武器はガチャ、そして(19)

2016-11-17 21:28:54 | SF小説
国連総会では、小惑星でブラックホールを保管することが承認されて計画が進行している時に、地球からあまり遠くない場所に在ると想定されているブラックホールに対する脅威が、科学推進省内部で議論されていた。

「本当にブラックホールなのか?」
「宇宙の一点に暗黒の部分があり、その先の方角からの光が重力レンズの影響で歪んで見えるのです。」
「なるほど、そうすると可能性は大だな。」
「残念ながら、ほぼ間違いがありません。」

「太陽系は呑み込まれてしまうのか?」
「最終的な可能性はありますが、それまではとてつもない時間が経過した後です。」
「そのブラックホールを消滅させる方法は無いのか?」
「今の技術では宇宙に存在するブラックホールを消滅させることはできません。」
「それでは、近づいて来ている軌道を変えることはできないのか?」
「小さな小惑星ですとロケットを衝突させる方法がありますし、大きな小惑星ですと、別な小惑星の軌道を変更させて衝突させる方法も考えられます。しかし、ブラックホールは衝突しないで呑み込んでしまいますので、作用‐反作用を応用することができないのです。」
「核兵器で消滅させることはできないのか?」
「爆発の威力の大小は影響しないと思われます。ただ、核爆発の高温がどう影響するのか想定できませんが、核物質による汚染の問題は深刻なので、安全性が確保できません。ですから、人類の最終手段以外は使用すべきではありません。」
「小さくなって自然消滅はしないのか?」
「自然消滅することは有り得ません。」
「今の技術力では消滅させることも、軌道を変えることもできないのです。」
「今の大きさでは太陽系全体が呑み込まれてしまうことはないと思われるが、月は呑み込まれてしまう可能性はあると思われます。」