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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

改正瀬戸内海環境保全特措法が平成27年法律78号 閣法成立率は88% 第189回通常国会

2015年10月02日 16時50分02秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年10月2日(金)公布法律】

 第189回通常国会(平成27年2015年1月26日から9月27日まで)の制定法律は78本となりました。

 改正瀬戸内海環境保全特措法が平成27年10月2日法律78号として公布され、直ちに施行。

 これで、先の通常国会で成立した法律はすべて公布されました。条約は相手国がありますので、まだ10本以上残っています。

 法律78号は、189参法22号として、瀬戸内海の面するたくさんの県の与野党議員がつくり、参議院の自公民維が提出。採決は共も含む全会一致で可決・成立しました。施行5年後の見直し規定が法律に盛り込まれています。

 昨年11月の衆議院解散で全法案が廃案となりましたが、12月の第47回衆院選にともなう特別国会に維新の党の江田憲司さんらが平成6年政治改革4法の改正法案を複数提出。それが閉会中審査となっていましたので、先の通常国会は、閣法が新規提出75本(うち1本は延長国会で提出)、議法(衆法と参法)が72本提出されました(内閣法制局ウェブサイト参照)。

 制定法律は、閣法が66法、議法が12法。よって閣法成立率は88%、議法成立率は17%。自が衆過半数、自公が参過半数、自公が衆3分の2を占め、会期が245日間で閣法成立率88%、本数も66本とはかなりの低水準です。

 これは「束ね法案」の問題もありますが、与党自民党が衆参とも安全運転で、複数の委員会で参考人質疑を複数回認めたことも大きいと考えられます。

 議法も16%は比較的高水準で、参維の安保7対案はすべて廃案になった中での16%ですから、議法国会ともいえます。参修正、衆回付で成立した法律も3本と高水準でした。熟議の国会で、野党も大健闘したといえます。

 ただいかんせん、安保関連法と改悪労働者派遣法が成立。この2法だけが後々語られる国会となるのは、ほとんど間違いないでしょう。

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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児童福祉司の国家資格化も検討 児童相談所を強化する児童福祉法改正案、2016年通常国会に提出へ

2015年10月02日 16時28分25秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 子どもの虐待死を防ぐために、児童相談所を強化する、児童福祉法改正案が、平成28年2016年の通常国会に提出されます。

 塩崎厚労相が前年の通常国会の一般質疑で、「検討する」と明言しました。塩崎厚労相は、児相は県によって能力差にばらつきがある、と与野党議員に対してハッキリと答弁。

 児童福祉司の国家資格化もみすえ、法律の権限を強め、法律の知識も身につけてもらう方向性で法文化をすすめるようです。一方、内閣府におかれた検討会も安倍晋三首相も参加する協議体の場で、児相の強化を決定しており、予算と法律双方での強化が確実になっています。

 塩崎厚労相の先の通常国会の平成27年2015年9月2日(水)の衆議院厚生労働委員会で発言を抜き出します。

 厚労相は「児童虐待で亡くなる子供たちの四割ぐらいがゼロ歳児」としながらも、児童相談所の能力について「都道府県に任されているものですから、都道府県によるばらつきというのが大きくあるということも私たちは認識をしている」と明言し、自治体の能力差があることを公式に認めました。

 児童福祉司について、厚労相は、

 「児童心理とか精神医学の御専門の方による見方というのは、日本の医療の教育の中では児童精神に関する教育というのは極めて限られていると聞いてもおりますので、そういったところから、医師ではない方々の中での専門性を高めるということについても検討しなければならない」

 と発言。専門外の筆者にはこの答弁が意味する深い所は分かりませんが、いずれにせよ、厚労相は、

 「児童相談所の専門性を確保することが極めて重要で、法的知識を要する相談等に迅速に対応するための専門性の向上等、こういうことで検討をする」

 と語り、児童福祉司を国家資格にすることなども含めて、心理学と法律の両方の専門性を持ち、強い権限を持った児童福祉司をつくっていく方向性で、改正法律案を作成することを表明しました。

