goo blog サービス終了のお知らせ 

電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

カンニングモンキー天中拳

2012-08-08 00:00:00 | 成龍的電影

 

今回で取りあえず終わりとさせていただきますが、拳シリーズの最終回は「カンニングモンキー天中拳」についてです。きっとまた記事を書くでしょうけど(苦笑)、その際は単発でレポートしますのでよろしくおねがいします。

さて、一気に参りましょう!今回はチャプター毎に分けてみました。それぞれテーマを決めていろいろ書いてみました。つまらなかっらゴメンちゃい。

第一講 ~タイトル考~

「天中拳」完成後の78年、香港ではしばらくお蔵入りして80年に公開されるまで、いつの間にかタイトルが『點只功夫[口甘]簡單』に変更になってしまったんですが、この『點只功夫~』ってヘンですよね。なんか取って付けたみたいなカンジで。ジョセフィーン・シャオの『林亞珍』をパロってるつもりでしょうけどいかにもローウェイらしいと思いました。

韓国では『烏龍大侠』と言われていた「天中拳」は製作当初のワーキングタイトルが『烏龍大侠』となっていたようですので韓国ではそのままそのタイトルが使われたことになります。(“まぬけなヒーロー”の意。)
劇中で主人公のジャッキーがヒーロー柳になりすまし、テッペンハゲの爺さんから「おまえはウーロン大侠だ」と言われてしまいます。これがタイトルにもなったそもそもの由来ですね。

「天中拳」が影響を受けたと思われるオリジナルの『烏龍大侠』(1951)は李海泉(ブルースリーのおとうさま!)主演の広東語喜劇でありました。
この格好がそう!(たぶん)
李海泉は喜劇俳優として香港で有名でしたから、やはりコメディー映画として手本となる映画であったことは考えられそうです。

一方、『一招半式闖江湖』は台湾で付けられたもので、これが一番知られているタイトルですね。(江湖を渡り歩く半人前男の物語…みたいな意味になると思います)確かに腕は半人前ですが、キャッチコピーにもあるように食欲三人前、色気一人前だそうです(笑)。

話はそれますが、邦題で「天中拳」って言うと実はもう一本「フラミンゴ殺法・天中拳」という映画もあるんですけどね(笑)。これも好きな一本です!
私が好きになった理由はコレ。その昔、秋田書店から出た「ドラゴン大全科」という書籍。カンフー映画好きは、ここからはじまった!
「フラミンゴ殺法 天中拳」

「続・嵐を呼ぶドラゴン」ほか

ユンピョウの「モンキーフィスト猿拳」が好きなのもこの本にしっかり掲載されていたから…というのも理由の一つ。
それと、コレを忘れてはならない。「Mr.ノーボディ」。 
 「Mr.ノーボディ」
いま私が思い出の一冊を選ぶとしたら、この本を真っ先に選びますね。(あー、もっと書きたい内容が…。)
ここらで天中拳に戻らせていただきます(笑)。

第二講 ~映画の分類~
「天中拳」を70年代の映画として分類するならば、これはヒョウ局&喜劇カンフーアクション型に分類されるでしょう。

ヒョウ局型とは?
これは、ヒョウ局(注)という機関が登場し、そのヒョウ局が警備保障して荷物を輸送するヒョウ客と盗賊との攻防などを描いたものを指します。

「天中拳」では重要アイテムを警備する隊長の一行と、その部隊を支援するためにあとから加わったのが主人公・コウで、そのコウが面白おかしなカンフーを見せて笑わせます。
オープニングではジャッキーが七変化。「木人拳」っぽいセルフパロディや座頭市、ダメダメ剣士などをユーモラスに見せています。(個人的にはここが一番面白いと思います)

そして「天中拳」ではカンフーの師匠がいる設定になっていますが、ここは弟子入りする場面に注目していただきたい。
ポパイみたいなヒーローを夢見るジャッキーがひょんなことからムチのヒーローに間違われてもすっかりその気になってしまうという具合に主人公はヒーロー願望を持っていて、弟子入りを頼み込むと老いた師匠からキツイ一言をもらい「弟子になりたいんだ」ともらす。この辺りの主人公の持つ人間らしい部分の表現は映画の本編でよく現れていると思います。

第三講 ~シナリオと追加撮影~
追加撮影についてはいろんな説があるようですが、 77年の秋頃にローウェイ監督らスタッフがもめていたようです。「天中拳」がどこまで撮影されたのかハッキリしませんが、ローウェイとの関係が悪化し、ジャッキーの「蛇拳」レンタル出演をついに許した監督。天中拳完成後の試写を見て激怒したというローウェイの話はもちろん「蛇拳」撮影後しばらくしてのことでしょうね(直後ではない)。これは映画としての未熟さをベテラン監督として見抜いていたのかも知れません。

「蛇拳」でジャッキーと共演するまで石天はいなかったと推測してますが、 シナリオの方も確実に変化していってますね。脚本家の湯明智が打ち出したオリジナルのストーリーは大筋は変わらないと思いますが、ヘッコキ風太郎は当初設定されていなかったと思うのです。

