電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

王天林追悼1・『追撃』

2010-11-30 15:41:11 | 嘉禾電影
この映画は先日亡くなった王天林監督が71年に撮った作品でジェームス・ティエンとマリア・イーの主演映画です。

日本では2008年のハーベスト作品DVD発売ラッシュでは未発売に終わりましたが、Joysalesからの発売もされましたので御存知の方も多いと思います。

王天林監督とハーベストの関係というと縁が無さそうに思えます。後に監督が「燃えよドラゴン」にも出演したりしていた事も考えると、レイモンド・チョウとの友好関係とも思えますね。

タイトルの『追撃』ですがこれだけでは何を追撃するのか分かりません。
二十年程前、CSで放送された時の題名は「血の剣」でした。これで風がわりな剣が登場する武侠片なのかと思うことでしょう。
どうでしょうか?こんなタイトルが付けられていたと知っただけでも多少は面白そうだと感じたりしませんか。
実際のストーリーはこんな感じになります。

主人公・石海龍(田俊)は、”血の剣”という名を持つ秘剣を持っていた。人々から狙われるが誰にも触らせない。この剣は父親の死の謎を解くカギとなる剣だったのだ。
実はこの剣は2本あり、もう一本は行方知らずで石はこのもう片方の剣を探す旅に出た。
どうやら天龍幇の頭主ハン・イチュという男が謎を握っているらしい。
石の持つ剣を目当てに次々と追っ手が石に斬りかかって来るが、意味もなく斬ることは避けたい。

しかし、石海龍はハンを探している道中、剣を何者かに掏り替えられてしまう。
姫芳芳(マリア・イー)は世間を騒がせているそんな人物・石海龍の事が気になっていた。
ようやく捜し求めていたハンの居城まで来た石海龍だったが、敵に囲まれ剣がニセ物と分かりその場から退散しようとした。
その石海龍の前にハンが現れ問い詰める。
「なぜ手下を斬ったのだ?」
「なぜわしに会いに来たのだ?」
「わしに見せたい剣とは何だ?」
「なぜ大切な剣を盗まれたのだ?」素直な石海龍はすべてに答える。
ハンには石海龍を斬る理由など無かった。ハンに本物を剣を見るまでは剣の秘密を明かす訳にはいかないと言われた石海龍だったのだが・・・。

この映画ではチェンカンタイが武術指導を務めており、冒頭にもチラっと出演しています。
(左:チェンカンタイ)
これだけでもこの「追撃」が特異なものに思えてきます。


また、主演したジェームス・ティエンはこの映画ではポール・ティエンという名義で出演していたのです。


おなじみのリー・マンチン(中央)。


この時期武侠片に各会社から引っ張りダコだった唐菁。『怒劍狂刀』や『聾唖劍』、『三十六殺手』『豪侠傳』『黒靈官』など製作会社も邵氏に明星などの独立プロ、そしてハーベストとバラバラですが本当にチャンバラ映画に出まくっていましたね。


そして、マリア・イーのデビュー作でもありました。



ジェームス・ティエンは気の優しい主人公を好演していたと思います。
また、全体にはどこか和やかな雰囲気を醸し出している。それはまだ初々しいマリア・イーの演技にも現れており、新興会社だったハーベストで映画を撮ることになった王天林がベテラン監督として余裕のあるところを見せ付けていたと思います。
脚本も王天林によるものとなっており、謎の女・雲彩を登場させたり石海龍の父の死の謎解きなどストーリー、展開は単純ではなくかなり引き込まれる内容となっていましたね。
そして、大詰め。ラストシーンで明かされる2つの剣の最後の秘密とは・・・。

MP&GI、キャセイで数多くの映画を監督していた王天林はハーベストでこんな映画も監督していたのです。つづく

次回は王天林追悼パート2『[足台]拳龍虎鬥』の予定です。

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王天林死去

2010-11-29 16:36:47 | ニュース
ジョニー・トーの師匠として知られ、王晶の父である王天林監督が今月16日晩、老衰のため亡くなりました。83歳でした。
生前監督した作品は120本を超え、「PTU」など俳優としても活躍しました。

70年代には初期のハーベスト作品の『追撃(The Chase)』や独立プロ・富国影業『[足台]拳龍虎鬥(Big Showdown)』(原題『猛虎鬥狂龍』は怒りのガンマンの中文題のため誤り)などを監督しました。
ご冥福をお祈りします。

http://ent.cn.yahoo.com/star/wangtianlin.html
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ラスト・ソルジャー

