実家の両親は農業をしています。
数年前、都会で国立大学の教授職をしていた元先生が地元に戻ってきて、
亡くなった親の田畑を継いで農業を始めたそうです。
この人がちょっと変わった人で、
近所の人が天候や土壌の状況を見て「こうしたほうがいい」とアドバイスしても、
「学術的にはどうだ、こうだ」と言って相手を言い負かそうとするのだそうです。
そうして雑草を生い茂らせたり、病害虫を発生させたりして、
隣接の田畑に迷惑をかけて平然としているといいます。
やがて地域の人たちは呆れ果て、相手にしなくなったそうです。
そんな元先生の様子を見て、私の実家の父は、
「まるで農政改革を声高に叫ぶ政治家のようだ」と言います。
学問で得た知識と、家庭菜園程度の農作業をしてみて、
「自分も農作業をしてみたが・・・」などと語る政治家や評論家には、
まったく呆れ果てるというのです。
農家が価格の高い農機具や肥料を使うのには理由があります。
ホームセンターで販売されているような安価なものは中国製で、
家庭菜園程度の作業であれば充分ですが、
業としての農作業にはまったく適していません。
すぐにダメになって、コストはかって割高になります。
確かにいまの日本の農業には課題がたくさんあるでしょうが、
実情も知らずに「農家はコストダウンの努力が足りない」と、
知ったかぶってインタビューに答える政治家には、
まったく困ったものだとつぶやいていました。
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