参考までに、なぜそのような話になるかといえば、ヘッコキ風太郎は日本で付けた役名であり、オリジナルの中国語・役名は無く、あれだけの大役なのになぜか設定されていなかったのです。これは後から追加されたからなんでしょう。
そうなると、ラストや天中拳を石天から教わるシーンなど、当初はすべて無かったことになるのです。(石天は「蛇拳」では厳しい師範代でしたがこれ以降、カンフー作品のコミカルなキャラクターを歴任します)

また、コウが大金を手にしていい気分になり、町で天中拳のポーズ(ツッパリ拳)を取りますが、ここが不思議なのですが、石天に天中拳を教わる前なんですよね。

赤い毛の男も中途半端なままだったようで殺されるシーンがあとから追加されたように見えます。この男は鉄腕ルーと一緒に出てくるので弟子または部下という設定かと思っていたら(国内のどの資料を見てもそうなってました)しっかり本当の名前も存在していました。

その場面をもう少し詳しく解説してみます。 

 コウ「太沖の二の舞になりたいか」
日本語字幕ではタイチュウ。つまりヒーロー柳と相討ちになった賞金首の男が、鉄腕ルーの弟子という解釈になっています。
 ルー「お前が弟子を殺したのか」
これはおそらく誤りで、赤毛の男(林照雄。役名:ウェイ(衛天鷹))がこのシーンより前に田俊に倒されるシーンが挿入されていることからも分かる通り、ルーが仇を討とうとするウェイという人物とは赤毛の男(しかも弟子ではなくて弟)のことなんですね。

このあたりの展開(鉄腕ルーとその弟のポジション)がシナリオとして未完成、または分かりづらくなっていたので翻訳した人も登場人物の多さもあってか混乱していたと考えられます。

赤毛の男は本来、途中で倒されるのではなくて、もう少しストーリーに絡むような役で(主人公をしつこく付け狙っていた割にはあっさりと倒されます)、ラストにも登場する予定だったのかも知れませんね。
二十面相にしても付けヒゲをむしられるのであればその前に何か別の変装があると分かり易かったのではないかと思います。以上が、未完成か完成を急いだような印象をどうしても受けてしまう理由です。

第四講 ~劇場公開~

「天中拳」が劇場公開されたのは今から三十年ほど前になります。
雑誌広告。8月6日公開になっています

モンキーシリーズ第4弾として公開され、 夏休みの子供たちをターゲットにした作戦が成功したのでした。(こういう映画会社の戦略って勉強になりますなぁ)

劇場版タイトル

JACのメンバー総出演の「伊賀野カバ丸」とのカップリングでかなりの相乗効果があったと思います。(ジャッキーよりも黒崎輝の方がモンキーっぽいですね(笑。ジャッキーが食欲三倍ならカバ丸くんは10倍はありましたね!面白かったなぁ。)
当時は天中拳のシナリオ完全採録とかの書籍も出版され充実していました。
ちょっと忘れてましたけど、オープニングは別編集のショートバージョンでしたね(テレビも同様)。ここで主題歌「カンニングモンキー」が流れますが、編集はこの曲に合わせたかのようになっていましたね。(今思えば、せっかく面白い映像が入ったオープニングをカットすることになってちょっともったいない気もします)


第五講 ~噂~
最後は噂について。以前から天中拳には幻のシーンがあると噂されていましたが、動く映像というのはまだ発見されていなかったりします。
どんな噂かといいますと、あるシーンの後に竹やぶでジャッキーが登場し、天中拳を練習するというもので、 イメージとしてはこんなヤツです↓

83年5月の時点では邦題はまだ決定せず。

また、他にも賞金を手にしたあとの祝賀会などが幻のシーンであるとされています。

以上は単なる噂だけの話である可能性も高いのであまり期待しないほうが無難でしょう。(終)


【作品DVD】

日本語吹き替えです。是非とも石丸ジャッキーをご堪能ください!!

カンニング・モンキー/天中拳 〈日本語吹替収録版〉 [DVD]
ジャッキー・チェン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン




【作品ブルーレイ】
永久保存版の劇場公開テレシネ・バージョン。一家に1枚どうぞ。

カンニング・モンキー/天中拳 日本劇場公開版 [Blu-ray]
ジャッキー・チェン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「プロジェクトA」上映会

2012-07-21 00:00:00 | 成龍的電影

京橋のフイルムセンターで『プロジェクトA』を観賞して来ました。

ジャッキーの雄姿をスクリーンで、当時のままのフィルム上映!!

当時の少年たちの心をワシ掴みにしたのはやはりジャッキーですね!!

この京橋ってところは、私にとっては思い出のある場所なんですけども、ひさしぶりに足を運んでみました。

会場のフィルムセンターは職場からかなり近いところにあるので、仕事帰りにちょっと寄ってみるなんてことも容易いですね。
正面から

今回というか今月フィルムセンターで開催されているのが『ロードショーとスクリーン』上映会。ポスターにありますように「エレファントマン」とか懐かしい洋画もいっぱい上映されるんですけど全部で17本もの洋画がフィルム上映されるんだそうです。

人間が持っている若返りたいという願望。その潜在意識をくすぐって、それこそ「ロードショー」誌や「スクリーン」誌を買って読んでたような人たちに猛烈にアピールした企画だと思いました。

誰だってそっとしまっておきたい。静かに記憶の底にとどめておきたい。そんな気持ちがあると思います。

でもしまったままで本当にいいんでしょうか。

ひょっとしたら何かの拍子に忘れてしまうかも知れません。もう一度だけでいいからまたいい夢見させてよ。

そんな遠い記憶を甦らせてくれる絶好のチャンスが巡り巡って今年2012年、夏。ついに到来です!


