歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

タイの金型産業(雑誌記事より)

2007-09-26 23:25:51 | 海外ものづくり事情
 大きな日本人社会が形成されているバンコクでは、日本人向けの情報誌も充実しています。情報誌は硬軟いろいろですが、その1つであるビジネスマン向けのInfo Biz THAILANDが 「タイの金型産業」という特集記事を掲載していました(コピーを入手)。タイの金型関係者(金型協会、工業省、大学教授)が自国の金型産業についてインタビューに答えているのですが、知らなかったことも多く触れられていて勉強になりました。
 以下、「へぇ」と思った点を記します。

(1)タイの金型産業のトップクラスは全体の5%で、そのほとんどが日系企業。この5%の投資総額は残りの95%のそれよりも大きい。

(2)タイ工業省の1部局である裾野産業開発部(BSID)の前身は、金属加工機械工業開発研究所(MIDI)。MIDIは日本政府の無償資金協力で設立され、1986年から5年間にわたって日本からMIDIへ鋳造、熱処理などの技術移転が行われた。

(3)これまではタイ政府は金型産業に対する理解は低かったが、最近では育成すべき産業としての認識が高まっている。2004年に金型産業の人材開発等に関するプロジェクトがスタートし、5か年の計画で進められている。総予算は16億9000万バーツ(67億円強)。

(4)金型について教えている大学は、キングモンクット工科大学トンブリ校、同プラナコンヌア校、スラナリ工科大学、ラーチャモンコン技術大学。キングモンクット工科大学トンブリ校に金型学部ができたのは1992年で、毎年80人の新入生を迎えている。

 ローカルメーカーの規模は小さいとはいえ、政府が産業の育成に力を入れ、金型について教える大学も複数あるわけですから、タイの金型産業のこれからが期待できるのではないでしょうか。地味な存在ながら機械工業の基盤である金型産業の育成を日本が主として支援し、実を結ぼうとしていることは、日本の国際貢献の成功例として誇ってよい事例であるように思います。