるカケツギ
24 黒悪い形 働きのないカタツギ
25 黒よい形 だまってカタツギ
26 黒悪い形 頭突き。石の重複
27 黒よい形 まず自陣を備えて
28 黒悪い形 白に4、6と利かされわずかの利。白好形。
29 黒よい形 白屈服
30 黒悪い形 お手伝い。白がよい形に
31 黒よい形 ケイマのツケコシ
32 黒悪い形 ケイマのツキ出し
33 黒よい形 外回り
34 黒悪い形 働きに乏しいダンゴ形
35 黒よい形 ネバリ
36 黒悪い形 陣笠。重くて働きに乏しい
37 黒よい形
38 黒悪い形 サカレ形
39 黒よい形 安定
40 黒悪い形 不安定

●筋のいろいろ(第41型~第106型)
41 ノビの筋
42 トビの筋
43 ハネの筋 二子の頭
44 二段バネの筋
45 オサエの筋 二子の頭
46 二段オサエの筋
47 ツギの筋 カタツギ
48 ツギの筋 カケツギ
49 ツギの筋 ケイマツギ。外に働き
50 ツギの筋 タケフ。他の石にひびかせる
51 コスミの筋 守りの形
52 コスミの筋 侵略。黒aなら白b
53 ゲタの筋
54 ゲタの筋
55 攻め合いに勝つ筋 以下白a黒b白c黒3白5黒dの石塔シボリで黒勝ち
56 シチョウの筋
57 a、b両ニラミの筋
58 二子にして捨てる筋 黒a、bなどが利き厚くなる
59 サバキの筋
60 カケてシボる筋 死に石の活用
61 カケてシボる筋
62 ツケの筋 形をくずす
63 ツケの筋 黒aと打つより大いに働く
64 急所にノゾく筋 形をくずす
65 急所にノゾく筋 いじめ
66 急所にノゾく筋 白受け方に困る
67 急所にせまる筋 いじめ
68 眼を取る筋 三目の真ん中。白死
69 トビツける筋 1でaは俗。モタレ戦法がよい
70 ハナヅケの筋 a、bを見合う
71 キリチガエの筋 かなめの白2子を取る
72 キリコミの筋 分断かシボリ
73 ツケコシの筋 外勢を得るaの筋もある
74 ツケコシの筋 攻め
75 ツケコシの筋 シノギ
76 ツケて取る筋
77 ツケて取る筋
78 ツケヒキの筋 大ヨセ
79 ハサミツケの筋 ヨセの大
80 切りの筋 先手のワタリ止め
81 切りの筋 手を伸ばし攻め合いに勝つ
82 オキの筋 切りかワタリか
83 オキの筋 ヨセの得
84 オキの筋 白aなら黒bで取れる
85 サガリの筋 攻め合いに勝つ
86 コスミツケの筋 白取られ
87 ワタリの筋
88 ワタリの筋
89 ハネの筋 ワタリ
90 ワリコミの筋 分断
91 ワリコミの筋 鶴の巣ごもり
92 ワリコミの筋 分断
93 アテ込みの筋
94 アテ込みの筋 黒はaのワタリかbの切りが打てる
95 追い落としの筋
96 オシツブシの筋
97 石の下の筋
98 コウにする筋
99 ナラビの筋
100 トビの筋
101 ホウリ込みの筋
102 左右同形の筋 生きの急所
103 アテてツグ筋 ツグ調子を求める
104 モタレの筋 白2で3なら黒a
105 封鎖の筋 ツケコシと切り筋のコンビ
106 ツケバネの筋 単に切る手、ツケコシ、二段バネと手筋の連続

第1章 目で覚える手筋いろいろ


第1章 目で覚える手筋いろいろ
●攻めの急所と守りの急所(第1型~第16型)
●よい形と悪い形(第17型~第40型)
●筋のいろいろ(第41型~第106型)

【31▼黒よい形】
(ケイマのツケコシ)

【32▼黒悪い形】
(ケイマのツキ出し)

【95▼追い落としの筋】

【96▼オシツブシの筋】

【97▼石の下の筋】(黒7(3))

【98▼コウにする筋】

【101▼ホウリ込みの筋】

【102▼左右同形の筋】(生きの急所)

【103▼アテてツグ筋】(ツグ調子を求める)

【104▼モタレの筋】(白2で3なら黒a)

【105▼封鎖の筋】(ツケコシと切り筋のコンビ)