ちっとも遅くなんてありません。 こうやってまた目にすることが出来たんですから。

まわりの男連中の気持ちはみんな一緒。30年近く前だなんて思わない。
サモハンやユンピョウも若くて活き活きしてる。そう、いまがまさにそうなんだ…。
終わって外に出たらみんな満足した同じ顔してて、今日が平日なんてことも忘れて、きょう一日の疲れも吹き飛んだ気がしました。

ありがとうございました。アンケート書いとこ(笑)。

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少林寺木人拳に意外な人物!?

2012-07-19 00:00:00 | 成龍的電影

今日の記事ですが、またまた登場の「少林寺木人拳」です(笑。

動画も用意しましたので、あわせて御覧くださいませ。

ところで、この木人拳でのミャオ・ティエン(苗天)はなかなか
いい味を出してますよね。
私の好きな場面は、食堂で友人のスーリンを殺した犯人が使っていたというワザを
周囲に見せるというシーン!!
これを見たジャッキーがその型に反応して
すかさずミャオに挑戦するという場面ですね。

これがそのシーンです。
 独特の型を見せる苗天

この場面で、外野に一瞬映りますが
どこかで見たような人物がテーブルにすわっています。
これはマース(火星)ではないでしょうか。
 クリックして拡大→

ジャッキーのスタント時代の作品などでは同じ映画に関わる機会も多かったマース。

拳シリーズではもちろんジャッキーと一緒に現れることなど無かったのですが、たまたまなんでしょうけど、こんな形でカメオ出演していたらびっくりですね!(これは今まで気づかなかったなぁ。)

「ドラゴンロード」以降は、マースもジャッキーとともに活躍して楽しませてくれました。羅維時代になぜいなかったのか不思議なくらいでしたね。

 


 

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

成龍拳

2012-07-12 00:00:00 | 成龍的電影

今回は残念ながら来月発売のラインナップから外れてしまった「成龍拳」について。ちょっと残念ではありますが、またそのうちリリースされる機会もきっとあるでしょう。

最近台湾では古龍や金庸の小説もスマホなんかでも読めるそうで、武侠小説も手軽にスマホで楽しめるなんてなんとも羨ましい限りですね。 

映画と小説についてですが、当時、監督のローウェイが古龍の原作を費用が莫大となってもどうしても使いたいとかそんな話があったそうです。 
人気があるといっても映画化するとなると『風、雨、雙流星』のようにかなり複雑なシナリオだと本編の構成に失敗したり、解釈が難しくなって要するに安心して見ていられなくなりますね。原作に忠実にするか、多少のアレンジをしてみるかそこはスタッフの力にかかっていると思います。この「成龍拳」は前半部分はかなり原作に忠実に作られています。

『劍・花・煙雨江南』は一度映画化されてもその後全くリメイクなどされなかったりするところからみれば人気の高い小説という訳ではなかったのかも知れません。
何度もリメイクされているものとは違い、ポピュラーなものではないかも知れませんが
劇場公開当時、日本初登場だというシー・フォンの潔い演技!
彼女がこの映画で魅せた女盗賊・丁錢艶という女性はとても素晴らしい。 

ちょっと今回は、ストーリーをじっくりと観察、振り返ってみようと思います。

※以下、ネタバレします

三月には霧のような雨が降る江南地方。ここ奇峯山荘はここ一帯を治める総督・雷奇峯の屋敷である。人望の厚い総督は人々に親しまれ、今晩も還暦の祝いの席では沢山の人々が集まり、大広間で宴会が開かれていた。 

屋敷内の静かな庭園に一人大樹の下に横たわる青年がいた。何かを想って深く沈んでいるのか、その顔は険しい表情をしている。この青年は総督の一人息子、小雷(シャオレイ)であった。 
暗闇の中を駆けてきた一人の乙女が彼にそっと寄り添った。
侍女の役目を終え、抜け出してきた小雷の恋人の千千(チェンチェン)の美しく可憐な姿だった。
しかし、小雷の表情は少しも動かない。千千は愛する人の異様な様子に戸惑った。
よく見ると小雷の脇腹には血が滲んでいた。 
「また喧嘩したのね?」 
心配する千千を他所に小雷の言葉は冷たかった。
「女房気取りはよせ。召使いのくせに。おまえをどうしようと俺の勝手だ。」 
「でも私のおなかにはあなたの子が・・。」 
いきなり平手打ちを食わせる小雷。 
「誰の子だか分かるものか。」
小雷の酷い仕打ちに泣きながら走り去ってゆく千千。
その姿を見届けて大広間に戻った小雷は、暴言を吐いて客人たちを追い返してしまった。 
激怒する父の総督。その時、小雷は静かに言った。 
「父上、客人に巻き添えを食わせないためです。今晩、花蜂党が襲ってくるという情報を耳にしたのです。」 
証拠に取り出したのは人間の手首。小雷の服を血で染めていたのは蜂の入れ墨が彫られたこの手首から出たものだった。 