 来年度の平成28年度2016年度予算に向けて、内閣府の子どもの貧困対策会議のとりまとめ文書「児童虐待防止対策強化プロジェクト(施策の方向性)(案)」でも、「児童虐待の防止のために」「本格的な職員の専門性の向上、児童相談所の機能や役割の整理などの検討」が盛り込まれており、政府全体で方向性を共有しています。

衆議院厚生労働委員会の平成27年2015年9月7日(水)の会議録の抜粋]

公明党の古屋範子副代表と塩崎厚労相の問答。

児童虐待で亡くなる子供たちの四割ぐらいがゼロ歳児だということでありますから、声を発することが全くできない子供たちから普通の子供たちに至るまで、やはり、生まれ育った環境に左右されないで健全な発達をするという権利を私たちは守っていかなければならないんだろうというふうに思っています。

児童虐待防止の対策につきましては、国、都道府県、市町村、この役割と責任というのがいま一つ不明確ではないか。私は、もっと明確にして、改めてこれを抜本的に見直すということが大事であって、さらに、官と民とのパートナーシップを組む、これを構築しながら、発生予防から自立支援まで一連の対策のさらなる強化に取り組んで、特別養子縁組とか里親委託などの家庭的な養護の推進も図っていかなければならないんじゃないかというふうに思っております。
 今後、新たな子供家庭福祉のあり方についての検討を速やかに開始して、次期通常国会への児童福祉法等の改正案の提出を目指して頑張っていきたいというふうに考えているところでございます。

民主党の阿部知子さんと塩崎厚労相の問答。

、児童福祉司という、児童相談所にお勤めの方の任用総称でありますが、どんな資格の方がやっておられるかというと、五つくらいのパターンがある。平成二十年と比べてみましても、人員は二千三百四十七から総員二千八百十一で五百名弱ふえているんですけれども、でも、虐待の件数は二倍近くになっているので大変に厳しい、そして相談の質も大変だということになっております。
 この児童相談所の職員の質並びに数の補強について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○塩崎国務大臣 児相の質、量ともに今逼迫をして、質というのは、つまり専門性が十分ではない。そしてもう一つございますのは、都道府県に任されているものですから、都道府県によるばらつきというのが大きくあるということも私たちは認識をしているところでございます。
 児童福祉司の対応能力の向上とか児童相談所の専門性の向上というのを、私どもとしては先般、児童虐待防止対策強化プロジェクトというのを八月二十八日にまとめておりますけれども、児童相談所の専門性を確保することが極めて重要で、法的知識を要する相談等に迅速に対応するための専門性の向上等、こういうことで検討をすることとしているわけでありますけれども、当然のことながら、児童心理とか精神医学の御専門の方による見方というのは、日本の医療の教育の中では児童精神に関する教育というのは極めて限られていると聞いてもおりますので、そういったところから、医師ではない方々の中での専門性を高めるということについても検討しなければならないと思っております。
 二十八年度の概算要求におきましては、児童相談所が弁護士等の専門家に相談しやすくするための費用とか、児童虐待にかかわる職員の資質の向上を図る研修を実施するための費用計上をしているわけでありますが、さらに、児童相談所の職員体制の強化についても関係省に働きかけてまいりたいと思っていますし、何よりも、さっき申し上げたように、全国どこへ行っても同じぐらいのちゃんとしっかりとした専門性と人数の充実がされるということをやるためには、これはかなり予算も要るわけでありますので、先生にもぜひこの辺の財源確保の問題についても御一緒に考えていただくとありがたいなというふうに思っています。
 都道府県のばらつきというのをどうするのかということについても、私どもは、先ほど古屋先生にお答え申し上げたように、児童福祉法の抜本的な見直しをやる中で、児相で働いていらっしゃる方々がほとんど燃え尽き症候群的になって御苦労されていることから、もう少し役割と責任を、国、都道府県、そして市町村、この間での分担を整理し直して、有効な対策がきちっと、今お話をいただいた子供の性被害に遭った場合などを含めて対応できるようにしていきたいというふうに考えております。
○阿部委員 今大臣の御答弁にございましたように、八月二十八日の子どもの貧困対策会議で取り上げられました児童虐待防止対策強化プロジェクトというペーパーの中でも、また来年度の概算要求でも述べられておりますので、ぜひ私は、人の充実ですね。
 特に、ここで言う四号、五号という方は必ずしも、児童福祉、あるいは児童のこうした寄り添うための教育ということに、実績というか、受けておられない。例えば、市町村の職員で、あるときはほかの部署からここに来られてという方。悪いとは申しません。でも、これだけ複雑になった世の中で、子供に寄り添って、子供を本当に受けとめてやれる資質というものの向上のためにも、これらの職員のレベルアップを図っていただきたいです。

