歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

プロフェショナル原論

2007-04-25 23:34:31 | 読書
 波頭亮著「プロフェショナル原論」(ちくま新書)を読みました。著者は経営コンサルティングの第一人者であり、私も多少仕事の内容はそれに近いところがあるのですが、彼の仕事に対する厳しい姿勢には心底感服しました。
 プロフェショナルの掟は、(1)顧客利益第一、(2)成果指向、(3)品質追求、(4)価値主義、(5)全権意識、の5点である、というのは全くその通りだと思います。しかし、プロフェショナルは営業をしてはならない、値引きをしてはならない、自分の利益を追求してはならない、という彼の主張は、ちょっと厳しいなあ、というのが率直な感想です。私の仕事に対する姿勢がまだまだ甘いのかもしれませんけど。

最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「原論」じゃないよ「持論」だよ (デハボ1000)
2007-04-28 01:38:57
>プロフェショナルの掟は、(1)顧客利益第一、(2)成果指向、(3)品質追求、(4)価値主義、(5)全権意識、の5点である、というのは全くその通りだと思います。
技術コンサルでもこれは反論の余地はありません。むしろ明確に示していると思います。

>プロフェショナルは営業をしてはならない、値引きをしてはならない、自分の利益を追求してはならない、という彼の主張は、ちょっと厳しいなあ、

これは営業という定義によっては分かれるところもないわけではないですが、「有るべき姿」であるならOK。しかし万人に言う台詞だというなら私は反発します。
そもそも「自分の利益」という表現を「対価」と読みかえることが著者の趣旨なら、公的技術コンサル資格である対価の算定基準が文部科学省基準(もともと科学技術庁の資格なので標準対価の決定権限はこちら)に対して経済産業省の推し進めている推奨報酬との間に5倍の差があるということをどう説明するんでしょう。(後者のほうが安い)どちらもかなり明確な根拠があるんですが、技術を台帳上と実態把握不足のままいじくるという文官の作文とみえますよ。しかも地方自治体依頼の案件は県(政令指定市も県とみなす)が違うとお付き合いする中央官庁によって報酬が変りすぎ、県境付近ではイノベーション低下の大きな要因になってるという問題点が露呈しているんです。

すみません、けど本当に悩んでるんです。熱くなってしまいました。
返信する
コンサルの報酬 (kunihiko_ouchi)
2007-04-28 23:20:00
デハボ1000さん、コメントありがとうございます。
波頭氏はこの本の中で、「経営コンサルタントはプロフェショナルとして医師や弁護士と同列であって、厳しく自分を律さなければならない職業である。そしてプライドを持って仕事をするためには、ホテルは一流のところに泊まり、移動はグリーン車やビジネスクラスを利用しないと。」、といった趣旨のことを主張されています。そうかもしれないな、と思うのですが、気になるのは経営コンサルタントと技術コンサルタントの報酬の違いです。
おそらく経営コンサルタントの収入は、医師や弁護士ほどではなくとも、そこそこ高給ではないかと想像します(まあ同じ経営コンサルといっても格差はあるでしょうけれど)。しかし、私が知る限り、一般的に技術コンサルタントの方々は高給を得ているようには思えません。たまたま私が知る技術コンサルタントの方々は、メーカーをリタイアした高齢の技術者OBで、今までの経験を生かして世の中に貢献できるのだから、報酬はそんなに気にしない、というノリの方が多いせいなのかもしれませんが。
理系は文系よりも損をする、世の中の仕組みがそうなってしまってはいないでしょうか。
返信する
いいとこ突いてる (デハボ1000)
2007-04-29 16:53:57
>私が知る技術コンサルタントの方々は、メーカーをリタイアした高齢の技術者OBで、今までの経験を生かして世の中に貢献できるのだから、報酬はそんなに気にしない、というノリの方が多い

今技術士事務所を開業してらっしゃる方は、それを感じている奉仕形の方が多いので事実を突いてると思います。ただそれと「武士はくわねど高楊枝」の方が多いので、あえて「コンサルには頼らん」と言う顧客会社もたまにあります。意識が合わない技術トップがいるのです。その姿勢に感服受けるコンサル人材も多いだけに・・・(以下自粛)
返信する
Unknown (デハボ1000)
2007-05-09 20:44:40
この本、買って読みました。

なるほど、この言葉はコンサルタントと言うものに対する逆説的な世間の色眼鏡に対する反発であると思います。
技術コンサルタントの世界に関しては経営トップと渡り合う経営コンサルと違い、決裁権限の低い上級管理職クラスとの渡り合いになります。当然相手の立場が違うと出る報酬の範囲が変って当然です。
事実、技術コンサルの中には会社トップとの交流を得ることで「本当に見合った対価を得る(そのぶんきつい)」ことをする人もいますし、私もそれをすすめられています。(独立技術コンサルの中では私は飛びぬけて若いからです(苦笑))けどそれは私は、技術習得の観点から失う「生の情報」が見えないという怖さも内包していると感じています。
「プライドを持って仕事をするためには、ホテルは一流のところに泊まり、移動はグリーン車やビジネスクラスを利用しないと」というのは、カール・ブッセでないですが「暮らしは低く、思いは高く」の考えとそう反するみたいですけど、実は其れぐらいの感覚を維持するためのトリガーだと読めました。

この本の筆者の、一面的な判断は気になりますが、一つの考えとして文章にするだけのことがあると読みました。
良本の教示ありがとうございました。
返信する
こちらこそありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2007-05-10 00:42:16
>良本の教示ありがとうございました。
いえいえ、こちらこそデハボ1000さんの深い洞察に勉強させていただきました。
私も仕事で弱気になったときに再読しようと思います。
返信する