武器はガチャ、そして(9)

2016-11-07 21:06:14 | SF小説
第八章 生活環境の中の脅威

そして、科学推進省が公式にテレビで現状を発表し、国民に注意を呼びかけた。

一、黒点はブラックホールであるが、極めて小さいので、今の時点では重大な危険性は無い。
二、巨大化させないために、ブラックホールに近づかない事。
三、いかなる物質をもブラックホールに近づけない事。
四、黒点を発見した場合には、警察や市役所または県庁へ連絡するように。」
とした内容であった。

 しばらく収まっていた磁気嵐がまた活発になってきて、前にも増して黒点の目撃情報が科学推進省に多く寄せられるようになった。
警察から、市役所から、消防署から、学校から、公園の来園者から。
「今、家の庭から空の方へ黒いものが浮かんで行きました。」
「花園市花園町の駅前交番ですが、黒いものがフアフアと浮かんでいて、多くの人が心配そうに見ています。」
「うちの学校の生徒が、学校の正門の前で黒いものが浮かんでいるのを見たと言っています。」
「今、公園に居るのですが、黒いものがフアフアと浮かんでいます。いいえ、手の届くところよりずっと上の方です。」
などの情報が寄せられたが、殆どの黒点は目撃しても風に流されて見失っていた。

テレビで公式発表して国民に注意を呼びかけた後、直ちに科学推進省と自衛隊による捕獲プロジェクトが始動し、黒い浮遊物の情報を得て全国へ捕獲に出向いて行った。捕獲方法としては現時点で考えられる最良の方法として、ガチャの容器が採用されていた。
そして、ブラックホールの探査を開始してから全国で100を越える黒点がガチャの容器に納められて、科学推進省の厳重な地下倉庫に集められ、頑丈なステンレス容器に保管されていった。