[抜粋引用おわり]

内閣府のとりまとめ文書から全文引用はじめ]

1
児童虐待防止対策強化プロジェクト
(施策の方向性)(案)

Ⅰ.はじめに
○ 社会の変容等に伴う子どもと家庭を取り巻く今日的な課題に対応するため、中長期
的な視点から、児童虐待防止対策をはじめとする子ども家庭福祉の在り方について包
括的に検討する。
○ 特に、依然として深刻な状況にある児童虐待の問題については、その課題の克服に
向け、「児童虐待防止対策について」(平成 26 年 12 月 26 日・児童虐待防止対策に関
する副大臣等会議)に盛り込まれた事項の着実な実施に加え、発生予防から自立支援
までの一連の対策の更なる強化を図る。
○ 今後、財源確保も含め、強化策の具体化に向けた検討を更に進め、「ひとり親家庭・
多子世帯等自立応援プロジェクト」と併せて、平成 27 年末に政策パッケージを策定
することとする。
○ なお、新たな子ども家庭福祉の在り方についての検討を速やかにスタートさせ、そ
うした議論を踏まえ、次期通常国会への法案提出を目指す。
○ また、これらの一連の対策が効果的に機能するよう、必要な検証を行い、定期的に
見直しを行うこととする。
Ⅱ.今後の児童虐待防止対策の在り方
○ 子ども家庭福祉の軸となる理念は、単なる安全確保を超えた、全ての児童の健やか
な成長とその実現のための養育支援であり、全ての児童は、適切な養育を受ける権利
を有するとともに、その自立が保障されるべきである。
○ そのためには、官・民のパートナーシップを構築し、民間の創意工夫を積極的に活
用することも重要である。
○ こうした理念の下、現行の児童相談所が介入と支援の両方の機能を有している点や、
国、都道府県(児童相談所)及び市町村の役割と責任の分担について整理し、新たな
仕組みを構築するべきであるとの指摘がある。今後、こうした指摘を踏まえつつ、新
たな仕組みの在り方についての検討を早急に開始する。その際には、見直しの実効性
の検証や専門職員を含む体制強化等についても、併せて検討する。
○ また、現行の児童虐待防止対策における司法の関与は部分的であるが、具体的な必
要性、要件、効果等を整理した上で、司法の関与を拡大するという方向について検討
が必要であるとの指摘がある。こうした見直しの検討に際しては、その検討に先んじ
て、行政施策に対する司法の関与の在り方に応じた児童相談所の将来像の明確化、本
格的な職員の専門性の向上、児童相談所の機能や役割の整理などの検討を行う必要が
ある。
Ⅲ.当面の児童虐待防止対策の強化の考え方

 

 

資料4
○ まず、望まない妊娠、若年者の妊娠等について、関係機関からの情報提供の新た
な仕組み及び子育て家庭へのアウトリーチ型支援により、行政や民間と子育て家庭
の接点を確保し支援につなげることで、児童虐待の発生を未然に防止する。
○ こうした取組によっても、未然に防止できず虐待事案が発生した場合において
は、児童相談所、市町村などの関係機関が、共通の判断基準によりアセスメントを
行う新たな仕組みを通じて情報を共有することで、全ての支援を要する児童に対
し、質の高い最適な支援を実現する。
2

 

 

 