2010-11-23 00:01:32 | 劇場鑑賞
今年に入ってジャッキー主演の劇場公開作品も3本目。今年は多くてうれしいですね。
沖縄国際映画祭で『大兵小将』(2010)が上映されましたが11月にやっとロードショーとなりました。 古装片は大好きなので楽しめましたし、人間らしい優しさに満ちたジャッキーはとても良かったと思います。

共演はワン・リーホン。
この映画を台湾歌手のアイドル映画とか書いている人もいましたけど、私も王力宏の名前だけは聞いたことがありますが、例えば私と同世代の人で彼の歌っている曲名が分かる人間がどのくらいいるのか?
残念ながら私は1つも知りませんし、どんな曲であるかそのメロディーさえ全く知りません。。。

劇場で販売されていたパンフには彼を起用した理由についてのインタビューが掲載されていました。しかし、本当のところは何も書いていないように思えましたね。なぜ台湾の歌手にオファーしたのか・・・。

映画の本編は竹簡ではじまり、竹簡で終わるという表現方法でした。要するに戦国時代の古い物語だということだと思います。CGを使っての表現ではありますが、こういったちょっとした配慮もいいですね。

ジャッキーがこの映画を構想して20年…。この映画の時代設定は紀元前227年の戦国時代ということでした。
ジャッキーがかなり以前から温めていたことになりますが、いまから10年近く前、紀元前に書かれた兵法書「孫子の兵法」を映画化するような話が確かあったように思いました。今回の「ラスト・ソルジャー」のパンフを見ても過去に予定されていた映画だというような事は一切書かれていません。しかし、人が生きてゆくということは争いがつきまとう。生物が生き残るために戦う姿勢について”生存競争”とダーウィンは言いました。やはりこの映画のテーマには「生存競争」が含まれていまいか?自らが生き残るためには、自分以外のすべてのものと戦い、過酷な競争に勝たなければならない。戦国時代の人々が生き残るための手段。・・・つまりは「孫子の兵法」へとつながらないものだろうか。もしかしたらジャッキーはその辺りを描きたかったのかも知れないですね。(戦わずして勝つなんてのも当然に!)

または、ジャッキーが「孫子の兵法」を使って映画を製作した・・・ということになるのかも知れない。
監督はリウ・イエ主演の「硬漢」を撮った人。未見ですが、この映画がジャッキーの目にとまって採用したそうですね。これは情報活動というジャッキーの戦略です。そしてジャッキーが期待しているもの。それは、やはり中国の若い世代、後継者ではないでしょうか。これもジャッキーが生き残るための戦略ではないかと。

私の意見になりますが、この映画を日本でヒットさせることは難しいと思いますし、本人もそれ程日本でのヒットを期待していないと思うのです。それはなぜか。プロデューサー・ジャッキーは見事中国でこの映画をヒットさせ、輝かしい数字を挙げました。映画は成功したのです。
もちろん目的は中国のためだからであり、残念ながら日本のファンのためではない。監督や俳優は日本で無名な人物ばかり、しかしストーリーは誰でも理解できる…。

出演したメンバーについて、実は日本では何も紹介されず話題にもなっていない事があります。“新七小福”というグループを御存知でしょうか?(注:下記参照)
中国でオーディションしてジャッキーの後継者として選ばれたグループです。高度なアクションだって出来る彼らがこの映画に出演しているということは、ジャッキーの意志であり希望なんだと思います。

あと、私が期待しているのが武術指導を担当した一人、何鈞です。
現地のテレビ番組にもジャッキーや新七小福と出演していました。この番組では映画におけるアクションとはどんなものか実演したり、バラエティー番組のようにこの映画について楽しく語っていました。今回も映画に参加しているロー・ワイコンなどに混じって彼も今後のジャッキー作品に関わってくると思いますので、新七小福も同様、今後に期待したいですね。終

(注:)正確にはパンフの表紙に記載。小さい字で"The NEW LUCKY 7"と書かれている。
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黄飛鴻酔打八金剛

2010-11-19 03:03:54 | その他・研究
先日放送された「ドランクモンキー酔拳」ですが、ジャッキーが演じていたのが御存知、ウォン・フェイホンでしたね。この若きウォン・フェイホンが使っていた酔っぱらいの拳法(=酔拳)の元ネタであると言われているのが68年に製作されたクワン・タクヒン主演の黄飛鴻シリーズの1本である『黄飛鴻酔打八金剛』です。