【106▼ツケバネの筋】(単に切る手、ツケコシ、二段バネと手筋の連続)


「第2章 目で解く筋と形」


【同様の形が千変万化】
・プロとアマの碁の違いをひと口でいうと、プロの碁は芸が細かくて、アマの碁は考え方にムラがあること。
 たとえば、どうでもよさそうなツギ方一つをとってみても、プロは少しでも得をはかるよう全神経を集中して第一感を煮つめていく習慣があるように、あらゆる面で碁の内容が緻密にできている。
・このような背景のもとにできあがってきたのが、正しい手筋と形のお手本である。
・手筋の実戦応用の範囲は布石からヨセまでと広く、同じものでも、形をかえ、品をかえていろんな状態になって盤上に現われる。
 しかし、思ったほど手筋の種類というものは数は多くないので、ただ活用範囲が広いのと、同種の形がさまざまの変化を示すのは驚くばかりである。
・長い間の経験によって、形を一見しただけで、この形はどの筋で解けるか、急所がピンとひらめくようになるはずであるという。
 このカンは、その形に多くぶつかるほど正確度が高くなり、応用自在になる。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、28頁)

「第2章 目で解く筋と形」の問題

「第2章 目で解く筋と形◎その1 ▼石のツギ方(1)」

【問題1 黒番】
≪棋譜≫(29頁の問題1)

・石のツギ方にもいろいろあるが、基本の心得が大切。
・黒の断点を、どう補うかがポイント。

【問題1 解答:カタツギ】
≪棋譜≫(30頁の1図)

・黒1とカタくツイでおくのが正着。
※この一手と心得よ。味がよい手。

【失敗:利かされ】
≪棋譜≫(30頁の2図)

・黒1とカケツぐのは、白2のノゾキを利かされて、不利になる恐れがある。
※黒1で2の方にカケツぐのも同様。

【参考:星の定石】
≪棋譜≫(30頁の3図)

☆問題図の成立手順を示しておく
・白1の打ち込みから13までと進行した形。
・黒a(5, 六)のツギによって、強力な厚みができる。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、29頁~30頁)

「第2章 目で解く筋と形」


「第2章 目で解く筋と形◎その3 ▼石のワタリ方」

【問題9 黒番】
≪棋譜≫(37頁の問題9)
・隅の黒は仮死状態であるから、本体に連絡するより方法がない。
・白の弱点をどう突くか?

【問題9 解答:アテ込み】
≪棋譜≫(40頁の1図)
・黒1のアテから3のアテ込みが手筋。
※三角印の黒(4, 一)のサガリと呼応した鋭い感覚である。

【続き:切り札】
≪棋譜≫(40頁の2図)
※このアテ込みの手筋は時に実戦死活の切り札といってよいほどの威力を発揮する。
・白4なら黒5にサガって、白a(5, 一)と打てないのがポイント。

【失敗:コスミはアマの発想】
≪棋譜≫(40頁の3図)
・連絡方法を知らないで、黒1にコスむのがアマの発想。
※隅の出入りは二十目以上の大きさであるから、勝負あった!となるだろう。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、37頁、40頁)

「第2章 目で解く筋と形」


「第2章 目で解く筋と形」の問題
「第2章 目で解く筋と形◎その4 ▼石の取り方」

【問題12 黒番】
≪棋譜≫(41頁の問題12)

・黒は切り結んだ白のカナメ石を取らないと、紛糾必至。
・簡単なアイデアによって、白を捕獲してほしい。

【問題12 解答:カケの筋】
≪棋譜≫(44頁の1図)
・黒1と切り、白2のとき黒3とカケる常用の筋で解決できる。
つづいて――
【続き:グルグルマワシ】
≪棋譜≫(44頁の2図)白10ツグ
・もし、白4以下脱出しようともがいてくれば、むろん黒5以下がヨミ筋で白を取ることができる。
※これは実戦で常に応用のきく筋である。

【参考:シャレた筋】
≪棋譜≫(44頁の3図)
・この形では黒1とカケて白2なら、さらに3とカケるシャレた筋もある。
・3のあと、白a(6, 五)以下符号順にもがいても、脱出は不可能。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、41頁、44頁)

第2章 目で解く筋と形 その10石のしのぎ方 問題29


第2章 目で解く筋と形 
【その10石のしのぎ方 問題29】黒番
・白△にノゾいたところ。
 うっかり打つと大変なことになりそう。
・そこでシノギの名手筋を!

