包丁一本で、こんなにテンションが変わるとは思いませんでした。
これまで越前打刃物の三徳包丁を使っていたのですが、
刃と柄の接続部分で腐食して折れてしまったのが二週間前でした。
研ぎながら10年以上も使ってきただけにショックでした。
しかもそれ以来、家には切れ味の悪い菜切り包丁しかないので、
料理をしても、どうにもおもしろくありません。
「いいのを買ったら?」と妻に言われて買ったのが、
日本橋「木屋」の、梅治作の牛刀です。
銘の入っている包丁だけに値段もびっくりです。
となりのショウケースには1万6千円のものがあったので、
ケースから出してもらい、柄を握ってみると、
持ちやすさがまるで違います。
店員によれば、1万6千円の商品は、
スウェーデン鋼を使った機械による刃付けの量産品。
一方、梅治作は職人によって一本ずつ本刃付けされた手作りだそうです。
さらに高額の4万円以上もする商品は、
焼入れから刃付けまで、日本刀と同じ手法で作られているとのことでした。
ここまでくると、包丁も実用品というより芸術品です。
店員によれば、切った時の感覚と切れ味の持続がまるで違うといいます。
自分で研げるのなら素材は鋼(ハガネ)がお勧め。
一本で何にでも使いやすいのは、三徳包丁よりも牛刀。
刃紋などの見た目と切れ味は関係がない。
値段が3倍なら切れ味も3倍というわけではないが、
長く使い続ければ続けるほど、使いやすさの違いは歴然。
などなどのアドバイスを受け、思い切って購入したのが梅治作の牛刀です。
早速帰宅して試し切り。
切れ味を試すために選んだのは、トマトと刺身です。
硬めのトマトの皮にサクッと刃が入ると、柔らかい身を崩すことなく、
刃がスーッとまな板まで抵抗もなく下ります。
また、牛刀は刃渡りが長く細身なので、刺身も気持ちよく引けます。
確かにこれまで使っていた三徳包丁とは比べ物にはなりません。
切っていて気持ちがいい、切るのが楽しくなる包丁でした。
でも値段が値段ですから、よく切れて当然といえば当然かも知れません。
三千円のラーメンを食べて、「これはうまい!」と言っているようなものです。
でも男って、やっぱりこういうのに凝ってしまうのでした。
このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度には目を見張るものがある。