モリ・カケ疑惑 核心の新事実を暴露する!
▼森友文書公開「安倍首相はもう逃げ切れない」
▼「加計問題は贈収賄事件」これだけの根拠
▼現政権が最も恐れる2人が「モリ・カケ」最終総括
安倍首相と加計学園理事長の会談・会話を示す「愛媛県文書」が提出された。加計問題の本質を「業者接待による贈収賄」と喝破する江田憲司衆院議員と、森友問題で安倍首相の「進退答弁」を引き出した福島伸享氏が、モリ・カケ疑惑の最重要局面を激白。「サンデー時評」倉重篤郎が迫る―。
永田町、霞が関の人々は、この青年の爪の垢(あか)でも煎じて飲むべし。
日大アメフット部による悪質タックル事件。反則をした選手本人が5月22日、日本記者クラブで記者会見した。20歳の青年の実直な会見であった。数百人の報道陣と、カメラのフラッシュの中で、深々と頭を下げ続け、淡々と真実を語った。
彼の反則プレーは許されるものではない。いかに監督、コーチから強い「指示」を受けようと、一線を越えるべきではなかった。
だが、彼は自らの過ちに気付くと、人の道として最低限のことを行おうとした。一つは、会見の場で顔と実名をさらして被害者側に対する強い謝罪の意を込めようとした。もう一つは、どう「指示」があり、彼がどう解釈し、実行に移したか、という具体的かつ詳細な事実釈明である。
長身を90度に折り曲げて15秒近くも頭を下げ続けた謝罪からは、誠意と真剣さが伝わってきたし、「指示」は受けたものの、反則したこと自体は自らの責任であり、自分の弱さがその原因だったとする自己総括も抑制的で好感が持てた。
ここまで来るには、後悔と苦悶(くもん)の日々が続いたであろうことは想像に難くない。真に悩み抜き、勇気と覚悟によって一定の心境に到達した者の強さを青年の中に見たような気がした。
青年の投じた一石は、青年の思惑通り、前代未聞のこの反則事件の事実解明を一歩前に進めることになろう。日大当局、アメフット部側も引き摺(ず)られるようにして記者会見に臨んだ。臨まざるを得なかった。
それに比べて、森友・加計(かけ)学園疑惑である。ここまで状況証拠が固まり、安倍首相の行政権の私物化と国会への嘘(うそ)が明らかになりつつあるのに、事実解明も謝罪も遅々として進まない。いずれの疑惑も明らかに行政上、政治上のあってはならない反則行為である。にもかかわらず、安倍1強の監督・コーチ体制のマインドコントロールから自民党も官僚もなお脱し切れない。あったことをなかったかのように封じ込めんとしている。勇気ある若者と比べ、恥と思うべきではないか。
天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさず。お天道様は見ておられる。今回、愛媛県から出てきた文書は、加計問題が実は単なるお友達優遇に留(とど)まらず、贈収賄とも受け取れる深刻な一面を持った事件であることを示している。財務省からは廃棄したはずの森友に関する交渉資料が出てきた。ここで政権が最も恐れる2人の現・前衆院議員に登場いただき、モリ・カケ問題の最終総括をしたい。
◇「首相の職務権限は100%ある」
まずは、江田憲司氏だ。元通産官僚。橋本龍太郎政権で2年7カ月、首相秘書官を務めた。経産支配といわれる今の官邸事情に精通、加計疑惑について最も本質に迫った追及をしている。
加計は贈収賄事件だと。
「刑法には単純収賄として『公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又(また)はその要求若(も)しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する』(197条)とある。首相は公務員だし、国家戦略特区の議長だから職務権限は100%ある」
「問題は賄賂性。金銭の収受だけでなくていい、というのが20年前の大蔵省接待スキャンダルの時の捜査当局の方針転換だった」
1998年の橋本政権時に発覚した金融業界と監督官庁の大蔵官僚(当時)の癒着が問われた事件だ。
「あの時、東京地検特捜部は大蔵省証券局課長補佐、日銀証券課長らキャリア官僚を収賄容疑で逮捕した。従来は金銭収受があったかどうかが重要とされたが、時の熊崎勝彦特捜部長は、飲食接待だけで立件し、有罪となっている」
「今でも思い出す。大蔵官僚たちがなぜ急に方針が変わったのかと文句を言っていた。僕も通産官僚として先輩から聞いていたのは、金銭の授受だけは絶対ダメ、だが、飲食やゴルフはいくらでもやっていい、ということだった。そういう感覚があった」
今でもそういう認識の役人もいる。だが、20年前に180度転換した。その意味が今また問われている。
