くろたり庵/Kurotari's blog~since 2009

総務系サラリーマンの世に出ない言葉

備蓄品が品薄です

2012-02-14 22:34:29 | 総務のお仕事(防災)
震災用の備蓄品が手に入りません。
メーカーや販売店によれば、
アルファ米や毛布など、納期は5~6ヵ月先になるといいます。

理由は、東京都の私立学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校)に対して、
防災備蓄物資の購入に補助金が交付されること(平成23・24年度)に加え、
例の「首都直下型地震の発生確率、4年以内に70%」
という報道があって爆発的に需要が増えたためだそうです。

防災備蓄品の関係企業は、
震災特需ならぬ、震災予測特需のようです。

販売店の担当者は、
「来年度(平成24年度)は、補助金の駆け込み需要が予想されるので、
 それこそ納期がどのくらい先になるかわかりませんよ」
などとあおります。

考えることはみんな同じのようです。


世界でもっとも危険な国?

2011-11-19 23:59:28 | 総務のお仕事(防災)
ある土木技術者の講演を聞きました。

日本列島は南北に弧状に伸びています。
この形のおかげで気候や植生は変化にとみ、
モンスーンと海流が豊かな水と食料をもたらしました。

しかし、一方で日本列島は、
太平洋プレートとフィリピン海プレート、
ユーラシアプレート、北米プレートがぶつかり合う、
とても不安定な場所に位置しています。

豊かで美しいけれども、
地震、噴火、津波、台風といった災害の危険に常にさらされている国、
それが日本です。
こんな国は、世界中どこをさがしてもありません。

そんな国土に住む日本人は、昔から災害にみまわれては克服し、
やがて、災害に備える智恵を身につけ、技術を発展させてきました。
日本の土木・建築技術が世界最高水準になったのは、
長きにわたる自民党の公共事業政策が理由ではないのです。

災害に対する考え方はさまざまです。
被害を最小限にするため。人間の智恵と技術で国土に手を加える。
あるいは、どうせ避けられない災害ならば、いっそ悪あがきをやめて自然にまかせ、
壊れたらそのたびに造りなおす。

防災工事にはお金もかかるし、
災害がなければムダ遣いだとして批難もあびます。
しかし、悪あがきをやめれば、
時として自然は、多くの人の命と財産を容赦なく奪っていきます。

何が正しいかなんて、誰にもわかりません。
ただ、災害が起きたとき、失われた人の命と財産は報道で伝えられるけれども、
「砂防ダムがあって救われた」「堤防によって助かった」といった、
起きなかった被害は報道されないということを認識しておかねばなりません。

そして、どのような道を選ぶにしろ、決して忘れてはならない現実。

それは、この世界に類を見ない不安定な場所に日本があり、
その国土の上に私たちが住み、数多くの原発があるということです。

この半年あまりの間に、
私たちはそのことを嫌というほど思い知らされたはずなのですから。


地域避難所は誰のためか

2011-09-01 22:38:03 | 総務のお仕事(防災)
防災の日の今日、都内では各所で防災訓練が行なわれました。

例年、東京都や各区では、
この日に総合防災訓練(避難、救助、消防)を行なうのですが、
今年は3月11日の大震災時に帰宅困難者などで交通が混乱したことを踏まえ、
都内主要道路の交通規制や帰宅困難者対応に特化して訓練が実施されました。

3月11日の震災直後、
都内には多くの帰宅困難者があふれ出し、大混乱に陥ったのは記憶に新しいところです。
ある区では、地域避難所に指定されている小学校に帰宅困難になった会社員が押しかけ、
「毛布を出せ」「備蓄食料を出せ」と管理者につめより、
一時は険悪な雰囲気になったといいます。

原則として地域避難所は、地元住民のために整備されたものであって、
帰宅困難者やその地域の会社に勤務する住民以外の会社員などは想定していません。

地域避難所に何千、何万人という帰宅困難者が押し寄せたら、
地域住民のために備蓄された食糧や毛布、簡易トイレなどは瞬く間に底をついてしまいます。
本当に支援が必要なお年寄りや子どもたちを救護することができなくなってしまうのです。