こちら。


ジャッキーの「酔拳」で蘇化子を演じたユアン・シャオティエンが猿拳を使って、タクヒンの”酔拳”と一戦を交えるなんて夢のようなシーンが見られます。





ちなみに本作品では、「燃えよドラゴン」シー・キエン(残念ながら昨年亡くなってしまいました)や「酔拳」などでもおなじみのフォン・ギンマン、そしてシリーズではレギュラーの西瓜[包リ]さんなんかも勿論出演していますね。





クワン・タクヒンはその後70年代にもハーベストで「スカイホーク鷹拳」(74)や「燃えよデブゴン7」(79)に登場して、まだ白黒だった頃と同じ衣装でウォン・フェイホンを演じていました。 50年代のスター・タクヒンが数々の黄飛鴻映画に主演し、そしてその青春時代をジャッキーが演じることになってブレイク。不動の人気を手にしたなんて実に素晴らしい話ではありませんか。

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邵氏影片と未だ見ぬ作品群

2010-11-17 04:13:10 | 邵氏電影

その殆どがリリース済みとなっている嘉禾作品に比べると、邵氏作品はまだまだ山のようにあったりする気もしますが、例えば邵氏武侠功夫片のガイドブックのような邵氏光影系列・武侠功夫片の巻末に載っているリスト287本のうち何本かはセレスティアルからも未リリースだったので本当に映像があるのかなといつごろからか分かりませんが疑っていました。

日本でも有名な劉家良や張徹監督の作品は多くが国内盤DVDがリリースされたりしているので未リリースの作品は少ないと思います。

しかし、最近になって例えば、日本ではまだまだ知名度の低いスン・チョン監督の『七?(殺)』(79)やホー・メンファの『黒靈官』(72)、「新座頭市 破れ!唐人剣」の汪玲が主演した『紫金[金票]』(69)などが某所にてワイドなスクリーンで視聴可能となっているのです。
これらがクリアー画質で見れるとは驚きの一言です。
(そーだったら小出しにではなくて一気にバーンと全部出して欲しいところなんですけど、そうもいかないもんなんでしょうか。。)

この会社は本当に多くの映画を製作しましたので、いまだに飽きないというか見きれないというのが正直なところですけども、「こんな作品があるんだ」という感覚を味わうためにも興味を持って香港の映画会社が作り出したエンターテイメントを楽しんでいきたいと思います。

 

『七殺』より

 

『黒靈官』より

 

『紫金[金票]』より

 

 

 

コメント (4)
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截拳鷹爪功

2010-11-12 02:22:48 | 七十年代作品【1979】


      ジエ チュエン イン ジュア ゴン
原題    截拳鷹爪功  Jeet kune the claws and the supreme kung fu
                  香港欣欣電影公司作品
公開日 1979/5/4(金)    327,543HK$ 1979年度第95位

スタッフ&キャスト
監督 杜魯波 (ドゥ・ルーボー)

出演
      何宗道(ホー・チョンドー)
      唐炎燦(トン・インチャン)
      谷峰(グー・フェン)
      米雪(ミシェル・イム)

解説
ブルース・リーそっくりさんで有名な何宗道はブルース・ライ名義で数々の模倣作品に出演した。日本では劇場未公開が殆どだが、「新死亡遊戯」(75)「ブルース・リーを探せ!」(76)が劇場公開、ウー・スーユエン監督の「ブルース・リー物語」がテレビでオンエアされている(ビデオ、DVD化済み)。 その彼が本名の何宗道に再び戻った後、79年に出演した作品になる。ストーリーは「ドラゴン怒りの鉄拳」の後日談となっており何宗道はブルース・リーが演じた陳眞の弟役に扮した。 共演はショウブラザーズで活躍した俳優グー・フェン、同じく「ヤングマスター」では見せ場の獅子舞い合戦でジャッキー・チェンの相棒を演じ、その後も成家班の中心人物として活躍したトン・インチャンほか。