「安倍首相は加計孝太郎理事長との間で、第2次政権だけで19回の会食、ゴルフをしたことを明らかにした。奢(おご)られた場合もあると明言している」
「接待は金額の多寡は問われないのが通説だ。問題は対価性の認識。加計氏側に獣医学部新設認可をしてもらおうという接待の意図があり、安倍氏がそういう趣旨で接待を受けた、という認識があればアウトだ」
安倍氏がいつ加計の獣医学部新設計画を知ったかが、重要になる。
「安倍氏が2017年1月20日(の加計が特区申請した時)に初めて知った、となぜ答弁を変更したのか。それ以前は、国会答弁や質問主意書で『今治市が特区申請した15年6月4日に知った』と言っていた」
大臣規範に触れる、というのが変更の理由という。
「そんな軽い話ではない。加計が申請業者と知りながら許認可権者である首相が接待を受けたのでは、さすがにやばいと判断した。ことの流れが贈収賄に当たりかねない。その後、一貫して『17年1月20日』ラインを死守しようとしていることでも見て取れる」
だからこそ、柳瀬唯夫元首相秘書官が15年4月2日に加計、今治市、愛媛県側担当者と官邸で面談したことも認めたくなかった。だが、愛媛県、農水、文科省文書によって面談の事実と中身が詳(つまび)らかにされてしまった。
「柳瀬氏が加計側とそれを含めて前後3回も官邸で会っていたのには驚いた。しかも、相手は首相が許認可権限を持つ利害関係者だ。私の官邸経験では100%あり得ない話だ」
「首相秘書官は、首相にとっては夫人よりも時間を長く共有する。毎日夕方には打ち合わせをするし、昼食を共にすることも多い。首相の息遣いや体温までも感じる間合いで仕事をしている。17年1月20日までの1年9カ月の間、首相と秘書官の間でこの話題が出なかったことは到底あり得ない」
首相側は、19回の会食等が加計認可に関する特別なものではなかった、という立場だ。過去何度も行われてきた中の一つで新規性はなく、従って認可とは対価性はない、という論法だ。
「いみじくも僕がひっかけ質問した。『第1次安倍政権(06年9月~07年8月)では一回も加計氏との飲食ゴルフはなかったようだが』と。通告せずいきなり質問したら、安倍氏は『首相動静に載ってないこともある。1次政権でもやっていた』と答弁した。認可との対価性を消すために接待を常態化しようとしたが、結果的に墓穴を掘った形だ。動静に載ってないこともあると答弁したわけだ」
そこで、最新の愛媛県文書だ。それによると、15年2月25日に安倍首相、加計理事長との15分間の面談があり、加計氏が「今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すこと」などを説明、安倍氏は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と応じている。これは「首相動静」には載っていない。
「この事実が判明したのは重い。これまでの話だと、安倍、加計会食の最後は14年12月で、15年4月2日の柳瀬・加計面談までは間があった。今回の文書ですべてが氷解する。柳瀬氏の3度の面談には、安倍、加計トップ会談という前段があり、そこから官邸が総がかりで加計認可のバックアップ態勢に入った」
1000人打ち切りか 審査集約、戸惑う受給者
毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180529/k00/00m/040/163000c
2018年5月29日 06時30分(最終更新 5月29日 07時52分)
日本年金機構が障害基礎年金の受給者約1000人余りに対し、障害の程度が軽いと判断して支給打ち切りを検討していることが判明した。対象者には、特例的に1年間の受け取り継続を認めつつ、今年度中に改めて支給の可否を審査するとの通知が届いている。都道府県単位だった審査手続きが全国で一元化された影響とみられるが、受給者の間には「症状は改善していないのに困る」と戸惑いが広がっている。
障害基礎年金は、20歳前から難病を抱える人や、国民年金加入者が障害を負った場合などに、年80万円程度を下限に支払われる。機構や関係者によると、通知を受け取ったのは1010人で、いずれも20歳前から障害がある成人という。
1010人は2017年、症状に応じ数年おきに必要な更新時期を迎え、医師の診断書を提出した。機構は同年12月~今年1月、「障害基礎年金を受給できる障害の程度にあると判断できなかった」との審査結果を通知。ただし17年度は支給を続け、18年度に改めて審査した上で「診断書の内容が同様なら支給停止になることもある」と示した。
