【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田克也代表、民主党は「個人の所得を増やす」労働分配率高め、貧困層底上げ、アベノミクス対案

2015年10月30日 20時38分55秒 | 第24回参院選(2016年7月)

 民主党の岡田克也代表は、きのう、平成27年2015年10月29日(木)の党本部ホール内での記者会見で、自民党(総裁=安倍首相)の経済政策「アベノミクス」の対案を問われ、

 「民主党の経済政策は「個人の所得を増やす」、これが目的である」 

 と語り、来年、7月10日・17日・24日投開票の第24回参議院議員通常選挙のマニフェストに盛り込むことを示しました。

 岡田さんは、

 「個人の所得を増やすに当たっては、全体のパイを大きくするということもあるし、あるいは企業が利益を得た時にその労働分配率を高めるやり方もあるし、あるいは個人の所得の中で所得税その他の税制で、高所得を得ている人の所得を再分配するということもある。あるいは、ひとり親家庭のような貧困層といったところについて所得の底上げをすることもある」 

 と語りました。

 このうち、(1)ひとり親世帯など貧困層の底支え、(2)労働分配率の向上ーー

 (1)ひとり親世帯など貧困層の底支えの具体的メニューは「子ども手当」の復活がダントツ。これに生活保護、年金の持続可能性を訴えることになると見られます。

 一方、(2)労働分配率の向上については、いままでの民主党マニフェストには具体的なメニューは盛り込まれていません。

 企業の利益の積み上げの一つである、内部留保に関して、枝野幸男さん(民主党幹事長)はリーマンショック前から何らかの課税などを主張してきましたが、岡田さんが労働分配率を高める考えを明示したのは、初めてだと思われます。この「内部留保の掃き出し」という論点で語られる、労働分配率の是正について、岡田さんは1年間の収支であるフローにおいて、人件費を拡大する方向性を明示しました。

 労働分配率の向上をめぐる政策設計が急務となりました。作業は、法人税・所得税の税率、労働法制の見直し、給付つき税額控除などが論点になると考えられますが、労働分配率について目玉となる政策メニューの具体化は時間がかかりそうです。

 記者会見に先立ち、岡田代表は、細野豪志政調会長と会談し、「国会閉会中もNC(エヌシー、次の内閣)をもっと開いてほしい」と要望し、来年の通常国会前に、政策づくりを進めるよう求めました。

 政調会長への指示について、岡田代表は、

 「やはり中身をこの11月、12月でしっかりと詰めることは大事なことだと私は思っています。それがマニフェストにもつながってくるということだと思います。
 先ほどの経済政策で私は「個人の所得を増やす」ということを言っておりますが、これも党の中でもよく議論してもらいたいと思っていますし、安倍政権との違いがはっきりするような政策を、経済政策はその最たるものだと思いますが、しっかり打ち出していくことが重要だと思います」

 と語りました。

 アベノミクスについては、岡田さんは安倍さんは、全体のパイを大きくすることが目的です。そこが決定的な違いです」と語り、先月発表した「GDP600兆円目標」に代表されるアベノミクスを批判しました。

このエントリー記事の本文は以上です。
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岡田克也代表、南シナ海の米中戦争で、日本自衛隊の集団的自衛権での参戦に否定的な考え

2015年10月30日 20時08分28秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 民主党代表の岡田克也さんは、きのう、平成27年2015年10月29日(木)の定例記者会見=写真・筆者宮崎信行撮影=で、今週、南シナ海で「自称・中国領海」を米軍が無害通航した行為について、今後の日本自衛隊の集団的自衛権に関する考え方を示しました。

●南シナ海での中国と比、越の武力衝突での日本自衛隊の集団的自衛権は「考えられないと私は思う」、米中軍事衝突は「安保法では説明つかない」

 仮に、フィリピンあるいはベトナムが、中国軍と武力衝突した場合について、

 「フィリピンやベトナムが中国と武力衝突する、それに対して日本が集団的自衛権を行使する。それは考えられないと私は思う」と語り、フィリピン、ベトナムに対して、日本が安保法にもとづき集団的自衛権を行使することはないとの考えを示しました。

 自衛隊の現状について、

 「日本の自衛隊にはそれほど余力があるわけでもありません。日本自身の近海で活動することに専念せざるを得ないという状況もあると思います。航空機であれば、航続距離からいっても実質的にはそれができないということであると私は理解しています

 とし、南シナ海での平時からの哨戒も含めて、自衛隊に余力がないとの見解を示しました。

 そして、米中武力衝突時に、アメリカに対する日本の集団的自衛権行使については、

 「安保法の法律の立て方だと「存立危機事態」に該当しなければいけないということで、今までの政府の説明を聞いていて、集団的自衛権の行使に至るということは、今の法制のもとでは非常に考えにくいことだと思います

 とし、先月、9月30日に公布し来春に施行する、安保法の「武力攻撃事態対処法の改正第2条第4項の存立危機事態」により、安倍自民党内閣が対処基本方針を作成。集団的自衛権により、南シナ海で米軍の戦争に参戦することは、「非常に考えにくい」と語りました。

 なお、周辺事態法改め重要影響事態法による「重要影響事態」と国際平和共同対処事態法の「国際平和共同対処事態」の適用には言及しませんでした。

●TPPはあたかも経済ブロック的な中国封じ込め、「そのためにTPPをやったわけではないと理解している」「中国が参加することもありうる」

 中国の海側の諸国のうち、現在TPPに参加していない、インドネシア、韓国、台湾の合計3か国・地域のうち、インドネシアがTPP参加を今週表明したことに関連し、

 「まずTPPは、中国を封じ込めるために行っているものではありません。要件を満たせば中国が参加することも当然考えられる。中国封じ込めのためにTPPをやったわけではないと私は理解しています」