総督が花蜂党一味を壊滅させたのは今からちょうど15年前の今日であった。
一族の血を絶やすまいと一人息子を逃がそうとする総督。
しかし、小雷は意外なことを口にする。 
「私は逃げはしません。跡継ぎはすでに千千の体内にいます。わざと酷い仕打ちをして別れたのです。あとのことは親友の金川に頼みました。」 
そうとは知らない千千は泣きながら走り続けていた。
 
やがて山荘には不気味な風が吹き、夜空から5つの棺桶が舞い降りると中から盗賊たちが姿を現した。桃の花の仮面をつけているのが女首領の丁錢艶(ティン)である。 
仮面を取ったティン。
しかし、顔の半分は緑色のヴェールにつつまれている。

「15年前の恨みを思い知るがいい。」 
忽ち始まった大乱闘の中で小雷の父と母はティンに殺されてしまった。 
怒りに燃える小雷。 
ついにティンを追いつめて喉元に剣を突きつけた。
「両親の仇だ。覚悟しろ。」 
平然としているティン。その瞳は氷のように冷たい。 
「私も親の仇を討ったまでのことよ。」 
「おまえの父は盗賊の首領で、悪党じゃないか。」 
「おまえの父は何だと言うの。5つの時、切りつけられたのよ。見るがいいわ。」 
ヴェールを取ったティンの頬には無惨な傷跡があった。
一瞬、たじろいだ小雷の隙をついて、ティンの手刀を受けた小雷は気絶してしまう。

 
気を失った小雷をそっと安全な場所に移すティン。 
どうしてこの青年を殺すことが出来ないのか。こんな気持ちは初めてのことだった。
「復讐だけを生き甲斐にしてきた私。人を愛する心があったなんて・・。」
夜が明け目覚めた小雷は真っ先に千千の名を呼んだ。
「このまま生きて苦しむがいい。」と言うと、ティンは去っていった。 

一方、金川の家に向かう途中、千千は三人の男に襲われるが小雷にそっくりな男に助けられた。その男は金川であった。
山中の金川の家は身分の違いの恋に身を窶した小雷と千千が逢い引きを重ねた思い出の場所でもあった。千千は、そんな昔を思い出すのが辛かった。「どこか遠くへ連れて行ってください。」 小雷が金川の家に駆けつけたときには二人の姿はなかった。

もう何日も飲まず食わずでこうして金の家に横たわっているのか。 千千に会いたさの余り、体が衰弱していく小雷。
そこへティンが現れた。 
意識が朦朧としてティンと千千の見分けがつかない。
うわ言でさえも千千の名を呼び続ける小雷を見たティンはかなわぬ恋だと知る。 

しばらくして血雨党3人組の刺客が現れ小雷を襲う。敵の睡眠ガスを吸って気を失ってしまう小雷。
そこへ現れたのは、飛龍隊の隊長・龍四であった。
刺客を雇ったのは彼らだったが、人違いであることがわかって血雨党は引き上げた。

やがて小雷が目を覚ますと龍四がいた。龍四が自分の宿に連れて帰っていたのだった。
人違いを詫びた龍四は意外な事実を告げる。
彼らが追っているのは金川で、ある王族から預かった宝石を盗んだ犯人が、その金川だというのだ。
「そんなはずはない。親友だと信じていたのに。それでは千千はどうなる?」
荒れた野原を歩き一人泣く小雷。
遠くの木の上から降り立ったティンは言い放つ。
「両親の埋葬もせず、裏切り者も追わず、ただ泣いているだけ。千千だけが女じゃないわ。あなたは私の名前も知ろうとしない。」自分の名前を繰り返し叫ぶティン。
だが、千千を探しに立ち去った小雷の耳にはそのせつない声も届かない・・・。

その頃、千千は金川とともに町の宿に泊まっていた。
あんな酷い仕打ちをされても小雷を想う心に変わりは無かった。
翌日、小雷は龍四を訪ねると仲間に加えて欲しいと頼んだ。喜んだ龍四は小雷を兄弟と呼んで歓迎した。森の中の広場にたどり着いた龍四一行が休んでいると、一人の老人が近づいてきた。龍四に贈り物があるという。それは一枚の絵だった。
体を切断して苦しむ龍の血を老人が番傘で受ける奇妙な絵。
「江南の龍。ここに死す。わかるかね。」
老人のこの言葉を聞いて嘲り笑うと、七人の血雨党が襲って来た。
「ここは私にまかせて。」と進み出る小雷。
懸命に戦うが敵のからくり仕掛けの武器に振り回され、絶対絶命。
そこへ空を切って現れた人影。
愛する小雷の危機を察知して駆けつけたティンであった。
ひらりと飛びながら瞬く間に敵を全滅させ、凄まじい力を見せるティン。

