1971年のゴールデン・ハーベスト社、旗揚げ作品『天龍八將』(The Invincible Eight)です。
この「天龍八将」は香港で最初に上映され旗揚げではありますが、ハーベストの通し番号(通番)だと4番(4本目)になっています。
この通番というのが不思議な番号ではありますが、番号が付いていると整理しやすいですね。
『天龍八將』ハーベストのロゴ
映画の方は邵氏から移ってきた羅維が監督と脚本を担当。
原作には小説家のニー・クワン(倪匡)の名があります。
はて?彼の作品に『天龍八將』という小説は無かったはずでしたが、これはどういうことでしょう??
不思議に思って早速探してみると、それらしき武侠小説があるではないですか。
倪匡作品集のなかにある『八俊傑』という題名の小説は、日本語で”8人の優れた人物”という意味になるので、まさにこれが「天龍八将」の原案となった小説なのではないでしょうか。(ハン・インチェの演じたシャオ将軍も登場するようですし。)
「天龍八将」としての登場人物は一部変更されていますが(柳燕⇒江燕、祖逸飛⇒風逸飛、凌千金⇒歸千金など)
小説版の登場人物それぞれの頭文字(姓)を並べるとこうなります。
柳、舒、劉、宋、李、祖、風、凌
これだと、ちょっと味気ないというか意味がわからない。
それで下の名前はそのままに(一部変えてますけど・・)、姓だけ
変えてしまおうという事になったのだろうと思います。
「天龍八将」ではこの8つの文字を合言葉として2つに区切って読み、
”風雷焦祝”、”江何歸海”
のように使ってます。これだとなんとなくそれっぽく聞こえますね(笑)。
参考までに、南総里見八犬伝では仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌でしたね。
それぞれのシンボルの意味は八犬伝をそのままにしたような設定だと思いますので各人物をなんとなく当てはめてみます。
仁:慈しみ・・・(歸)
義:義理・・・(風)
礼:礼儀・・・(雷)
智:物事を知る・・・(焦)
忠:忠誠心・・・(祝)
信:信じること・・・(何)
考:工夫する・・・(海)
悌:兄を大切にする・・・(江)
ざっと、こんな感じになるでしょうか。もう少しいろいろキャラクターの性格を分析すると変わってくる可能性もありますが、八犬伝に似ている話だということが言えると思います。
あと、このシナリオで気になる部分は、8人の中で江と海が残りますが、アクション以外で一番の見せ場(ポイント)があるとするならこの辺りだと思います。
敵の副官が8人の一人、”海”ですが、彼が如何にして仲間と合流しうるのか。その過程がポイントで、この部分の表現がどこまで出来ているのかが注目でした。
実際にどのようにして合流したかは本編を御覧になってみてください。
最後に小説についてですが、ニー・クワン原作を引っさげてハーベストが旗揚げした『天龍八將』には”八俊傑”という小説が実在した訳ですが、もしかしたら当時の新聞に小説が連載されていたかも知れません。(残念ながら時期が分からず、詳細は不明のままでした。)ニー・クワンの武侠小説ももう少し調べてみようかなと思います。
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