【1図】(ツケコシ)
・黒1のツケコシが自慢の手筋。
・以下黒5のとき、白6なら黒7で堂々の生き。

【2図】(中央に先着)
・前図白6と封鎖する手で、本図1の抜きなら、黒2と中央に先着できて、一安心。
※この先手を得ることができたのも、黒▲の手筋あればこそ。

【3図】(失敗)
・筋に暗いと大損する代表例。
・つまりすなおに黒1とツグのでは、白2を先手で利かされた上、白4と先着されて「アッ」というわけである。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、65頁、67頁)

第2章 目で解く筋と形 その11定石問答(1)問題31


第2章 目で解く筋と形 その11定石問答(1)

その11定石問答(1)


【問題31 黒番】
≪棋譜≫(69頁)
①この形は、どんな手順で生まれたか。
②手筋は、A(3, 七)のハサミツケか、B(6, 六)のツケか?

<問題31 解答>
【1図:星の大ゲイマ定石の成立手順】
≪棋譜≫(70頁)
〇星の大ゲイマ定石
・白1のカカリから3と打ち込んで、以下白13まで。

【2図:ツケが手筋】
≪棋譜≫(70頁)
・黒1とツケて、a(6, 四)のキズを補っておくのが手筋。
・白2とハネれば、黒3とノビるのが正しく、7までが定石。
※白2でb(5, 七)なら、黒3が形。

【3図:ハサミツケるのは俗筋】
≪棋譜≫(70頁)
・黒1とハサミツけるのは俗筋。
・白2、4と抵抗する手段があって、黒がうまくいかないのがポイント。
・白10となって、黒感心しない形。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、69頁~70頁)

その11定石問答(1)


【問題32 黒番】
≪棋譜≫(69頁)
①この形は、どんな手順で生まれたか。
②手筋は、A(8, 二)の切りか、B(7, 四)のツギか?

<問題32 解答>
【1図:定石の成立手順】
≪棋譜≫(71頁)
・白3のツケは古来よく打たれ、黒を凝らせようというのであるが、時に面白いであろうという。

【2図:ツギが手筋で正着】
≪棋譜≫(71頁)
・黒1とツグのが正着。
・白2のツギなら、黒3、5と隅を守る呼吸。
※白2でa(9, 三)のヒキは、黒b(6, 二)で十分。

【3図:切りは俗筋】
≪棋譜≫(71頁)
・黒1のアテから3とカカえる発想は、感心できないという。
※白は一子を捨て石に、6までと外勢が厚くなる。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、69頁、71頁)

その11定石問答(1)


【問題33 黒番】
≪棋譜≫(69頁)
①この形は、どんな手順で生まれたか。
②手筋は、A(2, 六)の二段バネか、B(3, 六)のノビか?

<問題33 解答>
【1図:定石の成立手順】
≪棋譜≫(72頁)
・白3と隅を荒らそうという手法なら、黒4とこちらからオサえるのが常法。

【2図:二段バネが常用の手筋】
≪棋譜≫(72頁)
・黒1の二段バネが常用の手筋。
・すると黒7までのふりかわりが定石。
※黒は実利、白も好形で、まあまあのワカレ。

【3図:ノビは俗筋】
≪棋譜≫(72頁)
・黒1と平凡にノビるのは俗筋の代表。
・白2と打たれて、黒がさっぱり。
※前図の「二段バネおぼえて初段間近なり」が心得。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、69頁、72頁)

第3章 手筋と俗筋


・筋と形は、戦いの中の急所であるから、碁を打つうえで最も大切な要素の一つである。
・自分の打った石の活力を有効に働かして、反対に敵の打った石の活力を制約するような手が手筋なら、手筋の石に隣接するような上下左右の四点は、たいてい筋違いの俗筋になる。
・悪い形の中にも、コリ形、裂かれ形、重い形など、いろいろあるが、俗筋、いも筋、筋ちがいの手を、一局ごとに指摘されて悩む人も多い。
 実戦によくできる形をテーマに、手筋と俗筋を比較しながら、研究するのが、この講座のねらいである。
◇どう打てば治まり形につくことができるか、石のサバキ方、一手で決まる急所の選択など、比較的基本となる問題をできるだけ豊富にとり入れた。
◇楽しく理解できるよう、問題形式にして、裏面に解説をつけた。
◇俗筋を卒業し、手筋に明るくなることが、上達への近道である。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、92頁)

第3章 手筋と俗筋 その1 捨て石活用 問題1


【問題1】黒番
・上辺には白からAの打ち込みがねらいに残っている。
・白1とハネたとき、そのねらいを消す妙手順は?