何がなんでも小雷を助けるつもりだった。
息も絶え絶えの小雷。運び込まれたのは龍四の屋敷で小雷は生死を彷徨っていた。
「私は小雷を救える唯一の人間。彼を私に渡すか、ここで死なせるか、選ぶがよい。」ティンは龍四に決断を迫る。
龍四は彼女を信じて小雷を預けることにした。
彼を運ぶ馬車の中でお供の女が本当に治るのだろうかと聞いた。
「分からない。でも死ぬのなら、私のそばで死んでほしい。」
女盗賊は悲しく泣いていた。
それからしばらくして龍四は弟とともに盗まれた宝石の持ち主・小候のいる王宮を訪ねた。
「宝石は取り返したか?」
「いいえ。申し訳ありません。私の命に代えて償います。」
「人間の命にどれだけの値打ちがあるというのだ。」
そういって小候が振り返ると、この男はなんと金川だった。
「宝石の護送を依頼して自分でそれを盗む。さては図ったな。お前こそが血雨党の首領に違いない。」
「よく分かったな。我々が江南を手に入れるには総督と飛龍隊が邪魔なのだ。」
身構える龍四。しかし、金川は武芸の達人。たちまち隙をつかれ、殺されてしまった。

そして、金川は千千に悪い知らせと「小雷は死んだ。」と言ってしまう。
「生まれてくる子供のことを考えて私の妻になるといい。」
しかし、小雷は死んではいなかったのだ。
山にある小屋でティンの手厚い看護によって一命を取り留めた小雷。
だが小雷の目はウツロで生きる意志を失った抜け殻のようだった。
「龍四と弟の欧陽急が殺されたわ。犯人は血雨党の首領よ。」
小雷の表情が変わる。
「血雨党の首領と、その王族は同一人物。」
「同一人物?」
「親友の金川よ。」
執拗に小雷を引き止めるティンだったが、このままでは無駄死にしてしまう。
「私を倒せるようになったら行きなさい。」と厳しい修行が始まった。
最初の挑戦にあっさり負けを喫し、火鉢の中の炭を食べさせられる罰を与えられた。

2度目の挑戦でも到底敵わない。ティンは小雷の顔を焼いてしまった。
再び修行に戻る小雷。一日も早く復讐したい。
3度目の挑戦で「これが最後よ。」と言われ必死になる小雷。
しかし、この挑戦にも負けてしまうのだった。

するとティンは毒入りの葡萄酒を用意した。
復讐できないのなら生きている意味もない。
その酒を一気に飲む小雷。
「死をも恐れないその覚悟があるのなら望みを叶えてあげるわ。
それは毒じゃない。私の血よ。今までの罰は我が家に伝わる秘伝、成龍拳を会得するためのものだったのよ。」
差し出された秘伝書を持って先を急ぐ小雷。途中で戻って礼を言う。
「ご恩は一生忘れません。」
小雷の後ろ姿を見て一人泣くティンであった。

小雷は山を降り、金川の屋敷に忍び込んだ。
金川は千千と一緒にいた。
「よくも裏切ってくれたな。龍四の仇も討つ。」
こうして戦いは始まった。
千千が見守る中、二人の戦いは続く。 
すると小雷は金川の腰帯を使って首を絞め、ついに金川の息の根を止めた。
愛する千千が駆け寄ってくると二人は抱き合った。
そして一人、馬に乗って去っていく、ティンの姿があった。

 


【作品DVD】

日本語吹き替えです。是非とも石丸ジャッキーをご堪能ください!!

成龍拳 [DVD]
ジャッキー・チェン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

 


【作品ブルーレイ】
永久保存版の劇場公開テレシネ・バージョン。一家に1枚どうぞ。

成龍拳 [Blu-ray]
ジャッキー・チェン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「龍拳」ビデオ修復

2012-05-25 00:00:00 | 成龍的電影

今日は久々に登場の「龍拳」です。(いつものバージョンについてなどのお話がメインです。興味がある方はどうぞ。)

昔のテレビでやってた「龍拳」は確かに心躍るものがあった。
しかし、広東語のレコードでセリフを散々擦り込まれたこともあって(汗)、日本語でも英語でも北京語でもない広東語バージョンが好き!(こんな事ってありませんか?)

今夏、吹替収録のブルーレイが発売されるということで、いろいろ思い出して、何か書いてみようと思いました。「龍拳」日本版の全てがここに・・・。(但し、評判悪すぎるショートバージョンのBW版を除く)

日本語吹き替え版には2種類あって、日本ビデオ映像のビデオソフトとテレビのヤツがありました。
そう言えば「龍拳」のビデオって、どこにでも置いてなくて、なかなか見れなかった記憶があります。ビデオソフトは中古でもかなり高価だったのは確か。 (そもそも本数が少なかったのかな?)

ウチに残ってるテープだと(確か水野晴郎の解説が入ってたから金曜ロードショー??)録画日付は1989年3月22日と書いてある。
デッキにセットして巻き戻ししてみると、げげっ。テープが切れちゃった!
市販ソフトなら多少は丈夫かもしれないけど、家庭用のテープだとこんなこともよくあります。(テープ切れても妙に落ち着いてる自分に笑える~。)
過去何度か同じことやって失敗してたのにすっかり忘れてました。。
でも、ドライバーとハサミ、長いえんぴつがあれば何とかなるはず。
ネジをはずして、ハサミで背ラベルを真っ2つに切り込みを入れて、フタを開ける。
見事に透明な部分で切れてました。
えんぴつはストッパーを下から押すのに使って、黒いテープの部分は触らないように慎重にして、テープを伸ばして右側のリールに挟むのだけど、この栓はどうやってはずすんだっけ?
何か細い針金のようなものが要るな。そうか。クリップの先がいい。
この栓が厄介だ
クリップで真ん中の白い小さな栓をはずして(画像)、切れたテープをはさみ込む・・・。

これがなかなかうまく入らない!(やったことある人なら分かると思いますが。)

そして、20分が経過。
やっと、入った!
 
