政府4演説に対する代表質問が参議院で始まりました。衆議院では、自民公共維の5会派が一巡して終わりました。
【参議院本会議 平成29年2017年1月24日(火)】
国務大臣の演説に関する件第2日があり、代表質問が始まりました。
●参議院自民党、与党内野党宣言
昨夏、議長に就任した伊達忠一さんをひきついで、参議院自民党幹事長に就任した吉田博美さんが登壇。昨秋の代表質問登壇者は、橋本聖子会長でした。
28年ぶりに自民党が衆参単独過半数を得て、カーボンコピー化が予想される参議院で、吉田幹事長は「私は安倍内閣の4年以上、参議院国対委員長など党役員をつとめたが、安倍総理(総裁)から上意下達の命令を受けたことは無い」と、そりゃそうだろうという事実をもとに、「強権的な指導者というイメージはメディアがつくりあげたものだ」と語りました。ただ、上意下達の命令を受けた唯一の例として、平和安保法制(戦争法)の議論時に、「デモ隊から1人でも死傷者を出してはいけない」との指示を受けたことを明かしました。おそらく2015年9月16日かその前の指示とみられ、貴重な証言といえます。
吉田さんは「総理がおそれるのは裸の王様になることだ。これからも苦言を呈していく」と与党内野党宣言をしました。
吉田さんは「参議院自民党は初めての女性会長、公明党は7年以上参議院議員の代表、野党第一党も女性の代表」と参議院議員の存在感を強調。「建設的な提案で、政権交代可能な野党になってほしい」とし、昨年末の臨時国会でIRカジノ法共同修正で共闘した参議院民進党にエールを送りました。
安倍首相(総裁)は答弁の冒頭「示唆に富んだご質問をいただいた」と配慮を示しました。
●参議院民進党は蓮舫代表が秋に続きトップバッター
これに先立ち、参議院民進党が代表質問。秋に続き、蓮舫代表がトップバッター。「アベノミクスの対案は、教育、教育、教育だ」と語りました。ただ、教育はサービスであり、目に見えないモノ、後に残らないモノです。公的社会資本形成にはつながらないので、経済政策ではなく、財政政策というべき性質のものだと私は認識しています。どんなに優秀な人材がいても機械が無ければ、経済は回りません。
【衆議院本会議】
カナダ上下両院の議員団が傍聴しました。
公共維の3会派が登壇し、合計5会派6名が一巡して代表質問を終えました。
●衆議院公明党は働き方改革で首相と呼応、首相左にウィングを広げる
衆議院公明党はいつもどおり、井上義久幹事長。「就職氷河期に就職活動に失敗した高学歴ニートの活用が必要だ」と、経済政策の面から資格取得などの補助を要請。東北ブロック選出だけに、「福島イノベーションコースト構想を法案に盛り込んだ、福島復興再生特別措置法改正案は法案の成立を心からお願いします」と議員に向けて語りかけました。首相は「インターバル規制を導入する中小企業の助成金を出す。もはや先送りはしない。就職氷河期の不本意非正規雇用者には資格取得の施策を講じる」と答弁し、左にウイングを広げました。
●衆議院共産党は平和、格差、憲法をつらぬく
志位和夫委員長は、戦争法に関係して、先日、国連決議に反対したのは、南スーダンの情勢悪化を認めた内容があるからではないかと指摘しました。この後、過労死、中間層から下層へ落ちていく格差の問題、そして、憲法を取り上げました。この平和→格差→憲法は長年の共産党の持ち味。現代史において、共産党が変わったのではなく、自民党が変わったことを実感させました。
●衆議院日本維新の会は憲法改正の手順で首相と呼応
馬場伸幸幹事長が質問。まず、参院選の公約のほとんどを101本の法案にして臨時国会で参議院に提出したと語りました。なお、101本とも継続調査の手続きなしに廃案となりました(関連エントリー日本維新の会、法案101本が審議未了廃案、参議院史上最多、民進党は49本中48本が継続審査に、様々な立場から維新に対して「参議院法制局は過労死寸前」など非難轟々)。
馬場さんは「野党を野党らしくする責任野党をめざす」という独特な立ち位置を宣言しました。
馬場さんは、憲法改正について、維新が「教育の無償化」を入れる案を検討していることについて、安倍首相は評価してくれた」とし「各党は具体的な憲法改正案を問いかけるべきだ」としました。この後、「(1)各党が改憲案を示して衆議院解散総選挙をたたかう(2)国会で濃密な議論をする(3)発議し、国民投票をするーー」という、「憲法改正解散」を呼びかけました。自維がどのくらい腹合わせをしていたか気になるところでしたが、答弁で安倍首相は解散を考えていないと強調しました。ただ、安倍首相は馬場さんに対して「まず、維新の会が憲法改正の議論をしていることに敬意を表する」とし、「国会の憲法審査会で議論し、具体的な案ができることをのぞむ」と発言しました。今国会にも改憲発議というおとといからの日程感についてが否定しきれない状況となりつつあります。
衆議院での代表質問は終わりました。補正と本予算一体の代表質問だったので、2月の補正採決・成立後は、本会議無しに、予算委員会となるはこびです。
【参議院決算委員会】
国政調査(国家財政の経理の件と国有財産の管理の件)と委員派遣が認められました。
例年通り、前半国会で視察するのだと思います。
【衆議院議院運営委員会】
【参議院議院運営委員会】
安倍首相の「プラカード」発言や、議運常連である自民党現職について、自民党福井県連会長が逮捕歴があるので2区の公認申請を辞退するよう主張している事案も含めて、理事会では早くも前哨戦が始まっているようです。
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