おじいちゃんのメガネ(1)

2021-12-15 10:06:33 | 童話
僕は自転車で公園へ行った。
坂を登る時はハアハアと大変だったが、丘の上にある公園は見晴らしが良くて気持ちがいい。公園を3周したらかえろう。帰りは下り坂なのでラクチンだ。
そこへ、おじいちゃんが帰って来た。

『また、おじいちゃんのメガネで自転車ごっこをしているのかい? メガネのガラスは汚れるから、ガラスにさわったらダメだよ。』
『うん、ガラスじゃない所を持っているから大丈夫だよ。』
おじいちゃんは優しいので全部がダメだとは言わない。
『さっきね、自転車で丘の上の公園に行ってきたんだよ。』
『悠太君は、まだ三輪車も上手く乗れないから、自転車は来年買ってあげるね。』
『うん、まだ三輪車を押してもらっているから、自転車は来年でいいよ。』
明日、自転車で何処へ行こうか、と考えていると楽しくなる。

おじいちゃんの円いガラスのメガネ、おじいちゃんに借りた僕の自転車。
そうだ、明日は近くの小川に行こう。少し前にお兄ちゃんと一緒に行った小川だ。この小川は、水が僕のヒザの高さまでしかなく、ゆっくりと流れているから安全なんだとお兄ちゃんが言っていた。その小川にはフナやメダカがたくさんいて、僕の家でも水槽に入れて育てている。