【1図】(切り)
・白△のハネにaと応えずに、黒1の切りが鋭い手筋で、グッド・タイミング。
※捨て石の活用で、幸便にbの弱点を補強する発想が生れれば、高段の腕前。

【2図】(好手順)
・白2は当然。
・続いて黒3と二子にして捨てるところ。
・黒5のハネを利かすことによって、白からaの打ち込みを防ぐ手法に注目する。
・黒7、9まで理想の整形。

【3図】(打ち込み)
・白△のハネに、黒1と受ける定型は思慮のない応手。
・黒3と備えたとき、白4の打ち込みが厳しい。
・黒5はやむをえず、白6、8の目的達成で、上辺を破る。

第3章 手筋と俗筋 その5 攻めとサバキ 問題9


【問題9】黒番
・黒1、3と整形しつつ、攻めをねらうのは戦いのコツ。
・好形のように見える白に、実は欠陥がある。
 さて?

【1図】(オキ)
・黒1のオキがエグリの筋で、白の欠陥をついた。
・白2とさえぎったとき、黒3のツケが関連した筋。
※白aと打つ手がなく、しびれた形。

【2図】(攻勢)
・白はワタリを妨げることはできないから1、3であるが、黒の得た実利が大きい上に、黒4から6と打って攻めながら自陣を整備できる。
※実戦向きの手筋。

【3図】(調子)
・黒1に対し白2とコスミツけて受ければ、黒3、5とエグって、白はカケ眼。
※1の筋を知らず、黒aのコスミは白3の受けで、後の攻めは期待できない。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、109頁~111頁)

第3章 手筋と俗筋 その7 好形の感覚 問題13


【問題13】黒番
・白が1とカタをついたのは消しの常法。
・黒2とオシ上げて白7まではよくできる形。
・上辺重視の黒の好形とは?

【1図】(好形)
・黒1とハズして打つのがピッタリした手筋。この一手でワタリ形になる。
・白2のツギなら、黒3とコスんで連絡する呼吸。
※白2でaならやはり黒3。
 黒は根拠も安定し好ましい姿。

【2図】(重い発想)
・平凡に黒1と切るのは俗筋の見本。
・白2のアテから4とオサエ込まれた形は大いに悪く、重複している上に、まだ全体も不安定。

【3図】(参考)
・黒1とカタく打つ手は悪手ではなく、局面次第では有力なこともある。
 ただし、本図では白aなどとツケられるのがいやらしいので、広く働きたい所。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、117頁~119頁)

第3章 手筋と俗筋 その12 厚い打ち方 問題24


【問題24】黒番
・白1のツケは上手の用いるサバキの筋。
・黒6まで進んだとき、白7と紛糾を求める。
・さて、黒の正しい応接は?

【1図】(捨て石)
・黒1と上からオスのが正しい打ち方で、白2に切られたとき、格言「二子にして捨てよ」で、3がポイント。
※3でaは、白3とカカえられ、bの三々が残るから不満。

【2図】(シメツケ)
・黒1の意図は、白2以下を誘って先手のシメツケにある。
※二子を捨て石に築いた勢力はすばらしい。
・9のハサミに回れば、必勝の構図といえる。

【3図】(混戦)
・素直に黒1とツグ手では、白2とツケて黒3、白4などとサバかれ、黒がつらい。
※この形「ノゾキにツガぬ馬鹿はなし」の格言は失敗。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、137頁、139頁~140頁)

第4章 実戦の手筋


【手順の大切さ】
・プロは石の形を日頃から研究しているから、愚形は打たないよう心がけている。
・中盤にできる「筋と形」は、まさに一局の運命を決める一手となるが、その急所を発見するカンは、形に対する鋭い眼力を養うことが条件になる。
・よく「力が強い」ということがいわれるが、力とは前後を考えずに、石を取りにいくことではない。むやみに打ち込んでいくことでもない。
 力とは、正しい観察力と、今一つには手筋の運用を知ることにある。
・碁は同じ手段を打っても、手順の前後で成功したり失敗したりするところから、「手順がよい」また「手順が悪い」とかいうが、「手順」を要約すると、定石とか手筋などの整理された形にみちびくための、最善のはこび、ということになる。
◇問題には、プロの実戦にできた素材からも多くとりいれたという。
◇むずかしい問題は、裏面の解説から、手筋の威力を味わってほしい。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、150頁)

第4章 実戦の手筋 その4 サバキと攻めの原則 問題7


【問題7】黒番
・上辺を黒がどうサバくかが焦点。
※相手の石にもたれ、利き筋を最大に活用するのが、サバキの原則。
・さて?