1000人規模の支給打ち切りが過去にあったかどうか、機構は「データがない」と明らかにしていないが、経過措置を設ける通知を出したのは初めてという。厚生労働省幹部は「影響の大きさを考慮した激変緩和の意味もある。審査をし直した結果、継続が認められる可能性もある」と話す。
背景にあるのは審査手続きの変更だ。以前は都道府県ごとにあった機構の事務センターが認定業務を担当し、それぞれ地域の医師が診断書をもとに審査していた。しかし、不認定の割合に地域差があると問題視され、機構は17年4月に認定業務を東京の障害年金センターに集約。審査する医師も変わった結果、不認定の割合が増えたという。
機構の担当者は「審査業務の変更という特別な事情を考慮し、今回の診断書だけで障害の程度を判断するのは適切でないと考えた。対応は妥当だ」と説明する。【原田啓之】
【ことば】障害基礎年金
20歳前や国民年金の加入時などに病気やけがで障害を負った人に支給される年金。障害の程度によって1、2級に区分される。年間支給額は1級が約97万円、2級が約78万円で、子どもがいれば人数に応じた加算がある。受給者は2017年3月末時点で約184万人。初診時に会社勤めなどで厚生年金に入っていた人には、等級区分が異なる「障害厚生年金」が支給される。
打ち切りで病状悪化も 受給者「説明なく不安」
毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180529/k00/00m/040/170000c?inb=ys
2018年5月29日 06時32分(最終更新 5月29日 07時53分)
日本年金機構が障害者1000人余りへの障害基礎年金打ち切りを検討していることに対し、継続した治療が必要な当事者からは「納得できない」との声が上がる。収入減が健康状態をより悪化させる引き金にもなりかねない。
「症状が変わらないのに、なぜこんな通知が届くのか分からない」。難病の「1型糖尿病」を小学生の頃から患う大阪府在住の男性(36)は憤る。
1型糖尿病は主に免疫機能の異常により血糖値をコントロールするインスリンを体内で作れなくなる病気で、根本的な治療法はない。男性は7歳で発症し、インスリンの注射器を持参して通学。就職活動では、病気を理由に何社も採用を断られたという。今はパチンコ店でアルバイトをしているが、勤務中に目の前が暗くなってふらつくこともしばしばだ。
妻子を養いながらの月3万円の治療費負担は重く、年約100万円の障害基礎年金(2級)は大事な家計の支えだ。1月に日本年金機構から通知が届いてからは、支給打ち切りの不安にさいなまれる。「機構から十分な説明がなく納得できない。生活の実態を見て審査してほしい」
里見賢治・大阪府立大名誉教授(社会保障論)は、機構の打ち切り方針について「障害認定が適正かどうかは個々の基準に照らし判断されることで、一概に是非は言えない。ただ、手続きの変更という特殊事情が影響しているなら、機構は受給者により丁寧に説明すべきだ」と指摘する。【原田啓之】
障害年金問題で厚労相「検証する」
毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180529/k00/00e/040/224000c#cxrecs_s
2018年5月29日 10時24分(最終更新 5月29日 10時36分)
日本年金機構が障害基礎年金の受給者1000人余りに対し支給打ち切りを検討している問題について、加藤勝信厚生労働相は29日、閣議後の記者会見で「個々の事例ごとによく検討しながら対応を考えていきたい」と述べた。
加藤厚労相は、都道府県単位の審査手続きを一元化したため障害を認定する医師が変わったことが背景にあると説明。「今回発生した事案についてよく検証したい」と語った。【原田啓之】
写真は1933年3月。
レッスン「暴政について──20世紀に学ぶ20のレッスン」
レッスン2 インスティテューションをまもれ
2018.5.30 Anno Kazuki
インスティテューション[法令・制度・裁判所・公共施設・団体・教会・病院・学会など民主的な社会の品位を保つシステム]こそ、わたしたちが品位をまもるうえでたすけとなる。おなじように、インスティテューションもわたしたちのたすけを必要としている。支援を行動で示してインスティテューションを自分のものにしないかぎり、「わたしたちのインスティテューション」と呼んではならない。
インスティテューションは自らをまもらない。最初からまもられていないかぎり、インスティテューションはつぎつぎと倒れてゆく。だから、裁判所でも、新聞社・法律・労働組合でも、自分が大切だとおもうインスティテューションをひとつ選び、その味方になれ。...
