山の上のロックの永~い旅(1)

2021-12-22 11:25:07 | 童話
僕の名前はロック、今お姉ちゃんや弟とお父さんとお母さんにくっついて、山の上に居る。ここは見晴らしが良くて気に入っている。
雪が溶け、チョウチョやミツバチがお花の蜜を探して飛び、小さな植物が実を付け、そして、次の年また雪が降る。この自然の繰り返しが心地よいのだ。雪の時はブルブルッと震え、春風にホンワカ、ホンワカ。雷にはビックリするけれど、夕立のシャワーは気持ちいい。秋になると小さな木の実が一杯で、動物たちは満腹満腹。

僕達兄弟は、お父さんお母さんにくっ付いて暮らしていたが、永い年月が経って、雨と雪で少しずつ隙間が広がってきた。
お父さんが、僕たち兄弟に
『いつでも自分で行動できるようにしていなさい。』
と言った。

しばらくして、兄弟の中で僕が一番に離れる事になった。雨が強くなってきたが、僕はみんなと離れるのがイヤで、しっかりとくっ付いていた。そして雨が止んで虹が出た。
『お兄ちゃん、虹が綺麗だね。』
『そうだね。』

その時、僕はふあっと身体が浮かんだ。そして、今度はドスンと何かにぶつかった。その後は目が回る位ゴロゴロと転がり始めた。うわっ、う~わっ、止らないよ。
大きな杉の木が
『お~いっ、どこまで行くんだい。』
『分かんないよ。』
大きな熊が
『駆けっこなら負けないよ。』
『今はダメだよ、今度ね。』
小さなウサギが飛び跳ねて
『危ないなぁ。』
『ゴメン、ゴメン、大丈夫かい?』

僕は回転するスビードが遅くなってきたのが分かった。その時、何にぶつかって止った。』
『ここはどこなんだろう?』
僕は周りを見渡した。
『森だ、森の中だ。』