ストーリー
20世紀初頭の澳門。兄・陳眞の遺骨を携えて陳善(何宗道)は実家へ里帰りすると目の不自由な母親(王莱)と弟・小三(韓國材)が待っていた。小さな雑貨店を営んでいた一家は陳善が戻ってきたことで平穏な生活になったかに見えた。ところが組織を壊滅させた陳善を追って上海から来た日本人・佐々木(方野)が部下の山本(山怪)、藤田(米奇)らを引き連れこの地にやって来ていたのだ。日本人と手を組んで町を牛耳っている狡賢い中国人翻訳官・周通(魏平澳)は佐々木ら日本人の秘書となりカジノを経営しようと領事から開設の許可を得る。ある日、陳善は叔父のいる南精武門道場を訪ね萬坤(劉鶴年)が出迎えた。師範代の左宗棠(唐炎燦)が門下生に功夫を教えているところに師範の娘・茜如(蔡瓊輝)は訪ねてきた陳善を紹介するが彼を受け入れようとはしないのだった。道端で周通が横暴を振るっていると小三が食ってかかり町は物騒となる一方。周通と佐々木は何とかして陳家を破滅させようと考える。すると周通は、萬師範が娘を宗棠に嫁がるつもりが実のところ娘は陳善に気がある事を利用しようと計画を企てる。まずは片思いの宗棠にワナを仕掛けるべく行動を開始する。宗棠は茜如との口喧嘩でふられて酒に酔い町で大道芸人の親娘に絡むが陳善が割って入り退けた。娘の于小倩(米雪)と父親(周小來)は陳家を訪れ一家に歓迎される。日頃、陳善に思いを寄せていた茜如は新しい衣服をプレゼントするが宗棠に目撃されてしまう。自棄酒している宗棠のところに周通が現れて善からぬ事を吹き込む。深夜、茜如に襲いかかった宗棠は師範に見つかり破門されてしまった。その宗棠をうまく仲間に引き入れた周通と佐々木は領事の娘を宗棠に殺害させ、萬師範もその手に…。現場にいた茜如は顔こそ見えなかったが犯人が着ていた服を見て驚く。それはまさしく陳善に贈った服だった。茜如は警察に犯人が陳善であると証言し陳善は逮捕される。そんな頃、日本人道場主・如虎太郎(谷峰)が港に到着し佐々木、宗棠らが出迎えていた。その場にいた于親娘は萬殺害が宗棠の犯行だと知り茜如に真実を話すが宗棠も現れ困惑した茜如は自ら命を絶ってしまう。翌日。稲妻が鳴り響く晩、于親娘に助け出された陳善は母の姿を一目見ようと家に戻る…。しかし、家には周通に殺害され哀れな姿の母と小三が倒れていたのだった。怒りが最高潮に達した陳善は、すぐさまカジノへ向かい怒りの鉄拳を振るってその場にいた手下どもを次々となぎ倒してゆく。佐々木も陳善の拳にはかなわなかった。逃げ出した周通はボスのいる道場へ行き、助けを求めるがミスを冒した周通を殺してしまう。雷雨の中、周通を追って道場の外までやって来ていた陳善は中へ入ると見知らぬ男の前に横たわる周通の死体が目に入った。陳善は驚きもせずその場を去ろうとした。憎き周通が死んでしまったとあってはこれも仕方がない。だが男が陳善を呼び止めた。男はボスの虎太郎だった。陳善を侮辱し二人は対決することに。そこへ窓を突き破って入り込んできた宗棠は陳善の代わりとなってボスに挑む。しかし宗棠は日本刀を突き刺され無惨な姿に。何もかも無くした宗棠は「すまない。全てヤツの仕業だ…。」とだけ言い残してその場に倒れた。今までの悪事はすべて虎太郎が仕組んだ謀略だったのだ。陳善は復讐に燃え鉄拳を炸裂させる。虎太郎はついに観念しその場で腹を切って最期を遂げるのだった…。

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読書の秋だなんて言われたりもしますけど最近読んだ小説では「女剣三国志・貂蝉」。これは久々におもしろい小説だったなぁ。『三国志演義』をベースとして連環の計により猛将呂布が覇者董卓を倒していく過程をメインに細かい部分を脚色した小説ですが、読みやすいですし登場人物の内面的な描写もとっても分かり易くて(人物や情景が自然に脳裏に浮かんで来るような感じです)董卓打倒後の展開も秀逸な読み物で三国志ファンでなくともきっと引き込まれてしまう内容ではないかと思います。この小説は以前東スポに連載されていたものですが(爆、満州で生まれた著者が貂蝉という女性に焦点を当てて一冊の本に仕上げています。(昨年、徳間から文庫本が出ました)皆さんは何か面白い本などありましたか?