*
インスティテューションはもっとも熾烈な攻撃に対してさえも自動的に自らをまもるとわたしたちはおもいがちだ。これは政府を組織し終えたヒットラーとナチスについて、ドイツのユダヤ人が犯した過ちとまったくおなじである。たとえば、1933年2月2日、ユダヤ人むけの主要紙が、信頼を置く相手をまちがえて、次の社説を掲載した。
──ヒットラー氏とかれの友人たちが長年追い求めてきた権力をついに手にしたいま、[ナチス新聞]で喧伝されてきた提案を実施するだろうという見解には同意できない。かれたちは憲法でまもられた権利をユダヤ人から決して奪わない。ユダヤ人をゲットーに封鎖することもない。ユダヤ人を嫉妬と暴虐の衝動にかられた暴徒の標的にさせることもない。
──かれたちがそうできないのはいくつもの重要な仕組みが権力をしばるからである。・・・そして、明らかに、かれたちはそのような道へすすみたいとはおもっていない。ヨーロッパの一大国として行動するとき、あらゆる状況によって、国民の善良な資質について倫理的な内省が促され、それ以前にあった悪しき姿勢へもどろうとはしなくなる。──
これが良識ある人びとの1933年における見解だった。いま良識ある人びともおなじ見解をもっている。これは[民主的制度などの]インスティテューションを通じて権力を獲得したものが、たとえそうすると宣言していたとしても、そのインスティテューションを改変し、あるいは破壊することなどできないと思い込むために陥る過ちだ。
革命家らはあらゆるインスティテューションを一気に破壊しようとすることもある。ロシアのボルシェビキらがこの方法を採用した。ときには、インスティテューションはその活力と機能を奪われて、形骸だけのものとなり、新秩序に抵抗するよりもむしろ擁護することもある。ナチスが「均一化」と呼んだものがこれだ。
ナチスが権力を強固なものにするのに1年もかからなかった。1933年の終りまでに、ドイツは一党が支配する国家となり、すべてのインスティテューションは屈服させられた。
同年11月、ドイツの指導部は議会選挙を(対立政党なしに)開き、(正しい答えが知られていた)国民投票を実施し、新秩序を確立してゆく。ドイツのユダヤ人のなかにはナチスの指導者らが望むように投票したものもいた。形だけでも忠誠を示せば、新システムに自分たちも結びつけられると期待したからである。むなしい期待だった。
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レッスン1「事前服従はしてはならない」を応用する 2018.5.29 Anno Kazuki 「暴政について──20世紀に学ぶ20のレッスン」
※ファシズムはさほど遠くない。いまがファシズムの前夜であるなら、まだ間に合う。ファシズムの朝がきて、先行服従が起きると、もう引き返せない。そう歴史がおしえてくれる。
「暴政について──20世紀に学ぶ20のレッスン」
レッスン1「事前服従はしてはならない」を応用する
そして、1938年の3月にオーストリアで起きたことは忖度と表現できるような生やさしいものではなかった。
ナチスと共謀するオーストリア国家社会主義者らが権力を奪い、街のいたるところに鍵十字の紋章が飾られた。通りではユダヤ人の男女が暴行を受けた。
ユダヤ人の家や商店が襲撃され、略奪された。どのデパートもユダヤ人の従業員をすべて解雇したうえで、「アーリア人化しました」と新聞広告を出した。そして、ユダヤ人に対する暴行と侮辱が日常的にくりかえされるようになる。
アイヒマンがウィーンに設けたユダヤ人移民中央事務局はユダヤ人を国外へ追放する部局であり、生きて国を出られる代償は全財産の没収だった。しかも、法外な為替レートで外貨を買うように強制し、残された現金も奪った。つまり、ユダヤ人の追放から経済的利益を得る仕組みだった。これが虐殺収容所へとつづく。強制収容所は奴隷労働を求める企業がなければ成り立たない。
この国では、少数派や異国人や障碍者に対する集団的な襲撃や略奪はまだ起きていない。だが、鶴橋や新大久保で在日コリアンに対するヘイトデモがあり、女子中学生が「大虐殺しますよ」と脅迫したことならある。障碍者が無差別に大量虐殺されたこともある。
ファシズムはさほど遠くない。いまがファシズムの前夜であるなら、まだ間に合う。ファシズムの朝がきて、先行服従が起きると、もう引き返せない。そう歴史がおしえてくれる。
事前服従はしてはならない。ティモシー・スナイダー教授は第一のレッスンがもっとも大切だという。これが守られなければ、他の19のレッスンは意味をなさないからだ。
事前服従をしないために、わたしたちには日日できることがある。事前服従とは、新しい状況に、なにも熟慮しないまま、本能的に適応しようとすることだった。わたしたちはつねに新しい状況に出逢う。家庭で、地域社会で、職場で、学校で。熟慮して、行動しよう。新しい権威もあらわれる。盲従してはならない。熟慮して、判断しよう。権威に服従などしない。
自衛隊にも新しい状況ができているので、その状況に順応した幹部の三佐が国会議員を国会ちかくの路上で「国民の敵」とののしった。そのとき三佐はひとりだった。
つぎは30人の三佐が国会の前に立ち並ぶかもしれない。