京都・詩仙堂を創った、石川丈山については、謎が多い。
その石川丈山の謎めいた生涯を、フルに活かして、一篇の長編歴史小説に仕立て上げたのが、新宮正春さんの、「将軍暗殺」。
将軍暗殺 (角川文庫) 価格:¥ 900(税込) 発売日:2004-11 |
因みに、ここでいう「将軍」とは、三代将軍家光のことで、家光上洛を巡って展開される、反徳川勢力と幕府の息詰まる死闘が、当時の京都や近江を舞台に鮮やかに描かれている。
物語の展開の意外さには驚かされるが、
歴史的にも、将軍による上洛は、三代将軍家光以降、幕末の十四代将軍家定まで、200年以上行われておらず、この不自然に長い空白の期間は、歴史マニアをさまざまな空想に駆り立てる。
まもなく到来する、紅葉の季節の京都、詩仙堂に立ち寄られる予定の方には、オススメの一冊で、詩仙堂という、不思議な意匠の建物の意味も、本書を読めば氷解するかも‥‥。
(本書に登場する人物)
石川丈山、松花堂昭乗、柳生宗矩、徳川家光、尾張義直、紀伊頼宣、島左近、茶屋次郎四郎、板倉重宗、林羅山、松平信綱、柳生兵庫助、土井利勝、酒井忠世、青山忠俊、など