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爛漫日記

インターネット古書店 独楽知の、春爛漫ではなくて、秋爛漫?の日記です。

エベン・アレグザンダー『プルーフ・オブ・ヘヴン』

2014-04-08 13:39:53 | 私の本
やはり新聞の書評を読んで買った本だけど、とても興味深い内容だった。

この本は、(訳者あとがき)に書かれているように<急性の細菌性髄膜炎で七日間昏睡に陥り、大脳新皮質が機能していなかった間に脳から独立した意識がきわめて深い体験をし、死後の世界が存在する科学的根拠を得たという話>である。

<著者の言葉によれば、臨死体験をすることによってわかったのは、「意識こそが、存在のすべてにかかわる唯一の実体」であり、「(中略)物質世界とその時空は巧みに組み立てられた幻想であって、そのおおもとにあるものは、神聖なひとつの意識である。意識は脳の活動に伴う現象ではない。物質世界とそこで見えているものの上位にあり、外から物質世界を支える、それよりはるかに豊かなもの」だった。(訳者あとがき)>


エベン・アレグザンダー氏の証言はとても魅力的で、信じられると感じて、嬉しかった。

バッキー井上『人生、行きがかりじょう』

2014-01-19 22:39:01 | 私の本
新聞の書評欄に惹かれて、買って読んだ本。
一気に読み終わって面白かった。

ミシマ社が創刊する「シリーズ22世紀を生きる」第一弾だそうです。
<本書は、バッキー氏の破天荒な人生を、本人の口調そのまま語りおろした”規格外”のエッセイ集>


「行きがかりじょう」という表現の説明がかっこいい。

<(前略)木村英輝師匠も立川談志師匠も「成りゆき」と表現したが俺は、行きがかりじょう、となる。
 言い訳でも無責任でもない。
 自分が選択をして、現れるものと向き合い、すべてポジティブに反応する。
 行きがかりじょうとは、シアワセになるための基本的な心構えであり、優れた戦法なんです。>


すごくいい感覚の持ち主ですね。
読みながら何回も笑って、「いいね!」ボタンを押したくなった。


最後の方に書いてあったところ。

<俺自身が不要なものかと考えてしまうから、「不要なものが大事なんだよ」ということを、いろんな人に言ってしまうんやね、たぶん。要らんもんを切り捨てていったら、あかんしね。大事やと思うんやけどな。だから負けられない。>

茨木のり子詩集

2013-07-10 13:55:35 | 私の本
茨木のり子さんの詩は好きで何冊か持っているけど、神田の古本市でふと手に入れた詩集『食卓に珈琲の匂い流れ』の中で見つけた、私のちょっと気に入ってる茨木のり子さんの詩を一つ載せますね。


      あいつ

   <あいつの言葉は腐っている!>
   人ごみのなかで、通りすがりに
   吐き出すような台詞が耳朶を打った
   あいつとは どいつなのか 知らないが
   私はただちに了解した その内容もわからずに
   <そう あいつの言葉は腐っている>

   なぜなら日々
   腐った言葉に首まで漬かり
   憤懣やるかたないのだから
   自分の言葉にすらそれを感じ
   身ぶるいすることがあるのだから
   あいつが どいつでも おんなじだ



茨木のり子さんの「私はただちに了解した その内容もわからずに <そう あいつの言葉は腐っている>」というところがいいですね~。








西原理恵子『いきのびる魔法』

2013-03-19 21:30:23 | 私の本

 「生きのびて下さい。
  逃げて下さい。」

 「学校はいじめられてつらい思いをして行くようなところじゃない。」

 「長い夏休みだと思って欠席して下さい。
  そして16歳まで生き延びて。」
 

 
私も逃げるのに賛成です。
逃げて、逃げて、どんどん逃げてるうちに、なんとなくたくましくなってくると思うから。

片山洋次郎『ユルかしこい身体になる』

2012-10-16 15:21:37 | 私の本
タイトルに惹かれて買った、整体師さんが書いた本。

「身体には骨盤の開閉運動がつかさどるリズムが備わっている。」

「身体のリズムを感じながら生きるということは、生きることのリアリティを回復するということだ。」

30年間整体の現場で実際に身体に触れながら、様々な身体が語っていることを「翻訳」してまとめた本です。

私も月に1回1時間の整体に通っているので、とても興味深く読んで、いろいろ納得した本でした。
身体が語っていることに耳を傾けるのは、いいことだと思う。


頭木弘樹『絶望名人 カフカの人生論』

2012-06-12 11:02:26 | 私の本
夜の11時過ぎに何げなくテレビをつけたら、カフカの『変身』の話をしていた。
『変身』は、若い頃読んだことがあるけど、虫に変身した主人公の姿を想像すると拒絶反応が起きてしまって、理解不能のままの有名な小説という印象の本でした。

