電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

台湾ニューシネマ『光陰的故事』

2011-07-31 07:00:00 | その他・研究

80年代に入ってとある映画が製作されました。香港のショウブラザースと
台湾の中影が共同製作した『辛亥雙十』(81)です(監督は丁善璽)。


実はこの映画は豪華キャストを使ったにもかかわらず台湾で全く受けず興収的にも大失敗に終わっています。
なぜ失敗してしまったのか。
簡単に言ってしまえばこんな話ではないだろうか。
ニクソンショックで世界が揺れた71年頃、諸事情により台湾では反日感情が高まった。政策映画、戦争映画などが量産されるようになり香港でも人気のあった
カンフー映画も大量に作られた。
70年代は台湾でこのような映画、それを真似た作品が長く続いていた事で
観客が飽きてしまったことが、80年代に入ってからの台湾での映画離れを生じさせた1つの要因ではないかと思います。(でもそんな悲運の映画でも、ティ・ロンやチェン・カンタイなどかなり豪華キャストであるのでどんな映画なのか見てみたくなりますよね)

そして『辛亥雙十』の失敗でどん底に落ちてしまった台湾映画界で、新しい監督・脚本家を起用し、財政難となっていた中影が低予算で打ち出したのが『光陰的故事』In our time(82)でした。一般人、子供を多数出演させた台湾ニューシネマの幕開けとなった作品です。

2007年に開かれた第20回東京国際映画祭でもしっかり上映されているのに
シルビア・チャンがこの4話からなるオムニバス作品に出演していた事はあまり
知られていません。(台湾ニューシネマなので大きく言ってしまうと矛盾してしまうということもあったのかも知れないですが)

ちなみにですが、『光陰的故事』のhkfaでの英語名は"IN OUT TIME"と誤表記となっており、ここから流用したHKMDBでも同様の誤りがありました。

構成は下記に書いておきます。実際の中身は2話目が御存知エドワード・ヤンが監督をしています。

1話『小龍頭』(監督:陶徳辰)
2話『指望』(監督:エドワード・ヤン)
3話『跳蛙』(監督:柯一正)
4話『報上名來』(監督:張毅)

全編を通してみると、小学生~大学、社会人と各エピソードで描写時期を分け、
台湾の人々が子供から大人へ成長していく過程での心理を描いていることになります。

1話のあらすじはこんなものでした。
小学生の小毛は恐竜が大好き。書くのは恐竜の絵ばかり。
いつしか小龍頭というあだ名で呼ばれるようになっていた。
内気な性格で友達からも仲良くされず、両親から怒られてばかりであった。ある時好きな女の子が出来たときも小毛は馬鹿にされてしまう。
しかしその女の子とは気が合い、ある夜その子とある物を探しに冒険に出る。

第2話。
エドワードヤンが最初に描いたのは
女子中学生と自転車の少年でした。
ヤン最初の作品に『指望』(=希望)という題名を与え
このエピソードでは1人の女の子の希望が描かれています。

父親のいない家庭の末っ子の中学生の女の子。
姉はわがままな大学生。
母親は子供を育てるため仕事をしながら
忙しい毎日を送っている。
夕飯を3人で食べたあと、中学生の娘には食器を洗うように、姉にはしっかり勉強しなさいときびしく言い仕事へ向かう。
(このきびしい母親を演じるのが『新精武門』でスリの爺さんの妹だった劉明であった。久々に彼女を見たっすよ!)
この女の子は自転車に乗る少年と仲良くしながら生きていくこととは何かを学んでゆく。

第4話。シルビア・チャンが「悪漢探偵」と同じく気の強い女性を演じています。


「山中傳奇」を見てすぐにこの『報上名來』を見たりすると強い違和感を覚えてしまうけれども(笑)、それが女優さんですからね。それにしても80年代のシルビア・チャンは面白い動きをしてます。(香港で「悪漢探偵」シリーズで引っ張りダコになっている一方、台湾ニューシネマなどの映画にも出演して、86年には『最愛』で香港と台湾の最優秀主演女優賞を獲得していますしね。)

全4話の中では4話目が一番面白いでしょうか。
シルビアチャンの夫が全編を通してB.V.Dのパンツ1丁かバスタオル一枚で
登場していて彼はどうしてそんな格好でいるのか。まぁ何も考えなくても笑えてきます。
よく吠えるのが隣の部屋のワンちゃんなのです

82年に台湾の新人監督たちが作り出した『光陰的故事』は、台湾の人々に受け入れられ興収も成功して”台湾ニューシネマ”は新しい台湾映画の潮流になっていきました。

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国別情報

2011-07-27 00:00:00 | データベース

今回はちょっとアレンジして作品データに国別情報を付加してみました。

各作品の登録時に国別情報と合作情報を入力します。

①の国別はどこか一ヶ所しか選べませんが、合作情報(②)はチェックを付ければいくつでも選択が可能になります。

ここで入力した合作情報は年度内一覧表示画面で国旗マークが表示される仕組みです(③)。

例:『龍虎走天涯』など4ヶ国合作の場合(香港、イタリア、スペイン、アメリカ合作) 
 

そしてもう一つ、登録時に入力する上の合作とは違う国別があります(①)。
ここでいう国別というのはいわゆる独断と偏見を少し含んだ項目で基本的には香港が一番多く、台湾、韓国と続きます。
どこの国の映画かがすぐに分かるような目安となるもので香港と台湾が区別できればよいという割と大雑把な意味を持った情報になっています。

例えば74年の『四王一后』の国別は香港になります。

 

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年度内一覧表示画面

2011-07-25 00:07:43 | データベース

次の画面は「年度別表示画面」のつづきになります。
年度を選択したらその年度内の作品一覧を表示する画面です。

たとえば、こちらで78年を選ぶと(①)、


こんな画面になります。


1行につき、中国語名、英語名と年度の3つを表示します。
中国語名については、香港での題名を、英語名は香港で使われた英語のタイトルを優先表示するようにしています。
とはいえ、中国語名は呼び名がいくつかある場合は
そのどれかを使うことになりますが
不思議なことに中国語名(=漢字)がない作品も一部存在しています。
例えば78年ではdragon lee の"Enter the deadly dragon"は詳細不明で本当に存在しているのか疑問ですが、いまのところ手がかりはこの英語題のみです。

また、数種類名称がある場合、通常は香港での名称かどうか判別がつかない事が多いので困りものですが極力台湾での名称との混同を避け、区別しています。

 

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無法無天飛車黨

2011-07-21 00:00:00 | 七十年代作品【1976】

   ウーファーウーティエン フェイチョーダン                         原題 『無法無天飛車黨』 Killers on Wheels

公開日 1976/8/26(木) 邵氏兄弟公司 作品

スタッフ&キャスト

監督 桂治洪(カイ・チーホン)

出演 凌雲(リン・ユン)
   劉慧茹(テリー・リウ)
   江珊(コン・サン)
ゲスト出演 李修賢(ダニー・リー)

解説

香港ショウブラザースの鬼才カイ・チーホンが無法の限りを尽くす若者たちを描いた暴力アクション。休日を別荘で楽しもうと海岸へやってきた男女4人がとんでもない出来事に遭遇する。若者の象徴であったバイクを使ったアクションを見せ、桟橋から海岸など場所を選ばずバイクが走り抜ける爽快感を味わえる。冒頭ではバイクを曲乗りしたり、ギターを弾きながらバイクに乗るというシーンを見せている。主演は『中原一點紅』(79)などの武侠俳優リン・ユンが登場。リン・ユンの妻を演じるのがカイ・チーホンが73年に監督した『女集中營』で日本軍の女士官・魔子を演じたテリー・リウ。ほかに香港ノワール物で活躍するダニー・リーがゲスト出演している。

ストーリー
リーダー(江珊)率いる若手のバイク集団はバイクで走り回ってやりたい放題。主人公・郭建中(凌雲)は結婚しているメイ(劉慧茹)と妹(程思)を連れてフェリーに乗って別荘へ向かっていた。偶然、バイクに乗った若者グループもフェリーに乗って来ていた。
フェリーを降りて別荘に着き、釣りに行こうと車で出掛ける3人。妹が一人で海岸を散歩していると、例のバイク集団に襲われる。そこにダイバーで妹の恋人・思維(李修賢)が現れ、ピンチを救う。と同時にバイクにまたがる大勢の若者たちを敵に回すことになってしまうのだが。
案の定、大人4人は若者たちの標的となり車にイタズラ書きされたり、ヒルを投げ込まれるなど仕返しされショックを受ける。せっかくの休日が台無しになりメイは家に帰ると言い出す始末。
更にバイクで追い回され屈辱を受けた郭は手のつけられない若者たちについに手を上げて、つけて来たバイクに車をぶつけ崖から突き落としてケガをさせた。
夜、別荘でマージャンをして過ごしていると、外で若者が騒いでいる。思維はグループの一員と乱闘になり、腕を負傷してしまった。翌朝、警察へ行こうとすると、車はタイヤをはずされモーターボートも沖に流されていた・・。しかし、これがワナだった。思維たちが沖で立ち往生している間に別荘をバイクで荒らして乗っ取り、ビールで祝杯をあげる若者たち。この後、主人公が若者たちから身を守るために取った手段とは・・・!?