ありゃ、黒い方のバネがはずれてる。。
これはえんぴつを使って直せた。
ちょっと疲れたけど、これで修復完了!(ホッ)

数年ぶりに見てみるとこれはこれでいいではないですか。吹き替えも惚れちゃいますね。
(金曜ロードではなくて深夜の特選シネマの方でしたね。スミマセン)
初回のフジテレビの時と違って放送局が変わったことで
トリミングが違っていて、フジよりやや大きめのサイズに変わっているんじゃ?
(これはうれしい!)

石丸さんいいね~。
やはり8月のブルーレイ発売前に吹き替え声優&キャストを整理しておかねば。(龍拳という映画を完全に把握するにはこの作業が必須!経過を見たい人はコチラ

今や龍拳もいろいろありますが(多すぎて把握できないほど・・・。)、取りあえず劇場やテレビでカットされているシーンを中心に解説してみようと思います。
大きな違いはオープニングと後半部分の2つ。

オープニングは台湾ロケで、『少林門』や「拳精」でも使われた行天宮。
このオープニングには様々なバージョンが存在し、

・英語版(および仏語など)
・台湾版
・現在のDVDなどで見られるもの(おそらく香港)

などなど。

日本版(要するに字幕や音声が日本語になっているもの)ということなら
CS放送版も日本版となる。
こちら↓

『神拳』
音声は英語でした。日本語字幕つきの「龍拳」はこれが初だったのかな。
 
ロングバージョンからなぜか後半のシャオシー殺害後からの約5分がカットされて
劇場版は正味90分ということになりますね。

今回、注目すべきは日本ビデオ映像の方で、上記の5分間のシーンの吹き替えが入っています!国内DVDなどは、96分のノーカット、ロング・バージョンですので、ここのシーンは含まれていますから、映像と同期を取ることも可能でしょう。

8月のブルーレイだと、この5分間は字幕に切り替わってしまうのかも・・・。
(というか、別物だから絶対そうなるね。。。)
とにかくいろいろ覚悟しないといけません。

一応整理しておくと、日本語版は
(1)90分の劇場版(広東語)に石丸さんが吹き替えを入れたもの・・・オンエア版
(2)カットの5分を含めたロングバージョンに石丸さんが吹き替えを入れたもの・・・日本ビデオ映像版(劇場と同じ90分だがオープニングやラストの編集などが異なる)

どちらが先かと言えば、
テレビ:1984年1月7日(土)放送
ビデオ:1984年2月21日(火)発売
ということで、テレビの方が1ヶ月以上早いということになりますね。(つづく)

hkcp123をフォローしましょう

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

巨人三重唱が歌う『飛渡捲雲山』

2012-05-17 00:00:00 | 成龍的電影

巨人三重唱 - 飛渡捲雲山 1977

「空飛ぶ十字剣」と同じ頃に製作されたもう一つの立体映画。その主題歌がこちら『飛渡捲雲山』です。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

成龍拳

2012-04-27 00:00:00 | 成龍的電影

最近、劇場での予告編にハマっているのですが、この「成龍拳」の予告はなかなかいいですね。
ただコピーがとってもキザで、最後の「散るか、成龍。」なんて言い回し、よく思いついたなぁと思いますね(笑。
(ラオウの声でおなじみの内海賢二氏がナレーション担当。)
意味なんてどうでもいいのでしょうけど、コピーというのはコピーライター(コレ最近あまり聞かなくなった。。)が考える、人を引きつける宣伝文句なのだからキザでも何でも“その気”にさせられればいいんじゃないかと思います。

脚本は先日の「キラードラゴン流星拳」と同じく古龍が書いていましたが、映画としての完成度は少々難ありだったか???
「龍拳」に続いて、東映の主題歌&独自オープニング戦略に乗ってはみたものの、あまりにも不評で正月公開が先送りになり、他の映画(ジミーさんの「ドラゴン特攻隊」!)に変更、その後のテレビ放送は一回だけという散々な結果に…。(年末に公開されなかったのは仇討ちが正月映画には合わないという理由ですが、この公開延期の理由については立川健二郎氏がキネ旬84年5月下旬号に記事を書いていましたのでそちらも参照してください。)まさに散ってしまった。。

そういえば、「成龍拳」のパンフは表紙が黄色のと黒のバージョンの二種類がありましたね。
30年以上も映画が公開し続けてればパンフにあってはならないバージョンの異変だってあるのです。(他にもいくつかありますが。)ただ黒いのは、パンフ収集家以外は不用なアイテムですので無理に入手する必要はまったくありません。
昔から日本という国はグッズの類が多過ぎてマニア泣かせではありましたがパンフだけは何とか継続していただきたいものです。(最近は映画グッズなんて出ませんからね。)
アイテムを入手するなら「成龍拳」東映から出ました紙パッケージ入りのビデオの方がいいと思います。(これならなんとかすればまだ手に入るかも!)東映のビデオは予告編つきで贅沢といえば贅沢だったんですけど、うれしい配慮だったと思います。
そして周辺を見てれば必然的に公開直後の当時の状況が気になって来ます。要するに観客の反応のことです。これは当時の資料を調べてみると、興収も総合で200位を下回る程度で、やはりイマイチであったようです(苦笑。
やっぱり古龍の世界にはジャッキーは似合わないのかも知れない。ただ、これはけして残念なことではなく次に繋がる通過点であっただけのことでしょう。(つまり、呉思遠的電影世界へ足を踏み入れ、コメディ路線へついに開眼。その「蛇拳」で見い出されて一つ階段登ってステップアップ。そして「酔拳」で大ブレイクまでの流れ。結果論になりますけど。)
いくら古龍の武侠小説の映画化が流行りだからといっても似合う俳優をまずは厳選してもらいたかったなぁと思うのです。

