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安部公房と室原知幸 @ 『砂漠の思想』


 実は1970年代中頃、金沢に来て初めて買った本がこの安部公房『砂漠の思想』でした。今は閉店しましたが尾張町の「南陽堂」で買いました。650円でしたね。当時の貧乏学生にとって650円は思い切った買い物でした。

 裏表紙のメモによると、読了したのは6月11日ってあるので、2ケ月近くかけて読んだことになります。まあ確かに難解な本ですよね。こういう気鋭の文学者って 簡単なことをわざわざむつかしく書くしね。なので、肝心の内容については40年後の今、まったく覚えていません。

 ところが、先日読んだ松下竜一の『砦に拠る』に、「安部公房が蜂乃巣城に取材に来たが、城主である室原氏にけんもほろろに追い返された。そのあたりの記述は、『砂漠の思想』に収録されている」とあり、あわてて本棚から取り出してみた次第。

 改めて読んでみて、こういうインテリ作家ってのは、論評するのは得意だけど、共感し想像するってホントに嫌いなんだなと思いました。「けんもほろろに追い返された」というけど、お付きの記者に室原氏に電話させただけですね。当然、室原氏は断りますよね。だって 安部は本気じゃないもん。

 結局役場の担当者などから差しさわりのない話を聞き「作品」に仕上げたってことです。当然ながらその内容は ピンボケなものになります。

 まあそういう本を有難がって読んでいたんだね、40年前の僕は。

 
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