爛漫日記

インターネット古書店 独楽知の、春爛漫ではなくて、秋爛漫?の日記です。

浜田晋『老いを生きる意味』

2008-07-26 15:54:29 | 新着本
1990年、町医者的精神科医の浜田晋氏が「老い」と「心の病」について率直に書かれた、とても魅力的な本。

最後に書かれた「呆け老人」へあてた手紙形式の文が素敵なので、下記に抜粋いたしました。


<豊かな社会の中の老いとは>から抜粋。

  でもあなた!
  まだ死なないでください。
  ただ生きていてください。
  「生きる意味は?」と「あなた」に問う人がいるかもしれませんがー「あなた」 はもう「意味」を超えたところに生きているのです。
  「普通の人」「健康な人」はただ生きることがむずかしい人たちです。
  「あなた」ならできます。「普通の人」ができなくて「あなた」にできる。一寸愉快ですね。それは「豊かな国日本」のあり方に対する最高の警告ー挑戦なのかもしれません。
  「あなた」はもしかしたら豊かさにうかれているこの国の人々の「救い主」かも しれません。だからしっかり立っていて下さい。
  「あなた」の「存在」自体が、何かへの「怒り」です。
  「美しく老いる」なんてくそくらえ!
  この「志しを忘れた国日本」の、生き証人として、「あなた」は何もせず、ただ 生き続ければよいのです。
  それがすべてです。
  私もやがて「あなた」の後を追います。
                         浜田晋
 見知らぬ「あなた」へ



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佐野洋子『役にたたない日々』

2008-07-22 22:26:56 | 私の本
佐野洋子さんの最新エッセイ集。

佐野洋子の文は、短く歯切れがいい。
書いてある内容は、私的な日記をそのまま載せた感じで、引き込まれて読んでしまう。

誰でも日記の中では思いついた事を自由に書く。
だから、なんだか日記を盗み読みしてるみたいな気分で、どきどきする。

「小説トリッパー」に掲載された、2003年秋から2008年冬までの佐野洋子さんの本音。
2008年冬の佐野洋子さんは、ガンが再発してあと1年くらいで死ぬそうです。


<2008年冬から抜粋>
 私は今、何の義務もない。子供は育ち上がり、母も二年前に死んだ。どうしてもやりたい仕事があって死にきれないと思う程、私は仕事が好きではない。二年と云われたら十数年私を苦しめたウツ病がほとんど消えた。人間は神秘だ。
 人生が急に充実して来た。毎日がとても楽しくて仕方がない。死ぬとわかるのは、自由の獲得と同じだと思う。



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