倉野立人のブログです。

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〈行政視察報告「倉敷市の公共交通対策」〉

2009-11-28 | インポート

11/27 Fri.  [ クラちゃんの起床時刻 5:05 AM ]

 

去る11/2(木)~3(金)所属する「長野市議会 公共交通対策特別委員会」の行政視に参加しましたので、その結果をご報告させていただきます。

 

公共交通対策特別委員会は、今後の社会形成に不可欠でありながら、クルマ社会の伸長により衰退の一途にある現状に鑑(かんが)み、公共交通の再生をめざして議会の立場で課題を検証し、長野市の公共交通体系に反映させていこうという取り組みです。

 

そしてこの課題は、長野市にとどまらず全国の自治体が抱える共通の課題となっており、それだけに、他市の取り組みを視察し吸収していくことは非常に重要な作業となっています。

 

今回、本特別委員会は「コミュニティバス・乗合バス」に取り組む倉敷市と、廃線の危機を乗り越え、全国にその名を知れることになった「タマちゃん電車」の和歌山電鐵を擁する和歌山市を視察しました。

 

◇ 倉敷市のコミュニティバス・乗合タクシーの取り組みを視察しました。

 

・倉敷市視察(倉敷市建設局都市計画部交通政策課)

 

【自治体データ】面積:約355k㎡  人口:約47万

          人財政規模(一般会計支出):約1,070億円

 

倉敷市においては、衰退する公共交通の再生に向け、課題の整理と、見直し対策の実施を行っています。

 

【平成20年「倉敷市地域公共交通会議」を設置】

 

[概要]公共交通の利便性・快適性の向上を図り、利用者減少に歯止めをかけるため、コミュニティバスの再編運行~公共交通の利用促進の意識啓発を図る。

 

・コミュニティバス(船穂福祉バス・真備さいくるバス)の再編運行

 合併により導入された、地域を運行するコミュニティバスは、利用率も低く行政支援も多額となっていることから、利用しやすく効率的な運行形態に整備を行い、再編運行する(停留所整備、路線図・時刻表・チラシなど作成)

 

・公共交通の利用促進策の実施

 公共交通の利用者に対する情報提供や、未利用者に対するPRを積極的に展開する。

 

【船穂福祉バス、真備さいくるバス について】

 

[船穂福祉バス]

・経過…旧船穂町唯一の幹線バス廃止に伴い運行

     新倉敷駅~船穂町~倉敷駅~福祉センターを結ぶ福祉バス

・運行主体…ロウズ観光(株)

・運行状況…第1系統(幹線)で一日10便(往復) 7:20~17:00

        第2系統(柳井原線)で一日4便(往復) 13:00 15:30 13:14 15:55

        第3系統(北回線)で一日2便 13:00 15:30

・運行車両…幹線:中型バス(53人乗り) 柳井原線・北回線:小型バス(25人乗り)

・運賃形態…乗車区間と路線により料金を支払う

        第1系統(幹 線) 大人150円~530円(子供は半額)

        第2系統(柳井線) 大人150円~320円(  〃  )

        第3系統(北回線) 大人150円~210円(  〃  ) 

・導入経費…4,920万  円

・運行経費…1、061万8千円

・運行収入…  243万  円

・補助金…   819万  円(船穂バス福祉バス事業補助交付額)

・利用状況…全路線合計で14,737人

        第1系統(幹 線) 14,486人/年 4,0人/便

        第2系統(柳井線)    208人/年 0,4人/便

        第3系統(北回線)     43人/年 0,2人/便

 

船穂福祉バスは、市内の倉敷駅⇔新倉敷駅を結ぶ路線(幹線・柳井原線)と、船穂福祉センターを中心に循環する路線(北回線)の3便をもって、市内を東西に縦貫する形で市民の「足」の確保に努めています。

 

しかしながら、利用者が少ないことが「足かせ」になっており、上の表にもあるとおり、平均にならせば、一便の乗車が1人に満たない路線もある(利用者が特定の一人に限られ、その方が利用しないと、即ち空車になってしまうという現状)

 

当然、収支率も低く、収支率は2割をようやく超える程度、また船穂線への補助金は、倉敷市の公共交通補助金の約25%を占めています。

 

その原因としては、地区住民の利用が少ない、利用しにくい時間帯に運行されている、バスの運行自体を知らない市民が多い、バス停表示が分かりにくい、などが挙げられています。

 

このため倉敷市は、料金の見直し、乗合タクシーなどの運行の効率化、バス停の表示の改善などの対策を挙げています。

 