桂治洪の映画は印象に残るものが多いのでそれだけ強烈な映画を作っていることになると思います。新人やエキストラなどを多数使って名の知れた俳優は極僅かであってもこれだけ印象に残る映画を作れるのですから大したものです。この映画の好きなシーンは2人の男が夕陽の海辺で対決するシーンです。西部劇なら銃を持って背中合わせにしてスタートですがヤマハのバイクに乗って、木の棒をかついで(笑)、エンジン全開でスタート!!とってもカッコいいんです。
この映画で描かれているとても元気な若者たちを見て「若いときは何でも出来ていいなぁ。」と感じました。
私もバイクを乗ったりした若い頃のことはよく覚えていますが、誰でも若い時はハチャメチャな事をやって気分を晴らしたりしていた経験があると思います。
彼らには名声も地位もない。お金もない。彼らにあるのはそう、”時間”というものです。若い人には時間を大切にしてもらいたいですね。(今しかないのだから・・・。)私ももう若くはありませんが、彼らの元気をもらってまた明日からがんばろうと思います!

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年度別表示画面

2011-07-20 00:00:00 | データベース

検索画面に続いて、次の画面は作品データを年度別にグルーピングした情報を一覧表示する画面です。

 

画面の左側にはメニューのショートカットがあります。ここの年度別(①)をクリックすると年度別になります。動作は登録されているデータをすべて検索し、年度毎に件数をカウントしてそれを降順に並べて表示します。

なぜ降順か。まぁこれは昇順でも降順でもどちらでもいい話ではありますが、最近の傾向を見るとそうしているところが多いので降順としました。(実際に使い始めて使い勝手が悪ければ変更しますが。データベースも生物でして^^)

この年度別表示は是非欲しかった機能で、国によって重要とみなしているところと全く重要視していないところに分かれます。日本ではあまり重要視されていないようですね(愕。

私のような研究者は整理して年度別に映画を考えるようになります。この年度に関しては公開日のように明確な数値のデータではありません。70年代でなくとも古ければ古いほど曖昧な研究者泣かせのデータであり、ホントいい加減な情報なのです(苦笑)。香港の公開日が判明していればその年が近いものとなるでしょう。
 
曖昧であるがためその定義が難しい。しかし、よく思い返してみると公開年か製作年かハッキリ明記していない現地資料や書籍も多いのでここでは製作年度ではなく単に年度というあえて曖昧な表現を使っています。

製作年に関してはかなり拘っていた時期があり、いつ頃撮影されていたのかを時間をかけて突き詰めて追っていたのです。製作時期が明確に当時の映画雑誌に掲載されていた時もありましたが、現在はどこに記載があるかも不明、資料の入手も難しく知ること自体がとても困難です。

そこで各作品の基準となる年度の表記について実体はこういうものだと長年データベースを見てきた経験から考えてみたいと思います。

例えば1本の映画が1979年のはじめから撮影開始され、3ヶ月後に撮影が終了、香港ではその年の秋に公開されたというケースがあったとします。これが一番わかりやすい例です。製作=公開=79年で両方が一致しているのでこのケースの年度表記は79年であればまったく疑いのないデータとなります。

製作、公開のどちらかが年を跨っていたり、どちらか片方が不明、または両方が不明などのケースが見方によっては製作と公開にズレが生じ、不自然に思えてしまうことがあります。
情報も説明も少なく結果的に根拠がない状態であっても○○年と記載されている以上はそうなっている理由がどこかにあるはずです。要はその説明がない部分を利用者がうまく読み取れればいいのですが諸事情でなかなかそうもいかないのが現実です。