 しかと見よ、ジャッキーの醜い姿を。

内容が暗くて全体的に爽快感が無かろうが見る人が連続するアクションシーンの中などに面白さを発見できればよしとなるのかも。(たとえば特殊な兵器、武器なんかも効果的でいいんじゃないかと思います)
父親の仇の息子を愛してしまった悲しい女盗賊のドラマでどうしても受け入れがたくなってしまうのもすべて古龍の設定です。こんな話をあまり考えてもこっちの気分まで暗くなってしまう。。

そうそう。前回気がつかなかったんですが、今ふと感じたのは最初のキラードラゴンも公開が出来ない理由があったのではないかと思うのです。
ジャッキーが人気があってお客さんはそれ目当てなのに、ジャッキーが最後に死んでしまう映画なんて公開したら…。
考えてみれば、そりゃ躊躇するはずですよね。まぁそんな事が思えてくるのでありました。成龍拳が「散るか、成龍」なら、キラードラゴンが「今度こそ、散ったか。成龍。」となったかどうかは分かりませんが(笑。

今回はくだらない単なる独り言でしたー。 さらっと流してください。

次回はちょっと脱線。チャールズ・ヒョン主演『紮馬』(これはサツバと読むべきなのかな??)について書いてみる予定です。


 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少林寺木人拳

2012-04-24 00:00:00 | 成龍的電影

ジャッキー・チェンが口のきけない役(つまり、セリフほとんど無し!)だった「少林寺木人拳」です。

テレビでは東映の劇場版プリントがそのまま使われていた様でしたが、ビデオがなぜか東宝からリリースされたりしてましたね。(当時の権利関係なんて今となってはさっぱり分からないですが。)数年前、普通にデジタルリマスターDVDが登場し、劇場ではカットされたラストシーンも全部見れます。(あの頭を剃るシーンは本人なのかなぁ・・?? )

日本語版は二つあって、いわゆるブロードウェイ版(ノン石丸ボイス)とテレビの時の計2種類です。
テレビの時はジャッキーがしゃべらないから誰がアテてもそう変わりませんが 、金剛とか他の声優さんが良かったから、まぁいいかな。 (金剛はこの悪役のイメージが強いけど、ほかの映画で善人の役やったりするとまたとても引き立って見えるのでいいですよ!)

「木人拳」はTBSで放送されることが多かったけど、テレ東の木曜洋画で少なくとも一度は放送されたことがありました。日本語版も現在は動画サイトで容易に月曜ロードショーのバージョンを見ることが出来るので、これでいつでも聞けますね!!

強くて、優しい。そして困難に耐えるジャッキーの姿はいつみても素晴らしい。
本当に良い作品でした。あと、ユン・ピョウが珍しく羅維時代の作品に登場してるのはポイント高いですね!(笑。

思えば、金剛や苗天の顔を覚えたのもこれが最初。いろいろ勉強になった映画でした。

そういえば、この木人(木人巷)というのは昔から題材としてよく出て来てました。
いくつか紹介してみたいと思います。 題して、”映画の中の木人巷”。

まずは、60年前の古い映画から。

 元祖!木人巷。

こんな木人がいたら怖くて逃げちゃうかな~(笑)。

続いて、子役スター・ファン・ボーボーの68年版『方世玉三打木人巷』。

  さすがにモノクロっす!

 なかなか頑張ってます。
 

そして、フー・シェンも苦戦した『少林寺』(76)です。

 高速回転で一番手ごわそう。

よーし、突破するぞ!

あと、こんな作品もありました。葉飛揚の『真假功夫』(78)。
もうちょっと長くみたい。

これはちょっとパロディ入ってるかな。


でも、やっぱり、コレが一番カッチョエエー!!!

 さぁ、いくぞ!!!


ということでおしまいです(笑)。また次回もおたのしみに!

        


【作品DVD】

日本語吹き替えです。出番少ないですが、是非とも石丸ジャッキーをご堪能ください!!

