電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

棍術映画

2007-11-23 00:02:58 | その他・研究
功夫・武侠片には、さまざまな武器(兵器)が登場します。今回は“棍”に焦点を当て棍術映画について書いてみます。テーマ”武器”ということで2本の映画を取り上げてみたいと思います。

まずは孫仲監督の「教頭」(79)の内容から。

王陽武館の教頭(狄龍)の周りで災難がつぎつぎと起きている。その町は2つのグループに分かれていた。町の若者・周平(汪禹)はいつか弟子入りを望みひたすら練習、練習。



特訓シーンではどこかで見たことあるようなカメをぶら下げてるシーンが。

道場破りに挑戦してきたヤツラに対して、狄龍は得意の棍棒をなかなか出して使おうとしない。少しやられたところで棍棒を出し一気に片を付ける教頭。

ボスの孟二達(谷峯)は、策略で教頭を仲間に入れようとする。狄龍の棍技を影でこっそり盗み見ていた。


「少林寺武者房」や「続・少林寺三十六房」の王龍威はヒゲの悪役を演じることが多いですが、この映画の冒頭にも彼が出ています。


しかし、もっと凄いのは狄龍のヒゲの濃さであります(まぁ主役ですからより派手さが無いといけませんよね)。


狄龍は”王教頭”と皆から呼ばれ、棍棒を持たせればピカ一の腕前だった。 谷峯の元にいる孤児だったジャアジャア(趙雅芝)は、そんな狄龍に思いを寄せる。


覚えていますか?彼女は「Mr.BOO!」に出ていた美人秘書です。数年後の彼女ですがとてもチャーミングなお方です。

教頭は突然負傷してしまうが、ジャアジャアに助けられる…。


主人公が負傷して美人女性に助けられる展開はある映画を思い出しますね。


ジャッキーの「蛇鶴八歩」がそうでした。
谷峯が手のひらでころがす2つの鉄玉。これも蛇鶴ですよね。



そして、ついに汪禹は狄龍に認められ弟子となる。

見せ方の技術も高く「少林寺三十六房」の棍術房を上回ると思われる鍛錬のシーンも登場する。



その他、野外での江島VS狄龍も爽快で面白かったです。


パッケージ裏の解説によれば、このカンフー時代劇は、黒澤明の「用心棒」へのオマージュ作品であるそうです。
確かに「用心棒」的な面も持ち合わせていましたね。例えばグループのどっちの味方とも言えない微妙な展開とか正義を持って2分化した町の用心棒を買って出るのがそうです。(報酬は要求しませんが。)
この辺りのストーリー性も引き込まれる要因ではないでしょうか。


棒で戦う狄龍、これこそ本当の用心棒!!

この映画の撮影には、「孔雀王」の鬼才・藍乃才(ラム・ナイチョイ)氏が担当していたのが特筆すべき点です。(彼は【邵氏】撮影師としてスタート。孫仲監督作品の撮影を数多く受け持っていました。)

続いてもう1本。棒術を使う映画は他に「棍王」(78)(ビデオ題:セイントスティック怒りの聖拳)という王道の主演映画がありましたが、これと比較してみたいと思います。

この「棍王」には、いろいろな棍棒が登場します。


金剛も張翼もみ-んな棍棒を使います。武器マニアの方にはたまらない作品です。「教頭」の他に何があったかを考え、“棍棒”で頭をよぎったのがコレでした。

棍王という人物がどれほどの技の持ち主であるのか…。



三節棍を相手に奮闘する王道。


しかし、70年代量産カンフー映画の安っぽさが目に付いてしまうのは確か。
例えばこんなシーン。

張翼が簡単に棍で突くだけでこんなことに。

一方、「教頭」は一つ一つ丁寧に作り込んでいる格調の高い映画でした。
例えば棍棒を突くのもどっしりと力を込めて打っているため他と比べても迫力がまるで違って見えますね。棍棒が、こんなに威力のある武器だったのかとさえ思わせる演出でした。

