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その人生自体が「作品」 @ 『森』 野上弥生子

 


 この『森』は、野上弥生子の最後の小説、しかも未完の、として知られていますが、『迷路』『秀吉と利休』などの方がよく読まれているようです。まあこの作家の場合、個々の作品云々ではなく、1885年生まれで99歳で没するまで、生涯現役だったという「野上弥生子の人生」自身が最高の「作品」なんでしょうね。



 この小説の舞台は明治33年(なんと1900年=19世紀最後の年!!)ですが、野上弥生子自身が夏目漱石などと同時代ということもあり、この小説が明治時代に発表されたものと誤解してしまいそうですが、1970年代、氏が80歳代になってから書き始めたものです。



 まあ、自らの70年前の体験を私小説的に記録したような小説で、読んだ感想は「自分を中心に半径3メートル以内の出来事を連綿と書き連ねた」って感じです。「それで?」「だから?」と 何度呟きながら読んだ事でしょう。



 明治33年当時「コーヒーが云々」「クリスマスパーティーが云々」って会話がなされるってこと自体、よほど上流階級の子女の世界ですねえ。野上氏が、その当時の「思い出」を 現在のフィルターを通して小説に再構成したってことでしょうか。



 ちょっと僕には合いませんでした。で、なんでそんな本を呼んだかというと、今度 臼杵に行くことになりそうだからです。はい。

 

 

 

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