少林寺木人拳 (日本語吹替収録版)
パラマウント
パラマウント

【作品ブルーレイ】
永久保存版の劇場公開テレシネ・バージョン。一家に1枚どうぞ。

少林寺木人拳 日本劇場公開版 [Blu-ray]
ジャッキー・チェン,クム・カン
パラマウント
コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キラードラゴン流星拳

2012-04-22 00:00:00 | 成龍的電影

今回はこちら「キラードラゴン流星拳」(原題:『風雨雙流星』)。最近の映像ソフトでは「ファイナル・ドラゴン」のタイトルに変わっています。

 

オープニングはモノクロの「キングコング」より。元は早回しだったのをピッチを変えてゆっくり再生したようなアレンジになってます。(でしたっけ??>Aceさん)

そもそも『風雨雙流星』というのは、なんだろうと考えてみればこれは登場人物から取ったものなんでしょうね。
“風”は、タン・リンが演じた風七の“風”を表し、“雨”は、ジャッキーの相手の夫人役、花雨から。そして“雙流星”とは、必殺兵器“奪命流星”のジミーさんともう一人の流星、ジャッキーが演じた“天魔星”こと花無病の二人を指していると思われます。

それから『新精武門』以降(76年以降)、「○○拳」と名の付くジャッキー作品の中で唯一、日本語版が無かったのがこの「キラードラゴン流星拳」です。
コレだけ吹き替えが存在していないというのはちょっと不思議な話です。

これってビデオが出る前はテレビの地上波で放送されることもなく、BSでの字幕放送に終わってしまったのです。(BSでの放送はかなり衝撃的でした!)未公開だった映画が次々と公開されていた頃に劇場公開されていれば良かったんですが、入ってきたのがあまりにも遅すぎたんですね。
結局タイミングを逸し、現在までビデオやDVDなどが発売されても日本語版は作られることはなく、これだけが残ってしまったという訳です。とても残念でなりません。
あと、「キラードラゴン流星拳」のビデオが出た当時、リリースは東映ビデオ(発売元)からだったので、もしかしたら劇場公開するなんて話も実はあったりして・・・。

それにしてもジミー・ウォングとジャッキー・チェンの二人が対決するこの映画!
日本語版の制作が忘れ去られるのは実にもったいない話です。
旧作ファンがビックリするような企画で見てみたいなぁ。例えるなら、石丸さんと赤い彗星シャアでおなじみのアノ人を使ったベテラン声優による新規録音とかね(笑。
映画の方も次々と現れる多彩なへっぽこキャラクターが魅力で(笑、物語が進むにつれて旅の拳士ジミーさんの意外な正体が露わになってきます。これは説明不要ですが古龍の小説が原作となっています。(一説によれば『七殺手』というのがその小説らしい。)
そして脚本担当が古龍になっていますので小説をベースに映画のシナリオを書いたのかも知れません。
古龍の作品では中期に当たるようですが、この映画や「成龍拳」も古龍のファンタジーの世界が展開されていて当時の台湾で相当の古龍ブームだったことが分かります。
日本でもジャッキー人気と古龍ブームがうまく重なっていたりしたらこの劇場未公開(香港でも!!)という悲運な映画の状況も大きく変わっていたと思いますね。
出版界では2006年ぐらいにもちょっとした古龍ブームがあって何冊か出版されたようです。とにかく古龍の小説はいっぱい映画化もされてますから国内で出版されたら映画と併せて読んでみるのも面白いでしょうね。



コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

風呂場で白フンドシの陳星が大暴れ『新精武門』

2012-04-19 00:00:00 | 成龍的電影

ジャッキー・チェンが羅維監督のもとで最初に撮った映画「新・怒りの鉄拳」(原題:『新精武門』)。

ブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」で悪役を演じた俳優はそのまま日本人でした。この『新精武門』では陳星(チェン・シン)が日本人の岡村を演じています。
ヘアースタイルもカットして実に日本人っぽくなってマッチョで貫禄あるところを見せていました。

テレビの放送ではこのチェン・シンの声を吹き替えていたのが実は青野武さん。チェン・シンの声というのもなかなか合ってる気がしましたね。青野さんは主役ではなくて悪役ということで本領発揮したのかもしれないですが、この配音は個人的にはかなり好きですね。これだけ長く声優やってるといろんな役が回ってくるのでしょうけど、悪役もウマかった青野さん。青野さんの声というのは一度聞いたら忘れない程の力強さがあったと思うのですが、強い人間をやらせたら途轍もなく強いキャラになってイメージを膨らませてくれる。そんな特徴があったと思います。

当の陳星はこのジャッキー最初の羅維プロ作品『新精武門』だけで、その後の相手はジミーさんや鹿村氏、韓国の申一龍、台湾で活躍してた人。例えば金剛とか。そして、任世官に変わってしまいましたので(といっても凄い顔触れです!)、この時期にジャッキーと一緒に共演して欲しかったなぁと思います。まぁふんどしファイトは要りませんけどね!

ちなみにジャッキーとチェン・シンの対決と言うと軽めのものが何度かあるのですが、『新精武門』より前だとちょっと古いところでは未公開作品の『蕩寇灘』。そして、アンジェラ・マオの「レディ・クンフー密宗聖拳」の2本があります。

顔付きの紹介ページを見れば俳優さんの名前を覚えられますね。70年代のジャッキー映画見るなら『新精武門』と同じ時期の台湾ロケの映画などに出演している俳優さんの顔も覚えておいて損はないと思います。名前は知らなくても顔を覚えていると次に別の映画を見たときに「前に見た顔だな」となりますね(笑)。名前は後からでも覚えられると思いますのでまずは顔を覚えてみましょう。

『新精武門』のDVDも既にリリースされています。(タイトルは「レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳」)
短縮版ですが、DVDなら安価で容易に見ることが出来ます。いまは古い映画に興味がなくてもそのうちきっと見てみたくなりますよ(笑)。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする