日刊ゲンダイ 2015年9月9日
東京電力福島第1原発の廃炉作業の鍵を握る汚染水対策は、建屋周辺の地下水を海洋放出する「サブドレン」の運用が始まるなど大きく前進した。ただ、最大の難関となる溶融燃料(燃料デブリ)取り出しに向けた本格調査はこれからで、廃炉作業の「本丸」への道は依然として遠く、険しい。
7基の1000トンタンクにつながった黒い配管が、2キロ先の海へ向かって坂を下っていく。8月26日、福島県や地元自治体などで組織する「廃炉安全監視協議会」がサブドレンの設備を視察した。「配管の耐久性は十分か」「海洋放出の運用基準の厳守を」。視察後、委員から質問や要望が相次いだ。
<1年棚上げ>
計画では建屋周辺にある41本の井戸「サブドレン」から地下水をくみ上げ、放射性物質を取り除いて海に放出する。汚染雨水の外洋流出を東電が積極的に公表していなかった「K排水路問題」などで1年近く棚上げとなっていた。
県漁連が8月上旬、「安定的に廃炉を進めることが漁業復興の特効薬になる」と実施を容認。地下水くみ上げが今月3日に始まった。排水は昨年8~11月の試験運用で保管していた4000トン分から始める予定。
<発生量半減>
高濃度汚染水は、1~4号機の建屋地下に流れ込む地下水が溶け落ちた核燃料に触れて発生する。国と東電は(1)汚染源を取り除く(2)汚染源に近づけない(3)汚染水を漏らさない-を基本方針に汚染水対策に当たる。
(2)の具体策がサブドレンだ。昨年5月に始めた「地下水バイパス」で汚染水の発生量を1日300トンまで削減。東電はサブドレン運用で汚染水の発生量を半分程度に減らせると見込む。
(1)に関しても、タンクにためた汚染水の放射性物質濃度を大幅に減らす1次処理が5月末に終了。電源ケーブルなどが通る地下道「トレンチ」に残った高濃度汚染水の抜き取りも7月に終わった。
(3)の鋼鉄製のくいを岸壁に打ち込み汚染水漏れを防ぐ「海側遮水壁」でも、サブドレンの安定稼働を確認後、閉鎖工事に着手する。
福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は8月末の記者会見で「本格的な廃炉作業へギアチェンジできる」と語った。ALPS(多核種除去設備)でも処理できないトリチウムの扱いが決まらないなど課題も多いが、汚染水対策は軌道に乗りつつある。
一方、デブリ取り出しは先が見えない。8月中に実施予定だったロボットによる2号機格納容器内の調査でさえ、投入口付近の遮蔽(しゃへい)ブロックの取り外しに手間取り、見通しが立たない。
[福島第1原発事故]2011年3月11日の東日本大震災による地震と津波で、福島第1原発の原子炉6基のうち1~5号機の全交流電源が喪失し、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却ができなくなった。1~3号機で炉心溶融が起き、1、3、4号機の原子炉建屋が水素爆発した。東電は大気中に放出された放射性物質の量が11年3月だけで90万テラベクレル(テラは1兆)に上ると試算。事故の深刻度は国際評価尺度(INES)でチェルノブイリ原発事故と同じ史上最悪の「レベル7」とされた。
http://www.nikkansports.com/general/news/1535234.html
[2015年9月8日20時30分]
マスコミ倫理懇談会で講演する「SEALDs」の中心メンバーら。左から2人目が奥田愛基さん(共同)
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安全保障関連法案に反対する大学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー3人が8日、東京都内で講演し、反対の動きが広がっていることに「シールズが象徴的に扱われているが、集まる人が若者中心かというとそうじゃない。国民的な動きが起きている」と強調した。法案が成立しても活動を続ける考えも表明した。
講演は新聞、放送局などでつくるマスコミ倫理懇談会全国協議会主催。
明治学院大4年の奥田愛基さん(23)は、活動をしている理由について「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故があったのに、政治が何も変わらないのに嫌気がさしている。生まれたときからバブルも崩壊していて格差社会が広がる絶望的な世の中だ。だからこそ、そろそろ何かしないとやばいんじゃないかって思っている」と話した。
また、安倍政権に対抗するため、来年夏の参院選で、各選挙区で野党に統一候補擁立を呼び掛ける考えも明らかにした。奥田さんは「僕は9月ぐらいで(活動を)やめるつもりだったけど、メンバーには『このままでは終われない』という人もいる。(次期参院選での野党協力の)パッケージを誰もつくれないのなら自分たちでやらないといけない」と話した。
筑波大3年の本間信和さん(20)は「法案がどうなっても、日本の安全保障に関する議論は続くし、ほかにも社会保障などの問題が山積している」と今後の活動の課題を挙げた。(共同)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/09/national-security_n_8107944.html?utm_hp_ref=japan
自民・公明の与党幹部は9月9日、参院で審議中の安全保障関連法案について、9月16日に特別委員会で採決する方針を確認した。17日の参院本会議で原案のまま可決、成立をめざす。NHKなどが報じた。
報道各社の世論調査では以前、反対が賛成を上回っており、反対する市民グループは国会前などでのデモを継続する構え。法案を巡る攻防は来週、大詰めを迎えることになる。
与党は安倍晋三首相が8日告示の自民党総裁選で無投票で再選したのを受け、15日に採決の前提となる中央公聴会を開くことを、特別委員会の鴻池祥肇委員長の職権で議決している。時事ドットコムによれば、与党は9月14日以降、衆院で3分の2以上で再可決できる「60日ルール」は使わない考えを示した。
自公両党の会談後、同席した自民党の佐藤勉国対委員長は「60日(ルール)を使う気になれば、いつでも使えるが、参院で結論を出していただく」と記者団に語り、憲法の規定による衆院再可決は行わない考えを強調した。
(時事ドットコム:安保、16日に委員会採決=野党は幹事長らが対応協議-自公幹部より 2015/09/09 13:02)
野党側は、8日の公聴会議決を与党が強行したことに反発を強め、6党の幹事長・書記長クラスが、地方公聴会の開催や、共産党が提示した資料に関連して河野克俊統合幕僚長の参考人招致を要求することで一致した。
野党側は「全力で阻止する」との考えで一致しており、4日は衆院での内閣不信任案や参院での閣僚問責決議案も視野に対応を協議した。