(投稿は1日付で、それから31日付にバックデートしました)
[写真]厚生労働省、2015年、筆者・宮崎信行撮影。
「雇用保険法改正案」(193閣法3号)を、政府は、国会に、平成29年2017年1月31日(火)提出しました。
●失業給付の日数を大幅延長、4月1日施行
解雇・倒産による離職者がハローワークに行ったら、44歳から35歳は現行の90日間から150日間、34歳から30歳が現行の90日間から120日間への延ばす内容。
平成29年2017年4月1日(土)施行。
労働特会(雇用保険勘定と労災勘定)は7・5兆円くらいの現金があり、これは、20年前に振り返っても、そのくらいあったようです。このことを指摘したところ、ある政党が、このお金を切り崩して、臨時の財政出動に充てろという、狂った提言をしていました。税金ではなく、保険料であるので、昨年のように保険料を値下げしたり、今年のように給付を値上げするのが当然のことです。20年前を見ると「事業団」への出資金がありましたが、こういうところも整理されていますので、ぜひ労働局職員はがんばってほしいところです。これからも期待します。
●失業者の能力の開発向上など職業訓練に加えて、「労働生産性の向上に資する」の一文を挿入、これはなんの意味か?
一つ気になる点は、雇用保険法第64条で、能力の開発向上など職業訓練の講座に使えるとの規定に「労働生産性の向上に資する」との規定を挿入する改正条文も入っていることです。
これが何を意味するのか。労働生産性の向上とは、産業革命以降、工場をロボットに置き換えることを意味しています。誤解されていますが、残業を減らす働き方改革はまったく関係ない話です。
ところで、投稿日(2017年2月1日)付の日経新聞1面=下の写真=は、ミシガン州のGMゼネラル・モーターズの未来工場には黄色いロボットファナックを入れてラインを組んでいることが紹介されました。「未来や世界(米国)はけっこう身近にあるんだな」と感じました。
「労働生産性向上に資する雇用保険」とはなんなのか。雇用の維持なのか、雇用の整理なのか。理念法的な条項であって、そこまで意図していないでしょうが、気になるところです。今週の新聞では、安倍自民党官邸の一員である、構造改革学者は、転職活動のための休職時の給料を、会社からではなく労働特会から出せないか、という趣旨の提言をしていました。
●育児休業法を改正して、保育所に入れない時だけ、2年間
法案はこのほか、育児休業法を改正して、「原則1歳までである育児休業を6カ月延長しても保育所に入れない場合等に限り、さらに6か月の延長を可能とする」条項を盛り込みます。この条項はことし10月1日(日)施行。
●職業安定法を改正して、ブラック求人を官民で門前払い
職業安定法を改正して、ブラック求人を、ハローワーク及び民間紹介業者が門前払いにする改正案も盛り込まれました。2017年4月1日から2020年3月頃にかけて、順次施行。
この記事の本文は以上です。
(C)2017 宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki
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