また、倉敷市の船穂バス対策の中で特筆すべきは、利便性向上のために、バス路線の「ハブ(結節点)の利便性向上を重視し、そのために、地域の公民館を結節点とし、そこまでは乗合タクシーで乗客を運ぶ可能性について研究している、とのことでした。

 

また将来に向けた運行維持に向け、地域住民による運営委員会など、地域が主体となって運行内容を考えること、またさらには、運行経費の一部地域負担についても再編方針に盛り込み、踏み込んだ検討についても言及していました。

 

 

[真備さいくるバス]

・経過…井原電鉄開業に伴い、旧真備町バス路線廃止に伴い運行

     井原電鉄3駅を中心とし、町内各地を結ぶ循環バス

・運行主体…井原鉄道(株)

・運行状況…第1系統(東路線)で一日8便 60分おき 8:00~16:00

        第2系統(西路線)で一日8便 60分おき 8:00~16:00

・運行車両…小型バス(29人乗り)

・運賃形態…大人100円~530円(子供は100円) 第2系統・第3系統とも 

・導入経費…1,657万4千円

・運行経費…2、332万7千円

・運行収入…  253万7千円

・補助金…  1,913万2千円

・利用状況…東西路線合計で28,278人

        第1系統(東路線) 13,167人/年 4,7人/便

        第2系統(西路線) 14,661人/年 5,1人/便 

 

真備さいくるバスは、市内に「井原電鉄」が開業されたことに伴い、井原電鉄3駅を中心とし、町内各地域を結ぶ循環バスとして運行されています。

 

しかしながら、船穂バス同様、利用者が少ないことが課題です。バス利用者も、朝夕の通勤時間帯に限られ、昼の利用はほとんどないのが現状です。

 

また、料金設定も低いことから収支率も低く、収支率は1割をようやく超える程度、また真備バスへの補助金は、倉敷市の公共交通補助金の約60%を占めています。

 

その原因としては、ほとんど利用したことがない人が9割に上ること、一方向への循環で、一周に約55分かかり、目的地まで近い場合でも時間がかかってしまう、バスの運行自体を知らない市民が多い、バス停表示が分かりにくい、などが挙げられています。

 

このため倉敷市は、真備バスについても、料金の見直し、乗合タクシーなどの運行の効率化、バス停の表示の改善などの対策を挙げています。

 

また、真備バスも船穂バスと同様、将来に向けた運行維持に向け、地域が主体となって運行内容を考えること、またさらには、運行経費の一部地域負担についても再編方針に盛り込み、踏み込んだ検討についても言及していました。

 

これら、課題の多いバス路線の再生のため、倉敷市は「再編フロー」として、平成24年度を区切りとし、段階的な取り組みを行う、としています。

 

平成18年度には、アンケート調査による利用状況・住民意向などの把握

平成19年度には、「ワークショップ」を年2回開催、見直しの方向性の検討実施

平成20年には、再編計画の検討として、

           利用実態調査、課題の整理

           ワークショップ(3回)による、再編案・利便性向上対策の検討

平成21年には、地域検討会による再編案・利便性向上対策の検討

           具体的な業者選定・停留所整備・路線図作成 のうえ再編運行

平成22年には、利用状況や運行収支、問題点を踏まえ再度見直し

平成24年には、それらの取り組みを踏まえた運行見直し実施

                                                                                       

                                        としています。 

 

 

【「倉敷市乗合タクシー制度」について】

 

[目的]倉敷市内の路線バスが廃止された地域で、交通弱者の「足」を確保するため「地域がつくるミニ公共交通」として、乗合タクシーを実施する。

 

[特徴]バスと同じように「停留所」がある。

       乗車には予約が必要。

     車両が小さいため、狭い道も入れる。

           短い間隔で停留所の設置が可能。

           運行時刻やルートなどに、利用者ニーズが反映しやすい。

           料金は、バスより高いが、タクシーの通常料金より割安。

 

[制度の概要]

     ・当該地域に、自治会などを中心に「運営組織」を設置する

     ・運行経費は、総額の30%は事業者負担、70%が運行収入と行政補填

               補填(赤字)にうち、30万円までは行政が全額負担

               30万円を越えた場合については、地域が2割、業者が8割負担

                但、稼働率が50%未満の場合は、別途 地域負担

 

 

倉敷市のバス運行は、旧合併町の時代の公営バス運行を継続し、そもそも「利益を生み出すことが目的でない」前提で運営されていることが、現在の利潤創出の取り組みの「足かせ」になっており、今後の再生への取り組みには相当の改善が求められるということが感じられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

(以下ただいま案文中です・・・ ^^;)

 

 

 

 


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