…ということで、この勝負の軍配は狄龍に上がりました。

今回は上記2本をピックアップしてみましたが、棍術を扱った素晴らしい映画も、まだまだ他にあるのかも知れません。

(11/23修正)
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茅山道人

2007-11-17 01:24:23 | その他・研究
80年に公開された桂治洪監督の「萬人斬」。
この映画は78年末、主演の陳観泰が撮影中に負傷、治療には長期間を要したそうですが、この「萬人斬」のプロットをパクったとされるのが「茅山道人」(奇門遁甲・吸血拳)です。これは海外のReviewなどに多く見られます。

女性の血を吸収し不死身の身体を得るという"吸血術"。これが邪法であるという所以です。この邪法がテーマであるという・・・仰天映画ですが、一部のマニアには梁家仁VS黄正利が見られる作品として知られています。
ご両人とも袁和平作品などでも深く関わりを持っていますが、意外にも他に共演することはなく、この1本に限られているようです。

製作時期については情報が見つからず不明であるのですが(早いものでは79年説有。)、本作に出演もしている林伊娃の会社【玉峰】の製作ですが創業作品「胆搏胆」が81年のため、これ以降であるのは間違いないところでしょう。
もしかすると袁和平の「奇門遁甲」(ミラクル・ファイター)と同時期に当たるのではないかと思います。(奇門遁甲は1982/7/23公開)例の陳観泰負傷の間に別の作品を作ってしまったなんてことはないはずですが。


宮廷から吸血術という秘帖が盗まれた。宮廷の奥底に封印された邪法であった為、吃食幇の首領、周航主(梁家仁)は調査を開始する。
一方、黄金強奪事件も発生。皇帝により三ヶ月以内に解決せよとの命が下った。
九門提督府の隠密隊長、包正義(白彪)は五人の賊を捕らえる為、仲間達と公用の旅に出る。
ある男の証言から豆腐屋の張五(王圻生。「蛇鶴八歩」湘西三霸の1人。本作の武術指導には徐忠信と共同で当たる)が犯人の一人として狙われていた。すぐに居場所が判明し張五は捕まってしまう。罪を許してもらう代わりに残りの賊は陸金保、胡巴吐、頂上光、王萬五だとバラしてしまう。しかし包は命は許していないと張五を容赦なく斬った。
残された張五の娘(林伊娃)は、復讐のため包一行に付いて行くことに。
家来の江来が張五の死を悩んでいると、包は”乱世では善人は悪人より先に死ぬ”と言い聞かせたが江来は納得しなかった。その頃、吸血術で無敵の身体を手に入れたのは賊の首領だった。
もとは吸血術が吃食幇のものであり周はきっと吃食幇に戻ってくると躍起になっていた。
やがて包の家来達が賊との戦いの中で一人ずつ減って行き、包もやられては吸血術を探す者がいなくなると周は手を組むことを決心する。
突然、水上瓢の范魁(徐忠信)が襲ってきた。包を小屋に追い詰め、小屋を包囲し火を放った。何とそこには謎の男、劉逢も隠れていたのだ。包は負傷した劉逢からある秘密を聞いた。劉逢の策で包の変わり身となった劉逢は焼死するが、包を抜け道から脱出させることに成功していた。
包は張五の娘に事情を話し、包が死んだと思っている真の強敵に包と周の二人は力を合わせ立ち向って行くのだった…。


盲目女性こそ出てこないものの、面白い内容です…黄正利の使う邪法”吸血術”を除いては。「萬人斬」をベースに香港映画らしい"茅山術"をプラスした作品だと思います。(台湾映画かも)
ちなみに注目の脚本は・・・と思ったら、不思議な事にこの映画には編劇スタッフ表記が無いのです(隠蔽??)。「萬人斬」では著名な司徒安でした。
また、オープニングで静止画像による黄金の強奪を見せるという手法も一風変わっていたと思います。

