電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

人皮燈籠

2022-05-22 18:36:41 | 邵氏電影

どうも、こんにちは。管理人です。

GWも終わって暑くなるかな~と思ってたら雨とか天気悪い日が多くてなかなかスカッとしませんが(汗)、夏に向けてホラー映画もみたくなる季節ではあります。Tシャツもいろいろ出して五毒Tシャツなんかも出てきました(笑)。出来ればTシャツで過ごしたいのですが、いつものクセで長袖シャツを着ちゃってます。。

さて本日はお待たせ(?)のホラー作品『人皮燈籠』(82)です。93年の梁家輝版もあるようですが(こちらは未見)、孫仲監督の方ですね。この映画のブルーレイ・ソフトが先日イギリスでリリースされまして早速購入しちゃいました。

いつものように日本語にすべて翻訳して視聴しました。私の好きな髭danのTell Me Babyを流しながら・・。

燈籠(とうろう)って基本的に夜に楽しむものでしょうけど、日本でも各地で燈籠流しなどのお祭りをやったりしてますね。英語だとランタンです。私はキャンプ大好きで、山へオートキャンプへ出かけた夜にはランタンで明かりを灯してのんびり過ごすのが夏の過ごし方でした。ただ燈籠はキャンプで使うランタンとはちょっと違いますし、何も無いですが日本の燈籠にはなんか怖い勝手なイメージがありますです(汗)。

孫仲監督のこの映画『人皮燈籠』ではその名の通り、鉋(かんな)のような刃の部分が扇状のカーブをになっている刃物で、人間の皮を剥いで燈籠を作るというお話なのですから、これはもう恐怖で血も凍る内容ですよね。※心臓の弱い方は要注意!

この映画で一番の注目はこのキャラ。仮面を付けた途端、敏捷性の高いスーパーモンキーになります(笑)。この羅烈演じるキャラ(中身は別人かも?)がとても生き生きしていて皮を剥いだらへへへと笑って立ち去ります(汗)。このかわいらしさと不思議な内面性を持つ感じが良くて、このキャラが好きになりました(笑顔)。

そして、この映画のキャスティングが素晴らしく、この羅烈に、劉永(トニー・リュウ)、そしてチェン・カンタイですよ!

基本白装束の劉永の剣捌きがキレがあってかなり見応えありです。

(冒頭、名のありそうな剣がズラリと並ぶ"劍廊"も名場面!)

(カンタイの扇子アクションが最高なのです)

女優陣のメンバーもとにかく凄くて圧倒されますね。まず恬妮(タニ―・ティエン)さんがそもそもの騒動のきっかけとなる人物・金娘を演じています。 楚湘雲(リンダ・チュー)さんが娼館のマダム、気の強い娘でカンタイさんの妹役の林秀君、チョイ役の邵音音(スーザン・ショウ)さん、夏萍さんなどなど豪華な組み合わせとなっております。

(この映画の優しいタニ―さんは私の超絶好きな『鐵漢柔情』につぐ映画かな?)

インタビューでリンダ、スーザンさんのお二人のお話も収録されてたのですが、当時の貴重な証言が聞けるのは非常にうれしいですね。

撮影もメイクもいろいろ大変だったそうですが、孫仲(スン・チョン)監督は、撮影の合間などにはいろいろ指導(皮を引き裂く場面のより効果的な演技ついて云々)してくれたりして、とても優しい監督さんだったそうです。また、共演者の羅烈とはよく麻雀やってたそうです(笑)。・・・リンダさん談

 

ストーリーの概略はこんなところ。

主人公・龍(劉永)と春(羅烈)は腕の立つ剣士でライバル同士。以前の恋の鞘当てで春は龍に敗れ、江湖から姿を消した。

ある日、前回のランタン祭りで称号を勝ち取った譚(チェン・カンタイ)は華やかなセレモニーで見事な燈籠を披露する。

龍は数か月後の祭で競い合う譚と口論となり、龍は公衆の面前で面目を潰され険悪なムードに。何が何でも勝負に勝ちたい龍はちょうちん屋の崔爺さん(王清河)にランタン作りを依頼するが、いい顔をしない。実は正体を明かせないランタン職人が別にいたのだ。爺さんに大金を渡し、その職人の居場所を聞いて行ってみるとそこには顔に傷を負った男・春がいた・・・。

春は過去の出来事をすべて忘れるため、この場所を選んでランタン作りに没頭していた。突如目の前に現れた龍からの甘い誘惑に動揺する春。ここで春は協力する代わりに条件を1つだけ龍に告げ、ランタン作りを引き受ける。龍は春を、マダム艶珠(リンダ・チュウ)がいる馴染みの店へ連れて行った・・。

龍は譚との勝負に負ければ死を選ぶと妻(タニ―・ティエン)に宣言した夜、ドクロの仮面を付けた謎の人物が現れる!

