武器はガチャ、そして(18)

2016-11-16 08:28:46 | SF小説
第十五章 ブラックホールの存在

ハワイにある国立天文台のすばる望遠鏡が、地球からかなり近い所に小さなブラックホールが存在している可能性の現象を観測した。

ブラックホールは巨大な重力により光をも呑み込んでしまうので直接観測はできないが、強力な重力によって呑み込まれる物質が高速回転し、非常に高温になった物質からエックス線やガンマ線を放出されるので、そのエックス線などを調べてブラックホールであると結論付けたのであった。

また、宇宙の暗黒の部分を通過してくる光がブラックホール特有の強力な重力レンズの影響を受けて歪められていることでも、その暗黒の部分にブラックホールが存在することに確証を得ていた、

しかし、この現象が地球に対してどのような影響が生じるのかは、現時点では予測すらできないので 科学推進省は一般国民の不安をあおるので省内の情報にとどめ、観測データに基づき関係者による協議を続けた。

『果たして地球はそのブラックホールに呑み込まれる可能性はあるのだろうか?』
『また、それを回避できる方法は無いのか?』
等が議論されたが推測の域を越えなかった。
しかし、ブラックホールは小惑星やガスを吸い込みながら確実に大きくなっているのは観測データからゆるぎないものとなっていた。

国立天文台によると、宇宙に存在する銀河の多くは、その中心に太陽の数百万倍から数十億倍というとてつもない重さを持った巨大ブラックホールを持つと考えられていて、私たちの住んでいる天の川銀河の中心にも、太陽の四百万倍の重さを持った巨大ブラックホールがあることが知られており、近年観測された最大としては、アルマ望遠鏡によるブラックホールの精密体重測定により、棒渦巻銀河NGC1097の中心にある超巨大ブラックホールの質量が、太陽の一億四千万倍であることが明らかになった。

 また、天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールには、電波で明るい「いて座A*【いて座エースター】」という天体が付随しており、いて座A*からは数億度から数十億度という非常に高温のプラズマガスからの光だと考えられているが、その正体はいまだはっきりとは分かっていない。

例えば、ブラックホールに今まさに落下しているプラズマガスの降着流を見ているのか、それともブラックホール付近から噴出したプラズマガスのジェットなのかなど、基本的なことが分かっていないのである。

 今まさに地球に接近しているブラックホールが現実に存在しているが、あまりにもその実態がわからないので対処の仕方が見いだせないでいた。

そして、現在確立されているブラックホールの消滅技術は、個別に管理されているブラックホールを交互に逆回転させて衝突させ、その反動により消滅させるのであるが、我々のコントロール外の宇宙に存在しているブラックホールは回転させることはできないのである。
ブラックホールの消滅実験で使用した位相を180度反転させて衝突させる方式は不可能であり、早急に他の方式を確立することが急務となった。