【1図】(ツケ)
・黒1、白2から黒3のツケが筋。
※これで二子のトリと隅の荒らしを見合いにする。

【2図】(隅で利)
・前図白4なら黒1のハサミツケがこの形の手筋。
・白2なら黒3以下9までと隅を食い破り、黒大成功。
※黒1で2は白1で不十分。

【3図】(治まり形)
・前図は白つらいから、黒1には白2と受けるくらい。
・黒3ワタリに、隅を重視するときは白4から切るが、9まで黒十分のサバキ。

【4図】(両にらみ)
・黒3のとき、白4と隅を守れば、黒5が成立し、二子を取ることができる。
※つまり、3の手筋は、aと5を両にらみしている。

【5図】(しぼりの筋)
・白4とマガってくれば、黒5とオサえ、白6切りに7、9とシボって打つ。
・白10ツギに、黒11から15と突破して、黒大成功。

【6図】(重いサバキ)
・黒1、3と決めるのは俗手の見本。
・白6までを想定すると、白の軽快な姿に比べ、黒の重いサバキが目立つ。
※発想の転換が大切。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、163頁~165頁)

第4章 実戦の手筋 その18 名サバキ 問題36


【問題36】黒番
・サバキの巧拙は、局面の流れを左右するので、どうしても手筋がものをいう。
・黒の巧みなサバキは?

【1図】(手筋)
・黒1とアテ、白2ノビを誘って、黒3とカケるのがサバキの手筋。

【2図】(理想形)
・つづいて、白4には黒5とノビるのがポイント。
・白6をまって、黒7とシボるのが主眼で、黒11までは白の愚形、黒の理想形。

【3図】(白好形)
・黒1のツケを先にして3とカカえれば、白一子を取ることはできるが、白4,6と左右を打つことになって、白の不満のない形。

【4図】(無理形)
・「キリチガイ一方ノビよ」で1と打つ手も考えられるが、白2の動きとなって、むずかしい戦い。
・白aのねらいも厳しくなる。

【5図】(黒苦戦)
・手強く黒1とノビるのは、白2のコスミで戦い。
・いずれにしても隅の黒がニラまれて、苦しい姿。
※2図との差に注目。

【6図】(俗手)
・黒1のトビで脱出を図るのは俗手。
・白2が厳しい反発で、戦いになり、正解図にくらべると、混戦になる。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、227頁、231頁~232頁)

第4章 実戦の手筋 その19 利き筋のあやつり方 問題37


【問題37】黒番
・黒▲を活用するいろいろの利き筋をみて、黒1と大技をかけたところ、白はまんまと2から4とワナにはまってきた。あとをきめてほしい。

【1図】(アテからツケ)
・「サバキはツケから」とよくいわれるが、問題図につづいて、黒1のアテから2のハナヅケが眼目の手筋。
※この3の点は利き筋のひとつ。
・ここに石がきたので、白がもし4とノビれば、

【2図】(白ツブレ)
・黒5から7と打って、見事に白六子を取る。
・白aに黒bで黒▲がカケツギの役目。

【3図】(構想)
・黒1のツケに白2と変化すれば、やはり黒3のアテからもっていく呼吸がポイント。
・白4のとき、黒5のツケが好手で、すると黒11までは一本道。
※1図の仕掛けがものをいって、絵に描いたように白三子を打ち抜く。
 手筋と捨て石活用の妙である。

【4図】(利き筋)
※この定石は黒aから攻め取るぐあいで、黒bからgまで、このへんがすべて利きになっていることに注意すべきである。

【5図】(シボリ)
・例えば、黒▲に石がくると、白は手抜きはできない。
・常に黒1以下のねらいが伏線になっているからで、白2の動き出しもこの場合は、黒3以下シボリの筋でシチョウになる。
・であるから、利き筋に石がきたら、白は1の点に用心が大切。