尚、過去にはJHVより国内版ビデオが発売されています。
コメント (2)
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李小龍傳奇

2007-11-12 00:01:00 | 呉思遠と思遠影業
ブルース・リーの伝記物ですが、私が好きな1本で最初に観たブルース伝記映画でした。
(76年の呉思遠監督作品)

病院に運ばれるところから始まって、タイトルの後、舞台は1958年の香港に戻ります。
その後「ドラゴン危機一発」の撮影現場の再現などなど、この映画の完成度は高いのではないかと思います。

劇中の「危機一発はヒットするのかな?」といったセリフや当時のリーの心境を描いているのでリアルな感じがしてしまいますね。
また場面が進行するたびに主演・何宗道の表情が変わっているのも驚かされます。他にもリー主演作と同じように各国でロケをしています。

この映画がなぜ面白いのかと考えるのはナンセンスかも知れません。

私の好きなシーンは中盤、チャーリー役の火星が嫌がらせに立ち向かうところで、笑って余裕の表情で見つめるブルースが代わって撃退、板を割るシーンです。

あと呉思遠の"こだわり"も各所で見られました。(参考ですが葉問役には本当の葉問の長男、葉準が演じていたそうです。)

ラストは丁珮役に「死亡遊戯」のシナリオを語っているところで意識が無くなり、そこで物語は終わりました。
(死因に関して3通りの当時の噂なども再現しているシーンもありました。)

ブルース・リーがなぜアメリカに渡ったのかという私の個人的な疑問も、少々ですが理解出来そうな内容となっていたのが重要でした。

呉思遠作品についても今後も研究して行きたいですね。


この作品は「ブルース・リー物語」として国内DVDも発売されています。
(字幕ではJeet Kune Doがジェットクーンと表記されていますのでご注意)


※製作は【恒生】ですが、カテゴリー思遠影業は思遠に関する映画の意味として分類しています。
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一老一少一根釘

2007-11-11 21:05:26 | 未整理
この作品のビデオは、"El viejo maestro del kung fu"というタイトルのビデオで、購入時には、いつのどの作品であるか全く分かりませんでした。
以前、このタイトルは某M先生の御協力によりスペイン語であることが分かり、その後もいろいろと調査して原題が「一老~」であることに確証を持てました。
(M先生ありがとうございました。)
このスペイン語の意味は"年寄りのカンフーの先生"という意味で主演の袁小田を指すようです。

この作品は關正良の会社【龍國】製作で監督・脚本も兼任しています(81年公開)。
テーマとなっているのが気功、ツボで「太極元功」の鉄球も登場しておりました。見所は向華強のアクションだったと思います。

袁小田の映画を見ていると彼の子孫や弟子、京劇時代の関係者等の出演者が多く、例えば「風拳鬼手への道」には娘と孫も出演していたりと78年以降の袁小田出演作品には多かったと思います。(この作品にも袁龍駒という俳優が出演しています。)
10人とも15人とも言われる袁の家系についてはまだ謎の多い部分ではあります。

袁小田は1980年12月17日、惜しくも癌でこの世を去ってしまいました。
72歳でした。(遺作は「佛掌羅漢拳」)

70年代後半~80年の袁小田作品ですが、日本に入って来ている作品が多いのも事実です。
未公開では、
「怪拳怪招怪師傳」Peculiar Boxing Tricks and the Master
「酔猫師傅」Kung Fu Master Named Drunk Cat
「雙馬連環」Mystery of Chess Boxing
「怪拳小子」Drunken Arts and Crippled Fist
「老頭拳頭大饅頭」Wild Bunch of Kung Fu
などもあるようです。
これらは、こんな作品もあったのね・・的な見方でよいかと思います。