1. 児童虐待の発生予防の強化
○ 地域における子育て相談・支援機関を拡充するとともに、妊娠期から子育て期まで
の切れ目ない支援を通じて、行政等と子育て家庭の接点を確保し、児童虐待の発生自
体を予防し、減少させることが重要である。
(1)妊娠期からの切れ目ない支援による発生予防
○ 児童相談所や市町村における児童虐待に係る相談対応件数は増加の一途を辿り、死
亡事例の4割強が0歳児であるなど、妊娠や子育ての不安、孤立等に対応し、児童虐
待のリスクを早期に発見・逓減することが必要である。その際、子育て支援等に自ら
接点を持ちにくい家庭への支援も積極的に行うことが必要である。
【施策の方向性】
①子育て世代包括支援センターの全国展開
産婦人科・小児科の医療機関等と連携しながら、妊娠期から子育て期まで切れ目な
い支援をワンストップで実施するため、子育て世代包括支援センターの全国展開を目
指す。また、関係機関等において支援を要する妊婦の情報について共有し、低所得の
妊婦に対し助産施設の周知を行うとともに、望まない妊娠や若年者の妊娠等について
相談を受けた場合に、必要に応じて、児童相談所と連携して、特別養子縁組につなぐ
仕組みとすること等を検討する。
②支援を要する妊婦の情報の確実な把握等
児童虐待による死亡事例の4割強が0歳児であることを踏まえ、妊娠期段階から、
適切な支援を行うことで、虐待を未然に防ぐことが可能な場合がある。このため、支
援を要する妊婦と思われる者を把握した学校、児童福祉施設、病院等の機関が、市町
村に対して通知するなど、適切に情報提供を行うものとすることを検討する。
③助産施設の周知の徹底
費用負担を懸念して医療機関へのアクセスをためらい、結果として支援が遅れるこ
とを防ぐため、低所得の妊婦に助産を行う助産施設の更なる周知を行うことを検討す
る。
④子育て家庭へのアウトリーチ型支援
様々な事情により行政機関や子育て支援拠点と自ら接点を持ちにくい子育て家庭に
対するアウトリーチ型支援の在り方を検討する。また、乳児家庭全戸訪問事業・養育
○ 支援の過程において、個々人の状況を踏まえて里親委託や養子縁組など家庭的な
環境で養育することを推進するとともに、家庭での養育が困難となった施設入所・
里親委託等の被虐待児童についても、個々人の発達に応じたテーラーメード型の支
援を行うとともに、新たに、施設退所児童等からの相談に応じるなど心の拠り所と
なる居場所づくりの推進等のフォローアップを行うことにより、確実な自立に結び
つける。
3
支援訪問事業について、里親家庭も対象であることを明確化した上で、活用すること
を検討する。
⑤児童相談所全国共通ダイヤルの積極的な活用
児童相談所全国共通ダイヤル(189)については、その運用状況を踏まえつつ、
更なる周知を行うとともに、必要に応じて、利用者の立場に立った利便性の改善を図
ることを検討する。
2.関係機関の情報共有による最適な支援
○ 児童虐待が発生した場合には、児童の安全を確保するための初期対応が確実・迅速
に図られるよう、国、都道府県(児童相談所)及び市町村の役割と責任の分担を整理
するとともに、児童相談所や市町村の体制整備や要保護児童対策地域協議会の機能強
化を行う。
(1)児童相談所・市町村の体制整備と役割分担
○ 児童相談所や市町村における児童虐待に係る相談対応件数が増加の一途を辿る中、
業務量に見合った児童相談所や市町村の相談体制を整備するとともに、その専門性を
確保することが必要である。また、児童相談所と市町村との役割分担をより明確化す
ることが必要である。
【施策の方向性】
①児童相談所等の相談体制
児童虐待に係る相談対応件数が増加傾向にある中、法的知識を要する相談や心理面
に配慮することが必要な相談に迅速かつ的確に対応するため、児童相談所や市町村の
相談体制の整備や専門性の向上について検討する。
②初期対応の役割分担及び児童相談所から市町村への事案送致
迅速な初期対応を図るため、児童相談所・市町村間の共通アセスメントツールの枠
組みや、市町村が対応することが適当な事案を児童相談所から市町村に送致する枠組
みについて検討する。
(2)要保護児童対策地域協議会の機能強化
○ 児童虐待については地域の関係機関等が連携して対応するべきであるが、依然とし
て要保護児童対策地域協議会を置いていない市町村がある一方、要保護児童対策地域
協議会を置いている場合であっても、要保護児童対策調整機関の専門性が十分でなく、
その調整能力が発揮されていないケースがあるとの指摘があるなど、要保護児童対策
地域協議会の機能を強化することが必要である。
【施策の方向性】
①協議会設置促進・調整機関の専門性の向上
地域の関係機関等が連携して適切に対応するため、市町村の要保護児童対策地域協
議会の設置促進、要保護児童対策調整機関の専門性の向上について検討する。
4