映画は製作者つまり製作する人がいます。なので人によって製作されるものです。
だからその”年度”は当然製作された年(=製作年度)だと思うでしょう。私もずっとそうだと思っていました。
しかしある時、名目は製作年度だけれども実体は公開年度だと気づいたのです。
もっとも80年代中盤かそれ以降になればエンドロールを見れば年度がプリントされていたりしますのでそれで”製作年度”が分かりますが、いつ頃に作られた映画であるのか曖昧でもそれが分かればいいと思っています。

よって当データベースの基準は”公開年”としています。
但し、公開日がはっきりしていない、不明である作品については必ずしもそうではありません。

ひとつサンプルとして相応しいデータがあります。
それは、ジャッキー主演の御存知「蛇拳」です。
この映画は日本国内では従来の書籍が76年を採用していたため、76年表記がいまだに多く、
他にも77年や公開年を基準としている近年は78年の表記が多くなっています。
実際には「蛇拳」は77年秋に製作が開始され、翌年78年3月に香港で劇場公開されています。
つまりこの「蛇拳」が77年と78年を跨っていることになります。
蛇拳をネットで検索してみると、いろんな情報が得られると思いますが
なぜ製作年度がバラバラなのかお分かりいただけると思います。
(当データベースでは「蛇拳」の年度は78年としています)
また、リバイバル公開も本来は別途情報を持つべきではありますが、やはり初公開を尊重したい考えです。

冒頭の通り、当データベースでは年度別に分類して、その年度毎にまとめたページを作成しました。
年度という名称の項目です。公開や製作は付きません。とはいえこの情報を知りたいという利用者の方がいる可能性もあるので(爆)、詳細のデータを保持する領域には撮影開始、撮影終了、公開開始(初映)、公開終了(初映)などといった項目も追加しています。

さまざまな情報を蓄積し、瞬時に検索して知りたい事が把握できる香港映画データベース。これは私の研究の成果です。

 

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データベース検索画面

2011-07-19 00:00:00 | データベース

現在、中断していた香港映画データーベース検索システムの開発を少しずつ進めています。(開発ツールも少し古くなったので先日バージョンアップをしておきました。)

とりあえず最初の検索画面が出来上がりました。

こちらがその検索画面です。 
 

まず人物のデータか作品データか検索対象を選択します(①)

文字の種類を選んで(②)、検索実行ボタン(③)をクリックすると
画面下に検索結果が表示される仕組みです。 
 

この例では検索キーワードにアルファベットのdragを入れて、42件がヒットしました。dragという文字列が含まれていればヒットします。英字の場合は大文字でも小文字でも検索できます。

また、この結果の各行には詳細ページへのリンクが付けられており、これをクリックすると次の画面にジャンプします。

連続した結果を表示させる事や結果にリンクを含ませるという事が困難だったので以前はとても悩んでいました。最近になってようやく実現方法が分かり、何とか行えるようになりました。

コレは使えるゾと言われるような便利な物を作ることは難しい事ですが、それを目指して日々試行錯誤を繰り返しています。また、次の画面ができましたらこちらで使い方などを紹介します。

 

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鬼話連篇

2011-07-15 00:00:00 | 邵氏電影

毎晩暑くてまいりますね。窓を開ければ虫の声がする・・・。

夏と言えばホラー映画。
私は邦画の「呪怨」シリーズが好きでよく観ていましたが、
こう暑いとホラー映画でも観たい気分になります。

偶然ですが、今日は最近出ました「霊幻道士3・キョンシーの七不思議」のDVDを1000円で購入。このシリーズはどれもDVDを持ってなくて(昔のポニーのビデオしか無かった!)先日書いた記事のオーボーもまた見てみたくなり1000円と比較的安いですし帰りに買ってしまいました。(でも、この映画なかなか面白いんですよね。ホントに。)

そして今回の記事は邵氏の『鬼話連篇』Fearful Interlude という75年のホラー映画です。これは「蛇姦」などでも有名な桂治洪が作った3話構成のオムニバスとなっていて、山ほどある邵氏の映画だとたまにオムニバスに出会うこともありますね。

ホラーのオムニバスってのもいいものです。

その第1話が『鬼屋』。
怪しい洋館で繰り広げられるサスペンスタッチのお話。
(クモの巣だらけでまるでホーンテッドマンションみたい)

王鍾ら3名が古い館に入ります。

なんかいいですねー

この絵が劇中何度も映し出される重要な絵です。

おまえはキョンシーなのか?