追伸
本日「怪拳怪招怪師傳」の情報を探していましたら、偶然こちらで古いポスターギャラリーのあるブログを発見しました。
「大酔侠」のレトロな物や郭南宏の「絶代金票王」等見かけないもの多かったです。
(64年の「秦香蓮」などはビビッてしまいました)
因みに郭南宏の古い武侠片は面白いと思います。早く「劍女幽魂」も見たいのですが・・。
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「蛇拳」地上波再登場への願い

2007-11-07 00:50:39 | その他・研究
ジャッキーの”拳”シリーズと言われている一連の東映作品ですが、一番有名なのはやはり最初の「ドランクモンキー酔拳」だと思います。ここ数年テレビのゴールデンタイムに放送されたり、シリーズでは現時点で唯一、石丸博也さんの日本語音声入りDVDが発売されたばかりです。(いまアマゾンビデオで日本語音声とジャッキー本人による酔拳についてのメッセージが聞けます!)

この次を考えると・・・、やはり「スネーキーモンキー蛇拳」(蛇形刀手)になるのかなと思います。私が常日頃望んでいるのが、この「蛇拳」のゴールデンタイム放送です。これはなぜかと言いますと、夜9時からの映画劇場では日本語で放送され日本語字幕は考えられないからです。「酔拳」のように新しい日本語版が制作されなければゴールデンタイムで放送されることも無いでしょうからこれを絶対に関係者に制作して頂きたいのです。

前置きが長くなりましたがこの「蛇拳」の日本語版は非常に重要な意味を持つと思っています。それは香港映画の旧作における日本語吹替の人気が高まっているとの予測からです。(この日本語版を通じて、「蛇拳」本来の持つ”良さ”をもっと多くの人に知ってもらいたいとの希望も含まれていますが)

勿論、吹き替えは当時のものでないと…という意見もありますが、それは業界の様子から旧版の放送は有り得ないと思います。現在、日本を舞台にしたジャッキーの新作「新宿事件」を撮影中という事であれば尚更各方面から注目を浴びる訳で、是非この機会に「蛇拳」日本語版を制作して頂きたいですね。

今年の春、「プロジェクトBB」公開時に引っ張り出されたのは「プロジェクトA」の放送でしたが、「酔拳」日本語版DVDを見たファンもしくは往年のファンがジャッキーに関して待ち望んでいるもの・・・、それは「蛇拳」以外には考えられないと私は思うのですが、各方面の担当者殿、そろそろ次の企画に参りませんでしょうか。

当時の「蛇拳」日本語吹替は良く出来ていましたので、オリジナルの映画の面白さにプラスアルファしていたことは間違いのないことだったと思います。しかし、新たにやるとなればプロの仕事(しかもベテラン勢)ですからきっと手を抜いたりはしないですし、素晴らしい日本語版が完成するはずですね。

※画像はイメージ
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メガフォース

2007-11-04 15:53:03 | 未整理
米アクション映画の名手、ハル・ニーダムの監督作品。

映画評論家の田沼雄一氏によれば“遊びの精神の極上品”だそうである。

ゴールデン・ハーベストのプレゼンツにより82年に制作され、数年前にもスパイクからもDVDが発売されていました。

映画の楽しみ方にはいくつかあると思います。沢山の選択肢があるなかで遠い昔を思い出して懐かしむ…。これが同じ世代の人もそうだと思うのですが思い浮かべれば顔が自然にほころんで来ます。

もう一つの楽しみ方は昔どうしても見ることの出来なかった映画を大人になって見てみるというもので、私の場合メガフォースについてはこれに当たります。

当時は事情(親が反対、兄弟が反対、お金がない等々)により劇場鑑賞できませんでした。

この秋期仮想現実鑑賞シリーズですが、必要アイテムは「メガフォース」パンフレットと日本で発売された映像ソフトのみ。(ホットコーヒーがあれば、より完璧です!)

開演前にチラッとパンフをのぞいちゃったりして(笑)



仮想映画劇場準備OK。いざ、鑑賞へ。

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