その人物は、何とも恐ろしい燈籠を作るため、憎むべき獲物を狙っては捕え、その人間の皮を剥ぐのだった・・。

***************************

 

・・とまぁ、昔の風習というか燈籠にまつわる逸話があるのかも知れないですが、ホラー映画として、この恐ろしい話と美しい燈籠が背中合わせでピッタリくるお話と思いますし、これを撮った孫仲は本当に素晴らしい!!劇中流れる音楽にもシビれました。

羅烈の演じたキャラ・春方が復讐の鬼で恐ろしい殺人鬼であるけれども、顔を隠している事で物凄いパワーを秘めていて、ついに完成した燈籠を見て笑う凶悪な人物、その反面、剣士・龍帥の真っ当な人物との対比の演出の巧さ。言うこと無しですね。

そして、五毒メンバーから2名が参加している点も特筆すべき内容です。まずは孫建(スン・チェン)が捕頭役で登場していて、マダム殺害の調査などをする役目を・・。(アクションシーンは割と少なめ)

さらに中盤に颯爽登場し、カラフルな扇子をまとった護衛のマスター、カンタイとのバトルが凄い殺し屋、羅莽(ロー・マン)。強烈な印象が加わってかなりのテンションアップです!!

(今回の唐佳びっくりドッキリメカは鎌トンファー)

これだけの内容を盛り込んで、ホラーかつ、武侠アクションも融合して素晴らしい完成度(!)の本作『人皮燈籠』。さすが唐佳!! 孫仲と唐佳のコラボだとやはり『冷血十三鷹』が良かった!

 

 

ちなみに以前、この映画には元華が出演していたという噂がありました。実際に海報には名前が書かれていますが、どこに出ていたのでしょうか?おそらく、最初から最後までじっくり観察しても分からないかと思います。

また余談ですが、この『人皮燈籠』は香港で82年に公開されましたが、台湾では過度の残酷描写がアダとなり3回も上映禁止になったほどでした。その都度、邵氏は上映の許可が得られるまで再編集を繰り返し、公開に至ったのは6年後の88年。ここまで上映までに期間と労力がかかったという訳です。。当時、邵氏としてはどうしてもマーケットの大きい台湾で上映したかったんですね。現在は、こうして映像ソフトが割と普通に見ることが出来ますのでありがたいですね。

ちなみにこちらのDVD(リージョン1)には、カットされた残酷シーンが収録されています。

 

 

以上、いかがだったでしょうか。結局、こういったギリギリの線を攻めた経緯も含め、『人皮燈籠』は緊張大師(※1)・孫仲監督の本領発揮したホラー作品といえるのではないでしょうか。あなたのハートには何が残りましたか?

 

Human Lanterns(82)

(※1)緊張、緊迫する場面を撮ることに長け、その映画の大家の意。

 

 

 

 

 

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女集中營

2022-05-01 20:34:22 | 邵氏電影

こんにちは管理人です。

最近ショウブラ映画にどっぷりつかってしまいまして、他の映画に興味が無い訳ではないのですが、

しばらくの間、こんな状態が続くと思います(汗)。

邵氏ファンの方もどうぞおつきあい下さいませ。

また、こんなのを取り上げてほしいとかご要望がありましたらコメントいただければと思います。

さて、今回は、73年の香港公開作品『女集中營』についての記事です。

いわゆる女囚モノで、日本軍に捕虜として収容された国際紅十字会の人々らが脱出劇を展開するという抗日映画です。

ジャンル的には友人が命名した"ポロリ" カンフーですねw。

とにかく露出が多いこの作品、カイ・チーホンがまだホラー映画に開眼する前になるかと思います。

女囚モノだと東映の女囚さそりなんてありましたね。

そう、さそりの梶芽衣子なんていったら某時代劇のチャンネルで鬼平で見るぐらいですが、

女囚シリーズはいまとなってはあまり見る機会も無くなってしまっています。。

目の表情で一世を風靡した彼女ですからテレビで見かけるとうれしいというか目がシャキッとしますね!(笑)。

もっとも本作の女優さんは梶芽衣子とは目つきが圧倒的に違います(弱い)けれども・・。

(目の大きい、柴咲コウがリメイクやったらどうなるかな??)