手がのびる。ビヨーン

ホラー映画によくあるような、出るか出ないかハラハラドキドキさせる
焦らしテクを使った(私個人はこんなシチュエーションがあればすごく楽しめます)
約20分の短編ながらなかなか良く出来ていると思います。

2話は簡単に言うと、現代に近い時代設定で一人青年の母親が墓に入ったり
出たりする話・・。これはちょっとキツイ。

3話はちょっと昔に戻って『聊斎志異』チックなお話。
サブタイトルがそれぞれ付けられてますがこの3話が『古之色狼』という題名です。

要約すると、さんまちゃんみたいな出っ歯の男が出てくるお話です。
(…というか完全にものまねの原口の方だね(笑)

豚小屋に入れられたり、蛇が出てきたりします。。。
王清河爺がゾンビの牙から救われたアイテムとは・・・!?
なぜか女ゾンビだちはキョンシーみたいにピョンピョン飛び跳ねてました。

爪がささって取れない[赤β]履仁…(爆

ということで今回は邵氏の鬼才・桂治洪によるホラー作品でした。
次回はまたまた続きますが桂治洪の『無法無天飛車黨』を書いてみる予定です。

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Jumping Ash ソフト集

2011-07-13 00:00:00 | その他・研究

前回記事の嘉倫さんの映画ですが
香港新浪潮の出発点言われている『跳灰』(76)が、あるではありませんか!

ちなみに台湾にも”台湾ニューシネマ”ってのもあって(笑)、四話オムニバスの『光陰的故事』が出発点になりますね。(またこの辺りは今後のネタにでもしたいと思います)

で、『跳灰』の過去のソフトを探してみると、いろいろあったみたいですね。

キーワードは"Jumping Ash"

たとえば海岸のVHSなんかは当然の如くあり、(んー、なんか面白そう)

陳星の頭の毛も気になる(笑)

その後、VCDもしっかりリリースされてました。(当然、廃盤。)

VCDもかなり入手困難・・・。

 

そして、コレ。Greek VersionのVHS。

 ギリシャ語のVHSだ!

ギリシャだとPALになるから、安くゲット出来てもPALのデッキも無いしどうにもならないけど。

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手扣

2011-07-09 09:00:49 | 七十年代作品【1979】

     ショウ カオ
原題   『手扣』 The Handcuff

又名:『手[金考]』(日本未公開)

公開日 1979/9/6(木) 

雄鷹電影公司 作品

1,390,799HK$ 1979年度第31位

スタッフ&キャスト

監督 午馬(ウー・マ)

出演 陳惠敏 (チャーリー・チャン)
   苗可秀(ノラ・ミャオ)
   嘉倫 (ガー・ルン)


解説

日本ではチャーリー・チャンの名で知られる陳恵敏(「怒れ!タイガー 必殺空手拳」)主演の現代アクション。かつて仲間だった2人の男の対照的な姿を描く。共演は「ドラゴンへの道」のノラ・ミャオ。チャーリー・チャンとは「クンフー・キッド」(77)以来の共演となる。ノラ・ミャオはチャーリー・チャンにケガを負わされ記憶喪失になった女性を演じる。刑事役をつとめた嘉倫は、83年に日本劇場公開した新藤恵美主演「チャイナスキャンダル艶舞」(原題:『狂情』)やIFDの『連環炮』(86)等、チャーリー・チャンとの共演作がいくつか存在する。監督は「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のウー・マ。