 とし、TPPがあたかも「経済ブロック的に」、中国を封じ込めるものではないだろう、と強調。

●「中国を封じ込めるのではなく、国際法を書く場所に中国も引き込んで、国際法を順守させるべき」

 以前から岡田さんが中国を国際法のルールを書く場所に引っ張り出すべきだ、オバマ大統領が中国には国際法のルールを書かせない、との趣旨の認識を持っていることについて、

 「オバマ政権も考え方は私と基本的には同じだと思います。中国を孤立化させるのではなく、封じ込めるのではなく、やはり国際的な場に中国も関与させて引き込んでいく。そういう中で中国が国際法を順守した行動がとられるようになる」 

 と語り、中国を封じ込めるのではなく、安全保障・自由貿易の両面で、中国を国際会議などに引き込んで、国際法を順守させる方向に持っていくべきだ、との認識を重ねて強調しました。

 記者会見の該当部分は次の通り。

[民主党ウェブサイトから抜粋引用はじめ]

○対中政策について

【フリーランス・宮崎記者】
 南シナ海では、中国が中国領海だとしている人工島の12海里付近をアメリカ艦が通行した。中国の周りの国々の間でアメリカに追随する動きが出てきたので、安全保障的に中国の海が封じ込められているような感じがする。また経済的にはTPPで、インドネシアが参加する方向になったので、TPPという形でも中国を海側の国々が、経済ブロックが封じ込めている感じもする。今後、中国を国際法のルールを作る場に引っ張り出すことかできるかどうかも含めて、現状お考えの点を伺いたい。

【代表】
 まずTPPは、中国を封じ込めるために行っているものではありません。要件を満たせば中国が参加することも当然考えられる。中国封じ込めのためにTPPをやったわけではないと私は理解しています。  それから、南シナ海は公の海でありまして、島でない以上、「12海里以内だ」と言っても公海であります。そこをアメリカの艦船が通行したことは、国際法上何ら問題なく、当然のことを行ったと考えています。
 ただ、中国側はそれに対して厳しく批判しております。ここは米中間で、不測の事態が起こらないようによく対話をしてもらいたいと、あわせて考えています。

【フリーランス・宮崎記者】
 岡田さん自身は、中国を国際法のルールを書く場に引っ張り出すべきだという考えを以前から持っているかと思う。一方、オバマ大統領は、中国には国際法のルールを書かせないと、これはTPPの時の記者会見だが、そういった考えがあるようだ。中国と国際社会、及び中国と日本との関係について、大枠で考えを伺いたい。

【代表】
 オバマ政権も考え方は私と基本的には同じだと思います。中国を孤立化させるのではなく、封じ込めるのではなく、やはり国際的な場に中国も関与させて引き込んでいく。そういう中で中国が国際法を順守した行動がとられるようになる。基本的にはそういう考え方でオバマ政権も考えていると思います。オバマ大統領の先ほどの発言ですが、私の理解は、中国が自分のルールで囲い込みをするということはさせないということだと思います。TPPは開かれた制度ですので、それで囲い込みをするということではあります

【フリーランス・宮崎記者】
 安保法ができたところだが、自衛隊が南シナ海で例えば共同パトロールなどをアメリカから要請される可能性はあるとお考えになるか。

【代表】
 あまり想定で言わないほうがいいと思います。日本の自衛隊にはそれほど余力があるわけでもありません。日本自身の近海で活動することに専念せざるを得ないという状況もあると思います。航空機であれば、航続距離からいっても実質的にはそれができないということであると私は理解しています。したがって、そういう具体的な要求が出てくるのかどうかは私、わかりませんので、今の状況を考えればあまりそこまで先回りして考える必要はないと思います。

【フリーランス・横田記者】
 対中国脅威が増しているということで集団的自衛権あるいは今回の安保法制に絡める論調がある一方で、小林節名誉教授は、基本的に中国に対しては専守防衛で十分ではないかと。その理由としては、台湾、ベトナムへ、中国が軍事侵攻しようとした時に専守防衛で十分押しのけたと、だからわざわざ集団的自衛権、今回の安保法制は必要ないと主張しているが、代表はどう捉えられているか。

【代表】
 まず、南シナ海でわが国の集団的自衛権の行使というのはどういう場合なのか。大きく言って、一つは米軍が中国と武力衝突に至る、その時に日本の集団的自衛権の行使をする。もう一つは、フィリピンやベトナムが中国と武力衝突する、それに対して日本が集団的自衛権を行使する。後者は考えられないと私は思う。日本にそれだけの力もありません。前者の場合というのは、それは今の法律の立て方だと「存立危機事態」に該当しなければいけないということで、今までの政府の説明を聞いていて、集団的自衛権の行使に至るということは、今の法制のもとでは非常に考えにくいことだと思います。

[抜粋引用おわり]

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天皇陛下、日本ウクライナ投資協定条約を公布

2015年10月30日 11時51分49秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 天皇陛下は、「日本ウクライナ投資協定条約」を公布なさいました。平成27年10月30日条約7号。同日(金)付官報で全文が掲載されました。

 この条約は国会では「189条約9号」として審査され、9月3日(木)に共反対、自公民維賛成で衆議院を通過。9月11日(金)に両院承認されていました。

 日本とウクライナは来年から2年間、国際連合安全保障理事会の非常任理事国をつとめるようです。

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