それでは、帰宅困難者を救護するのは誰でしょうか。

それは自分が勤務する会社であり、自分自身になります。
会社の防災担当者は、
行政による防災講習会などで、そのことを耳にタコができるほど繰り返し聞かされます。
そして、帰宅困難者を社外に出さないように要請されます。

地元住民を救護するのは行政であり、会社員を救護するのは会社だというわけです。

会社で従業員の人数分の食料や飲料水を備蓄するのが理想ですが、
それだけの余力が会社にない場合は、従業員各自でビスケットやチョコレート、
飲料水などを非常食として机やロッカーの中に保管しておくよう指導します。
賞味期限がきたら、残業食にしてし入れ替えます。

さらにブランケットや徒歩帰宅用のスニーカー、リュックなども置いておけば完璧です。

災害時に、消防隊のように積極的に誰かを救助しなくても、
自分が要救護の帰宅困難者にならないようにすることで、
間接的に多くの地域住民を救護していることになるのです。

企業の防災担当者の間では常識になっているようなことでも、
先の小学校に押しかけた会社員のように、
一般の会社員にとっては、まだまだ周知不足です。

行政によって、そういう空気を醸成する必要があると思います。



大いなる勘違い~計画停電

2011-04-06 23:08:40 | 総務のお仕事(防災)
今夏には23区内でも実施されると言われる計画停電。
ついに、というかやはり、総務に「計画停電対策チーム」の立ち上げが命ぜられました。

多くの会社が同じだと思いますが、
計画停電で大きな影響を受けるのは情報システム関係です。
情報システムは、停電時間中の事業活動の制限だけでなく、
正常な停止と再起動に停電時間以上の手間と時間がかかります。

私が勤務する会社では、
サーバーを外部委託せず、社屋内の専用ルームに設置しており、
データのバックアップはとっているものの、サーバーは二重管理していません。

したがってテレビなどでも報道されている通り、3時間の停電のために、
その前後あわせて8時間近く業務が停止することになるのです。

「なにがなんでも、業務をとめるな。サーバーをなんとか維持しろ」

これが上層部の指示でした。
しかし、想定される影響や対策を説明しても、
どうも話しがかみ合いません。

どうやらバックアップ電源を確保してサーバーを維持できさえすれば、
業務は中断することなく継続できると勘違いしているようです。

「停電なんですから、サーバーが生きていてもパソコンは使えません!」
「本社はだめでも、サーバーが大丈夫なら支店の業務はできるだろ」
「区内全部が停電なんですから、北海道から九州まで全支店につながりません!」

こんな漫才のような会話が繰り広げられたのでした。
「木を見て森を見ず」 そんな言葉をふと思い出しました。

先は長いようで・・・





被災地のメンタルヘルス

2011-03-26 22:12:00 | 総務のお仕事(防災)
震災発生から二週間。
ようやく東北自動車道の一般車両の通行が再開しました。
 
これまで被災支店への支援物資(主に食糧と燃料)を
西日本の支店や地方の営業所に依頼して調達・補給してきましたが、
それも来週あたりからどうにか落ち着きを取り戻す兆しが見えてきました。

それと同時に気になっているのが、被災支店の社員のメンタルヘルスです。

被災支店からの報告によると、年配社員は復興に向けて前向きであるのに対し、
若手社員、特に20代の社員の中に「無気力」「虚無感」といった傾向が見られるようです。

見慣れた風景が破壊し尽くされ、跡形もなく消え去ってしまった街。
それに追い討ちをかけるように日本中を震撼させている福島原発の放射能汚染。
「そのあまりにも強烈な体験が、感受性豊かな彼らの心を打ちのめしているのではないか」
そう産業医は言います。

「会社はどうなるのか」「自分はどうなるのか」という強い不安が、
「もう、自分ではどうすることもできない」という無力感をもたらし、
「もう、どうなってもいい」という精神状態に陥っているのではないか、というのです。

近く、会社で契約している産業医が現地入りする予定です。