第十九章 永遠の研究テーマと回想
再び、太陽の活動が活発となり、地球上では厳戒態勢で黒点の捕獲の準備が整えられた。
しかし、今回はフレアの規模は小さくて、黒点は地球に到達せず厳戒態勢は解除されたが、常に対応ができるように、国立天文台太陽観測所の太陽フレア望遠鏡で太陽観測が続けられている。
そして、十一年周期で太陽活動が活発化する備えとして、より効率でより安全な消滅方法の研究が継続されている。
しかし、太陽系の中心に存在しているとされている巨大なブラックホールの脅威には対処できる技術は確立されていない。
それは宇宙の大きさと人間の大きさとの関係であり、人間は地球上では霊長類として君臨しているが、宇宙の年齢に比べて、人間の存在年齢はほんのわずかな所以である。
火山の噴火や地震の発生に至る時間は、人間の生活している時間とはスケールが桁違いなので、宇宙空間に存在するブラックホールには対応できない。
太陽系で発生して地球上に到達した新たな黒点が発見されれば、運搬用のロケットで小惑星に設置された黒点の永久保管場所に運ばれることになっている。
しかし、その対応は地球上に到達したブラックホールに限られていて、広い宇宙のどこかでブラックホールが発見されても人間の力は及ばない。
それが宇宙であり、ハワイ観測所のすばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡で観測できる世界である。
そして、直之は大学院の理学部天文学科へ進み、宇宙の神秘を解き明かす研究をしている。
これは、今は亡き父の新二郎によるところが大きいのであった。
父の新二郎と渓谷へルアーフィッシングに来ている時に
「ねえお父さん、ここだと空気が綺麗だから星がはっきり見えるよね。」
「そうだね。うちで見るより綺麗に見えるだろうね。」
「今度、望遠鏡を持ってきて泊まろうよ。」
「テントを買わないといけないね。」
「お父さん、昨日の夜は土星の輪が少し見えていたよ。」
「うちの望遠鏡もハワイ観測所のすばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡みたいだと、もっともっと遠くの星が見えるんだけれどね。」
「お父さん、うちも八十ミリの望遠鏡よりもっと大きい反射望遠鏡にしようよ。」
「直ぐには買えないけれど、もっと口径の大きい百五十ミリくらいの反射望遠鏡が欲しいね。」
「そうだね、お父さん買ってよ。」
「お小遣いを貯めて来年買おうか。」
「うん、僕もお小遣い貯めるようにするよ。」
「そうだね、もっと大きい望遠鏡が買えるまで家にある望遠鏡を使って今夜も星を眺めようか。」
「うん、そうしようよ、お父さん。」
「昼間はルアーフィッシングをやって、夜は星を見るなんて、最高の一日だね。」
と会話していたことが今も思い出される。
再び、太陽の活動が活発となり、地球上では厳戒態勢で黒点の捕獲の準備が整えられた。
しかし、今回はフレアの規模は小さくて、黒点は地球に到達せず厳戒態勢は解除されたが、常に対応ができるように、国立天文台太陽観測所の太陽フレア望遠鏡で太陽観測が続けられている。
そして、十一年周期で太陽活動が活発化する備えとして、より効率でより安全な消滅方法の研究が継続されている。
しかし、太陽系の中心に存在しているとされている巨大なブラックホールの脅威には対処できる技術は確立されていない。
それは宇宙の大きさと人間の大きさとの関係であり、人間は地球上では霊長類として君臨しているが、宇宙の年齢に比べて、人間の存在年齢はほんのわずかな所以である。
火山の噴火や地震の発生に至る時間は、人間の生活している時間とはスケールが桁違いなので、宇宙空間に存在するブラックホールには対応できない。
太陽系で発生して地球上に到達した新たな黒点が発見されれば、運搬用のロケットで小惑星に設置された黒点の永久保管場所に運ばれることになっている。
しかし、その対応は地球上に到達したブラックホールに限られていて、広い宇宙のどこかでブラックホールが発見されても人間の力は及ばない。
それが宇宙であり、ハワイ観測所のすばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡で観測できる世界である。
そして、直之は大学院の理学部天文学科へ進み、宇宙の神秘を解き明かす研究をしている。
これは、今は亡き父の新二郎によるところが大きいのであった。
父の新二郎と渓谷へルアーフィッシングに来ている時に
「ねえお父さん、ここだと空気が綺麗だから星がはっきり見えるよね。」
「そうだね。うちで見るより綺麗に見えるだろうね。」
「今度、望遠鏡を持ってきて泊まろうよ。」
「テントを買わないといけないね。」
「お父さん、昨日の夜は土星の輪が少し見えていたよ。」
「うちの望遠鏡もハワイ観測所のすばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡みたいだと、もっともっと遠くの星が見えるんだけれどね。」
「お父さん、うちも八十ミリの望遠鏡よりもっと大きい反射望遠鏡にしようよ。」
「直ぐには買えないけれど、もっと口径の大きい百五十ミリくらいの反射望遠鏡が欲しいね。」
「そうだね、お父さん買ってよ。」
「お小遣いを貯めて来年買おうか。」
「うん、僕もお小遣い貯めるようにするよ。」
「そうだね、もっと大きい望遠鏡が買えるまで家にある望遠鏡を使って今夜も星を眺めようか。」
「うん、そうしようよ、お父さん。」
「昼間はルアーフィッシングをやって、夜は星を見るなんて、最高の一日だね。」
と会話していたことが今も思い出される。