韓国では侵略者のシンボル伊藤博文を殺害した独立運動家安重根を英雄として扱わ
れ義士と呼ばれている。以前、韓国に行った時、ソウルタワーの登り口付近にある『安
重根記念館』を見学に行こうと思っていたが、時間がなくて行くことを断念したことがあ
る。そして次の訪韓時、ガイドさんに安重根記念館のことを話したら、ソウルタワー近く
の公園だったと思うが、大きな銅像や彼の行動を讃える石碑が飾られている公園のよう
な場所を案内してくれた。その場所は綺麗に整備され、清掃も行き届き、英雄とされる
人の聖地のようだった。
私はこの時代の韓国人の心理に同情できる。昔から侵略により民族尊厳も何もかも踏
みにじられてきた、それに一矢を報いたいのは誰でもそうだろう。良い悪い論だけで割
り切れる問題ではないが、日本人は伊藤博文を殺害した殺人者として見ており、大方
の人は安重根のことを知らないと思う。しかし韓国では日本と全く逆の状況になってい
る。日本はこの時代の歴史をどの程度教育しているか些か疑問に思う反面、韓国は政
治家などの発言に対して神経質過ぎて過剰反応の傾向にあり、両者の間を溶かせな
い温度差を作り続けている。
日韓の間でこうしたすれ違いは今後も起こるであろう。要は程度の問題で、韓国の人が
現在持っている神経質な度合いが変化しなければ、一人の政治家がヘイトスピーチし
ただけで再び韓国で大きな反日になる可能性は消えない。今は、たったそれだけでも
壊れそうな信頼関係でしかないが、信頼の醸成努力を惜しんではいけないと思う。
双方の政治家が問題発言したとしても『馬鹿な政治家の戯言』と聞き流す度量を、お互
いの国民が持てることを願っている。
*** 韓国編終わり ***