(このエントリー記事の初投稿は2015年10月8日午前5時で、それから、7日付にバックデートしました)
安倍首相は平成27年2015年10月7日(水)の内閣改造(第3次安倍第1次改造内閣)の記者会見で、
「(TPPの農業の)国内対策に当たって必要な予算については、様々な観点から、今後、検討を進めていく考えであります」と語り、
平成27年度2015年度第1次補正予算案の編成を否定しませんでした。
首相の補正への言及はこれが初めて。
今年度一般会計は、法人税収を10・9兆円と見積もっていますが、異次元の金融緩和にともなう激しい円安で、大企業のほとんどを占める輸出主導型企業の利益が名目で大きくプラス。それでいて、7年前のリーマンショックによる繰延税金資産はかなり減っていると考えられます。よって、円名目での大幅上振れは確実。その一方で、今年度一般会計の歳出は実質マイナス。農業予算に限った財源は十分に確保できる状況。
本来は、財政再建に充てるべきですが、農業に限定した補正は十分に組めることになります。
ただ、政府・自民党は、秋の臨時国会を開かないシナリオも検討しており、既に10月になっていることから、仮に提出するとしても、来年の通常国会と考えられます。その場合は、審議日程を考え、来年度本予算案に吸収。それに先立つ今年末に経済対策パッケージを記者会見で発表するだけにとどめる可能性もあります。
農林水産省以外の他省庁と、国会対策が複雑に絡み合う、水面下のかけひきが続きそうです。
[首相官邸ウェブサイトから引用はじめ]
平成27年10月7日
安倍内閣総理大臣記者会見
(中略)
(記者)
共同通信の杉田です。
総理、先日の会見でTPPの国内対策、影響を不安がっておられる農業者の方などを踏まえて、国内対策を急ぐ考えを示されました。
それから、今、総理が御説明されたように、一億総活躍社会に向けて、対策の第一弾をつくられるお考えを説明されました。
こうしたものに向けて、総理、補正予算の編成を指示する考えはございますでしょうか。もしあるならば、その規模感を含めてお考えを聞かせてください。
(安倍総理)
甘利大臣が帰国いたしまして、本人からも直接、TPP交渉大筋合意の中身について報告を受けました。
TPPを真に我が国の経済再生や地方創生に直結するものとするため、全閣僚をメンバーとするTPP総合対策本部を設置し、総合的な対策を検討するよう指示をいたしました。農業は国の基であり、そして、美しい田園風景を守っていかなければなりませんし、それは、政治の責任であると、こう考えています。私の地元も農村地域を多く含むわけでありまして、東京のような国際的な都市、そして、個性のある地方都市、さらには、美しい農村、漁村、田園風景があって、初めて私は日本であろうと、こう思っています。
そのためにも、活力ある農村、漁村をつくり出していく必要があり、正にこれはピンチではなく、チャンスに変えていきたいと思っています。
今後、農林水産業にどのような具体的影響が生じ得るかを、十分に精査していきます。
その上で、TPP協定の締結について国会の承認を求めるまでの間に、政府全体で責任を持って国内対策を取りまとめ、交渉で獲得した措置と併せて、万全の措置を講じていく考えであります。
国内対策に当たって必要な予算については、様々な観点から、今後、検討を進めていく考えであります。
(後略)
[引用終わり]
このエントリー記事の本文は以上です。