本作も女囚シリーズに影響して邵氏で作っちゃえ的な1本だと思われますが、桂治洪が途中降板した(?)監督に代わってメガホンを取ってます。

ところで、集中營って収容所とか野営地キャンプのことで、その第十三女子収容所が舞台なんです。13個もあるの?(笑)

刑務所とは若干ニュアンスが違いますが、脱獄がテーマの映画とかもメッチャ面白いですよね。

例えば、有名人が書いた獄中日記とか元刑務官の秘話なんて書籍も興味があって読んでみたいですが、

映画だと、イーストウッドの「アルカトラズからの脱出」とか好きですね。

この映画に関しては、邵氏のレア監督 牟敦芾(ムー・トンフェイ)の『黒い太陽731』(88)なんかで

描かれている日本軍のグロい戦慄表現じゃないの?という指摘の声なども聞かれます。海外ですと、こんな事書いてる方もいるようです。

 

本作のメインキャラですが、通訳クオトン役で登場のMr.ショウブラザースこと羅烈が、サングラスかけてやばいぐらいにカッコいいんですよ!

(ここだけでも一見の価値あり!)

途中デンマークの青い目の女優さん(バート・トーヴェ)といい仲になっちゃうんですが、

カーキの軍服脱いでちょっとだけ和服姿になる羅烈がまたいい!!

 お茶を飲んじゃったりする

 

あと、刑務官の中につよーい女性がいるんです。

テリーもら じゃなかったテリー・ラウ(劉慧茹)の看守さん。こわーい役だったなぁ。

マコって名前でw。最後まで生き残るんですが、やはり主役では無いということで・・・。

 ラウさん(右端)

それから、収容所のお偉いさんだとやはりこの人になっちゃいます王侠(ワン・シャー)。

フンドシとか大好きな人ですが(画像は自粛w)、

日本人なんで「バッキャロー」なんてセリフも聞こえてきます(笑)。チャーリー親分みたいですね!

 

「燃えよデブゴン」で女友達のアーチェン役だった李海淑さんも女囚役で諸肌脱いだ演技してます。

この映画でけっこう活躍する彼女、燃えデブ以前にこんな映画にも出演されていたんですね!

あともう一人、脱出に協力してた陳鳳真さん(この人分かりますかね?ほとんど無名だけどw。『少林門』など)という味方の兵士兼調理人役で好演されてたハンサム男でした。

 李海淑と陳鳳真(レア)さん

そして、ここからが電影フリークス的ポイント解説です!

えーと、割とオーソドックス(?)な女囚モノと思われがちなのですが、

確かに今回は残念ながら『洋妓』のような白熱したポロリ・カンフー対決はまだありません。。

その代わりと言ってはなんですけど、中盤のカーアクションのシーン。日の丸パタパタ迷彩色のトラックと羅烈が運転する脱出メンバーを乗せた車とのバトル!

ここは映画的に斬新でかなり面白い。(ここは邦画じゃ無理だし、絶対チーホンだね!)

そして、梅生さんと李敏郎のヒゲヒゲコンビ♪(わたしはこのお二人が好きなのだw)

まずこのリー・ミンランさんはこの手のショウブラ映画や他社作品にも必ずと言ってよいほど出演される功労者ですが、大抵途中でヤラれちゃう役ばかりです(笑)。

 この通り、いい役者さんです。

彼にはカッコよさは無いんですけど、全くいやらしさが無いんです!(性格いいんでしょうね)

 酔っ払いのミンラン

ミンランさんはのちの『洋妓』にも出演なさっています。また王侠と一緒に(笑)。王侠、ミンランはそのまま、羅烈の代わりとして岳華に変更!

梅生さんは、ほんと出番少なくて一瞬映るぐらいで残念ですが、この人がいると映画の雰囲気が変わりますよね。今回は、炎天下で水筒で水を飲む日本兵士役。とりあえずこれで良いと思います。

 梅さ~ん

ということでこの映画は、以上で挙げました人物以外は特に説明不要ですw。

 

ラストは、惨いシーンで終わってしまいます。あー恐ろしや~。

ショウブラで他にも似たような映画があるかも知れませんが、この時期に製作された映画としては前半こそ収容所内ばかりとなりますが、後半は広大な山地、森林地帯、洞窟、崖などでの撮影でメッチャ良いですね!

そもそも女囚ネタですので、撮れる監督さんも限られていた・・という事かも知れません。

女優さんも頑張っていたと思いますが、人気のある方とかではさすがに無理ですもんね(オファーがあったかは不明)。

個人的な感想は、流石だね、羅烈!に尽きますが、これを見て邦画とは違った香港テイストの女囚モノが楽しめたと思いますので良かったと思います。(あ、80年代?香港映画にも確かあったかな?)

 

ちなみに今回の映画の武術指導はルーチェンこと鹿村さん。

鹿村氏はホントにチーホン監督とつるんでましたので、監督の作品には殆ど参加して一緒に映画を作り上げていたのですからもう何でも知っている仲でしょうね!

それではまた次回。

 イケリエよかった!

 

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