ストーリー
主人公・阿龍(陳惠敏)はヤクザ。阿龍はマフィアのボス、青龍こと趙坤(唐菁)に親子同然のように可愛がられていた。世間は物騒であり、巷では殺人事件が起きている。阿龍は人殺しなど平気でやってのける凶悪犯なのだ。蕭其昌(嘉倫)は阿龍とは対照的に事件を難なく解決する敏腕刑事だ。ある日、阿龍は家宅侵入し住人を殺害、同居の莫秋霞(苗可秀)も殴打して気絶、記憶喪失に。夜、秋霞の病院へ押し入り、殺害を謀るがこれは待ち伏せのワナで阿龍は警察に取り押さえられた。蕭警部が取調べの部屋へ来ると、容疑者の阿龍がイスに座り沈黙して待っていた。ところが、顔を見合わせた瞬間、警部の表情に笑みがこぼれた。警部「阿強じゃないか!」阿龍「おまえ、阿昌だよな」 
そう、阿龍は偽名で本名を周偉強と言ったが、この2人は昔、不法入国した仲間だったのだ。秋霞は取調べで並んだ容疑者の中に犯人がをいるか尋問される。しかし、阿龍の顔を見つめたまま犯人はいないと証言してしまうのだった。そんな頃、警部の結婚5周年のパーティが盛大に開かれた。著名人を紹介される阿龍だったが気分が乗らず黙って帰ってしまう。その昔、船に乗って逃げてきたとき足を負傷したいた自分を助けてくれた事を思い出す警部…。その後、阿龍はボスに相談してクラブ歌手であった美鳳(王玉環)との結婚を許してもらう。美鳳は金持ちの太子超(鄭康業)と知り合い、いつも追い駆けられているが阿龍の忙しさのあまり美鳳は浮気の日々。マフィアの一員、阿勝(江濤)はボスからカジノの運営を任されている。ある時、仕事に失敗し大金が必要になるがボスからは金の支払いを断られる。ある日、阿龍が浮気していた美鳳を見つけ太子超に重傷を負わせ、美鳳を無惨な姿にしてしまう。ショックを受けていた阿龍はボスに励まされ気を取り直したかに見えた。秋霞の家を訪ねてみるが秋霞とは何も話さずに去る阿龍。すると、阿勝が車を止め、道で待っていた。バンコクから電話がありボスからある命令が下る。香港に運ばれてきた車と共にやってきたのは日本人レーサー(鹿村)だった。阿龍は車から麻薬を見つけるが日本人と対決して激闘の末彼を倒しヘロインを焼いてしまう。阿龍は次々と犯行を重ねてゆき警察から追われる毎日であった。逃走中に負傷した阿龍は秋霞の家に逃げ込み、傷口を自分で針で縫って処置をした。
その頃、麻薬所持の容疑でマフィアの一員、馮満生が逮捕された。すると阿勝は殺し屋にボスの殺害を依頼し、ボスは重傷を負う。いなくなったボスの代わりにボスの座に居座る阿勝。阿龍がボスを尋ねるとボスの姿がない。阿勝は馮満生がボスを殺して入院中だと騙す。それを聞いた阿龍はすぐに病院へ行くが、寝ている男がボスとは知らずに刺してしまう。逃げようとする阿龍はその声がボスであることに気づきボスと言葉を交わすがボスはすぐに息を引き取った。その後、阿龍が秋霞と一緒にいるところに警部が現れた。阿龍は警部に言う。「あと24時間、時間をくれ。秋霞は自分が怪我をさせてしまった。彼女に金を渡して病院で療養させたい」と。
阿龍は行動を開始する。阿勝を叩きのめし金を持ってフェリーに乗った。しかし、警部たちが後をつけフェーリーに乗り込むのだった。もう逃げられない。警部は数々の罪を犯した阿龍の手に警察官として手錠をかけた。隙を突いて銃を奪い、銃口を警部に向ける阿龍。すると、手錠を切ろうと発砲、そのまま海へ飛び込むのだった。阿龍は秋霞の家に金を持っていこうとするが、見張りがいて近寄れない。警部は通報され民家に立て籠もった阿龍を説得し警部に拳銃を渡す阿龍。しかし、外で上司と警察隊が銃を構えて待っていた・・・。 


香港でスマッシュヒットを飛ばした現代劇。チャーリーがやりたい事をやってる様子も随所に見られるが監督がウー・マということで全く彼の思い通りの映画という訳ではない気がする。仕上がりの良さはやはり監督ウー・マの力によるものだと思う。
監督としてはウー・マは『聾唖剣』など早くからその才能を発揮してた。
70年に初監督した『怒劍狂刀』は是非近いうちに解説してみようと思う。

鄭康業も、現代劇だと非常に新鮮に映るのだが、
 
ウー・マにかかれば
こんな表情さえ引き出してくるのだ。
  ここまでオーバーな顔は見たことない。
邵氏を抜けた後、「ドラゴン・ロード」に出るまでの彼が面白いのではないかと思う。

