らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

前橋汀子

2008年03月10日 22時54分46秒 | お気に入りのCD
 ヴァイオリンをちっとも練習しない子供時代~1980年に練馬文化センターでの演奏会に母親に連れられていった演奏会が、前橋汀子さんのヴァイオリンリサイタルだった。練馬文化センターは西武池袋線の練馬駅北口に出来た新しいホールだった。前橋さんは、日本に帰って来たばかりの美人実力派ヴァイオリニストとして当時は注目されていた。

 舞台に上がった前橋さんは、人魚のように美しく目を奪われたが、そのヴァイオリンの一音が出た瞬間、私は固まってしまった。今まで聴いた事も無いその音色、細い体からは想像もできないほどの魂のほとばしり。いっぺんに彼女のファンになってしまった。 その時、サインを欲しかったのだが勇気が出ず、母親に後日、初めてクラシック音楽のLPをねだって買ってもらったLPのCD盤がこれだ。当時、LPが針飛びするまで聴いた。収録曲は、有名な曲ばかりで
1 序奏とロンド゛・カプリチオーソ 作品28
2 ハバネラ 作品83
3 タイスの瞑想曲
4 ロマンス第2番ヘ長調 作品50
5 チゴイネルワイゼン 作品20
バックは、小泉和裕指揮、東京都交響楽団。

 本当はソニーからでていた「バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ全集」を推薦盤としたかったが、今は残念ながら廃盤みたいだ。1枚の曲集は出ているが、そのうち全集は復活するだろう。
~~~~~~~~~~~~~
 音楽大学の学生時代からフリーの時期、何回か前橋さんの協奏曲を弾く後ろでオーケストラにのる仕事の機会があった。同じ舞台にのるたびに・・・・こんなに伴奏の難しいヴァイオリニストはいないと思うようになった。彼女はリハーサルと本番では魂の入れ方が違うので、拍の流れが全く違うのだ。私達オケ側は彼女についていくしか無い。もの凄い集中力を要求されるし。でも彼女のヴァイオリンには説得力があり脱帽せざるをえない。今流行の楽譜を正確に演奏するという事ではなく、音楽をするということ。

 ある新日フィルの演奏会で彼女は、ストラヴィンスキーの協奏曲を演奏した。今日こそは勇気出して子供の頃の夢をかなえようと思ってサインをもらいにいった。ストラヴィンスキーで怖い表情をして演奏していたので、だめもとで舞台裏へ。私が近づいていくと「何?何?」って感じだったけど「サインください!!」と言うと、その顔は笑顔に変わり、一言二言かわして気さくにサインをしてくれた。プロの人達からサインをねだられるのは少なかったのかもしれない。それはわからないが、今となっては良い思い出である。普段はそういう事は恥ずかしくてしないが、勇気を出してミーハーになっておいて良かったと思っている。そのCDには、95年6月6日と日付もある。宝物だ。
HMVジャパン
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする