オーケストラへの就職。

　ザァァァァァァ～～～～～！と雨が降りそうで降らない天候は、中途半端に暑くて不快指数が上がってしまいます。今年は暑さがなかなかゆるみませんね。そろそろ寒くなって欲しいですけど・・・。

　以前にオーケストラのオーディションについて書いた事があります。何を書いたかは忘れましたが（調べろって！）、今日は少し内容の違う方向に行きたいと思っています。

　我々が音楽大学の学生だった頃は、所謂バブル景気の末期でまだまだ今に比べれば景気が良かった気がします。プロオーケストラからのエキストラの仕事やパーティーで弦楽四重奏を演奏してくれとか、夜中の何時にどこどこスタジオに来て録音してくれとか、学生ながらけっこう忙しい毎日を送ることが出来ました。その頃の学生の中には仕事が忙しくて、単位が足りなくなったりして留年したり、プロオケに就職して中退したなんて話はごろごろしていました。余談ですが、あるテレビ収録でどうしても人数が足りないために楽器を持っているだけで良いからとか（その人のレベルは問わない）、形だけ華やかにしたいから音楽家をとりあえず集めて、ヴァイオリンの人が打楽器の所に座らされたり、音を出さなくて良いのでチェロを持って座っていてくれという話も有ったそうです。私はそういう現場に1回だけ居合わせた事がありますが。何だかな～？の気持ちでした。

　だから、卒業してもプロオーケストラに就職するより、色々な仕事が出来て収入の方も大きいなんて人も結構いたように思います。その頃からそのままフリーの演奏家のまま過ごした人が今や30代半ばから50近くになっていて、不景気のせいで全くと言って良いほど仕事が無くなってきています。（中には仕事が安定している人もいますが、一握りの方です。）

　その頃の感覚として、35歳になる直前までフリーで稼げるだけ稼いで（あるいは留学を含めて勉強できるだけ勉強して）、どこかのオーディションを受けてそれ以後は就職すれば良いや！！だったと思います。そういう未来を描いていた方々の予想以上に、世の中は不景気になってしまいました。各オーケストラはお金が無いためにバブルの頃のようなエキストラを大量に入れる大編成の曲を演奏しなくなってきてしまった事とフリーになっても稼ぐことが困難なためにオーケストラを辞める人が減ったように思います。

　上記の理由で、今の学生達は優秀な学校で勉強していてレベルが高いのにかかわらず、全く私達のような現場実地の機会が無いらしいのです。（もちろん一部の学生は除きます。）毎年1000人を越える音楽大学卒業生がいてもプロオーケストラに就職することなく、ギャラの少ない単発の仕事で何とか生活を続けている人が多いのが現状です。たぶんほとんどの人は、生活が出来ないので、音楽を止めてしまうのでしょう。毎年生き残りをかけて生活している感じでしょうか・・・。

　山形響でもここ数年学生がエキストラに来ることが激減しました。現場でも即戦力の人を優先するようになったのだろうと思います。

　どんどんこの世界は厳しくなってきました。我々のオーディションは、第1次と第2次審査によって合格した人が面接を通して始めて実技合格者になり、半年の仮採用期間を経てから本合格となります。山形響で先月VnとVcのオーディションがありました。第1次で不合格になってしまった方も、大げさな言い方ですが数年前までの山形響なら充分合格レベルでした。それだけ今のプロオーケストラへの就職は困難になっているのです。山形響だけの話では無い気がします。

　プロオーケストラに欠員が出ないために、どこのオーケストラでもオーディションがあればもの凄い数の人数が集まります。倍率で言ったら、私が受けていたオーディションなんて比べようがありません。

　一つだけプロオーケストラに入団して仕事がしたいという人にアドバイスします。

　・若いうちに受験した方が良いですよ！

　失敗しても次に生かすことが出来るので、良い経験になるはずです。20代のうちにそのありあまる体力で色んなオーディションを受けてみるのが一番の合格の秘訣だと思います。自分がレベルアップしてからと考えている間に年くってしまいます。

　絶対とは言いませんが、同じレベルなら若い人の方が有利です。なんでとは聞かないでください。

　と言うことで、山形響はたぶんVnとVcの欠員を募集する予定です。日時は分かりませんが、（オケのスケジュールによるので）今年度中にオーディションが行われる可能性は高いです。是非沢山の人に受験してもらって、今度こそ新しい仲間を迎えたいと思います（個人的な意見ですが）。

　冬だと思うので、今から心づもりをして、準備をしてれば仕事をしながらでも合格キップを掴めるかも知れません。

　VnとVcの方どうか頑張ってくださいね！！！！