法務省が、「刑法(明治40年法律45号)」を改正して、懲役刑と禁固刑を廃止して、「拘禁刑」を新設したい意向を持っていることが分かりました。
2018年1月召集予定の通常国会以降に提出するかもしれません。2018年は元号では平成30年となります(天皇譲位で新元号の可能性も)。
このブログを書いている当日である、2017年1月1日付の読売新聞が1面で報じました。
読売記事によると、再犯防止のための教育的処遇を可能にするため、刑務作業の時間を減らして、矯正プログラムの時間を増やしたい考え。このため、100年以上変わっていない「懲役刑」を廃止し、「禁固刑」も廃止して、例えば、「拘禁刑」というような名称の計に一本化したいという方針のようです。来月、法制審議会に諮問する予定。
元日付の新聞は、前日の発生事象が少ないにもかかわらず記念になるため、記者が前年のうちに張り切って原稿を用意する傾向があります。中には「初夢原稿」などと呼ばれて、実現しないこともあります。ただ、法務省の刑事局や矯正局などに、このような考え方が存在することは間違いないでしょう。
私も正月早々、刑法の教科書をひもとくことになろうとは思っていませんでしたが、刑は大きく3つに分類されます。
まず、「生命刑」。すなわち死刑。
次に「自由刑」。これは、懲役、禁固があります。軽微な犯罪には短期自由刑の「拘留」もあります。
そして「財産刑」。罰金と科料です。財産刑とも付加刑とも呼べるものに、没収もあります。これが刑法の定める「刑」です。(山口厚著「刑法」参照)。
刑法改正をめぐる法務省内のプロセスでは、他の動きもあります。松島みどり自民党衆議院議員の2004年衆議院法務委員会決議や大臣就任記者会見をきっかとした「強姦罪と強盗罪の刑期の比較衡量」の勉強会が最終とりまとめをつくり、法相が法制審に諮問しました。
(当ブログ内の参照エントリー
強姦罪など性犯罪の罰則強化、非親告罪化など、刑法改正案は2016年秋以降提出へ 法相諮問
)
このため、仮にこの動きが一本化されれば、刑法の改正は大規模になる気配があります。
このブログを書いている2017年1月現在では、法務省が執筆して国会で未成立の法案には、民法債権編抜本改正案、商法抜本改正案、人事訴訟法改正案があります。さらに、法制審など法務省内部では、民法相続編改正案も審議中。これらが同時進行になっていますから、ちょっと法務省全体での国会対策を検討する必要があるのかもしれません。
この記事の本文は以上です。
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