さて今回の『截拳鷹爪功』について。オリジナル『精武門』から7年後の79年。この映画の公開当時香港ではどのような評判だったのでしょうか。この手の映画なら人気も高かったはずなのですが詳細は不明です。ちなみに英語版では“Fist of FuryⅢ”のタイトルとなっていて続きものであることが強調されていました。(確かに内容的にはそうなりますね)オリジナル版ではFist of Furyの名前は使われず全く別のタイトルが付けられています。はじめに何宗道と”鷹爪功”唐炎燦によるカンフー演舞があって、この二人がどんな展開をみせてくれるのか期待させられます。
感想は「怒りの鉄拳」のような大立ち回りは残念ながら無くて小規模になってはいましたが、何宗道の顔の表情から仕草、セリフ、一つ一つの蹴りや突きなどの細かいアクションに至るまでブルースを丁寧に真似ているのでまるで魂が乗り移ったかのようでした。まぁこの映画の場合は銀幕でのブルース再来を望む制作者を含めた人たちの執念によるものだったりして。唐炎燦が鷹爪功を使ったのに対して何宗道の拳はまさにジークンドーでありました。
(随分と久々に見ました!)

今回は陳眞の弟になった設定ということでフィクションをさらに発展させた展開になっていますが、主人公が陳眞のように変装したりする少々奇抜な演出はありませんでしたけど、徹底的に陳眞=ブルース・リーという出来上がった当時の図式をまるまるコピーしたシリアス功夫劇はほぼ『精武門』と同じであると言えます。ストーリーはどうあれ観客はブルースのアクションが見たいだけと何宗道は最後の意地を見せたのだと思います。
私の好きなユアン・ウーピンの82年版『霍元甲』が数年後に製作されますが、同時期の“精武門モノ”であるのでシリアスではあるけれどやっぱりこうなるのかと妙に納得し、また雰囲気的には近いものがありましたね。(BGMも同じものが使われています。)しかし、香港での結果は惨敗。確かに終盤、暗い雨の夜の場面で物語が進行するという設定でした。これに関してはこれはこれで異論はないです。しかし、ちょっと全体が暗すぎたのではないでしょうか。ジメジメとしてしまい、スカっとする爽快感が無かったんですね。。。

あと、70年代当時のいわゆる精武門のストーリーは中国人の視点で描かれていますよね。日本での今後の動向に期待しても仕方がないけれどもメディアは問わないので日本人の視点で霍元甲をテーマにして映画or劇画化とかしてもらいたいものです。(ヒーロー不在の今の世の中、例えばあっちのヒーローを描いた漫画があってもいいと思うのですが。)
ところで何宗道って私の好きな俳優と言えるかも知れない。なぜかと言えばニセモノにはとても魅力を感じてしまうからなのですね。(但し、ブルース・レの方は大の苦手なんですけども。。。) 機会があれば彼の主演作品なども鑑賞していきたいと思います。

最後にこの映画で登場している武具に関してですが、日本刀vsサイを見ることが出来ます。ジャッキーの『新精武門』では日本人役の陳星がサイを使っていましたが、この作品では逆に中国人の唐炎燦が使っていましたね。サイという武器も日本人と中国人が対決するような映画には効果的なアイテムなのかも知れません。しかし、ヌンチャクも出てこなくて何かの小道具がストーリーに何ら絡んでこなかったのが大変残念でありました。ヌンチャクを登場させて何か意味を持たせていると案外良かったのかも知れません。(『新精武門』でもヌンチャクはちゃんと意味のあるものでしたね。)終 

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酔拳オンエア

2010-11-11 23:48:25 | 成龍的電影
テレビ東京の午後のロードショーにて、「ドランクモンキー酔拳」が放送されました。
最終的にはこっちの枠になって終わってしまうパターンなのかなと思いましたが、内容的にはテレ東で何度か放送されたものと同じ物のようでしたね。番組の開始時には劇場版ドランクモンキーのデザインロゴを使用したタイトルが出ました!(たぶんポスターなどに使われているものだと思われます)番組終了時には、あの”カンフージョン”も流れましたが、残念ながらフルではありません。。
何かあたらしい事があると大変うれしかったのですが、今回はこんなもので十分かなと思いました。(『酔拳』が今でも放送される事がとてもうれしく感じますね。)また、そのうち旧作を放送してもらいたいですね。
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