ところが、そこに出席しているカフカの翻訳者は、若い頃この『変身』を読んで救われたと話していた。
朝起きたら虫に変身してしまって、家族や周囲の人たちから驚かれている姿にすごく感情移入できて、こういう小説こそ求めていたのだと言っていた。
思わず座り込んでテレビを見てしまった。

カフカの発言は、すべておそろしくネガティブだそうです。
でも、徹底的にネガティブなカフカの言葉を読んでいるうちに、頭木弘樹さんは元気を取り戻してきたので、カフカは絶望の名人だと思って、この本を書いたそうです。

早速ネット注文して届いた本は、おもしろかった。
『変身』も読み直してみようっと。


内田樹『呪いの時代』

2011-12-20 16:38:57 | 私の本
久しぶりに入った本屋で手にした内田樹の最新本。
一気にに読んでしまって、とてもおもしろかった。

武道家なんですね~。
身体で考える感じがいいですね。

いろいろな繋がりを「ご縁」と考えるのも同感です。
私も「ご縁がある」「ご縁がなくなった」と考えると、なんとなく納得してしまうのです。




カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

2011-06-05 21:13:46 | 私の本
この本の印象を、柴田元幸氏はこの文庫本の最後の解説の中でこう表現している。

<『わたしを離さないで』は、いわばカズオ・イシグロ自身の頭のなかで醸造させた奇怪な妄想をとことん膨らませ、持ち前の緻密な書きぶりを駆使して強引かつ精緻に最後まで書き切ったかのような迫力がある。>


私も読み出してすぐに、キャシー・Hが語るこの不思議な物語に引き込まれてしまった。
読み終わった時に少し泣いて、今も頭の中には様々な映像が浮かんでいる。
イギリスのなだらかな丘陵地帯や、キャシーたちがドライブして出かけた海辺の町などを想像している。

映画化されて公開されたようだが、見逃してしまった。
文庫本の帯に、映画の中のキャシーとルースとトミーがいるけど、私の思い描いているイメージに近い姿をしている。
ぜひ、映画も見てみたい。


中井久夫『世に棲む患者』

2011-05-25 10:13:26 | 私の本
本屋さんで何げなく見つけた本。
中井久夫氏の本だし、タイトルにも惹かれて、文庫なので東京からの帰りの新幹線で読もうと思って買ってみた。
そうしたら、とても興味深くおもしろい本でした。

中井久夫氏の後輩の医者の岩井圭司氏の解説によると、ここに収められているのは、中井久夫氏が1980年代に執筆された文章だそうです。

<21世紀に本書を手にする読者諸氏におかれては、ぜひご自分の目で、中井久夫の未来予測を検証していただきたいと思います。>

<その意味で本書に収められた文章は、私にとっては「懐かしい年」からの手紙です。そして、今回久々に再読してみて、中井先生の文章は、”手紙の隅のインクのしみにいたるまで”まったく色褪せていないものであることに、今さらながら驚いているような次第です。>



精神科医である中井久夫氏の書かれていることは、どれもとても示唆とヒントに富んでいて、何回も読み返したい文章の数々でした。
下記に本文から2ヶ所ほど引用させていただきました。


<精神科医は「治療者」という言葉で呼ばれるけれども、実は、一種の触媒に過ぎず、よい反応もよくない反応もその上で起こるであろうが、触媒自体は、反応について多くを知ることはできず、また、その必要もないどころか、触媒の分際で局面のすべてを知ろうとすれば、反応自体が失われるだろう。つまり、「いまここ」で起こっている、より大きな事態、より大きな文脈の中の一部である。>


<治療を含め、一般に人間関係は、行き詰まりにならぬように、修復ができる範囲に留まるようにと「石を打って」ゆくのが基本である。「非常に目ざましいことが起こるが決裂の可能性もはらんでいる」というアプローチをとらないことを勧めたい。>



内澤旬子『身体のいいなり』

2011-04-09 22:17:27 | 私の本

この本は、今年43歳になった内澤旬子さんが、38歳の時に乳癌に罹患したことがきっかけで身体と心に起こった様々な変化を、独特の乾いた感性で書いた、とてもおもしろい本でした。


<はじめに>から抜粋。

 まさか四十過ぎの老いの入り口に、しかも全身麻酔の手術を何度も受けている間にこんな大転換があるとは思いもせず、一体自分の身体に何が起きたのかと大いにとまどってもいるのだ。
 同年代の友人たちが体調の悪化や老化を憂いているときに、なんか癌なのに元気になっちゃったんだよ、と大騒ぎしていてちょっと申し訳ない気すらするのだが、これまでの暗黒の身体状態に比べれば、顔に皺の一つや二つ増えるくらいの表面劣化なぞ、さほど気にならないというだけのことにすぎない。
 というような病気とともに変化していった身体と心の一切合切を、行きつ戻りつ遡り思い出しつつ、これから書き綴ることとなります。