協和影視版 焼き付け中英文字幕入りがうれしい
最近自分の時間がとれなくて本編の一部を少し見ただけでありますが、あの手がのび〜る画像があまりにも衝撃的だったので、とりあえずそのシーンはどこかなと探してみるとー、あった。ありました!(あ〜よかった。安心。安心 )
手の長~い蔡弘さん。
71年の公開当時は、ノラミャオの『鬼流星』とかちょっとオカルトっぽい武侠片も公開されていたので流行っていたんでしょうか。(『剣女幽魂』そのものは69年秋ぐらいから70年にかけて製作していた模様。なぜか公開が1年遅れた。。流行っていたから香港で公開されたのかも知れませんが。)
ほかにも邵氏の郭南宏作品では『童子功』があります。こちらは香港では上映されず郭監督も『剣女幽魂』がなかなか香港での公開が決まらず挙げ句の果て次の映画『童子功』は公開されなかったのでちょっと哀れでした。
そういえば、『童子功』ってカメラマンにも注目ですね。以前”まぜるなきけん”のせんきちさんがブログで日本人カメラマン・中條伸太郎に焦点を当てた素晴らしい記事を書かれていましたが中條伸太郎氏が70年代に郭監督のカメラマンを務めていたそうです。『童子功』では鍾申郎名義ですが、『剣女幽魂』のカメラマンは別の人だったので『童子功』がもしかしたら最初なのかも知れませんね。
話を『剣女〜』に戻すと、ひとつ疑問だったのはなぜあんなビックリ仰天するような演出を入れ込んだのか?というお話。たぶんこれは監督の発想なのだと思っていましたが、いまから300年ほど前の清代の小説でが作者の蒲松齢が伝え聞いた400本以上の短編を寄せ集めた『聊齋志異』(映画化されたものではキン・フーの『侠女』やジョイ・ウォンの代表作『チャイニーズゴーストストーリー』などが有名ですね。)に出てくるような妖怪や幽霊の物語がベースとなっているようです。この小説の凄いところは幽霊が出てくる物語でありながら人情があってあまり恐怖を感じさせない点です。これが時代劇ならどこかしら影響が見られると思います。
この映画が作られた70年代初頭、これ以前の武侠作品にも聊齋志異的ストーリーを持った作品の兆候が見られるのかも知れません。のちに田鵬が監督した『南侠展昭』(75)とかも南山宏じゃなかった(笑)、郭南宏の影響を受けていそうな感じがして田鵬主演の台湾作品などでもこんな映画が作られているので一連の作品を見ていくと大変面白いかと思います。(この稿、未完。)
余談ですが、『剣女〜』の英語タイトルはMission Impossible.でした。
そうなのです。これは洋画の「ミッション・インポッシブル」と同じタイトルです。(ちなみに中文では『職業特攻隊』というらしい。来年パート4が全米公開予定とか。)ようするに御存知「スパイ大作戦」と何か関連することはないかと久々に「ミッション〜」のパンフをめくってみると面白いなと思う記述がありました。それは“「スパイ大作戦」のアイデアは犯罪映画「トプカピ」(64)を参考にしている”という記述。これはジョン・ウーが『M:I−2』で見せていたものにつながります。『剣女〜』がスパイ大作戦からヒントを得ていたのか謎でありますが、確かに金龍寶剣という宝剣が登場しています。この映画の監督郭南宏も偉大な盗寶片の影響を受けている可能性があるのではないでしょうか。
それに、そもそもどうしてジョンウーが『M:I−2』を監督することになったのかについてはどこの書物にも書いてなくてアレですが、やっぱりこっちもトム・クルーズがオファーしたのかな??
・・・ということで前置きが長くなりましたけど(笑)、次回のお知らせを。
次回はジョン・ウー監督が作った79年の武侠映画『豪侠』を取り上げる予定でいます。