②調整機関による対象児童の判断
要保護児童対策地域協議会が取り扱う児童数が多過ぎ、結果としてその機能が十分
に発揮されない事態を回避することにより、児童の置かれている状況に応じた手厚い
支援を行うため、要保護児童対策調整機関が、協議会による支援等の対象児童か、利
用者支援事業等の利用を促す児童かを判断する枠組みについて検討する。
③調整機関による協議不調時における主担当機関指定
関係機関等の協議に時間を要して、適時適切に児童の保護等を行えない事態を回避
するため、要保護児童対策地域協議会の協議が調わない場合には、要保護児童対策調
整機関が、参加する1つの機関を主たる支援機関として指定する枠組みについて検討
する。
(3)被虐待児童の早期発見と迅速かつ的確な対応
○ 児童虐待については早期に発見し、迅速かつ的確に対応することが重要であるが、
児童虐待を発見しやすい立場にある学校や医療機関において、児童相談所や市町村に
通告すべき事案であるかどうかを迷うケースがあるとの指摘がある。このため、それ
らの機関において、児童虐待に従来以上に対応できる体制を整備することが必要であ
る。
○ また、児童相談所や市町村が迅速かつ的確に対応することができるよう、関係機関
等の協力等について見直しを行うことが必要である。

【施策の方向性】
①学校における児童虐待対応体制の整備
日々児童と接する学校において被虐待児童を早期に発見し、児童相談所や市町村へ
の通告等の的確な対応が迅速になされるようにするため、虐待を発見するポイント・
発見後の対応の仕方などについて研修等において引き続き教職員に周知していく。
また、市町村や児童相談所と連携しながら必要な支援を実施するため、学校へのス
クールソーシャルワーカー及びスクールカウンセラーの配置を充実するとともに、こ
れらの外部専門家に対する虐待を含めた研修を充実することを検討する。

②医療機関における児童虐待対応体制の整備
医療機関において被虐待児童を早期に発見するとともに、被虐待児童やその保護者
への対応を適切に行うため、医療従事者に対する研修や要保護児童対策地域協議会へ
の参加を促進することを検討する。
③関係機関等による調査協力等
児童虐待の防止に必要であるとして児童相談所や市町村から児童やその保護者の心
身の状況等に関する資料等の提供を求められた場合に、地方公共団体の機関や学校、
児童福祉施設及び医療機関等が、当該調査に対し協力する枠組み等について検討する。
④児童相談所間の情報共有
5
児童虐待に関する情報連絡システムや全国の児童相談所間のデータ共有の在り方に
ついて検討する。
⑤緊急時の臨検・捜索手続の簡素化
虐待を受けていると思われる児童の安全を迅速に確保するため、緊急時における、
都道府県による児童の家庭への臨検・児童捜索手続の簡素化について検討する。

⑥民間の活用等による里親委託等の推進
民間企業やNPO法人を含む民間団体それぞれの得意分野に応じて、里親の開拓、
研修、マッチング、自立支援等の里親支援機関事業の委託を推進することにより、児
童相談所の里親委託に係る業務の軽減と里親委託の推進を図ることを検討する。その
際、成果に応じた仕組みとすることや、里親支援機関事業の在り方について検討する。
また、養子縁組に関する調査研究等の状況を踏まえ、養子縁組の推進方策の在り方に
ついて検討する。さらに、育児・介護休業法上の育児休業の対象となる子の範囲につ
いて検討する。