それにしても
ウー・マと実生活で付き合っていた女、ウォン・ヨォクワン。
 
あのオーボーの女優である。
霊幻道士シリーズ以外ではほとんど見た事はなかったので
70年代の少し若い頃にもウー・マの映画に出ていたなんて驚いた。
80年代や90年代に有名になった俳優が実はもっと昔にはこんな役をしていた・・的な見方ですが、これもなかなか面白いですね。ウー・マとはいつ知り合ったのか時期は不明ながら、もしやこの頃ではないでしょうか。

嘉倫は気のよい刑事でハマリ役。他にも刑事ドラマがあればもっと見てみたい。
もしかしたらチャーリーとは仲が良くて「チャイナスキャンダル」で友情出演したのかも。(どういう訳か警部といえばこの人、フィリップ・チャンも無理矢理出演したように一瞬だけ顔を見せるので可笑しいったらありゃしない。)麻薬の取引がこの映画では描かれるがオランダが関係しているようだ。オランダは何か麻薬と関係があるのだろうか?

嘉倫が86年に出た『連環炮』では出演者も似通っているがご覧の通り、ヒゲ面で登場する。(この映画の英語名は"The Man from Holland"つまりオランダから来た男だ)

こちらは『連環炮』より

『連環炮』で、銃を撃ち合う高飛とチャーリー

時裝片は昔の香港の様子をそのまま映し出しているので、当時はこんなだったのかと思わず見入ってしまう。
例えばチャーリーがいくつもの外車を乗り回してる。
懐かしのフェラーリ308GTBだ。
「チャイナ…」でも外車に乗ってたからもしかして外車マニアだったりして。
他にもBMWー3.5CSLなんかも出てくる。(運転してるのは鹿村だけどね^^)
 鹿村VSチャーリー

そして、この演出が仰天させられる。邵氏のある大物俳優がノンクレジットで出演しているではないか。名前を名乗らずボスを狙う殺し屋という役で。
チャーリーと戦ったと思えばサラっと消えるという展開で、
こんな人がいきなり出てきてビックリ箱みたいな映画を作ってしまうのだから
ウー・マには参ってしまいます。
最後にチャーリー・チャンについて。チャーリーの演技力は素晴らしく凶悪な犯人を演じきっている。その演技はまるで「空手ヘラクレス」のときの主人公を彷彿させる。凶悪な事ばかりする犯人だが、ボスの事を慕い、どこか真面目で秋霞を心配する阿龍。そんな主人公を刑事ではあるが彼の持つ性格を知りつくし最後の最後まで信じようとする姿に涙するとても良い70年代の刑事ドラマでした。終

 

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赤膽好漢

2011-07-05 00:37:38 | その他・研究

 「孫文の義士団」(以下、『十月圍城』)のパンフには面白い記述がいくつかあります。その中で『赤膽好漢』という作品が「孫文の義士団」の原案となった映画であると書かれていましたが、これがどんな映画だったのかちょっと気になりますね。

そして、その映画を監督したのが『十月圍城』プロデューサー、ピーター・チャンの父・チャン・タンマン(以下、陳銅民)であるという記述がありました。今をときめくピーター・チャンの父親も映画監督だったんですね。そういえば私が中学生の頃の夢は映画監督になることだったっけ。子供の頃、父に連れられて映画館に行ったのがきっかけだったのかも知れない。(とっくに夢は破れましたが。。)その頃父はアメリカ映画が好きだったけど記憶に残っているのは「戦艦ポチョムキン」と「惑星ソラリス」だ(爆)。

さて、『十月圍城』にありました要人を守って船に乗せるというプロットは「ワンチャイ天地大乱」や『上海灘十三太保』(84年の張徹作品。これもティ・ロン演じる教頭が刺客から江明扮する高先生を守り抜き船に乗せる)などがありますが、『赤膽好漢』も実際に観てみると同様のプロットがありました。今回はこの台湾で一週間だけ公開されたという作品『赤膽好漢』The Bodyguard (74)について見ていきます。

まず監督の陳銅民は息子のピーター・チャンを尽く自ら監督した映画に出演させており、小さな役が多いですが息子に機会を与えていましたね。

・73年『奪命客』killer in the Dark 

カンフーを演じるチャン少年

タイロケの『大地雙英』も可能性がありますが、こちらは未確認。

・77年「激殺!邪道拳」

千葉真一と共演するチャン少年

勿論、『赤膽好漢』においても登場させています。

 ラーメンを買っているチャン少年

 ということで完全に映画の世界に引き込んでいます!これが無ければ『十月圍城』もあの『武侠』も、『金枝玉葉』だって見れなかったかも知れないのでこれは許しちゃいましょうか!(嘘)。