【6図】(大味)
・黒1、3と無造作に決めてしまうのは、味がない。
(原幸子編『手筋小事典』日本棋院、1993年[2019年版]、233頁~236頁)

【補足】隅の死活~『死活小事典』より


「第1章 隅の死活」
【第7型 白番】
≪棋譜≫(17頁)

・白は無条件で生きなければいけない。
・不安のない形をつくるには、どこが急所か。

【第7型・白先白生き】
【1図正解:白のカケツギ】
≪棋譜≫(18頁の1図)
・白1のカケツギが正着。
※これで黒がどう攻めてきたとしても、無条件で生きることができる。

【2図白生き】
≪棋譜≫(18頁の2図)
・前図のあと、黒1のツケには白2のハネから、4、6で完全な二眼。

【3図変化:オシツブシの生き】
≪棋譜≫(18頁の3図)
・黒1のオキからくる手には、ちょっと注意が必要。
・黒3とサガったとき、白4にホウリ込むのが肝要で、白6までオシツブシの生き。
※黒a(16, 十九)には白b(17, 十八)にツイで不安はない。
(日本棋院編『死活小事典』日本棋院、1993年[2008年版]、17頁~18頁)

【第8型 黒番】
≪棋譜≫(17頁)
・前型から、白が三角印の白(16, 十九)にサガった形。
・これなら黒は無条件に殺すことができる。
⇒黒1、3の手順が大切。

【第8型・黒生白死】
【1図正解:黒のオキ】
≪棋譜≫(19頁の1図)
・黒1のオキがこの形の急所。
・白2の受けなら黒3と外ダメをつめていて、もう白に打つ手はない。

【2図隅のマガリ四目】
≪棋譜≫(19頁の2図)
・前図のあと、白が三角印の白(17, 十八)にツイだとしても、黒は放っておいてかまわない。
・白1、3と広げてきても、黒4とハネれば、隅のマガリ四目の形であるから白死。

【3図失敗】
≪棋譜≫(19頁の3図)
・黒1のツケでは筋ちがい。
・白2が急所になり、4までは白生きの形。
(日本棋院編『死活小事典』日本棋院、1993年[2008年版]、17頁、19頁)


【第9型 黒番】
≪棋譜≫(17頁)
・三角印の白(18, 十六)と黒(18, 十五)の交換はダメヅマリの悪手。
・手順よく攻められば、コウにすることができる。

【第9型・黒先コウ】
【1図正解:黒のオキ】
≪棋譜≫(20頁の1図)
・三角印の白と黒の交換があるときは、黒1のオキが急所になる。
・白2で生きているようだが、黒3とサガれば、黒のダメヅマリが露呈する。

つづいて、
【2図コウ】
≪棋譜≫(20頁の2図)
・白1には黒2。
※このあと白a(17, 十八)でもb(19, 十七)でもコウは避けられない。

【3図外ダメの差】
≪棋譜≫(20頁の3図)
・前々型のように、白a(18, 十六)、黒b(18, 十五)の交換がなければ、黒5のアテに白6とツイで8までのオシツブシ。
※本型では白は8とは打てない。
(日本棋院編『死活小事典』日本棋院、1993年[2008年版]、17頁、20頁)

【補足】手筋としてのツケ~ケイマと二間ビラキのスキをつく~You Tube「戦いの極意」より


 冒頭に紹介したように、原幸子氏はYou Tube「戦いの極意」(囲碁学校:石倉昇八段[当時])のアシスタントを務めていた。
〇You Tube「戦いの極意」
 第1巻 攻め     (2018年5月21日付)
 第2巻 ツケ     (2018年5月29日付)
 第3巻 打込みと消し (2018年6月3日付)
 第4巻 中央の打ち方 (2018年6月25日付)
 第5巻 捨て石とコウ (2018年7月9日付)
 第6巻 味を残す打ち方(2018年7月23日付)

石倉昇氏は、「戦いの極意第2巻ツケ」(2018年5月29日付)において、手筋としてのツケとして、ケイマと二間ビラキのスキをついて、荒らす手(黒1)を紹介している。
(1時間02分~1時間11分あたり)

≪棋譜≫ケイマと二間ビラキのスキ~「戦いの極意第2巻ツケ」

【変化1】黒が捨て石を使って隅で得~「戦いの極意第2巻ツケ」

【変化2】上辺で黒が荒らし生きる~「戦いの極意第2巻ツケ」