歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

ものづくりの現場に女性を

2007-09-04 23:37:53 | ものづくり・素形材
 最近、電車に乗っていると女性の車掌さんに出くわす機会が増えました。かつては女性のアナウンス(合成の音声ではなく、生の声の)を聞くと非常に新鮮な感覚を覚えましたが、今では当たり前に感じます。かつては男の職場そのものであった鉄道会社の現場には着実に女性が進出していると感じます。

 一方、ものづくり、特に鋳造や鍛造、金型といった素形材の現場では、検査工程は女性の方が多いとはいえ、全体的にあまり女性の姿を見ません。むしろ今年の春に訪れた東南アジアの方が、現場での女性の活用が進んでいるという印象を持ちました。
 我が国には何か製造業の現場での女性の就業を規制する法律でもあるのかな、と思って労働基準法を調べてみたのですが、鉱山やトンネルなどの坑内労働を除くと特に規制は存在しないようです(ちなみに坑内労働での女性就業の規制の背景には、宗教的な要因もあると思います)。

 なぜ、素形材産業での女性の就業に関心を持ったかというと、これらの産業での人材確保の難しさがあります。好況が続いていてどこも人手不足に悩んでいるのですが、自動車などの大手がガサッと大量に採用してしまっていますから、なかなか新卒男子の採用ができません。東海地域ではこれが顕著で、日系ブラジル人からも求人に応じてもらえず、やむを得ず派遣や請負を使っている、という中小企業は少なくありません。
 本当は若い正社員にベテランの技術、技能を伝承してもらいたいのですが、そうした理由でできないという中小企業があるのです。中にはもう日本の状況には諦めて、ベテランの技は中国人社員に引き継いでもらおうと、中国に工場を立ち上げ中国人の若者に技能を教え込んでいる、という企業経営者の話も聞いたことがあります。

 それほどまでに厳しい状況にあるわけですから、彼らはもっと女性の活用に目を向けても良いはずです。女性も働きやすい職場環境の整備は、素形材産業にとって重要な課題でしょう。
 しかしそうは言っても、ものづくりを指向する女性、理系の進路を選ぶ女性がそもそも少ない、という現実があります。素形材産業に限らず、我が国のものづくりがこれからも成長を続けていくためには、女性にもものづくりと理数科目に興味を持ってもらうことが重要であり、それは今後の理数教育、工業教育にとって大きな課題であるように思います。