さて、『赤膽好漢』で主演するのは『火燒紅蓮寺』(76)でしか確認できないというマイナー俳優・揚子江。

 揚子江

ちなみに脱線しますが『火燒紅蓮寺』ですが、正確には『呂萱良火燒紅蓮寺』という題名が正式なタイトルであったようで海報にはとても小さくさらっと人名の”呂萱良”が書かれていますね(苦笑)。

 これでは誰も気がつかない・・・。

ジュディ・リーもとても人気がありますが、少しずつですが興味を持っていろいろ調べていければいいかなと思います。 ついでに未見ながら『新火燒紅蓮寺』という作品も製作されていますね。(ただしジュディ・リーは出演していないようですが。)紅蓮寺が燃える・・・とは何なのか気になりますね。
 どこが”新”なのでしょう。

あと、もう一人の主役である李錦坤について。かなりの実力者だと思っていたのですが、グーグル先生で調べてみると李錦坤は剛柔流空手8段の腕前で香港での剛柔流代表者なのでした。(現在は橋治会の館長を務めています。)http://kugekai.org/

こんな本まで書いてます。著書『館長親傳空手道』より

映画は、この李錦坤と上述の揚子江がアサシン部隊から孫文を守り抜くという設定になっています。

共演するスターたちも『十月圍城』ではレオン・カーファイの演じた陳少白(ちんしょうはく)には重鎮の唐菁が。(これは比較は出来ないですけどね(笑))
孫文も『十月圍城』同様、あまり顔を見せない設定にしています。(孫文を演じたのは劉家勇の父・何寶星ではないでしょうか? )
まだまだ、この映画には長江電影で魯俊谷との共演が多かった胡茵茵が出演していたり、武術指導ラウ・カーウィンなど邵氏にいた武師たちが多数出てきますのも見逃せないポイントであります。
あと、南宮勲はどうして出演?と思ってしまうのですが、これは同時期の『一網打盡』にも出演していたことが考えられますね(一応、納得)。 


映画の冒頭で孫文が船でやって来ます。

 
反政府派の揚子江の父は牢屋に入れられ拷問にかけられてしまいます。そして、もうここから外に出ることは叶わないと最後に血文を書き残し、そのまま自ら命を絶ってしまうのです。
血で書いたメッセージを息子に託す…なんて今では全く有り得ず想像できませんがそれだけ魂を込めた必死の思いでメッセージを残したシーンがとても印象的でした。(また更にその父を房勉が演じていたというのも心に残ったと思います。)

毒牙のような南宮勲と朱鐵和の二人が凄い!

頭突きが強烈!

アサシン部隊が迫っている・・・。

決戦を前に誓い合う3人

李錦坤と揚子江の二人が孫文を擁護して無事に船に乗ることが出来ればいいのですが、まだ主人公たちが激しいバトルを続けてるというのにさっさと船に乗ってしまう孫文…。

まぁでも最後にはちゃんと見送っていましたけど。(良かった、良かった!)

見届ける主人公の2人

映画を製作した独立プロ・歐亞公司の創業作でもあった『赤膽好漢』でしたが、やはり『十月圍城』の原案だったということで脚本家に注目されると思います。脚本を書いたのは邵氏でいくつかの作品を書き、「スカイホーク鷹拳」や私の好きだった「燃えよ!ジャガー」を書いたペンネーム・易方こと葉逸芳であり(邵氏の『悪虎村』や徐増宏の『大羅剣侠』も彼によるもの)この70年代に、ボディーガードたちのストーリーを書いてます。監督・陳銅民や70年代の脚本家たちを尊敬しつつ、30年以上も経って『十月圍城』という素晴らしい作品に生まれ変わったということで新しい映画を作った男たちにも感謝したい気持ちでいっぱいです。終

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下記は文字の色を見えなくしてあります。
Result:
○揚子江 VS 黄哈●
○伍元勳 VS 田豊●
●伍元勳 VS 南宮勳○
○李錦坤 VS 楊斯●
●伍元勳 VS 朱鐵和○
○揚子江 VS 南宮勳、朱鐵和●

コメント (9)
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