⑦その他
・一時保護の対象となる児童の数が増加傾向にあるとともに、その入所事由も被虐待
や非行等様々であることから、一時保護所の体制整備等を検討
・一時保護所の第三者評価の在り方の検討
・被虐待児童の心理的負担に配慮した面接の在り方の検討
・情緒障害児短期治療施設の体制整備等の検討

3.被虐待児童の自立支援とフォローアップ
○ 被虐待児童については、まずは親子関係の再構築を図るための支援が重要であるが、
施設入所や里親委託の措置が採られることとなった場合には、18 歳到達後や施設退所
後等も含め、個々の児童の発達に応じた支援を実施し、自立に結びつけることが重要
である。
(1)親子関係再構築の支援
○ 虐待を受けた経験のある児童について、児童本人への支援はもとより、保護者への
援助も行うことで親子関係の再構築が図られることは意義があり、また、親子関係再
構築支援の取組により児童が家庭復帰した場合には、安定的な親子関係の継続に配慮
することが必要である。
【施策の方向性】
①一時保護の延長の際の保護者関与
一時保護の延長に当たって、児童相談所と保護者との関係を円滑に保ち、保護者の
納得性を高めるため、都道府県児童福祉審議会の意見聴取の際に、保護者が意見を述
べる機会を設けることを検討する。

②一時保護や措置の解除時の助言等
6
親子関係再構築を円滑に進め、児童の家庭復帰後の再度の虐待発生を防止するため、
一時保護・施設入所等の措置の解除時における、第三者による今後の親子関係の在り
方等に関する助言・カウンセリングの実施を検討する。
③措置解除後等における継続的な安全確保措置
措置解除後に帰宅した場合や一時保護の解除時、施設入所中の一時帰宅時などにお
いても、市町村、児童養護施設、NPO等の関係機関等が連携して定期的に連絡・訪
問すること等により、児童の安全確認を行うとともに、家族への相談支援を行うもの
とすることを検討する。

④児童養護施設等による親子関係再構築支援
施設等入所中又は施設等退所後の児童とその保護者に対する当該施設等による親子
関係再構築支援の在り方について検討する。
⑤その他
・児童家庭支援センターの更なる活用の在り方の検討

(2)施設入所等児童の自立支援
○ 被虐待児童に対し、入所措置等の時点から計画的・効果的な自立支援を行うととも
に、施設退所等後も引き続き適切な支援を行うことが必要である。
【施策の方向性】
①自立支援計画に基づく効果的な進路指導等の実施
施設入所等児童に対し、入所措置の時点から自立に向けて効果的な支援を提供して
いくため、進路指導、職業指導等に係る専門的支援を行うことを検討する。
②里親委託児童の自立支援の充実
里親委託児童の自立支援を充実させるため、日常的に里親や委託児童を支援する里
親支援機関が自立支援計画を作成することを可能とすることを検討する。また、乳幼
児健康診査について、里親家庭も対象であることを明確化した上で、活用することを
検討する。
③18 歳に達した者に対する支援
積極的な保護や支援が必要な者への 18 歳到達後の支援の在り方について検討する。
④施設退所後のアフターケアの推進
自立援助ホームの活用等を通じた生活支援や施設退所児童等からの相談に応じるな
ど心の拠り所となる居場所づくりの推進について検討する。
4.民間の創意工夫の活用
○ 今回とりまとめた「方向性」を踏まえた具体的な検討に当たっては、被虐待児童等
の社会的養護を必要とする者への支援は、社会全体で取り組むことが重要との認識の
7
下、官・民のパートナーシップを構築し民間の創意工夫を積極的に活用することを検
討する。
○ 既に、行政が未だ実施していない事業を民間投資によって行い、行政がその成果に
対する対価を支払うといった手法が行われている。こうした取組を始めとした先駆的
な取組を幅広く参考とし、本分野での効果的な取組手法の検討・導入を目指す。


[内閣府のとりまとめ文書全文引用おわり] 

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